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<ネタバレ> 完璧な悪人ではなく、完璧な善人でもなく、完璧な父親(がわり)でもなく、完璧な親子関係でもない、まさに中途半端なブッチと、そして父親のいないフィリップの擬似親子の関係に、ただもう素直に感動しました。
ブッチの善悪の価値基準というのはもう本当にあいまいで、だからクズのような殺人鬼と一緒に脱獄したことも、ブッチにとってはそんなに重要なことではなかったのでしょう。ブッチ本人のモラルというのも割りと適当で、犯罪を犯すことに対する罪悪感というのはあまり持ち合わせていないようです。
ただブッチにとっての『絶対悪』が、子供に危害を加える大人であり、そういった場面に出くわすと、画面全体からただならぬ緊張感が漂いはじめます。
最初のブッチの琴線に触れたのが相棒であり、彼は射殺されます。
そして次に琴線に触れそうになったのが道中親切に車に乗せてくれた家族です。車を汚した子供に母親が豹変したときのブッチから漂い始める緊張感。それを感じ取るフィリップ。ここは父親が肝要な対応を見せることで結局は何事も起こりません。
そしてブッチが撃たれる発端となった、黒人の子供が叩かれる一連のエピソード。
普段何事に対してもグレーな、どちらでも良いような対応を見せるブッチが、ただひとつだけ許せないものを感じさせてくれたとき、同調してはいけないのに、同調しブッチの幸せを願う自分がいました。
オープニングとラストシーンのつながりは最高です。
[良:2票]