みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★9.見応えがある、というのはこういう作品のこと。「芸を極める」ということだけに生きる人たちの物語が、とにかく重厚すぎる。歌舞伎を観に行きたくなった、歌舞伎に興味を持った、というコメントがあることが、最大の賛辞なのかな。 【noji】さん [映画館(邦画)] 8点(2025-06-27 09:01:54)★《新規》★ 8.《ネタバレ》 たかが歌舞伎の世界に天皇家や王朝家のような血筋への執着… されど歌舞伎なんでしょう、伝統文化や技術が世代を超えて継承されてきたのもそのこだわりのお陰ですか? 悪魔に魂を売るような主人公の芸に対する執着心、その常軌を逸した執念が復讐、嫉妬、挫折そして才能と血統の葛藤を乗り越えて人間国宝に上り詰める。女形が見事にはまる吉沢亮とそれを取り巻くキャストの演技も素晴らしく、とても見応えのある歌舞伎世界でした。 本来ならもっとドロドロとした雰囲気になってもおかしくないようなお話しですが、2人のイケメンコンビに和らげられて、長さを感じさせないすっきりとした余韻の残る3時間でした。 【ProPace】さん [映画館(邦画)] 9点(2025-06-25 16:59:33) 7.「芸」という、その価値の本質がひどく曖昧で、故に悪魔的な魅力を放ち続けるモノの狂気と、深淵。 174分という映画の尺があまりにも短く感じられるほどに、光と闇が濃縮された映画世界に恍惚となり、うまく言葉を紡ぐことができない。 正しい言語化のためにも、再鑑賞は必須と考えているけれど、とりあえず初回鑑賞後の「記憶」として記しておこうと思う。 こういう圧倒的に完成度が高い映画の感想を綴るとき、あまりキャストやスタッフ個々の功績に言及することは、個人的に避ける。俳優や監督の個人名を挙げて、それぞれの演技や演出を文章化してしまうと、なんだか当たり障りのない批評的な表現になってしまい、作品に対する私自身の「感情」を、正しく表現できていないと感じるからだ。 でも、「役者」という生き方と文化、その陰と陽をひたすらに追求したこの作品においては、やはり何を置いてもそれを身一つで体現した“役者たち”を軸に語ることが、筋なのではないかと思う。 つまるところ、“立花喜久雄”という役者の天賦と狂気に等しく支配された主人公を演じた、役者・吉沢亮が、「圧巻」だったということ。 これまでこの俳優の演技をそれほど見てきておらず、既に確固たる人気俳優の一人であることは勿論認識していたけれど、個人的な印象が薄かったことは否めない。 ただ、独特な眼差しの奥に何か仄暗い闇と光を秘めた俳優だなという、予感めいたものは前々から感じていて、本作でその「正体」が、ついに顕になったという感覚が強い。 吉沢亮という役者が秘めた仄暗さの中の光は、まさに本作の主人公が孕む美しくも禍々しい狂気性と呼応し、入り混じり、唯一無二のキャラクター像を作り上げて見せていたと思える。 極道一家の御曹司として生まれ、父親の惨死を目の当たりにして、行く宛もなく歌舞伎役者の家に転がり込み、自身の「芸」のみを研鑽し、邁進し、凋落と絶望を経て、「国宝」と成る男。 そんな荒唐無稽な人間の人生を、疑問も違和感もなく、体現してまかり通してみせた吉沢亮の表現力にこそ、この映画の本幹に通じる“深淵”を見たように思う。 そしてもう一人、主人公・立花喜久雄と文字通り“対”を成し、共に役者人生を全うする“大垣俊介”を演じた横浜流星も、素晴らしかった。 名門歌舞伎一家の「血」を受け継ぎ、役者としての華を持ちつつも、主人公との圧倒的な“ギフト=天賦の才”の差を感じ続け、苦闘し続ける人物像を、こちらも見事に体現しきっていたと思う。 物語の中の立花喜久雄と大垣俊介の関係性は、そのまま現実世界の吉沢亮と横浜流星の俳優としての性質や立ち位置にも通じているように見えた。 