不思議なもので、明治から昭和の戦前までを舞台にした仁侠映画は .. >(続きを読む)
不思議なもので、明治から昭和の戦前までを舞台にした仁侠映画はもうほとんど歌舞伎のノリで楽しく見られるのに、本作のように戦後になるとどうも引っかかる。健さんの“いいやくざ”なんて戦前だってフィクションだと思うんだけど、そういうウソがある程度時代風俗でごまかせるのか。戦後の“いいやくざ”は、だからかなり抽象化されて感じられる。「やくざだが暴力団じゃねえぜ」って、向こうのほうでもことわりを入れてるし。老親分の伊井友三郎が(いいねえ、このシトは)、抽象化された任侠道の体現者となっているわけだ。ドラマの大枠は戦前も戦後も変わらない。悪いやくざに渡辺文雄がいて、いいもんの脇に菅原謙二がいて、殺され役に藤山寛美がいて、と揃ってる。でもやっぱり素直に楽しめない。テーマにエレキの音が混ざってもいたなあ。