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プロフィール
コメント数 3878
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ホーンティング もともと『スピード』の時から、ヤン・デ・ボンという人は監督業には向いてないんだろう、と思ってたんですが、実際、ああいうネタ自体の企画の良さというアシストが無いとたちまち馬脚を表し(いや、『スピード』も充分ポンコツだけど)、監督業からはフェイドアウトしてしまいました。『スピード』以上に、スピード感のあるキャリア。 で、監督としてのキャリアの最底辺に位置するのがもしかしたらこの『ホーンティング』ということになるのかな? 『スピード2』とどっちが下か? とか、まあ、そんな事はどうでもよくて、個人的には(極めて個人的には)『ホーンティング』は割とイイと思っちゃうんですけどねえ。そんなこと思っちゃって、すみません。 正直、物語と言えそうなものは殆どなくって、古い屋敷における怪異が、いかにも地味~なテイストで描かれます。ホラー映画ではよく、思わぬタイミングで突然誰かと出くわして一瞬ビックリ、なんていうカマシのシーンがありますが、そういうのもこの作品では、皆無とは言わぬまでも相当に控えめ。登場人物の数もごく少なく、殺され要員みたいな若者いないため、スプラッタ方面に走る余地もなく。何というか、ゴシック調のダークファンタジー。 で、ストーリーテリングという重荷が外れたせいなのかどうなのか、これだったらヤン・デ・ボンにだって撮れちゃう!ってな感じで、思いつくまま気の向くまま、何となく怪異らしきものがダラダラと、じゃなかった、点描的に描かれていきます。ガランとした広大な屋敷の雰囲気、飾られた肖像画のあやしさ、等とも相俟って、なんかいい感じ、ついつい引き込まれ、これだったら何時間でも見てられるなあ、と。いやホントにこのペースで3時間も4時間もやられるとツラいとは思いますが、それでもこの雰囲気は、なかなか。ピーター・ハイアムズのように撮影監督を自分で兼ねよう、という訳ではなく、別の人に撮影を任せてはおりますが、ヤン・デ・ボンの撮影監督としての出自が、この雰囲気作りに活かされているのでは(・・・と、信じたい)。 一応、まったくストーリーが無い訳ではなく、映画としてそれなりにオチをつけるけど、正直、そこはどうでもよくって(ああ、言ってしまった・・・)。怪異を並べるための、方便。それを描くCGのクオリティも、当時としては上々の部類と言ってよいのでは。技術の高さというより、見せ方のうまさ。 話はかわりますが、ヤン・デ・ボンという名前を聞くと未だになぜかゴジラを連想し、「アメリカ版ゴジラ」という言葉を聞くとなぜかヤン・デ・ボンの名前を連想してしまいます。実在しない映画、実現しなかった企画。いや正直言うと、「ヤン・デ・ボンがゴジラ映画なんて勘弁してくれ」と思った記憶もあるのだけど、それでも今となっては(アメリカでも普通にゴジラ映画が作られるようになってからは特に)、エメゴジも嫌いじゃないけどデボゴジってのも見てみたかったなあ、と思うのでした。ストーリーなんて、要らないから。 余談だけど、この『ホーンティング』の撮影監督であるカール・ウォルター・リンデンローブって人、実はエメリッヒ組だったのね???[インターネット(字幕)] 7点(2024-01-08 07:25:15)《改行有》

