<ネタバレ>玄関先で木刀振りする藤竜也を覗き見していた子供達が一目散に画 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>玄関先で木刀振りする藤竜也を覗き見していた子供達が一目散に画面右手の登り坂を
駆け上がっていくのを追いかけるカメラとか。
その逆に、門を出て左手に下っていく車を追いかけるカメラとか。
従来のスタイルならそういったものには無頓着にカメラを引いて固定したまま
構図を維持したはずだと思うのだが、
そうした些細ではあるが意図を量りかねるカメラの動きが多々あって少し戸惑わせる。
その屈託の無い目移りぶりが逆に作品の緩さらしきものになっているともいえるか。
競馬場でのギャグなども、『菊次郎の夏』の競輪場で繰り広げられたそれの釣瓶打ち
と比べるといかにも緩い。
かと思えば、小気味良い台詞廻しとカッティングの合わせ技も随所で垣間見せ、
遊戯感覚溢れる逸脱と変転によって結果的に程よい弛緩と緊張を維持している。