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<ネタバレ>嵐の夜。夫が帰ってくると妻は窓を開けたままで吹き込んでくる雨にずぶ濡れになっている。
「ちゃんとやらなきゃ、
もっとちゃんとやれると思ったのに
どんどんだめになってっちゃって
もうどうしたらいいかわかんない」
そんなふうにいって心を病んだ妻は泣きじゃくる。
その妻をまるで泣いているこどもをあやすようになぐさめる夫。
「おまえは頑張りすぎるからだめになるんだ。
ちゃんとしなくったっていいじゃないか」
夫が描く90年代世間を騒がせた数々の事件の法廷シーンも
妻の病んだ心を回復させる天井画も、この嵐の夜の号泣の前後を埋める背景にしか過ぎない気がする、少なくとも私にとっては。
それでも、結局のところ映画ってのはこんなふうに、たった一つでもいい、あるシーンが心に深く突き刺ささってくれればいいものなのかもしれない。
その痛みがほしくって私たちは今日も映画を観続けているものなのかも。[良:1票]