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<ネタバレ>10~20代の時に見たら、多分この映画の本質の半分も理解できなかったかなと思う。いや、30代もあやしい……。
映画館からの帰り道からずっと、あの人の人生を考えずにはいられなかった。
短気であまり頭の良くない、挫折を繰り返す男。でも優しいし一本気で、子供のような男。
あの人はきっと、あのままじゃ長生き出来ない人だったと思う。
あの時。弱いものを嬲っていた男たちを、心の思うがままに暴行して痛めつけていたら、彼の体はストレスをためることなく、いまだ生きていたかもしれない。でも、支援してくれた人々をまた悲しませ、落胆させ、失望させていた。
だから死に物狂いでその衝動に耐えた。結局、彼の体はそれに耐えられなかったけれど。
綺麗できっぷの良いイカす元妻から、娘と一緒に会おう、楽しみ! なんて言われて。
きっと神様は最後に御褒美をくれたんだと思う。
最後に、花の香りを嗅ぎながら、彼は思ったんじゃないかなぁ。
・優しい坊主、守れなくて悪かった、我慢せずやっちまいたかった
・でも、やっちまってたら、スカっとしたけど、あの人達を失望させた
・だから、これで良かったんだ、これで良かったんだ
すばらしき人生って言っていいのだと思う。
運のない人だったけれど、死んでから泣いてくれる人がいるだなんて、うらやましい。
個人的には、六角精児が演じたスーパーの人には一番頭が下がる。あの人は凄い。本当に凄い。
人生は人との繋がり、なんだなぁと、自己を顧みてつくづく反省した。
多分一生頭の片隅にこびりつく映画。[良:3票]