<ネタバレ>これは現代の「西部劇」とも言える。
西部劇が馬なら現代 .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>これは現代の「西部劇」とも言える。
西部劇が馬なら現代は鉄の馬同士の一騎打ち!
物語はどこまでも単純、どこまでもシンプル。
アメリカのだだっ広いハイウェイに車が一台。
そこに突然現れた巨大なトラック。
ノロノロで追い越させ、追い越させたと思ったら猛スピードで突進して来る。
借金の取立てが命の取立てになってしまった。
ブザーを鳴らす愉快犯かと思いきや、故障したバスを押してやったりと実は優しいのか?
いや、やっぱり主人公の車を付け狙う愉快犯か。
カフェの外で不気味にたたずむあのトラック。
主人公の心も恐怖と怒りでピークだ。
ともかくトラックの運転手は正体不明のまま。声も顔も出ない、不気味な二の腕だけが主人公を挑発する。
フロントバンパーに貼られた無数のナンバーは何を語ろうとしているのか。
トラック野郎にあるのは狂気だけなのか。
正体が解らないという恐怖。
スピードが出すぎ車が止まらないとう恐怖。
日常に溢れた恐怖を最高潮に引き立てるスピルバーグの妙技。
後の「ジョーズ」はかなりヒロイックな展開がされたが、この「激突!」はひたすら追いかけっこ。
だがそんな主人公も我慢の限界。
上等だテメエ!“決闘”だよバカヤロウ!
壮絶な二台の追走劇。
「車のエンジンが中々かからない」の始祖だが、これは衝突でエンジン部分がひしゃげたからこそ起こるだろうという現象であり、普通の車がそんな欠陥品なら会社なんか潰れてる。後の奴らは何か勘違いしてんだよな。
ラストのトラックと向き合い、車で迎え撃とうという様子はバスター・キートンの「セブン・チャンス」を思い出す。
迫る岩の大群、逃げるのをやめて「あえて」正面から避ける事にしたキートンの勇気と発想。
もしスピルバーグがこのキートンの傑作を見ていたとしたら、俺はもっと尊敬するぜ。
少くともカフェでのやり取りは黒澤明の「野良犬」が元らしい。
つうか主人公は何回車上で振り返るんだよ。
主人公がいつ余所見で事故るかそっちの方がよっぽどハラハラするわ。
バックミラー涙目。
教習所涙目。
ラストの夕陽のシーンがキレイだった・・・。[良:2票]