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プロフィール
コメント数 3878
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  静かなる男 私がこの作品に10点をつけない理由があるとしたら、「↓すでに何人も10点つけてるから、もういいか」ぐらいのもんで。いやホントにこの作品、見終わって何ともうれしくなり、何ともしみじみしちゃう。また10点を増やしちゃいますけど、勘弁してください。 アメリカから故郷のアイルランドの小さな村に帰ってきたジョン・ウェイン、これが実にイイ男。知り合ったモーリン・オハラは気の強いところもあるけれど、お互い憎からず、というわけでトントン拍子に結婚へと向かいたいところ、しかし彼女の兄が偏屈者で、ジョン・ウェインを滅法、嫌ってて。 そういう、人間関係やら、田舎らしい因習やら、主人公の過去やらが、物語に起伏を生じさせるのだけど、全体的な基調はおおらかで、なんと言ってもユーモラス。彼らを取り巻く面々のやることなすこと、とにかく可笑しくて、あともう少し誇張してやれば、ショートコントのネタにも使えそうな。 豊かな自然も見どころだけど、馬のレースなんかのアクションも交えたり。 見てると、ほとんどお膳立ては整っていて、義兄弟同士が殴りあえば解決しそうな雰囲気が漂っているのだけど、そこになかなか踏み込めないのが人間。人間だけが、最後の障壁。しかしもう、行くしかないよね。というわけで、あとはもう、盛大に殴り合い、盛大に馬鹿騒ぎ。この肯定感が、たまりません。[インターネット(吹替)] 10点(2021-04-25 14:58:05)《改行有》

2.  史上最大の作戦 この映画、子供の頃から特別な印象を持っていて・・・戦争映画というと普通、ダイナミックな戦闘シーンを手に汗握って楽しむもんだと思っており、確かに本作もそういったスペクタクル映画のひとつではあるのですが、いかんせん、ただ楽しむには、戦闘シーンがあまりに長過ぎて、お腹いっぱい、胸やけする程。まあ、初めて観たのが何歳の頃だったのか、戦闘の流れが把握できていなかった、というのもあるのですが、壮絶な上陸シーンでもう見ごたえ十分なのに、引き続くウィストレアムでの市街戦、これがもう本当に街を破壊して撮影しているように見えて、だんだん「これは本当に映画なのか」と不安になってくるほど、だったのです。実際には大規模な上陸が始まるのは映画の後半1/3程度なのですが(最初の1/3程度が戦闘前の模様、中間1/3程度がレレジスタンスと空挺部隊の活躍)、最初に観た時の印象は、まさに「無限に戦闘シーンが続く映画」。そして「これは本当に作り物の戦闘なのか」という驚き。これが、本作を何度か観てくると、「ああ、本当にこれは“作った”ものなんだ」という、別の驚きになっていきます。戦闘シーン以外でも、前半の兵舎で兵士たちがギャンブルに興じるシーンでの、驚くべきカメラワーク。また、大量に動員されたエキストラが効果を上げているのは、戦闘シーンばかりではありません。どのシーンも、リアリティを追求しながら、それだけにとどまらない緊迫感を、見事に演出しています。またこの映画の魅力として忘れられないのが、人間味あふれる登場人物たちの描き方ですね。印象深いキャラたちが続々と登場し、誰もが人懐っこい。バタバタと斃れる無数の兵士たちを描く視点と、一人ひとりの兵士の人間味を描く視点とが同居していること。戦争への肯定も否定もない、本作こそがまさに、人間賛歌の映画だと思います。[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-08-17 09:34:25)

3.  シンドラーのリスト スピルバーグの第2のデビュー作とでも呼びたくなる、渾身の力作。本当に撮りたい映画を、本当に撮りたいように撮る(あるいは「撮らなければならないように」撮る)。熟練の映画人が集まり、新人のごとき意気込みで撮る。そんな時に、こんな映画が生まれるのでしょう。主人公は、一見何ということもない商売人、オスカー・シンドラー。しかしこの映画には、真の主人公が別にいて、それは数多くのユダヤ人たち。いや、そのユダヤ人の“数”というものこそが、本当の主人公のように、我々を圧倒します。その2つの“主人公”の交差が、この映画のドラマであります。この映画には、山と積まれたナベ、略奪された品、散らばる鞄など、数を象徴するものが色々登場します。顔写真の山。そして、連行される生身の人間たち。死体。これに対し、後半、シンドラーが救おうとするユダヤ人もまた、1100人いう数字で表現される。そしてその上での「あと10人、いやあと1人が救えなかった」という重い事実が、シンドラーに、映画全体にのしかかります。この映画、モノクロ作品ですが、パートカラーの効果がまさに圧倒的。高みから町を見下ろすシンドラーの視線の、その遠い先に、赤い服の少女が映された瞬間、その生々しさに、鳥肌が立ち、涙が出ました。このパートカラーの意味は映画後半で明らかになるのですが、それを抜きにして、印象に強く残るシーンでした。[CS・衛星(字幕)] 10点(2008-08-23 14:42:46)(良:3票)

