<ネタバレ>これは「能」の映画ではないか、と思った。
「能」は「削りの .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>これは「能」の映画ではないか、と思った。
「能」は「削りの芸術」で動き、演出、道具などを極力削って最低限のものしか舞台にあげない。残りは観客の想像力に委ねるのだ。
この映画は観客に「委ねている」。だから公平な感情をもてるように過激なシーンやエピソードをあえて見せないのではないか。
「この世界のこれからをあなたに委ねる」という監督のメッセージでもあるように感じる。
私にとっては冒頭からリアルだった。マンデラ釈放の日を「国の破滅の日」と言った白人男性を見て、実際、南アの白人少年が「最高の国が最低の国になった」と言っていたのを思い出した。
差別する側はされる側の事を考えない。ピエナールの父を見ていれば分かるが、黒人に感情がある事さえ意識していない。
ピエナールも白人SPも黒人の立場、環境、気持ちなど考えた事がなかっただろう。マンデラに会い、彼らは初めて考えだしたのだ。
刑務所にも訪れ、「赦せる強さ」を考える。「愛」の反対は憎しみではなく「無関心」なのだ。
優勝した時の様子ですが、フランスもサッカーWCで優勝した時、ああなったそう。差別意識の強い地区でも無礼講だったとか。
一瞬の出来事かもしれないけど、あるとないのでは大違い。忘れなければその一瞬を永遠に出来る可能性がある。
それを静かに、優しく、包み込むように、観ている私たちに「委ねて」いる映画。文句なく傑作だと思います。[良:1票]