<ネタバレ>寒々とした曇天や冷ややかなな壁が硬質な白バックをつくる。
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<ネタバレ>寒々とした曇天や冷ややかなな壁が硬質な白バックをつくる。
余計な装飾を排したそれらの白いシンプルな背景が思惑を秘めた俳優らの表情を見事に浮かび上がらせている。
終盤での妻夫木聡と満島ひかりの述懐もまたそれぞれの白バックを介してクロスカットされ、二人の横顔のショットは台詞に優位を譲らない。
序盤に登場する、殺人事件の起こった住宅街の坂道の寂れた風情も見事なロケーション。
小出恵介、市川由衣らの三角関係を示唆する役者配置の妙。屋外の階段を昇り降りし、エレベーターの扉をこじ開け、といった手持ちカメラによる
動線と空間性はキャラクターの感情を提示するなど、カメラワークもよく考えられている。
一方で、現在シーンの固定されたカメラは俳優らの語りと芝居をじっくりと持続的に見せてくれる。
松本若菜が平手打ちされるシーンでの、屋外から屋内へのカメラの切り替えの呼吸の素晴らしさ。
それら、外と内を仕切るガラス窓のモチーフがじわじわと反復されていき、ついには
妻夫木聡がその仕切りを越えるショットへと至る。
煙草の吸殻にしても、炎の音使いなど細やかにアクセントをつけて視聴覚的な伏線張りを反復するなど巧みだ。