<ネタバレ>ベタと言えば、すべてがベタなのだが、マジョリティの平凡さの演 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>ベタと言えば、すべてがベタなのだが、マジョリティの平凡さの演出(同じような家が並ぶパステル調の住宅街、同じ時間に同じ様に出かける父親達、すぐさま流行に飛びつく母親達)とマイノリティであるエドの演出の対比が秀逸。
創造的な表現者×身体的な障害者というマイノリティの主人公に、イノセント故に他人を傷つけることがあるいう人間の習性を、究極的に可視化した「手=ハサミ」としてかぶせ、
それをいかにもな「社会」(というか「世間」に近い)の暴力に放り込むことによって、大衆の醜さを露悪的に見せる巧さ。
それに加え、見た目が青年の無垢な少年と、スレた高校生との対比を正に(ある意味卑怯だが)ファンタジーをして描くことで、エドにとってのこの出会いの期間をファンタジーだったとして昇華させる。
物語自体が最後は語りだったという視点に戻し、彼を理解したと思える彼女ですらマジョリティの側から離れられなかった、というキムの語りを懺悔の物語としてまとめることで人間の弱さの演出を重ねる。
単純に切ないラブストーリーと呼ぶには勿体無い一作