<ネタバレ>ファーストシーン、ガンファイト、人間ドラマ。全部揃っているの .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>ファーストシーン、ガンファイト、人間ドラマ。全部揃っているのに西部劇らしくない西部劇。だが実に映画らしい映画だ。ジョージ・ロイ・ヒルは「スティング」も面白かったけど、俺はコッチの方が好きだ(女の子もこの映画の方が可愛くて魅力的だ)。
冒頭からエドウィン・S・ポーターの「大列車強盗」を彷彿とさせる列車の襲撃→駆けつけた騎馬隊から逃げ去るスタートダッシュ。
酒場でのポーカーから振り向き様のガンファイア、見ず知らずの美女を強姦するゲス野郎なのかと思いきや、実は馴染みの女性に対するちょっとした挨拶(イタズラ)だったという。「やーね脅かさないでよ」と笑って済ませてくれる仲の良さ。ちょっとした三角関係も“さわり”で終わるぐらい絆が深いともいえる。
仲良く逃避行、断崖ダイブ、強盗、銃を持った者が避けられぬ殺し合いの連鎖。
犯罪に生き急いでしまった者たちの束の間の安らぎ、叶わぬ願い、結局は元の殺し合いの世界に戻ってしまう虚しさ・・・それを独特の静寂が包み込む。その何とも言えない雰囲気を好きになってしまった。
サイレント映画の「アクション」で魅せる事にこだわった造り込みと呼吸、音のない静けさの中からいかに“音が聞こえてくる”ような映像を撮るか。
まるで古いアルバムをめくるような・・・。そういう心意気に溢れた映画だ。アメリカン・ニューシネマ特有のアクの強さは余り無いけども、抜き撃ちや幻想的とも言える映像は見応えがある。
機関砲といった武器ではなく、自転車で時代の波に追われるガンマンたちを表現するのが良い。
殺伐した世界の中で、一瞬の平和なひと時に流れる「雨にぬれても」は印象的。
サム・ペキンパーが“動”のワイルドバンチなら、この映画は“静”のワイルドバンチ。
ラストの「奴らは死んだのか生き残ったのか!?」というテンションが上がったまま終わるクライマックスも最高。[良:2票]