4.  JAWS/ジョーズ どうしてこんな映画が存在し得るのか、もう、スバラシイです。コケオドシはリアリティを超える、ということがよく判ります。何もかもが絶妙で、シビれまくり。いくらホメてもホメ足りない! 前半、最初の犠牲者が海岸で発見されるシーン、ロイ・シャイダーの背景にカモメが喧しく鳴き叫び、不気味ですが、このカモメのモチーフはラストシーンに明るい形で再提示され、いかにも大団円、完結した印象を強めます。しかも元はと言えばこのモチーフは『白鯨』からの引用でもありますね。あと、ドレイファスが水中オリを使ってサメと戦うと主張し、三人が口論になるシーンで、喧嘩のシーンがそのままオリ組立て作業へと切れ目なく移行したり。そういう、色んな計算が詰め込まれた、楽しくて仕方ない映画ですが、勿論、最大の魅力は、そういった計算すらほとんど気にとまらない程の、圧倒的なサメの迫力であり、緊迫したストーリー展開であり、ユニークなキャラクター設定であります。10点(2003-10-19 00:38:18)(良:4票)

5.  潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ 《ネタバレ》 「潮風や ベーコンサンドと ヘミングウェイ」 この作品の邦題、俳句のつもりだったら、切れ字が必要ですね。添削しておきました。ところで「潮風」は季語なのでしょうか? それはともかく。 なーんか、良かったですよ、この映画。 「喜び」を誰かと分かち合い、共有して、初めて「悦び」となる、ってな感じでしょうか。 リチャード・ハリスが何とも面倒くさいジジイなんですけど、どこか憎めない。でもやっぱりそばには居て欲しくないタイプ。 その彼が、ロバート・デュヴァル演じる寡黙なジイサンと出会って意気投合。いや、意気はそんなに合ってなくって、傍から見てるとそれが、コミカルでもあり、危うくもあり。 二人は一度は大喧嘩してしまう。草野球で活躍する少年の姿に、本来なら大喜びするであろうロバート・デュヴァルの姿はそこには無く、喜びを分かち合えなかったリチャード・ハリスの姿が金網ごしに寂しく撮される。 二人のジイサンが、二人乗りの自転車に乗ってる姿が印象的で。漕ぐのは、共同作業、だけど、どちらかが前。もう一方は後ろに乗らなきゃならない。それにしても、何でこんな自転車持ってたんだろう? 偏屈ジジイ役のリチャード・ハリスは何かと奇行に及ぶのですが、やたら脱ぎたがる、ってのもその一つ。惜しげもなくフルヌードを披露しています。そりゃ惜しくも無いだろうけど。ただ、彼の表情に刻まれた皺だとか、がっしりしつつも衰えを隠せない肉体とか、そういったものは、本人のキャラがどんなにハチャメチャであろうが、見ている我々に対し確実に重みを持って迫ってきます。 これが、老いるということなんだ、という、これ以上ない表現。 リチャード・ハリスの晩年というとダンブルドア校長役が有名ですが、本作の偏屈ジジイ役こそ真骨頂、と思えてきます。[インターネット(字幕)] 9点(2021-05-22 13:37:08)(良:1票) 《改行有》

