みんなのコミックレビュー Menu
no oneさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 127
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

表示切替メニュー
タイトル別 巻別
レビュー関連 レビュー表示レビュー表示
レビュー表示(評価分)レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示-
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示-
作者・関係者名言表示-
あらすじ・プロフィール表示-
統計関連 年代別レビュー統計-
好みチェック 作品新規登録 / 変更 要望表示-
人物新規登録 / 変更 要望表示-
(登録済)作品新規登録表示-
(登録済)人物新規登録表示-
評価順1
>> 通常表示
1.  寄生獣 《ネタバレ》 
視覚的なインパクトだけでも充分すごいのに、高い娯楽性もテーマの奥深さも持ち合わせている、という奇跡的な作品。  普通はアイディアからして単なるスプラッターホラーとなるわけで(それも悪くないけど)、ここまで普遍性のある物語を紡ぎだせるというのは驚くほかない。設定も構成も徹底的に考え抜かれた上で構築され、読み応えのある骨太の作品となっている。  個人的に印象深いのはクライマックス近くのパラサイト掃討作戦の、合理的かつ現実的な戦闘場面。クリーチャーを題材にした物語は数あれど、ここまで生々しく、リアリティを追求した例は珍しいと思う。
8点(2007-10-28 01:08:41)(良:2票)
2.  おおきく振りかぶって
以前友達とこの本の話題になったときに感想が一致したのが、「おれたちは野球も興味ないし、野球漫画なんか嫌いだったのに、どうしてこんなに面白いんだろう?」という疑問だった。  考えるに、まず第一にキャラクターがある。神経質過ぎるほど神経質で、女の子のように弱々しいピッチャーが主役、というのがまずびっくりだった。こんなにケンカ弱そうなスポーツマンはなかなかいない。キャッチャーの阿部君も、エースの田島君も、みんな親しみがもてるというか、過剰な体育会系の臭いがしない、友達になれそうなやつばっかり。超人もいなければ不良もいない、等身大の人間味あふれる連中が揃っている。ひぐちさんは昔シリアスなドラマ作品を描いていただけあって、人間を描くのが非常に上手い。  さらに、試合運びの上手さもある。根性論抜きに、シビアな戦略を元に展開する熾烈な駆け引き。不思議なことに、これが野球を知らなくても普通に楽しめる。これを読んで初めて野球には頭のよさが必要だというのがよくわかった。  とまあ、いろいろ書いたけど、このマンガの面白さをうまく説明するのは難しいのです。ひとつ確かなのは、野球に馴染みがないからといってこの作品を敬遠するのは大損だということ。野球嫌いにこそ手にとってほしい。初心者には野球用語がさっぱりわかんないけど、コミックスには親切な注までついているので安心です。おすすめ。
9点(2007-10-30 02:42:04)(良:1票)
3.  ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン
ほぼ全編に渡って刑務所が舞台、という少年誌としては非常に意欲的な試みの第六部。初めて女性の主役を据えたのだが、第一話で「ちっきしょ~看守に○○見られちまったよ……」といきなりド下品発言から開始。この女は普通のマンガの美少女とは違いますよ、「萌え」どころか男も踏んづけるようなやつなんですよ、という作者の宣言のように思えた。  刑務所だけに、キャラクターも猟奇的な殺人者からカルト集団の教祖まで、癖のありすぎる連中ばかり登場する(それはいつもか……)。また舞台はかなり限られているのだが、荒木飛呂彦の想像力はいつも以上に自由だ。無重力空間での攻防があったと思えば「透明なゾンビ」という異様な敵に襲われ、さらには空から降ってくる毒ガエルの雨、植物化、カタツムリ化する人間達……奇想天外なイメージの奔流に感動すら覚えた。  ところがクライマックスが近づくに連れて荒(?)が目立ち初め、しかもまったく想像外の結末を迎える。面白いのは確かだが、シリーズ中最大の異色作といってもいいだろう。こんなにマッチョな女性ばかり登場するコミックもめずらしい。
7点(2007-11-01 02:12:56)(良:1票)
4.  神戸在住
スクリーントーンを使わずに多様な斜線を利用するなど、かなり個性的な手法にのっとった絵柄で、淡くやわらかく、温かみのある雰囲気を持っている。かと思うと阪神大震災を題材とした回では、淡々としているだけに確実に心に食い込んでくるので油断ならない(読後しばらく地震恐怖症になってしまった)。大仰さのない徹底的にリアルな、エッセイ風のフィクション。スローペースな語り口の本が大好きなんだけど、これはその系統の最上の部類に入る。心の機微や人間関係をじっくりと追っていく過程がとても味わい深く、疲れ切ったときなんかに読み返したいと思う。余談だけど、主人公の桂さんは本の趣味がとてもよいですね。
