<ネタバレ> 途中までは面白かったのですが、中盤以降の盛り上がりに欠けま .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ> 途中までは面白かったのですが、中盤以降の盛り上がりに欠けます。
人間ドラマ中心で描きたいのか、剣戟アクション中心の展開でいきたいのか、はっきりしません。
姉弟のエピソードを掘り下げるのは、復讐のカタルシスを得るために必要。ですがそのエピソードに尺をとりすぎて、どうしても中だるみを感じてしまいます。また、尺を取っている割に、エピソードに深みがありません。人間ドラマを淡々と描いてしまう北野監督の良さが、今回はマイナスに働いている感じがします。
それは他のキャラクターにも言えることです。また、個性をはっきりさせた割に、その個性の『良さ』が劇中で活かしきれていない気がするのも、もったいない。
服部は最後まで結局ただの用心棒としての役割に終始。そこに葛藤があるのかもしれませんが、惜しくもそれは描かれません。病床の妻とのエピソードは、半ば放置。服部は切られ、病床の妻は唐突に自害。二人への共感が劇中でもっと感じられるようになっていれば、服部と座頭市の対決の味わいは格別なものになっていたかもしれません。
新吉は終始ただのにぎやかしで、何かの役に立つことはありません。おうめもただの良い人どまり。
この作品では、『人の心境の変化』『イメージとのギャップ』などがほとんど描かれていないのです。そこにあるのは、ただ決められたストーリーをなぞるだけの、出来レース。もちろんフィクションは総じて出来レース。ですがそれを感じさせないのが映画でしょう。
それでもこの作品がそれなりに面白く感じるのは、座頭市アクションの爽快感。これに尽きます。
特に『効果音』の使い方は、個人的に大好き。アニメチックなくらいオーバーで、この『効果音』が座頭市の『強さ』を演出する最大の立役者となっている気がします。
よってアクションは良い。人間ドラマは今いち。期待していた程の映画ではなかったのが正直な感想です。[良:1票]