1. あぁ播磨灘
《ネタバレ》 スポコンドラマの主人公を最初からトップに置き、それを脇役が追う展開の作品は珍しいとか。でもそのおかげで、打倒・播磨灘!を掲げたり、逆に惚れ込んで味方になってたりした、播磨を取り巻く全ての人々が輝いて描かれてますね。みんな否応無く自分の人生に正面きって向き合わざるを得なくなってるそれぞれの人生ドラマが良い。てことは播磨こそが中心に存在していたワキ役だったのか(笑)。おそらくは当事活躍していたプロレスラーであるビッグバン・ベイダーにインスピレーション受けたと思われる作者さんの描いた播磨灘、彼が発端となり始められた数々の人間模様は見ごたえありました。そして最強設定だからこそ、最終回のあのラストシーンは誰もが予想していたものと思います。蛇足ですが、『播磨は、ワシに男を蘇らせたばい!』とかって酒飲んで息巻いていた今太閤こと南郷太郎。アンタに蘇ったのは男じゃなくて『下心』でしょ(笑)。 6点(2011-06-28 16:35:17) |
2. 明王伝レイ
《ネタバレ》 二十歳そこそこの頃に偶然出会って定期的に読んだ。人の思いが神に通じれば神通力となり、魔に通じれば魔となる、てのは納得してたし、抜群の画力は登場人物の織り成す人間模様において恐怖も美しさも苦しいほど強く描けてましたね。古今東西、恐怖とエロはどうして混在して描かれるんだろうという疑問はさておき(笑)、強靭な精神と確たる使命を持った少年主人公が命賭けて魔物を滅ぼす物語が好きで読んでました。でも彼を不動明王様という実在の神の仮の姿に設定した事がストーリー展開に無理を作ったみたいですね。敵も実在の悪魔にして決着つけなきゃならないという。これが一段落しても連載を続けたかったか今度は某メジャー劇画のキャラや実在のロックバンドをパクッたり、絵を描かずコピーを多様したりと、連載の苦悩が出てましたね。先ずは話題性のあった漫画でした。 6点(2011-06-28 16:10:19) |
3. ブラック・エンジェルズ
《ネタバレ》 ありましたねこの作品!。中学生のときに読んだのを思い出します。前作【ドーベルマン刑事】と同じく、少年マンガとは思えないくらいの社会と人間の負の出来事を描き、主人公が犯人を抹殺することで解決する話。憎むべき犯人に対するこの制裁は子供ながらに痛快で好きでした。でも事件にしろ人間像にしろ、全体的にどこか画一的で深みが無いのも前作通りではありましたね。当事は許容範囲でしたが。あと、著作権があるかどうかは当事解らなかったけど、よくまあこれだけ他ジャンルのキャラクターをパクって描いたなと関心してました。憶えてる方もいると思いますが三味線屋の勇次・ロードウォーリアーズ・薬師丸博子・ブルーサンダー等等ね。皆さん仰るように超能力合戦展開になってワケ解らないストーリーのまま終わったのは残念。心が空なら物理的攻撃は無力化できるとか都合の良い設定も懐かしい(笑)。【怒れば人間を超えたパワーを爆発させて敵をぶっ倒す】という子供ウケ設定は作者の意向も無視できるほどの少年ジャンプの鉄の方針だったんですね。当事は編集方針なんて知らないもんだから、この作者始めジャンプの主力の漫画家諸氏(車田・本宮・牛・池沢)方は、みんな机上で目を血走らせてうおおおおお!!とかドちくしょおおおお!!とかこの外道があああ!!とかナメんじゃねえドサンピンがあああ!!とか絶叫して暴れながら執筆してるんだろうなーと思ってました。 6点(2010-08-05 07:03:53) |
4. 軽井沢シンドローム
《ネタバレ》 高校生の頃に偶然知り全巻読んでみた。結構な流行を起こしファンクラブまであったマンガだが社会人になるとこの作品の薄さに気付く。…男女共に個性的な美形揃いにしたうえで成人マンガの艶っぽさと少年マンガの可愛いさの2パターンで描かれた登場人物、20代が好む音楽ジャンルがサブタイ、ハイセンスな車が続出、円谷特撮とサンライズアニメのキャラが小出しに出てくる和みネタ、トレンディドラマぶった色恋沙汰が展開されるストーリー、と、いかにもバブルの時期らしい御気楽物語。そしてストーリーがネタ切れしていた。それも当然で、読めば解るのだが作者の実体験が乏しいためらしく、各キャラの人物設定に説得力が無く嘘くさい。だから物語そのものが破棄したんだと思う。何より最も説得力が無いのが主人公で劇中の要で、いつでも物語の中心にいる相沢耕平。巨大暴走族の創始者で纏め役で、愛人でも良いから肉体関係を続けたいと願う女が無数いて、関わる人間に次々と尊敬される優男で、格闘戦では数十人の武装暴走族でも極道の用心棒でも一撃で打ち倒す!だと?。なんというか…不良ぶってる坊やが自分の願望を有りったけ描いてみたようなこんな奴、いる訳ねぇだろと(笑)。で、この耕平は本編でも全然、人を惹きつけるような強さも優しさも感じさせない男だった。