<ネタバレ>最初から結末は分かっていた物語です。当事者も観客も、助かるた .. >(続きを読む)
<ネタバレ>最初から結末は分かっていた物語です。当事者も観客も、助かるためにはあの方法しか無いのは承知済み。127時間という時間は、その脱出方法の決断に必要だった時間。腹を括るのに、実に5日間を要した訳です。どのような心理過程を経てその決断に辿り着いたのか?この部分のドラマを骨太に描くことが「実話の映画化」における正攻法であったと考えますが、やや腰が引けた印象を受けました。正面突破で90分を持たせる自信が無かったのでしょうか。「中国製のナイフだから切れ味が悪い」と、観客の頭から選択肢を消去するミスリードを織り込みます。確かに観客は一時的には結末を見失ったかもしれません。しかし稼げる尺は知れたもの。主人公の内面に対する観客の興味を削いでしまった代償の方が大きかった気がします。彼の葛藤だけを愚直に描く“勇気”が、本作の脚本には必要だったと思いました。