<ネタバレ>何不自由ないボンボン達だが、これといった目的もなく、ただダラ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>何不自由ないボンボン達だが、これといった目的もなく、ただダラダラと夏を過ごす。
若者達の欲望の先には、結局“女”があった。
狂気を孕んだ若者達の中にあって、唯一、純な心を持った津川雅彦。
後のエロオヤジ役を演じまくった津川が、唯一、純な少年を演じたところが皮肉で面白い。
ラストシーンは鮮烈。
常軌を逸したあぶない目つきで、石原裕次郎と北原三枝の乗るヨットを、ぐるぐるとボートで迂回する津川。
その目は極めて危険でうつろだ。
そして、津川はボートで二人をはね殺す。
普通に考えれば、これだけあぶない目つきで、二人をボートで無惨にもはね殺したとなると、津川が一番あぶない人間になるだろうが、実は一番人間的でまともだったのは、津川ではなかったか。
やることなすこと、全てあべこべで倫理観に欠けた若者達の中にあって、その純な心を裏切られ、その怒りを殺意に代えた津川の心情こそが、一番ストレートに理解できる。
“殺す”という、社会的に一番狂気な行動をとってしまった津川が、一番同情されるべきナイーブな心を持った登場人物として描かれている辺り、単なる青春映画では片付けられない、深い内容を感じさせる名作である。