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<ネタバレ>19年もの間、歴代興行収入トップを守ってきた作品としてしか見なかった。
子供の時に見るのと、大人になって見るのとではかなり印象が変わる映画で、
突然"社会"に放り投げ出された千尋が通過儀礼を通して、はじめて"生きること"と向き合うようになる。
名前という個を奪われて、社会の歯車になる。
お金がないと何もできない、理不尽な現実と如何に折り合いをつけていくか。
だから大団円にはならない。
もっとも宮崎駿特有の隠喩やバックストーリーが張り巡らされていて、
水流=初潮、油屋=ソープランドとかなりアングラだったり、
千尋の母が冷淡なのは、ハク=千尋の兄が死んだからという考察もあるくらいだ。
侘しさを感じさせるエンドロールを前に、千尋はここで過ごした記憶は風化されるかもしれないが、
その体験を糧に人生と闘っていくのだろう。
生まれてしまった以上、配られたカードで勝負していくしかない。