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<ネタバレ>ハリウッドと対等に張り合える大スケールの現代活劇はこの作品だけだ。ただ原爆を作りたかった教師の虚無感が、物質に溢れかえった仮初めの平和に投げかける。自分の存在意義は何なのか。ナイター中継を最後まで見たい薄っぺらさか。常軌を逸した刑事と対峙することで生きる実感を浴びたかった男の悲しさがエネルギッシュに突き刺さる(同時に死ぬのが恐いヘタレというのもリアル)。現在の承認欲求をめぐる事件に通じるものがあり、実際に大量の始末書を書かされた撮影手法(ゲリラ撮影)のそれとリンクする。菅原文太の不死身っぷりには笑ってしまうが、長谷川監督も相当エキセントリックだ。この作品をきっかけに監督は干されてしまったようだが、傑作を一つでも残せただけ羨望の的だろう。存在意義や生きる理由など問わない方がかえって幸せになれるかもしれない。悲惨で辛い現実を目を背けずに日々闘っている人間からすれば普通に生きられること自体がありがたいのだから。「日本は甘ったれているのだ」と。[良:1票]