9点(2007-11-01 22:15:41)(良:1票)
5.  刑務所の中
映画版は刑務所生活をそのまま映しただけと批判されていたけど、これは花輪和一の偏執的な漫画で描かれるから面白いのであって、普通に実写映画にしたら退屈になって当然だ。この人の画は綿密で上手いんだけれど、なんてことのない無機物にまでどことなく生命感が通っていて、ちょっと気持ち悪くて、面白い。基本的にリアルな画風なのに、ところどころそのリアルな画風のまま比喩的な表現が入る。刑務所の現実をそのまま描いているんじゃなくて、花輪和一といういわば主観の変電機を通して組み替えられた、もう一つの世界を読んでいるからこそ楽しいのだ。  見沢知廉の『囚人狂時代』というやはり獄中生活を元にした面白い手記があるが、あちらの場合は刑務所内のとくに面白いエピソードがふんだんに盛り込まれているのに対して、こちらは丹念に刑務所の日常生活を拾い上げていく。衣食住に関しては案外快適そうだが、トイレに行くにも手を上げて番号を叫ばなければならない煩わしさや、大の大人が甘いものを渇望してあえぐ描写を見るにつけ、やっぱり絶対こんなとこには入りたくないなあと思わされる。画風に拒絶反応さえ起きなければ、なかなかに興味深い読み物だ。
7点(2008-01-12 03:20:19)(良:1票)
6.  漂流教室 《ネタバレ》 
人、死にすぎ。まだあどけない小学生の死体が累々と積み重なっていくさまに、開いた口が塞がらない。殺人鬼と化す大人たち、砂漠から現れる異形の怪物、狂ったコンピュータに支配される遊園地、鉄砲水から黒死病まで、ありとあらゆる災難が子ども達に襲いかかる。まあ人がたくさん死ぬ話ならそう珍しくはないのだけれど、年端も行かない子どもばかりがこんなにも大勢、容赦なく殺される作品は後にも先にもない。かつてはホラーの分野でも幼い子どもの死を描くのはタブーとされた時代があったはずだし、そうでなくとも無意識のうちにブレーキをかけるのが普通の感覚だと思うんだけど、そこが天才楳図かずおのすごいところであり、怖いところでもある。そういう意味では連載当時は残酷描写が騒がれたそうだけど、連載されているのがたとえ現代だったとしても衝撃的なのには変わりなかっただろうと思う。  たとえば鉄砲水が校舎を襲うエピソードで、戸を押さえていた女の子の手首が激しい水流のためにあっさり千切れてしまう場面がある。これを普通に描けてしまうのは、語弊があるのを承知ではっきりいえば、頭がおかしい。登場人物に対して容赦のない作家は大勢いるけれど、楳図かずおの場合、それがあまりにも普通だ。上手い言い方が見つからないが、これが平凡な作家ならどこかしら「ほうらすごいだろ、こんなに残酷だぞ」という気負った感じがするものだが、対する楳図氏は至極冷静に、平然とやってのけてしまう感じがする。  野暮な突込みをさせてもらうと、現実の小学生がこうした状況に置かれたとしてもけっしてこのマンガのようには行動しないだろうとは思う。またクライマックスでIQ230の天才少年が「学校がタイムスリップしたのは、ダイナマイトのために光の速さで校舎が揺さぶられたからだ!」と説明したのには腰の骨がこんにゃくになった。しかし楳図氏の天才思考回路に異を唱えても無益というもの。おそらくは作者当時のアイディアのありったけを注ぎ込んだに違いない、常軌を逸した世界。読んでよかったと思う。こういうぶっ飛んだ漫画も、一度体験しておいて損はない(害はありそうだけど…)。
6点(2007-11-25 01:16:51)(良:1票)
7.  リバーズ・エッジ
たぶん人生でいちばん好きなコミック。描かれたのは十年以上前だけれど、これほど現代に特有の空虚さ、乾いた絶望感を的確に捉えた作品は他にないんじゃないだろうか。生きているということにリアリティがない感じというか、日常におけるあっけらかんとした絶望を巧みに描き出している。登場する少女、少年達には拠り所にできるようなものがまったくなくて、ただ痛みだけが確かなものであるかのようにすら見える。唐突に引用される詩の効果も抜群で、一度読むと忘れがたい。「平坦な戦場で生き延びること」、その難しさ。きれいごとを一切抜きにして、日々を生きていくことの意味を問う。ポジティヴなメッセージはほとんどないけれども、この切実さが、不思議と読む者に力を与えてくれる気がする。  好き過ぎてあまり語るとわけわかんなくなりそうだからここらへんでやめとくけど、間違いなく、大傑作です。
10点(2007-10-25 00:40:34)(良:1票)

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS