つい先日までイスラエル軍がガザを攻撃していた今、この映画の持 .. >(続きを読む)
つい先日までイスラエル軍がガザを攻撃していた今、この映画の持つ意味がより大きく感じられる。
時々勘違いしている人がいるが、この映画、政治的な意味はまったくない。単にパレスチナ紛争が背景になっているというだけで、どちらが良いとも悪いとも描いていない。歴史的・政治的に言えば、中等における「悪」はイスラエルとアメリカ政府である、と僕は思っている。しかしどちらが悪いのかは、ここでは重要ではない。
テロリズムは民族問題の解決に何の役にも立たないばかりか、怨嗟を循環的に再生産し、犠牲者だけを増やしていく……。それはイスラエルだけでなく、PLOにとっても同様だ。それを、ユダヤ人のスピルバーグが映画にしたことの意味は大きい。
原子爆弾の場合と同じである。太平洋戦争において日本、アメリカどちらが悪いのかといった論議とは関係なく、手段として絶対的に悪い物というのはあるのだ。
スピルバーグらしい活劇ではない。サスペンス要素も薄い。だが、良い映画だ。
文句としては、「情報屋」ルイ一家があまりにも全能すぎること。あんな便利な存在があるんだったら、最初から殺しまで依頼したらどうよ。