<ネタバレ>往々にして、理論だの考証だの物理法則だのに囚われるほど
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<ネタバレ>往々にして、理論だの考証だの物理法則だのに囚われるほど
映画からかけ離れるものである。
それらのルールに忠実に沿いながらも、どこかでそこから飛躍する、その瞬間こそが
映画の醍醐味といえるだろう。
そのような荒唐無稽な瞬間の楽しさはこの映画で云うなら、
例えば時計を介した父娘の交感であったり、兄妹の唐突な抱擁であったりだろう。
本作でもまた「重力」は重要な要素なのだが、では娘が「ユリイカ!」と叫びながら
宙に舞わせる紙のショットはあれがベストなのだろうか。
マット・デイモンがマシュー・マコノヒーを突き落とす地表の高低差の感覚は
あの程度で良いのだろうか。
その危機の場面で、地球側で父への不信感を募らせる娘の姿を
幾度かクロスカットさせる手法は効果的なのだろうか。
母船を乗っ取られそうになるシーンで三者の位置関係の提示がまるでないのは
サスペンス演出上、どうなのか。
視覚からではなく、理屈でシーンを形成しているのが明白である。
そうした画面のあり方への疑問は数限りない。