5.タイトル通り、墜落した飛行機から回収されたブラックボックスを専門家が音声分析するお話。音の分析、という映像的には「動き」の無いものを描くので、映画としてはそういう「静」の部分と、「動」の部分との対比が見せ場になってきます。まずは冒頭、墜落事故を起こす前の機内の通路をカメラが移動していくあたり、「動」を感じさせ、それと同時に、後々、音声から分析されていく機内の断片的な様子の、ある意味、俯瞰図ともなっています。 この場面以外でも、主人公の移動に伴いカメラを積極的に動かすなど、映像に動きを与える一方で、音声分析では「音への一点集中」的な演出がなされ、この辺りの対比が、なかなか巧み。 音声分析となると、その分析官の表情がまた、一つの見せ場で、主人公を演じているピエール・ニネのいかにも秀才クンといった整った顔立ちが、このシーンを支えています。その奥さんってのがまた、美人かどうかはともかくやたらチャーミングに描かれていて、そのラブラブなシーン、必要なのかよ、と思ってたら、これが必要なんですね。あくまで仕事として始めたはずの「音声分析」が、やがて主人公の私生活にも大きな波乱を巻き起こすことになっていきます。サスペンスとしての魅力も充分。 ミステリとして見ても、社会派風の体裁でいながら、本格風のトリッキーな部分も織り交ぜて、楽しい仕上がり。何ていうんですかね、ちょうど、リアリティが「ある」か「無い」かのギリギリを攻めた挙句、結局は「無い」側に転がっちゃう楽しさ、というか。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 7点(2025-05-31 07:00:41) ★《新規》★
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4.ネタバレ よく練られていて上質な火曜サスペンス劇場といった趣き。 観る側が主人公マチューの目線に共感できるように脚本が上手く誘導してくれます。彼が被る「組織の中における個人の理不尽」は大方の社会人が身に沁みて感じているでしょうし、またこの人ちょっとクセが強めで世渡り上手くないんですよね。嫁さんと違って。 なのでわたしとしてもおのずと‶マチュー頑張れ目線”となり、彼と一緒になって疑問を抱いたり、人間関係をこじらせて絶望したりで、「うわーこれどうしよう」の2時間は大変サスペンスフルでありました。 観終わってつくづく思ったことはクルマは一昔前のマニュアル車が安全なんじゃないのかなやっぱり。ということでした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-12-09 23:35:26)
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3.ブラックボックス、という響きだけで映画が一本できそうだが、そこに愛憎劇やサスペンスも含めた非常に見応えのある一本。 我々の見ているものが真実なのか否か、疑心暗鬼に陥りながら辿り着くラストは、まあ予想の範囲内ではあるのだけど、それでも面白かった。 こういうプロフェッショナルな技術を見せつけられる映画、嫌いじゃないなあ。
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2.ネタバレ 300名以上の死者を出した墜落事故。原因に辿り着こうとする音声分析官の執念が描かれています。二転三転する展開は見応えありましたが結末が「う~ん」微妙。ブラックボックスが改ざん出来るのは無理筋かと・・・(そこは目を瞑るべきか・・・) 美味しいところを持って行ったノエミではありますがいけ好かない女でした。仕事が無くなったと喚く姿に、次を探せよ! 命は無くなったら終わりなんや!・・・・以下自粛 金勘定>人命 が招く悲劇を見せられた良作です。
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1.ネタバレ 舞台はフランス・航空事故調査局で、ソコの音声分析官である主人公がブラックボックスを分析して事件の真相に迫る…という中々モノ珍しいサスペンスでした。全体的に結構つくり込みが効いている作品で、率直にサスペンスとしてもスリラーとしても比較的上出来な方かな~と思いますね。重ねて、題材のユニークさも含めて十分に楽しく観終われました。主人公は職人気質、とゆーか多分にオタク気質な(ちょっと付き合いにくそーな)青年で、その面の演技もワリとハマってたかな~とも思いますね(見た目も本作ではナード風なのですが、たぶん実際は相当なイケメンかと)。
※以下、ネタバレ注意
しかし、サスペンスとしてはツッコミどころも無くはないな…とゆーか、やや腑に落ちない箇所が解決されないママ終わってった感もあるな…とゆーか。まず、ポロックは結局殺されたのですか?(それとも何らか自殺的なコトだったんすか?)もし、あんな映像を残すレベルで身に危険が迫ってる(のを悟ってる)なら、最初から自分で真相を暴露すれば or もっと見つけ易い場所にデータを隠せば好かったと思うのは私だけでしょーか。もう一点、今作はまた相当にミスリードだらけなサスペンスで(+だからちょっと無駄に尺が長くなってる)当初の見込みでは原因はMHDそのものの不具合(+テストもインチキで済ませてた)てコトだと思うのですが、真相はそーじゃなくてセキュリティの不具合に依る一種の「偶発的事象」だった…というコトなのですよね?でもソレって、流石にブラックボックスを多少は調べてみないと見当が付かないんじゃねーかと思うのですよね(⇒企ては、ポロックがブラックボックスを開いてある程度解析した時点で始まった、と)。ならば、コトがソコまで至った段階では、ポロックひとりを抱き込むダケじゃあ幾ら何でも証拠の完璧な改竄は難しい…と個人的には思ったりします(こーいう場合の「電子的証拠」って、結構厳密に「連鎖的に」管理されるモノだと思うので)。その辺のモヤモヤ感も踏まえて、いったんこの評価としておきます。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-04-04 23:56:29)
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