不思議な映画でしたね。ニッポン人としてはところどころに「違う .. >(続きを読む)
不思議な映画でしたね。ニッポン人としてはところどころに「違うだろ!」って描写があるんだけど、作品全体を覆う精神性がそれを緩和してくれる。この映画のモデルは西郷隆盛と西南戦争なのでしょう。日本の近代化を進める中央政府の改革を武士道精神の衰退にアレンジし、不平士族の反乱は列強と結託する私欲財閥への戒めにアレンジしている。これを観た外国人が日本の近代史を誤認した可能性はとても高いのだけど、そんな危惧よりも先述の精神性の描写の方がニッポン人として嬉しく思ってしまった。同時に、今の日本人に武士道を体現している人がいるのかと外国人から聞かれたら、とても困るのだけど。厳しい表情をしながら眼だけに優しい涙を湛える渡辺謙の演技は、ハリウッド映画の中では独自の存在感を示したと思います。彼の侍演技の多くはNHK大河「独眼竜正宗」でブレイクした頃と大きく変わっていないと思ったんだけど、逆に当時からかなりのポテンシャルを持っていたことが改めて証明された気分でした。