6.  死霊館 いいですね~、観ててうれしくなってきちゃいます。ホントは怖がるべきところなんでしょうけれど。 「見えちゃう」恐怖があれば、「見えない」ことの恐怖もある。あるいは画面外から響いてくる「音」の恐怖。そういったものがうまく散りばめられていて、コケオドシの連続にしなくとも、観てる我々をグイグイと引きこんでいきます。ある種、古典的な手法なんでしょうけれど、特殊効果もうまく使って見せて。風で飛ばされたシーツが、そこにいるハズのない人に一瞬巻き付く驚き、さらにはそのシーツが飛ばされて二階の窓へと視線を引っ張っていくうまさ。 さらにはこの作品、この家を買ってしまった家族と、その悪魔祓いをする夫婦、この2つの家族それぞれにとっての「家族を守ろうとする物語」にもなってるんですね。あくまで恐怖映画のテイストが前面に出ていて、家族愛を高らかに謳い上げるような押しつけがましさはないんですが、だからこそ、そこはかとない感動を呼んだりもして。かつてのパニック映画なんかでも、しばしば「家族を守る」ことがテーマにあって、だからこそ、一軒家に立てこもり、外部からの侵入者との戦いが繰り広げられるわけですな(「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」はその裏返し。立てこもった一軒家の中で、あえて家族が崩壊する様を見せつける)。そういう「家族を守る」という基本があって、しかしその家族を守るべき家が「悪魔の棲む家」となってしまったことの絶望感。邪悪との戦いにも気合いが入ろうってもんです。[DVD(字幕)] 9点(2019-05-04 13:03:34)(良:1票) 《改行有》

7.  シャロンの屠殺者 冒頭、「三人組」が登場して、さらにこの「三人組」と先住民と騎兵隊、という三つ巴の関係がある。さらには、「三人組」のひとりである主人公が大佐の妻に手を出して三角関係が展開されて。 それがどうした、と言われればそうなんだけど、これらの「三」の関係が物語を支えるモチーフになってて、こういう統一感があるかないかで、納得感も大きく変わってくるもんです。先住民との戦い、上官との対立、許されぬ恋、こういった要素が見事にまとめられ、どこか運命的なものも感じさせる。物語は最後、それなりに収まるところに収まるかも知れないけれど、その一方で冒頭の「三人組」はバラバラの運命を辿っていく、というところに、一筋縄でいかないものがあります。 そんでもって、クライマックスの戦闘シーンのスゴいこと。砦の門ごしに見える激しい戦い、立体感を伴った迫力が漲っています。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-19 08:04:43)《改行有》

8.  地獄の黙示録 「特別完全版」公開後は、このバージョンで確定ということなのでしょうか、今回観た「通常版」のラスト、炎上シーンはありませんでした・・・。 さてこの地獄の黙示録という作品、コンラッドの「闇の奥」を下敷きにしており、実際この小説を思わせる人物も登場する訳ですが(槍で絶命する舵手、出迎えるロシア人、そして勿論クルツ=カーツ大佐)、作品から受ける印象としてはむしろ、カフカの世界を思わせます。この印象は、主人公たちが出会うエピソードの数が増えた特別完全版を観てより強くなったものではありますが、それでいて、完全版でないコチラの方がむしろ、より終わりなき彷徨を感じさせもします。特別完全版の方が、どこか、正常から異常へ、正気から狂気へ、というベクトルがはっきりしている気がして、この通常版の方が脈絡なき迷宮の感じが強いのです。それでも、やはり狂気へと向かって行く方向性というのは確かにあって、主人公が旅路の最初に出会う、キルゴア中佐のエピソード、瀕死の敵兵を称えつつサーフィンの話が始まると水を与えるのを忘れてしまったり、果ては戦場でサーフィンをするためにナパーム弾投下を要請したり。異常と言えば異常だけど、ある意味、想定内の、まだしも理解可能な異常、想像可能な世界。ワルキューレ第3幕冒頭をかき鳴らしながらの攻撃なども、我々の想像を特に超えるようなものではない、陳腐な世界でもあります。これ以降、川を上るに従い、何が起こるか、それが何なのか、想像も予想もできない世界が彼らをそして我々を待ち受ける。 そしてついに現れる、カーツの王国。カフカの長編世界は結末と呼べるものが存在しない(「審判」ですらそう言ってよいでしょう、結末は一応あるけど本編から独立している)のに対し、本作は、不条理世界の最期を何とか描こうとしています。たぶん、それ自体が無謀なことではあったのでしょう、映画自体がほとんど崩壊に向かっており、そこには相次ぐ撮影時のトラブルなども影響しているのかも知れませんが、さて、この混乱、混沌以外に、本作のラストがあり得たのかどうか。もはや作品の完成度云々以前に、やっぱり狂気の世界は狂気によってしか作りえなかったのだ、というまさにその点で、稀有の一本となった作品であります。多分これは、コッポラが「作った」作品ではなく、彼自身も作品の一部となって初めてこの世に生まれ得た作品なのでしょう。[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-11-08 09:20:36)《改行有》

