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<ネタバレ>なんと鮮やかな70年前の作品だろう。音が聞こえづらいのを除けば、古さを一切感じさせない。三味線小唄に合わせてカメラがすうっと横に流れる。屋内から屋外へと。会話も説明も無くとも、各場所での人々の動きと流れでドラマが説明される。私の不明もあるだろうけど、こんな演出他では見たことがない。オチを落とす“間”の、絶妙な速さと、各キャラの性格を余さず伝える粋な台詞。左膳がやくざ者に絡まれる場面の緊迫感といったら、のんびり笑って観ていたのでもの凄く驚く。子供に数を数えさせ、カウント・10で瞬殺のこの場面といい、道場破りの立ち回りといい、大河内の身体のキレには目を見張る。予想不可能な結末と、加えて最後までお藤の尻に敷かれる剣豪丹下左膳、チャンチャン、というラストシーンは作り手のキレッキレのセンスが炸裂で、もう眩しくて何にも見えないくらいだ。戦前の日本映画にこんなにオシャレでかっこいい作品が存在したなんて。胸が熱いし山中監督の悲運を思うと泣けてくる。[良:1票]