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<ネタバレ>製作年を見ると、同じくイラク戦争が舞台の『ハートロッカー』よりも先にできたようだ。
米海兵隊がイラク民間人を大量に殺戮した「ハディサの虐殺」事件が題材。
ドキュメンタリータッチで、イラク戦争の一部が生々しく描かれている。
イギリス製作なのでハリウッドのような一方的なアメリカ万歳には終わっていない。
米軍、イラクのテロリスト、イラクの一般市民という三つの視点から、それぞれの立場、状況、葛藤がうかがえる。
仲間を殺された憎悪と、自分もいつ誰にやられるかわからない恐怖で、攻撃性が異様に増している。
その異常な心理状態から、女や子供までも虐殺してしまった。
それを肯定するつもりはサラサラないが、戦時下ではいつでも起こりえることなのだろう。
これも氷山の一角か。
ごく普通の人間が殺戮に走ることにため息が出る。
そこに明確な犯罪意識はなく、あるのは一眼的な正義とやらねばならないという義務感なので、救いが見えてこない。
映画ではハディサ事件の裁判の行方は描かれていないが、実際には殺人罪では裁かれずに軽い処分で済んでいる。
それを知ったイラク市民は、また憎悪を深めたことだろう。