他のキャラもだいたい同じような感じ。シリアス顔になって格好つけて語りだしてる台詞の、内容の適当なこと軽いこと…。作品そのものがバブルだったんだなと思う。【若干付記・1】…第一巻冒頭での絵里の台詞・『そーいうのはダメよ。きっと醗酵の美少女だわ』。←これに対しマスターが『糸なんか引いてたりしてな』と言ってるところからこの作者、そして編集者も、【薄幸の美少女】を【醗酵の美少女】と本気で認識していたらしい(笑)。【若干付記・2】…松沼薫が、主人公・耕平の子を初めて身篭ったという回にて、それを知った登場人物たちのほぼ全員が仰天・驚愕・落胆・戦慄、といった負の反応をしているという描き方が酷いと思った。二郎はカッコつけて『俺なら迷わず北海道に逃げる』などと責任放棄のバカ話を真顔で喋り、薫本人は顔面蒼白になっており、原因を作った耕平が『未来と将来の具合が悪い』などと言って酒を飲んでいる。こんな奴らだから、モテるとか強いとかいう設定がデタラメになってると思った。 3点(2010-07-24 11:28:00)(良:1票) |
5. バオー来訪者
《ネタバレ》 20代の頃に連載されたものを読破し惚れ込んでコミックスを揃えた。個人的好みで言うが戦闘ヒーロー物として完璧である。打ち切り作品らしいが、展開を無駄なくテンポ良く運んだうえで、あれほど感動的なラストに持って行った事実が凄い。打ち切られなければどんな展開になったのかは興味深いが、完結した物語なので心にけじめをつけた。『カッコいいけど悲しいお話』と作者は言ったそうな。本当にそう思う。霞目博士の悲運もドルド中佐の悲劇(笑)も、六助爺さん夫婦の優しさもスミレの成長も、そしてなにより、育郎の純粋な男気、ヒーローとしての強さ優しさが心に残る。傑作。 10点(2010-07-19 19:05:37) |
6. すすめ!!パイレーツ
《ネタバレ》 【マカロニ…】の鴨川つばめ先生とかぶる部分はあるかも。時流を上手く取り入れたりお洒落なキャラを出したり、そのキャラが不条理変身したり連載後半で失速したりするところまでも(笑)。リアルタイムで見ていました。犬井さん・万太郎・花形見親子…ホント、のたうちまわって笑わせてもらいました。絵も可愛いらしく、少女を描かせたら最高と評判で、【萌え】の元祖だったんではと思い出します。楽しいマンガでした。それと、『おじさんはね、おじさんはね、』というギャグも笑えましたが元ネタは今でも解らず、いつか知りたいと思っています。 8点(2010-07-18 15:28:21) |
7. マカロニほうれん荘
《ネタバレ》 小学生のころにリアルタイムで読んだ。当時は名こそ解らなかったものの、流行のファッションや風俗、音楽がセンス良くとり入れられていた事が解ったし、だからこそ10代後半から20代前半のお兄さんお姉さんには好まれたマンガだと認識していた。また、そういうイメージのこのマンガを読む事自体が大人っぽくカッコ良く思えた。面白さも充分。キャラが問答無用の不条理変身を慣行して笑わせるギャグの先駆けじゃなかったろうか。ハチャメチャながらも実は結構大人の男だったトシちゃん&キンドーさんコンビは不滅のキャラで、このマンガを読んだ人の心にずっと残る愛すべき思い出になるんじゃないかと思う。連載後半からの失速は言わずとも知れてるが、それを差し引いても素晴らしくハイセンスな昭和ギャグマンガである。 9点(2010-07-18 15:07:58) |
8. 男大空
《ネタバレ》 小池&池上両御大のマンガであり、2人の主人公があの【男組】の両雄とほぼ同じルックスなだけに期待して…あいや。面白かったですよ。これはこれなりに(微笑)。ただ、なが…じゃ無くて祭と、じん…じゃ無くて鬼堂が、どうも人間的にこじんまりしちゃいましたね。それと人物と建造物のスケールが無茶苦茶になり始めたのもこの作品からか。迫力あるけどどこかユーモラス。【男組】とは別物語として読みましょう。若干付記・1…全国の番長連の名前面白すぎ(笑)。若干付記・2…作者の両御大は江川卓が好きなのか嫌いなのか。『俺っちの変化球はバットでも打てねえんだ!』て(笑)。 6点(2010-07-18 14:44:37) |
9. 男組
《ネタバレ》 読了したのはつい5年程前。後輩に薦められてだった。【ガラスの仮面】が昭和の少女マンガの傑作なら、少年マンガの傑作はこれだと確信する。勿論時代背景は昔のものだし、『打撃系格闘技の技は一撃必殺』というフィクションを読者に事実と誤認させたけれど(笑)、理想を高く持ちストイックに、しかし全身全霊で努力し実現させる生き方の気高さとカッコよさを広めたという伝説のマンガであることは思い切り納得した。それを実現させるために闘う過程において心で結ばれる者たちの姿、生き様も美しい。異なる方法をとりながらも最後には共闘した2人の主人公は間違いなく男の鏡。負の主人公である神竜が理想社会を目指した理由も、正の主人公・流が特攻前夜に語った信念にも共感する。最もワタシが一番好きなのは大田原。回を追う毎に人情と愛情がパワーアップしてるから。古き時代の普遍の志を語ったこの物語、初にして文句無しの満点献上! 10点(2010-07-18 14:27:18) |
