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ここまで登場人物に感情移入できない映画も珍しいのではないか?しかも、クラッシュ中毒者の全員が全員、まるで屍躰のように虚ろな表情をしている。性交をしている時でさえ、一切の感情や体温を感じられない。死と性(生)が交わる交通事故の瞬間に焦点を当てたのはいかにもクローネンバーグらしく(原作はJ・G・バラード)、特に下肢装具でサイボーグ化したロザンナ・アークェットのフェティッシュなエロティックさはその極み(脚の傷口のデザインがもろ女性器)。全編、交通事故とセックスシーンしかないという奇妙な作品。