9.  シャイアン 一見すると、とりとめのない感じもあり、何とも奇妙な作品なんですな。故郷から居留地への旅の間に仲間の多くを失った先住民族のシャイアン族が、居留地でも白人に配給の約束を反故にされ、再び故郷への長い旅路に立つ。かつての西部劇で悪役にされてきた先住民たち、しかし実際には白人たちに迫害されてきた彼らの立場から描いた作品、と言えばそうなのかも知れないのですが、一筋縄にはいかない。あくまで映画は、彼らを中心に描くという程には、我々の感情移入を許しません。何しろ、比較的彼らの立場に同情的な主人公リチャード・ウィドマークすら、完全には彼らにシンパシーを抱いてはいないし、そもそも彼らを庇うにあたっても殆ど消極的で、無力と言ってもいいくらい。およそ主人公らしからぬ主人公なんですね。一方、ここで描かれる先住民は、我々の安直な「同情」の対象として描かれるのではなく、「耐える者」としての誇りと崇高さをもって描かれており、だからこそ、安易に我々を受け入れたりもしない。むしろ、理解しやすいのは白人たちの方なんですね。彼らはあくまで職務に忠実なのだから。実に真っ当。そして、忠実であればそれでよいのか、真っ当であればよいのか、結局は誰かを(先住民たちを)踏み台にした上での忠実さ、真っ当さではないのか、と。最終的には白人が白人を糾弾し、解決を見出そうとするのは、希望と言えば希望。中盤、幕間的に挿入されるエピソードは、白人を中心にした、いわば表の歴史。その裏に隠された歴史に光をあてつつも、単なる同情に流されない、驚くほどにストイックな作品です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-11-11 23:15:54)

10.  ジュマンジ 普通に楽しめる映画、くらいにしか思ってなかったんだけど、いやはや、今回観直してみて、改めてその面白さに大感動、ここまで人を楽しませようとするのか、とホロリときてしまいました(いったい今までこの映画の何を観てたのやら)。次から次に発生する危機また危機を、実にテンポよく描いていく小気味よさ。それも、その危機が一過性のものではなく、どんどん積み重なっていくのがスリリングで、何ともワクワクさせられるではないですか。一軒の家で行われているゲームから、奇想天外なモノが次々に現れ、映画の世界の中に広がっていく、という、この広がりの感覚。かつてのパニック映画を思い起こさせるものがあります。で、そのハチャメチャな展開を、しっかり一手に引き受けて「驚き役」に徹するお巡りさんの存在がまた楽しかったり。本当によくできた娯楽映画だと思います。CGについても、ツルンとした恐竜ではなく「毛の生えた哺乳類」を描いて見せたというのが、当時としては画期的。なお、サルが変だという批判も多いですが、これはCGがヘタというより、「人間っぽく描写したい」というジョー・ジョンストン監督の意向に沿ったものらしいです。確かに違和感のあるサルではありますが・・・ホンモノのサルより、愛嬌があっていいじゃないですか。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-12-25 05:37:17)(良:1票)

11.  白いドレスの女(1981) 面白い!! ミステリとしての合理性よりもむしろ、妖しい雰囲気。そしてその中からふと冷酷なロジックが顔を覗かせる瞬間の不気味なサスペンスが、本作の魅力。脇役たちも皆、印象的に描かれているし、カメラも入念に選ばれた印象的なショットが多数で、映画を盛り上げます(オスカーがラシーンを遠目に見るシーン、ピストルを構えているように見えるのに次のカットでは手を下ろしているのは、ちと違和感ありましたが)。いや、本当に面白いです、この映画。ちょっとエロいけど。キャスリン・ターナーの、その手の動き、なんなんでしょ、はずかしいでちゅ。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-12-13 22:42:30)

