「セッション」「ラ・ラ・ランド」とミュージカル、音楽系の素晴 .. >(続きを読む)
「セッション」「ラ・ラ・ランド」とミュージカル、音楽系の素晴らしい作品を連発してきたチャゼル監督。
その最新作は人類史に残る英雄を1人の人間として描いた良作でした。
本作の主人公であるニール・アームストロング。
人類史上初めて月面に降り立った英雄という評価が1人歩きしているようでもありますが、
そんな彼も仕事を離れると妻や子どもがいる、いち家庭人。その喜びや悲しみ、
国家を挙げてのプロジェクトの主人公である彼にかかる非常な重圧。その人間ドラマに想像以上に軸足が置かれた作品。
彼と家族の関係や、妻や子ども達が彼を宇宙に送り出す際にかかるストレスなど・・・。
家族のパートの際に多用される不安定にぶれる映像。見やすくはないですがその意図は分かるような気がする。
しかし時間と残り燃料との闘いでもあった終盤の月面着陸と神々しい月面シーンは見応え十分。音楽も実に効果的に作用しています。
作中にも描かれたように批判も巻き起こった、当時のアメリカが宇宙開発に注ぎ込んだ莫大な予算。
時は冷戦真っ只中。米ソが先を急ぐように加熱する宇宙開発競争の陰で命を落とした仲間たち。大変な思いをさせた家族。
様々な犠牲の末に偉業を成し遂げた彼に笑顔はなく、無事帰還して歓喜の輪に包まれたり、成功を称える記者会見の場でもなく
台詞も無い妻と2人きりのひっそりとしたラストもまた本作を象徴していたと思います。