1. アゴン AGON
《ネタバレ》 ウルトラシリーズに先立つ最初期の特撮怪獣TV番組である。1964年に30分・全26話で制作・放映の予定だったが実現せず、完成していた4話分だけが1968年に放映されている。 構成としては1話完結ではなく前後編の2話ごとに結末があり、いったん怪獣が去ってから次にまた同じ怪獣が別のところに出現するという形で続いていくものらしいが、しかし毎回同じ怪獣が出て、続きは後編で、と待たされるのでは興味が続きそうもない。ドラマ部分をどれだけ面白く見せるかが問題になるだろうが、特に第1話では間延び感が強く、それ以外も1話完結で間に合うのを前後編に延ばしたような印象だったのは難点かと思った。 怪獣は、見た目はスタンダードであまり特徴的なものはない。素っ気ない3文字名前は「ゴジラ」並みの"元祖"感を演出しているようでもあるが、一応アトミック・ドラゴンの略だと説明されている。ウラン燃料が食物とのことで、人間側でもこれを誘導のエサに使っていた。 特撮面では怪獣の着ぐるみに力が入っている。大写しにした顔はなかなか恐ろしく、また海底に潜んで成長する場面は生物としての息遣いが感じられて不気味感を出していたが、しかしオープニング映像に出る派手な都市破壊や豪快な火炎噴射が4話までに入っていないのは予想外だった。ミニチュア造形はかなり粗いのもあったが、基本的に海から来る怪獣ということで、怪獣と海が一緒に映る情景はいいところもあった。 登場人物としては新聞記者が主人公で、これに刑事・博士・博士の助手(ヒロイン役)を加えた4人がメインになる。ほかに生意気な少年や新聞社のデスクも準レギュラーかも知れない。主人公は仕事に貪欲だが、特にイケメンでもなく軽薄な奴というキャラクター設定がユニークで、この男と周囲の人物のやり取りがドラマ面での見どころになるらしい。第4話ではヒロインとの関係で少しいい話を入れていた。 ほか場所に関して、第1・2話で砂浜と松林が印象的だったのは茨城県東海村のイメージか。また第3・4話では三重県四日市市での撮影があったようだが、京都の制作会社なので近場での撮影ということだったかも知れない。 4話分を見た限りでは、退屈なところもあったが見どころもなくはなく、作っていればそのうち調子も出てきたかも知れないという気はした。ただしやはり1話完結の方が見やすかっただろうと思われる。 [ブルーレイ(日本ドラマ)] 5点(2025-05-10 16:03:17) |