12.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 冒頭のタイトルバックのオーケストラ。トランペットとトロンボーンの後ろに打楽器群というのも珍しい気がするけれど、それより、打楽器奏者がやたらと密集して立ってて、演奏しづらそうですね(笑)。その打楽器奏者たちの中でも、ひとり何もしないで立ってるヤツがいるのだけれど、最後に彼が手を伸ばし演奏する楽器、それがシンバル。オーケストラのギャラは、弾き通しの弦楽器もシンバル一打ちも同じなんだそうですな。とかいう話はどうでもよくて、映画のクライマックスを予告するメチャクチャかっちょいいオープニングなんですね、実にシビレます。映画の題名も面白い、何も判らないまま事件に巻き込まれていく主人公、手がかりはある男が絶命する前に残した謎のメッセージだけ、というのに『知り過ぎていた男』ってんですから。もっとも、“謎のメッセージ”というには、少々、情報量が多過ぎのようにも思いますけどね(だから後半、楽勝で真相に辿り着いちゃうのだ。それでも一応、一度は真相をハズして見せる、剥製屋のくだりがこれまた楽しい)。この映画、この物語には、確かにこのカット割りしかないよね、と言いたくなるほど的確で神経の行き届いたカメラが、不安感を盛り上げ、映画はテンポを上げつつ、クライマックスの“無言の”コンサートシーンへ。そしてあの大使館のシーンは、私も、高校の頃だったか初めて観た時には、面白いな、くらいにしか感じなかったけど、久しぶりに観て、泣けました。離れ離れの親子が、「音」によって繋がる。「音」が分断された「空間」を繋ぐ。これぞ映画でなければ表現できない、映画ならではの名シーンですよね~。って、何となくこういうシーンで泣くのは“思うつぼ”のような気がしてシャクなんですけれども(笑)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-24 22:12:02)(良:1票)

13.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 密室劇でありながら超ハイテンションムービー。最初、12人が集まり雑談している間は、コチラにも余裕があるもんで、「オヤ、今、カメラの影が写ったのでは?」なんぞとイロイロ雑念も沸くが、議論が始まったらもう、やめられない、とまらない。作品のテーマは、“付和雷同”。言うまでもなく、真犯人は被告の少年に決まっておるのだけれども(笑)、とりあえず声の大きいヤツorよくしゃべるヤツがその場の雰囲気を決めてしまう。証人の鼻にメガネの跡があったなんて、当然だれも憶えていようハズがないのに、皆「ああ、そういえば・・・」となびいてしまう。陪審員制度って、こんなにオモロイ制度なんだね。ミステリならば、最後は真犯人がつかまってくれないと困るので、陪審員の中に真犯人がいて、探偵役がそれを暴いて終わらなきゃならないけど、本作は、あくまで、市民が陪審員としての責務を果たす話。穴ダラケの裁判を「穴ダラケだ」と指摘するだけ、という、いやこれが何だかサワヤカなんだ。最後になって初めて名前を名乗りあうというオチも気がきいてます。(あくまで民主主義の基本である「多数決」ではなく、「全員一致」というのがミソですね。多数決とは、“不満”を、質ではなく量でミニマムにすること。AかBかを決めるのに、「Aでなければ絶対困る」という“1人”と、「どっちでもいいけど強いて言えばB」という“その他全員”がいたら、大抵、Bが選ばれるというシステム。その“過程”に、この映画のようなドラマは生まれない。そのもたらす“結果”は、またある種のドラマを生みそうだけどね、うふふ)。[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-09-24 20:46:41)(良:1票)

14.  市民ケーン 本サイトの投稿における、映画の点数付け、映画の完成度によって付けるべきものであれば、例えば、『市民ケーン』を10点、『ミミズバーガー』を0点とした数直線上に他の映画を載せて行く、という行為なのかもしれない。しかし私は10点ではなく9点にしました。映画はやはり客観的完成度だけでは語れないから。いや、この映画、映像にはとことん圧倒されたし、しかもミステリー仕立てのストーリーの、このラストの衝撃。観終わって、う~ん、これがあの『市民ケーン』なんだ、さすがだ!と唸ってしまいました。しかし。さすがに不勉強な私でも、本作のスゴさというものは、それまでに何かにつけ見聞きしてきており、観ていても「ああ、このシーンも『市民ケーン』の一節だったのか」などと思うシーンもちらほら。いや確かに、映画を観る前に、その魅力、見どころを知っておくのは、悪いことじゃない。字幕を追ってストーリーを追って、さらに映像を堪能するのは、1回の鑑賞では難しいが、事前に知識があれば、その大きな助けになります。だけど本作ほど映画の魅力が語りつくされ、分析されてしまうと、さすがにどうでしょう。私が映画から一番衝撃を受けるのは、「分析不能の得体の知れぬパワー」。その意味では、本作は、手垢がついてしまい、本来持っていた筈の衝撃力を弱められてしまった気がします。不幸にして人為的に古びさせられた映画、とでもいいましょうか。そう、まるで有力なスポーツ選手ほど、他の選手にマークされ易く、必ずしもトーナメントで優勝できなかったりするかのごとく・・・。本作の映像のスゴさはどこにでも書いている(勿論このサイトにも)ので、今更私ごときが付け足す事もない。ここでレビューを終わってもよいのですが、何だか映画自体について何も語っていないようなので、最後に珍説を発表しておきます。「本作のカメラ、それは写真芸術とは異なる。ショットの中に、空間的時間的(物語的)拡がりが凝縮されている。そう、これはまさにヒトコママンガだ!市民ケーンとはヒトコママンガの集合体なのである!」なんちゃって。9点(2004-08-13 14:22:36)(良:1票)

