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<ネタバレ>『大丈夫であるように』、『KOTOKO』に続いて映画に登場するCoccoに関する芝居やキャラクター設定はあて書きとしか思えない。
彼女本人の素のイメージにかなり近いのではないか。
黒木華のイメージについてもそんな印象だが、インタビューによると性格的には全く違うらしい。
が、何気ないシーンで彼女が見せるまるでアドリブのようなナチュラルなリアクションの数々は、俳優イメージとすんなりシンクロする。
くしゃみやしゃっくりの芝居などは実はかなり難しいものだと思うのだが、そうした些細だが人間的な生理を自然体でこなしてしまうところもポイントが高い。
森田童子を歌う彼女もなかなかにハマっている。
映画冒頭の待ち合わせシーン。携帯端末画面上の文字を羅列して、それをさらに音読するという流行りの表現にはどうしても馴染めない上に、
待ち合わせの映画的処理としても相応しくないと感じるのだが、その後にノートPC上での(相手を見せない)対話を幾度も重ねる演出を
鑑みると、これもまた歪なコミュニケーションの表現手段ということなのだろう。
誰と誰は向かい合って座るか、誰と誰は横並びに隣り合って座るか、そうした配置もよく考慮されているようだし、
浅い深度ながらも水槽や窓や鏡を使ってところどころで画面を重層化している。
そしてラストは木々が揺れる窓外へと踏み出す、と。
絵面的には全般的に弱いように見えるけれど。俳優らの佇まいと物語の流転に惹かれる形で見飽きない。