映画『日蓮と蒙古大襲来』の口コミ・レビュー

日蓮と蒙古大襲来

[ニチレントモウコダイシュウライ]
1958年上映時間:138分
平均点:6.17 / 10(Review 6人) (点数分布表示)
ドラマ時代劇特撮もの歴史もの伝記もの
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タイトル情報更新(2025-05-06)【イニシャルK】さん
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監督渡辺邦男
キャスト長谷川一夫(男優)日蓮
市川雷蔵(男優)北条時宗
勝新太郎(男優)四条金吾
淡島千景(女優)吉野
中村鴈治郎(二代目)(男優)道善(清澄寺住職)
志村喬(男優)弥三郎
千田是也(男優)重忠(日蓮の父)
東山千栄子(女優)梅菊(日蓮の母)
黒川弥太郎(男優)日昭
叶順子〔1936年生〕(女優)萩江
村瀬幸子(女優)尼御前
河津清三郎(男優)平左衛門尉頼綱
浦辺粂子(女優)弥三郎の女房
見明凡太朗(男優)四条兵衛
香川良介(男優)北条実政(九州探題)
田崎潤(男優)依智の三郎
永田靖(男優)極楽寺入道重時
左卜全(男優)老兵
島田竜三(男優)河野通有
羅門光三郎(男優)蒙古の使者
伊達三郎(男優)竹崎季長
松本克平(男優)宿谷入道則光
杉山昌三九(男優)少弐資能
林成年(男優)日朗
梅若正二(男優)比企小次郎
沢村宗之助(男優)東条景信
石黒達也(男優)比企大学
千葉敏郎(男優)平景信
荒木忍(男優)良寛
舟木洋一(男優)浄観(道善の弟子)
浜世津子(女優)白拍子
花布辰男(男優)八郎左衛門
原聖四郎(男優)浄顕
上田寛(男優)道慧(通訳)
若杉曜子(女優)長屋の女
石原須磨男(男優)村人
天野一郎(男優)町人
大美輝子(女優)新潟の女
脚本八尋不二
渡辺邦男
音楽山田栄一
撮影渡辺孝
製作永田雅一
企画辻久一
税田武生
配給大映
特撮黒田義之(特殊技術 助監督)
築地米三郎(特殊技術 撮影)
今井ひろし(特殊技術 撮影)
中岡源権(特殊技術 照明)
美術上里義三
編集宮田味津三
照明伊藤貞一
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💬口コミ一覧

6.ネタバレ 題名の人物の生涯のうち、安房での立教開宗から元寇までを扱っている。冒頭説明には「歴史の事実から飛躍して自由に創作した」とあったが、実際はよく知られたエピソードを抜粋した感じになっていて、この人物の伝記としてはそれほど荒唐無稽でもないと思われる。主に元寇の部分で、主人公がわざわざ博多まで出向いていったこと、及び神風を吹かせたのが主人公だったことが飛躍+自由な創作ということかも知れない。
なお仏教映画なら白黒でもいいだろうと思うがカラー映画で、鎌倉武士の衣服や敵味方入り乱れる合戦場面がカラフルに見えた。鎌倉幕府の宏壮な御所も目を引いた。

主人公は個人的に馴染みがない人物だが、最初からやたら自信満々なのは引いてしまうものがある。親にも似ていない。
法華経の教えの何が人々を引き付けたのかこの映画ではわからなかったが、奇跡や予言でこの人物は本物だと思われたということはあるらしい。信者の病気が治るなど現世利益も期待されていたようだが、一方で主人公に仇なす人物が次々死んでいくのはやりすぎかと思った(これが常識なのか)。やたら災難が降りかかるのは、世俗的にいえば主に本人の言動のためだろうが、迫害されること自体が「法華経の行者」であることの証明というのはなかなかうまい説明だと思った。
歴史的な面では北条得宗家の専制体制が固まるとともに、得宗家の御内人が権勢を誇る様子が描写されている。また元寇では、元・高麗連合軍(むくりこくり)の非道の描写は控え目で、人の手に穴を開ける場面もなかったが、戦いになればちゃんと「てつはう」が爆発し、敵船団壊滅の場面もなかなかの大迫力だった。有名な竹崎季長がどこに出ていたかわからなかったが、戦にかける鎌倉武士の心意気は少し見えていた。
宗教関係の映画として見た場合、無関係者の立場としては共感できたともいえないが、要は冒頭の言葉に出ていた「熱烈な愛国の先覚者」による国防映画だったとすればわからなくはない。個人的には「日本海大海戦」(1969)を思い出したが、製作時期や名前の感じからすると(見たことはないが)「明治天皇と日露大戦争」(1957)のようなものかと思った。

