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<ネタバレ>実際に行なわれた心理学の実験を元にしているだけに、人間の心理がよくわかる。
映画では実験結果が誇張脚色されているが、戦争、権力者による弾圧、虐待、イジメなども原理は同じだろう。
ごく普通の人間が置かれた状況次第で簡単に狂気に走る。
しかも狂気だということを自覚していないので始末が悪い。
性悪説をとりたくなるような人間の負の部分が強調されるので、後味はきわめて悪い。
ワキガやアレルギーなど一番デリケートな部分に触れることで対立する立場の相手にダメージを与える。
屈辱を受けたほうは更なる屈辱を与えて報復することで、どんどんエスカレートしていく様子がリアル。
客観的にみれば虐待でも、当人は秩序の維持などを理由に自己正当化するので罪の意識は起きず抑制がきかない。
集団心理も自浄機能をマヒさせている。
例え良心の呵責に目覚めて異を唱えるものが出てきても、それは裏切り行為として糾弾されてしまう。
コントロール下に収めていると信じていた教授たちでさえ暴走は止められず、思い上がりに過ぎないことが露見した。
主人公の新聞記者が記事のためにあえて緊張状態を作り出したことも騒ぎの沈静化を妨げた。
こうしたメカニズムは、確かに貴重な研究材料となりうるのだろう。
心理学に興味があるなら、見て損はない。[良:2票]