15.  シャレード(1963) やっぱりヘンリー・マンシーニって人は凄いなあ。テーマ音楽が有名なので、その部分ばかりが注目されがちだけど、映画音楽全体をよく聴いてみよう。誰の耳に馴染み易いメロディのテーマ音楽をちゃんと提示した上で、要所要所では様々な技巧をこらした現代的な響きも聴かせてくれる。それでいて音楽の統一感も失っていない! 勿論この映画の魅力は音楽だけではありません。ヒトクセもフタクセもある登場人物たち。特にジョージ・ケネディ、彼は義手という設定だが、時々、手が長すぎるゾ!(←どうでもいいけど)。また脇役ですが、あのヒトのいい収集家も忘れられません。そして意外なストーリー展開。何の予備知識も無く観たお陰で、見事にしてやられました。撮影についても、暗闇の使い方が(ちょいとキメ過ぎのきらいもあるが)実に印象的で、サスペンスを盛り上げます。満足感あふれる一本です。9点(2004-04-11 02:05:14)

16.  シザーハンズ かなり以前ですが、ジョニー・デップが私生活で問題を起こし、某一般紙の社会面にも記事が載ったのですが、本人の最新の写真が入手できなかったのか、何故かそこに載っていたのは、本作出演中のエドワード役の顔写真。ものすごくアブナイ人に見えちゃっておりました。つまりですね、この映画、ファンタジー映画にしてはどうも主人公の顔がコワイ。実際、子供は観てて怖いらしく、私の姉も息子達が喜ぶだろうと思ってビデオを見せたところ、すっかり怖がってしまって(どうやらエドワードが悪者に見えるらしいんですね)。しかし私はと言えばもうオトナ、これしきの怖さは耐えられる訳で。この映画、ファンタジックな部分とオドロオドロしい部分、非現実的な部分とミョーに現実的な部分が、混じり合い切らずにチグハグさを残しながら、微妙にブレンドされて、独特の雰囲気を作っています。内容的にも同様の二面性があり、ストーリー自体は、あり得ないような設定の映画なんですが、その一方でエドワードの気持ちというのは実に現実的で---誰でも、とは言わないまでも、少なからぬ人々の共感を呼ぶものではないでしょうか(私もそう)。おそらくティム・バートンにとっては切実な映画であり、私もその切実さに共感せずにおれないのです。9点(2004-03-28 01:24:47)(笑:1票)

17.  終身犯 映画を比較するのは基本的に野暮だとは思うのですが、「『ショーシャンクの空に』が一番好き」とか言ってる人がいると、つい「それは『終身犯』を観てのことか!」と言いたくなります。まあ、どちらが上ということはないんですが・・・とにかくこの映画はスゴイ。老けていく主人公を演じるバート・ランカスター、見事です。圧巻です。9点(2003-05-24 02:10:15)