以下は感動した台詞:
・比企大学(若侍の父)「他宗の一切を罵倒し、一天四海みな妙法に帰すべしとまで極言すれば、政事を司るわれらとしては、軽々にこれに賛同するわけにはいかん」…現代の一般論として、特定の主義主張により他者を罵倒し従えと迫るのでは社会の分断を生む恐れがあり、民主主義国の主権者としても賛同できない。
・主人公「この大難に当たるには、およそ日本人(にっぽんじん)たるもの、一人残らず心を一にして、国を守らねばならん」…戦後でも、まだこんな台詞をあからさまに言える雰囲気があったらしいのが感動的だった。安全保障ではみなが一致できないと困る。
かっぱ堰さん [インターネット(邦画)] 6点(2025-06-14 21:31:53)《新規》
5.歴史、宗教、スペクタクル、とくると、大作映画の王道3点セット、という感じがいたしますが、それにしても1958年製作のこの映画。例えばウィリアム・ワイラー版の『ベン・ハー』が翌59年の映画であることを思うと、なかなか攻めてるなあ、と。
いかにも、海外映画がイエス・キリストだったら、日本映画は日蓮で勝負、といった感じで、弾圧に屈することなく法華経の教えを説く日蓮上人の姿が描かれます。大地震のシーンでは地割れが起こり家屋が倒壊し、日本映画だって負けてませんよ、という意気込みが伝わってきます。
タイトルにあるように、目玉は蒙古大襲来、と言いたいところですが、待てど暮らせど元は襲来してこない。映画がかなり終わりに近づいたところでようやく元寇となるも、時間の関係で、文永の役と弘安の役がまとめられた感じ。戦いの流れなどはあまり描かれず、もっと日本側の苦戦を描きこんだ方が盛り上がるんじゃないの、と個人的には思っちゃいますが(防塁などもすでに築かれている模様)、到来する大船団、巻き起こる混乱、大規模な合戦シーンを矢継ぎ早に叩き込み、そして暴風雨のクライマックスへ。ミニチュアを駆使した迫力の映像が、圧巻です。
なお実際は、文永の役の頃は台風の到来シーズンには当たっておらず、弘安の役の時は台風が到来したのであろうけれど、壊滅的な被害という訳でもなさそう(その後も戦闘は続いた)ですが・・・。
それはともかく本当は、前半をもっと削っていいから(宗教者の親子の情を描くというのも、ちょっとどうかと思うけど、日本的と言えば日本的か)、元寇をたっぷり描いて欲しかった、とは言え、こんなスペクタクル映画向きの題材がその後もあまり描かれてこなかったことを思うと、貴重、であり、感謝。
あ、元寇以外がつまらないと言ってるんじゃないですよ。そこまでの約2時間も、日蓮の苦難また苦難の連続で、物語を引っ張っていきます。だんだん、なんでこの人こんなにイヤがられてるんだろう、と思えてくるのですが、空気読めない感たっぷりの表情で日蓮を熱演する長谷川一夫。空気が読めないんじゃないです、信念なんです。
時宗を演じるは、市川雷蔵。何となく、ピッタリな気がします。この空気読めない感(笑)。
いざ元寇となると、日蓮の存在感が薄くなり、そのまま唐突に映画が終わってしまう印象で、企画的にはやっぱり多少、無理があったような気もしますが、日本映画のパワーを感じ取ることのできる作品、だと思います。
鱗歌さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-09-17 11:22:03)
4.ネタバレ 元軍が暴風雨のために壊滅してくシーンはおそらく日本の特撮史において特筆すべき圧巻です。実写と特撮を短いカットでつないでいくことで極めて迫力あるシーンとなっています。そのつなぎは決して不自然ではなく、例えば実写にて船上で水と火に翻弄される元軍兵士を映し、次に特撮で船から多数の兵士が海に投げ出されている等、壊滅のプロセスを丁寧に描いています。確かに、前半は日蓮のエピソードがうざいほど語られて、ややストーリー的にも平板な感は否定できません。しかし、あくまでも特撮映画としてみるとき、ここで試されたスキルやテクニックがやがて「大魔神」につながっていくことを考えれば、東宝や東映とは異なる独自の立場を確立しているということは言えると思います。(この作品を民族的な視点で評したり、神風を扱っているから荒唐無稽としたり、あるいは特定の宗教的立場で論じたりしたとしても、本作の魅力を語ることにはならないと思います)。
pascal649さん [DVD(邦画)] 6点(2015-09-05 17:09:00)
