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ノルシュテインの映画は初めて見たが、その独特の世界が新鮮だった。
まず、画のすばらしさに引き込まれる。
どうやって作っているのか気になり、ノルシュテインのドキュメンタリー映像を見てみた。
CGを使わず、ものすごい労力をかけて作っていることに驚く。
わずか十秒ほどの街角のワンシーンに、数ヶ月かかることもあるとか。
ディテールに徹底的にこだわり、妥協を一切許さない姿勢がすばらしい。
手書きの切り紙を使った独特の技法で紡ぎだす世界は詩情にあふれ、まさに映像の詩人と呼ぶにふさわしい。
セリフがほとんどないシュールな作品だったが、わからなくても人の感性に直接訴えかけてくる。
沈む夕陽を眺めていると、センチメンタルでノスタルジックな感覚を呼び起こされるが、それに通じるものがある。
名画や名詩と同じように、そこに普遍的な何かがあるから心が揺り動かされるのだろう。
ストーリーがシュールなものは元来苦手なので評価はしづらいが、最もアート性の高い映画といえるかも。