李相日監督の言葉にもあるように、本作の製作に当たって主演の吉沢亮のキャスティングは、ほぼ大前提として確定していたようだが、相手役のキャスティングにおいては熟慮の末、「横浜流星に賭けてみよう」という決定プロセスだったらしい。 そこには、横浜流星という俳優における重圧や葛藤、そしてそれらを凌駕する熱情と努力が溢れ出ていた。 主人公の喜久雄以上に、その終生のライバルであり“親友”である俊介の、人物的な存在感を高められなければ、この映画世界の構造は成立しなかっただろう。 無慈悲で明確な“ギフト”の差を突きつけながら、病で足を腐らせ、片足になりながらも、舞台に立ち続ける大垣俊介の姿も、役者・横浜流星の人間性と呼応し、魅力的な人物像を作り上げていたと思う。 「役者」という生き様そのものが、「人間国宝」として認定されるというこの国の文化は、よくよく考えると少し異様にも感じる。 “自分”ではないものを演じ、芸術として表現し、それを「国宝」と呼称されるレベルにまで高めるという行為は、そもそも普通の人生や、まともな価値観を逸脱しなければ、成り得ない。 本作の主人公がそうであったように、それはすなわち「人間失格」の烙印を押されようとも、悪魔にすべてを投げ売って、ようやく垣間見える境地なのだろう。 社会的な倫理観とは程遠く、嫉まれ、憎まれ、恨まれ、歩み続ける孤独な狂気の道。 そこから放たれる一瞬の「芸」の光に、私たち人間は熱狂し続ける。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2025-06-17 21:44:12) 6.《ネタバレ》 歌舞伎のことなんて、実は全然わからない。でもこの映画を観て、私はただ、心の中で「すごかった…」と呟いてしまった。 それだけで充分じゃないかと思えるほど、見せ場の連続だった。 吉沢亮と横浜流星、二人の舞踊シーンがとにかく圧巻。 『藤娘』『二人道成寺』、そして『曽根崎心中』では二通りの演じ分けがあり、ラストは吉沢亮一人による『鷺娘』。 もう、観ているこっちが力みすぎて疲れちゃうくらい、ものすごい気迫だった。 ラストの『鷺娘』は、演目の意味など知らなくても、力強く、自分の運命を噛み締めるような、そしてこれまでの人生を振り返り嘲笑うような舞にも見えた。 田中泯演じる万菊お姉さん(最高!)が俊ボン(横浜流星)に向かって言った言葉、「あなた、舞台を憎んでるでしょ。それでいいの。」 このセリフが胸に残る。 俊ボンにかけられた言葉だったけど、実はその奥にいた喜久雄(吉沢亮)に向けられたものだったのだろう。 舞台に生き、舞台に喰われる。そのどうしようもなさを知っている人間だからこそ言えるセリフだったと思う。 喜久雄と俊ボンの関係。 血筋に嫉妬する喜久ボンと、芸に嫉妬する俊ボン。 二人は最初からライバルなのだが、それでも憎しみ合うことなく、最後まで信頼し合っていたところが今風で、とても美しかった。すごく爽やかなスポ根だ。 汗と涙と努力の世界。そこに嫉妬や屈辱もあるけど、根っこにあるのは敬意と愛。だから常に温かい。 喜久雄が地方のどさ回りで観客から「このニセモノ!」と罵倒されるシーンがある。それが胸に突き刺さった。きっと彼自身が、ずっと自分のことをそう思っていたんじゃないかな。 血筋を持たない自分はニセモノ。 女形なのに女じゃない、自分はニセモノ。 子供がいても父親ではない。 一体自分は何者なんだ?そうだ、ニセモノだ! そう思ったら少し楽になる。 『鷺娘』はニセモノとして生き抜いた男の、魂の証明のように見えた。偽物だろうと、血筋がなかろうと、魂を削り、自分を閉じ込め、命懸けで演じる姿に観衆は喝采を浴びせる。 しかし役者としての体をほどいて己に戻った時、この喝采と祝祭は幻になってしまうのだろう。 何とも辛い生き様だが、そこに後悔は無い。 父親が殺された時の雪が散らつく景色、それが喜久雄の心象風景。全てはそこから始まり、それが全てなのだから。 【ちゃか】さん [映画館(邦画)] 9点(2025-06-15 15:10:55) 5.《ネタバレ》 歌舞伎は世襲の世界。 