10. リングにかけろ
《ネタバレ》 リアルタイムで読んだ年代である。子供ながらに、【名ボクサーの長男なのに泣き虫意気地なしの主人公少年の根性を叩き直す豪傑の姉。不和な家庭を宛ても無く飛び出し、世間の荒波に耐えながら二人三脚で世界チャンプをめざす漫画】は自分を重ねて熟読してたしパワーリストも購入した(という少年が当事多かった・笑)のだが…、、、。そのパワーリストの効力で、主人公・竜二がとんでもない能力を発揮し始めてからは友達同士で茶化し合い、今で言えば『有り得ねぇー(笑)』みたいに笑い飛ばすネタにしてた。読むのもやめた。最も【素のポテンシャルが高い主人公が、怒れば超人的な能力を爆発させる】て設定はジャンプの御家芸でありそれに燃えていた読者少年だったのは事実なのでこの点数。どなたでもこの作品を読めば解るのだが、燃えていたのは読者の子供だけでは無く、描いていた車田氏も相当にパワーをぶちまけながらの執筆だったろう事が目に見える様な漫画である。読者が子供だからって外人のイメージがステレオタイプ過ぎるのも凄かった。ギリシャチームだからって超能力使ったり(全員が神々の名前)、イタリアチームだからってマフィア紛いの暴力で不戦勝ねらったり(元ネタはジュリーの当事の新曲)、ドイツチームだからってコンピューター使って力学計算したり(まったく科学的検証にならない滅裂な説明)。でもその後のジャンプを繁栄させた偉大なる漫画ではある。感謝。…そうだ最後に、先に挙げた主人公・高嶺竜二が開発した必殺パンチに、『ブーメラン・スクエア(自曲)』てのがありましたが、(自曲)って何? いや、意地悪ですね俺(笑)。 6点(2010-07-18 13:49:31) |
11. ガラスの仮面
《ネタバレ》 言わずと知れた昭和の少女マンガの傑作の1つ。人生と、おそらくは命までもを懸けて何かを作ろうとか達成させようとする物語は個人的に大好きなので点も甘くなるが賛同者は少なくないと思う。劇中劇も趣き深く面白い。梅の谷でついに登場した主題劇【紅天女】は、確かに主要キャラが人生を懸けてまで追いたくなる程の感動的なものだと思った。このマンガ、是非とも完成させて欲しいのだが先に書いたように、主要キャラ全員がデカくて重い人生と、ハンパない強靭な意志と生命力を宿しているので、作者自身が扱えきれずに窮しているんじゃないかと思う。それでも頑張って完成させていただきたい。間違いなく昭和の傑作なのだから。 【若干付記】…マヤちゃん、暴走族に同行して、あの程度の結果で良かったね。有り得ないけど。 9点(2010-07-05 10:51:17) |
12. バガボンド
《ネタバレ》 坂本竜馬と並び宮本武蔵はやっぱり、男の作家にとっては自由奔放な解釈と描き方をしたくなる実在ヒーローなんだなと改めて実感した作品。それにしてもこの作者、肉体的なものは勿論、精神的な【暴力】の描き方がリアルだと思う。経験者か? 7点(2010-05-27 04:49:38) |
13. わたしは真悟
《ネタバレ》 同じ本の他作品を読んでいてついでに読み始めた作品。作者は途方も無い天才芸術家らしく、凡人のワタシには解読不可能な作品でした。何?。あの、思考する(というより悩む)アームだけの機械っていったい何?。饒舌にしゃべってたのに無人だったベビーサークルって何?。いったい何?? 5点(2010-05-27 04:37:58) |
14. コータローまかりとおる!
《ネタバレ》 初期の【戴冠式編】と【Dブロック編】はカリオストロの城のオマージュ(作者も大好きだったんだろな)。アクションのスピード感は臨場感あって良いし少年の心を生き生きと描けていて素晴らしい。無秩序に増殖していくわりにはキャラが立ちすぎる登場人物たちも愛しい。作者のデビュー作にして出世作にして唯一の作品であるだけに、作者は作品そのものに強靭な愛着があるんでしょうね。各個キャラに必ず大活躍の見せ場を作って盛り上げようとする場面が出てくるところからもわかります。作者さんにはこれからも頑張って欲しいですね。ただ柔道編だったか、出足払いに見せかけた下段蹴りを脛で受けて反撃に出る…という、柔道や空手道の実際の試合では当たり前程度の事を逆転に転じる盛り上げ場面にしてたのはネタ不足から来た力業かなと感じました。バンド編での演奏技術の描写ではバンド経験者が読むとつっこみたくなる場面があるのかな。 7点(2010-05-27 04:25:27) |