スタッフの熱意の伝わる、東映動画最盛期の傑作。
●椋尾 .. >(続きを読む)
スタッフの熱意の伝わる、東映動画最盛期の傑作。
●椋尾篁の黒を多用した精緻な背景美術の美しさとスケール感。ここでは劇場版を意識した大判の背景画が用いられ、実写でいうところの移動撮影やズーミング(市川的)で空間の広がりと奥行きを表現している。
●金田伊功原画によるパースペクティブとデフォルメを活かしたダイナミックなアクションの素晴らしさ。
その大胆なパースもまた画面に深度を与えている。
彼の主に担当したクライマックスの惑星崩壊・炎上の圧倒的な描写はふんだんな透過光の効果と相俟って特に傑出した映画美となっている。
(繋いだ手の感動的ストップモーション。)
●東映動画初期から実務経験を積んだりんたろうならではのアニメーションの醍醐味として、さらには映画の主題としての疾走へのこだわり。
主人公は全編、それこそラストカットまでひたすら走り続け、画面を躍動させる。
●優れた映画の一条件といっても良いかもしれない、風の表現。
特に、別れの駅の場面に吹く風の見事さ。
二人の間を吹き抜ける静かな風の強弱を表現したアニメーション感覚が絶妙であり、
映画の情感を一段と高めている。
●ヒロインへの紗のかけ方、ショックシーンの編集等もいかにも市川崑的だ。