<ネタバレ> 戦争ものは苦手。絵画は興味なし。今となってはなぜ見ようと思 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ> 戦争ものは苦手。絵画は興味なし。今となってはなぜ見ようと思ったのかすら思い出せないわけですが、これが見て良かったです。
音楽と芸術の街ウィーン。そんな高貴で品のあるイメージしかなかったオーストリアにも、暗い歴史があったのですね。
昨日まで隣人だった。今日は『ユダヤ』と『ユダヤ以外』。ナチスがオーストリアに入国したとき、あんな歓迎ムードで迎えられていたとは思いもしませんでした。昨日まで隣人だったり、お客だったりした人でも、こんなに簡単に虐げられる人間の性が一番怖いです。正直ナチスより怖い。この映画では凄惨なシーンはでませんが、塩素?で、床に書かれた落書きを消す『昨日まで医者』だった一家のワンシーンが、一瞬ですが胸に残りましたね。
現代パートでは、オーストリアを相手に『アデーレ』の返還を求める熱いバトルが繰り広げられます。最初は乗り気でなかった若き弁護士が、法律事務所を辞めてまで『アデーレ』に全力を注ぐ。そんな夫を支える妻の姿までしっかり描いたことで、よりドラマチックな物語に仕上がっています。
そしてこの映画は回想シーンが本当によく出来ています。アルトマン家がナチスに財産を没収される様子が本当に痛ましい。上流階級の一族の、幸せそうな、かつ華やかな結婚式の様子がコントラストとして効いています。両親を残し、国外へと逃亡する一連のシークエンスは手に汗握るサスペンス。そんな過去に決着をつける、実話に基づいた真実のドラマ。お見事です。
ヘレン・ミレンは素晴らしい女優さんですが、『RED』を見てからどうしても凄腕スナイパーのイメージが抜けなくて・・・[良:1票]