門閥外から血筋を押しのけて名跡を継ぐなどよほどの実力がなくてはできない。いや実力があってもできない。 喜久雄は悪魔と取り引きをし、芸の道を登っていく。半二郎も万菊も、血筋が可愛くない訳はない。しかし、芸を極めてきた者だからこそ、喜久雄の芸を認めてしまう。 そして、血筋という甘えを捨てた半弥も芸の道を登っていく。 芸の神でもある悪魔と契約した喜久雄は求道者となり人が見られなくなる。ふと、「どこ見てたんやろな」と省みる。 何かに見られているとは芸の神であり、求めていた景色は芸の神域なのだろう。 【ぶん☆】さん [映画館(邦画)] 8点(2025-06-14 23:21:27) スポンサーリンク
平日の昼過ぎの上映に行ったのですが、意外なくらいに多い観客、でもおっちゃん&おばちゃんばかりでした。 前半は話の流れがゆったりだったのに対し、跡目を決めて以降は話が早くなりすぎて意味不明な部分も多いです。 それでも、歌舞伎のシーンは見応えがあり、実際に歌舞伎を観に行きたくなりましたね。 そうそう、どうしても言いたいこととして、主人公二人ともトラブルやスキャンダルを起こして業界を追われながらも、舞台に戻ってこられるあたり、実際の芸能界と同じで甘い世界だなあと感じました。 私は許せません。 【ミスプロ】さん [映画館(邦画)] 8点(2025-06-12 19:57:44) 3.《ネタバレ》 2025.6.11観賞。 国宝級のイケメンと称されるリョーくんが渾身の怪演を見せる、歌舞伎役者の半生を描いた壮大なドラマ。ライバルは歌舞伎名門の御曹司を熱演するリューセイくん。女形の競演。ちんにゅるかくごはぁ…ナニ言うとるか分からんのが歌舞伎の醍醐味やったっけ。女形の面構えはピエロみてえで物凄い形相。早速、今夜のユメに出てきそうやな。それでも、歌舞伎役者の頂点に昇り詰めるまでの数十年が如何に波乱万丈で凄惨かがよく伝わってきたので良作。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 7点(2025-06-12 01:00:07) 2.《ネタバレ》 原作未読。 歌舞伎の世界を少しだが知る機会が出来てよかった。また、歌舞伎のシーンも素晴らしかった。(大昔にNHKのテレビ放送でみた歌舞伎中継とは大違いだ)でも、上映時間3時間超えはさすがに長すぎる。。。 国宝に選ばれるまでの、ほぼ一代記に近い半生記であり、また歌舞伎のシーンを多くのカットで魅せてあり、そのこともあって時間が長くなるのはわかるが、同じ演目を同じ熱量で何度も見せられるのは、3時間超という時間もあり正直つらい。。。 もう1点。喜久雄と彼を取り巻く女性たちとの描き方が中途半端というか、雑というか、とてもモヤモヤする。 特に、あれほど一途だった春江の心変わりが唐突過ぎてまったく理解できない。さらに、俊介と結婚した後の春江の喜久雄に対する冷たい態度(視線)には、憎しみすら感じさせる雰囲気がある。おそらく原作ではそこが丁寧に描かれていると信じたい。 【リニア】さん [映画館(邦画)] 7点(2025-06-11 01:19:19) 1.《ネタバレ》 <原作未読>1964年から50年の歳月を描く大作。将来が約束された歌舞伎界の御曹司・俊介と、才能はあるが「守ってくれる血」がない喜久雄。共に稽古に励んだ仲だが、師匠・花井半二郎が自身の代役に喜久雄を抜擢したときから二人の関係が崩れていく。妬み、憎しみ、負い目… 両者に訪れる浮き沈みを、旬な俳優二人が演じ、重鎮が脇を固める盤石の布陣。怒涛の3時間で大いに満足した。勝ち負けとかそんなものを超えて舞台に立ち続けた二人をどう表現するか。ライバル、盟友、戦友、同志… それなりに思い浮かぶけど、シンプルに二人は「役者」だった、とだけ言っておこう。 【リーム555】さん [映画館(邦画)] 9点(2025-06-06 22:17:57)
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