3.ネタバレ おそらく日本映画初の"スペクタクル巨編"で、以後の「釈迦」「日本誕生」等の先駆をなす。その歴史的意義は大きい。名優勢揃い、特撮、群集場面等、随所に映画の醍醐味がちりばめられていて観ていて小気味よい。特に滝の口の法難と蒙古襲来場面の特撮は美的感覚にすぐれ、何度も観たいと思わせるものがある。とはいえ内容は個性の強い日蓮の生涯を描いたもので、誰でも楽しめる"名作”とはなっていない。
修行の末、悟りを得た日蓮は「我、今日より日本の柱とならん!日本の眼目とならん」と叫ぶ。そして貧乏人や病人の世話をしたり、辻説法を行うなどの布教活動を行っていく。そこまではよいが、その思想や実現方法が過激だ。先ず現在行われている仏法はすべて邪法で、法華経以外に真の平和は得られないと強弁し、一切の念仏寺と禅寺の排除を主張する。幕府に対しても政綱の反省を促し、北条一門の同士討ちと他国の侵略を予言し、やがて日本国は亡びると威迫する。ついでに自らの法難も予見してみせる。その主義主張の正当性は、ただ経典に書いてあるの一点に尽きる。どうして彼が法華経こそが釈尊の正統な教えと信じるようになったのかが描かれていないので、法華経に疎い人には戯言にしか聞こえないだろう。このような過激な教えを唱え、強引に布教するならば、狂僧といわれ、通常なら殺されていただろう。しかし奇跡的に生きのび、ある程度彼の予言通りに時代が推移するのだから歴史は面白い。日本の歴史を見渡しても彼のような人物はそうはいない。それが彼の魅力となっている。力強いものに民衆は惹かれるのだ。
本作での日蓮の奇跡は次の三つ。竜の口の処刑時の雷。日蓮に帰依する者の病は快癒し、敵対する者は死ぬ。日蓮は戦場で調伏祈祷をして大暴風雨を起こし、海上の蒙古軍を滅ぼした。事実としては、蒙古襲来時日蓮は身延山にいて調伏祈祷はしていない。
脚本に強引なところはなく、よく練られている。日蓮を面罵し何度も殺そうとした人物が、最後は日蓮に帰依するなど人物を丁寧に描いているので好感がもてる。革命を志した奇跡の聖者か、悪運が強いだけの坊主か、観る人によって意見は分れるだろうが、この作品が映画の底力を魅せてくれることに変わりなないだろう。米国の「十戒」にひけはとらない。一度は観ておきたい作品だ。
よしのぶさん [地上波(邦画)] 8点(2014-06-07 01:24:02)
2.突然自らの宗派の創始を思い立った日蓮が、数々の迫害を受けながらも鉄の信念で日蓮宗を広めていくという話。宗教家と言うよりは聞き分けの無い武道家といった風情の長谷川一夫演ずる日蓮が、気張って説法を説くだけの中盤までは結構退屈ですけど、大映が社運を賭けたという蒙古襲来シーンの、水平線を埋め尽くす蒙古の艦船と上陸した軍勢は「トロイ」に勝るとも劣らないスペクタクル(これは言い過ぎか…)。現在では当たり前のお題目「南無妙法蓮華経」が、邪教の呪文の様に扱われるのも新鮮でした。欧米では聖書ものや聖人ものが比較的ポピュラーなジャンルとなってますが、名目上仏教国である我が国では宗教絡みの映画は珍しい。偶にはこんな珍品に触れてみるのも良いかもしれませんヨ、5点献上。
sayzinさん 5点(2005-02-26 00:05:48)
👍 1
1.ネタバレ 日蓮宗に帰依なさっている方にはさぞかし有り難くも素晴らしい「開祖・日蓮上人マンセー」な内容なのでしょうが、生憎と私は帰依してないもので余りの荒唐無稽さにハッキリ言って笑っちゃいました。ま、戦前・戦中の日本なら「神風伝説」と教え習わせていただけに納得!の展開なのでしょうけど。今となっては「神風」でもなければ、本作みたいに日蓮上人が法華経の御利益で吹かせた訳でも何でもなく、たまたま台風シーズン真っ只中に蒙古が船団で来襲して被害に(ご丁寧に二回も)逢ったのが真相てのは歴史上のイパーン常識っすからw。戦前に公開してれば絶賛の嵐になってたかもナンチャッテ(駄洒落かよ)。
へちょちょさん 5点(2005-01-28 01:57:40)
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【点数情報】

Review人数 6人
平均点数 6.17点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5233.33%
6233.33%
7116.67%
8116.67%
900.00%
1000.00%

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