18.  ジョン・ウィック:パラベラム いやもうホント、これ、戦い過ぎでしょ(笑)。 内容的には、「戦い」というものに純化されてきているというか、だいぶ抽象化されてきていて、そこは良し悪し。好きな人にはタマランだろうし、そうでない人はちょっとついていけないかも(そんな人はそもそも、見てないか)。 ストーリーなんて、前作の続きと言えば続きだけど、要する前作のオマケに限りなく近くって、ただただ、ジョン・ウィックが命を狙われる。狙われまくって、これじゃあ、大好きなラーメンをお忍びで食べに行くのもままならない・・・。こういうのって普通、続編作るたびに「今回こそ最強の敵」みたいな好敵手をでっち上げるもんでしょ、と思うのですが、そういうのもいなくって・・・いや、マーク・ダカスコスが一応、その役どころなんですね、失礼しました。しかし、その対立軸が物語の中心という訳でもなく。 この作品が抽象的なのは、ジョン・ウィックがプロの殺し屋であり、殺人装置であり、死神であるから。これも普通の作品なら、戦いの前の緊張感、戦いに至る過程、といったものをどう描くかが重要になってくるのでしょうが、そのせいで、プロの殺し屋の筈であるヤツがムダな能書き垂れまくった挙句に相手の逆襲をくらったりする。我々はそれを楽しむ(笑)。ジョン・ウィックはそんなことはしない。躊躇なく相手を斃す。戦いは突然始まり、タメも何もなく機械的に戦いまくり、唐突に戦いが終わる。長回しで演出されるその戦いは、際限なく続き、そのアクションが繰り返しとなって単調になることすらも辞さない。流れる動き、死の舞踏。 一つのシーンでは、ある種の繰り返し(ジョン・ウィックがひたすらガラスに叩き続けられる)が行われることで、その執拗さが浮かび上がり、それが魅力にもなっているのですが、シーンが変われば別の趣向が展開されたりもして、例えばナイフの投げ合いなんて、これ、要は手裏剣ですよね。ニンジャアクションです。果ては、馬上ならぬバイク上のチャンバラ風アクションも。 常に夜の雰囲気、闇の雰囲気をまとった死神たるジョン・ウィックが、砂漠の陽光の中を彷徨うシーン。印象的でした。[インターネット(字幕)] 8点(2024-03-31 07:41:52)《改行有》

19.  ショッカー(1989) 神出鬼没の殺人鬼。 夢に出てくる、ってのはあったけど、あんな全身ただれツメ男ではなく、こちらはただのハゲ親父が殺人鬼で、テレビに出てくる。じゃなくて、テレビから出てくる。それだけだと貞子みたいですが、このハゲ親父、むしろテレビに入っていく方が得意のような。 最初からそんな特殊でアホな能力がある訳ではないんですが、途中からそういう、アホな展開。このデタラメさが、いや、たまらん。 時代を超えて、テレビに映るあらゆる場面に闖入し、オマエはフォレスト・ガンプか、と。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-29 21:53:23)《改行有》

20.  シマロン(1931) 《ネタバレ》 やはり見どころは、土地争奪戦の大レースを描くスペクタクルシーン。ですがこれが冒頭にいきなり配置されているもんで、映画がこの先、持つのだろうか、と。 この後、主人公を取り巻く様々な事件が描かれ、さらには主人公自身も物語から姿を消してしまうという、まさかの無責任行動に出てしまうのですが、気が付いたら冒頭のレースから40年の歳月が流れてる。何も無かった荒野に、だんだん町が建設されていって、その様が圧巻。住む人も増えていき、往来を行く人々、教会に集まる人々、裁判を傍聴する人々、あちこちのシーンで大量のエキストラを動員し、規模感を表します。 そして40年後、町はビルが林立する大都会となり、主人公が開始した新聞社も大会社に。 この光景を見せられると、さすがに何だか、しみじみしてしまいます。これぞまさに、ザ・隔世の感。 この現代でも、40年前と比べると、世の中激変したよなあ、と思っちゃうのだけど、この映画を見てると、ここ最近の40年って、比較的変化が少ない方だったんじゃないか、とすら思えてきます。でもこれって、この映画で描かれた変化ってのが、建築系・インフラ系の変化だから目に見えてインパクトがある、ということであって、一方、近年の変化はハードではなくソフトウェアの発展、なんですね。半導体による集積回路技術が発展して、これに伴い情報技術が発展して。だから、19世紀から20世紀にかけての変化と20世紀から21世紀にかけての変化とは、単純には比べられないのですが。 ただ、映画のラストは、ほぼこの映画が作られた時代、まだまだ開拓時代と陸続きみたいな時代だったんだなあ、と。レースでもやるしか、土地の所有権を決められなかった、未開拓の時代。その影では先住民が僻地に追いやられ、土地を奪われてた、そんな時代。それが(いささかキレイに描き過ぎかも知れないけれど)先住民の女性を「息子の嫁」として堂々と人前で紹介できる時代になった、と。 かの時代、銃撃戦に巻き込まれてひっそりと命を失っていった少年の姿が、印象に残ります。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-21 22:36:23)《改行有》

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