<ネタバレ>世間知らずのお嬢様は、悪気もなくひどいことをし、世間知らずの .. >(続きを読む)
<ネタバレ>世間知らずのお嬢様は、悪気もなくひどいことをし、世間知らずの荒くれ者は、それを真に受けてひどい目に遭う。
観ていて切なかったのは、サブが必死に生きていること。
耳の悪い母を支え、知的障害のある弟の面倒を見る。
そんなサブが、お嬢さんから快気祝いに来てねと言われて、少しぐらい舞い上がったっていいじゃないか。
でも、そんな無神経な善意を社会は許してはくれない。
それでも、タンクで暴れ回りながら最後まで砲撃しなかったのは、弾が無かったからではなく、サブの優しさだと信じたい。
そして岩下志麻。
この映画の志麻様は、あまり良くない役回りだけど、彼女が兵六の気持ちを代弁してくれたことで、彼の死もサブの生き方も見事なまでの抒情詩に昇華している。
こんなちっぽけな畑や村に縛られないで、あの鳥のように大きな空に飛び立ちたい。
サブにも兵六にも、そんな思いがあったんじゃないだろうか。
そして映画を観ながら、国木田独歩の「春の鳥」を思い出した。
原作者か山田監督は、きっとこの小説を読んで心を動かされたに違いない。
悲しくて美しい、いい映画だった。