<ネタバレ>死を身近にしたことで人生のバランスを崩した人たちが、静かに次 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>死を身近にしたことで人生のバランスを崩した人たちが、静かに次のステップを踏むまでのストーリーでした。死後の世界はあるのか? それは誰もが一度は抱く疑問。その根底には、亡くした人や自分の死を想う時の不安がある。証明できない限りは正解も無いが、その不安が現実の生き方に影響を及ぼすのも事実。本作は、その興味でストーリーを牽引するが、死後の世界を強引に証明するという類いの作品では無かったです。マット・デイモンの霊能は、他者の苦しみに共感する能力として描かれる。センシティブな感覚の延長であって、他者の人生に割り込んだりしない。本人がその能力を嫌うことは、死後の世界をあたり前に捉えることへの懸念としても機能していると思います。私が本作から感じたものは安心感でした。子供の頃、いつかは自分も死ぬという事実を認識したとき、形容したがい恐怖を覚えた。それが、人生も半ばを過ぎた今では、ある程度は受け入れられる。人は生まれてから死ぬまでの時間を使って、死を受け入れる準備をするのだとも思う。この映画の死後概念はそんな心境への道程を、そっと照らしてくれる印象でした。さらに、死後の世界を、そこに縋るのではなく現実を生きるための認識として捉えることが本作のテーマなのでしょう。ラストシーンでマット・デイモンが手袋を外して握手した心境もそこに通じます。本人が「呪い」と呼ぶ能力でも、スタート地点を共有できる人とは分かち合える。その予感は生きることへの希望でもありました。死や死後を扱いながら、宗教色がなかったことがとても良かったと思います。イーストウッドの語り口は言うに及ばず、彼に監督を依頼したスピルバーグもいい仕事をしました。