2.  ホドロフスキーのDUNE 結局は製作されなかった実在しないSF超大作を、「まさに傑作である」とドキュメンタリ冒頭からやたら誉めそやす。これだけでも充分、聞いてて不安になってきますが、その後続く証言を聞いているうちに、その熱量に圧倒されて、不安も消し飛んでしまいます。もっとも、実際には作られなかったんだから、不安に思う必要は無いのですが。 しかし、いやコレ、もしも作られちゃったりしていたら、大変な事態に陥っていたんじゃなかろうか、このホドロフスキー監督作の『DUNE』。ヤバそうな臭いが、プンプンと。 自分が目指すのはあくまで芸術だ、ということで、芸術のためなら採算度外視、成算までも度外視・・・という訳にもいかず、サルバドール・ダリ相手のギャラ交渉のくだりではチャッカリしたところも見せるけれど、基本的にはすべてが規格外。このとんでもないプロジェクトには、仲間となる「戦士」が必要だ、ということで、各界に手を伸ばし、仲間に引き入れるべくアタックする。そのメンバー選定が、話を聞く限り、なんだかその場の思い付きに過ぎないようにも思えてくるのですが、思い付きであろうがなかろうがとにかく、これぞと思えば早速アタックし、次々に仲間に引き入れてしまうこの情熱と行動力。恐るべきものがあります。 早く誰かが止めなきゃいけなかったのかもしれないけれど、誰も止めず、あるいは止められず、ホドロフスキーの妄想は、具体的な形を伴ったものとなっていく。商業的には絶対に大コケしそうなこの企画、芸術的にも「?」な感じが拭えないこの企画、このまま行くとあわや実現しかねないところで、結局ストップがかかってしまい、幻となってしまう。芸術のためなら一切妥協しないという姿勢が、プロジェクトをここまで進めた原動力でもあると同時に、それを葬ってしまった原因にもなっている訳で。必然と言えば必然のような気もするけれど、それを思うと、あのナゾの「太陽の塔」を建設する一大プロジェクトをまとめ上げ、完成させた岡本太郎は、やっぱり凄い人だったんだなあ、と。 この作品、ドキュメンタリ映画というよりは、メイキングビデオを見せられている感もありますが、普通のメイキングと違って、本編を我々は見ていないし、そもそも見ることができない、という点で興味をそそられるし、聞けば聞く程とんでもないこの作品に、ついつい思いを馳せてしまいます。インタビュイーであるホドロフスキーが話しているうちに興奮していく様を捉えているのがまた、面白くて。冷静な中にも残念そうな気持ちを垣間見せる息子との対比。 この企画が、いかにその後の大ヒット超大作に影響を与えたか、というくだりは、要するに「パクられた」と言っているのですが、これまたこじつけのようで胡散臭くて、しかし言われてみればそうかも知れない、とも感じさせて、これもまた妄想の楽しさよ。[インターネット(字幕)] 7点(2023-09-03 07:22:37)《改行有》

3.  誇り高き男 ベテラン保安官と若者との組み合わせ。鉄板ネタという感じですが、中でも、二人が射撃の練習をするシーンにおける不穏な空気、緊張感は、出色と言っていいでしょう。何かが起こりそうな、何も起こって欲しくないような、いや何か起こらなきゃツマランだろ・・・。 作品自体は多少、スロースタートなところがあり、序盤はもう一つノレないのですが、ジワジワと盛り上がってくる。主人公がしばしば視覚に異常を感じるあたりの展開もちょっとユニーク。主演のロバート・ライアンはそんな歳でもないと思うんですが、単なる老眼じゃないの、と思えてしまったりはするのですが(いやこれ、人間、歳食ったら、びっくりするほど見えなくなるもんなんですよ!)。 主人公のイマイチ煮え切らないところも、若造の単細胞ぶりも、クライマックスに向けて盛り上げるため。いっそ『狂った野獣』の渡瀬恒彦なみに視覚がメチャクチャになったらさらに盛り上がったりして? いえいえ、品があるのが、こちらの作品の良さですから。[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-05-07 08:26:21)《改行有》

4.  星のない男 カーク・ダグラスの魅力。というか、チャラさ、ですね。チャラ男。 陽気に歌って見せたり、曲芸のごとき見事なガン捌きを見せたり。器用で調子よく、天真爛漫。こういうヒトは、合コンの席では一番目立つけど、最終的にはモテないタイプだと思う。いや、最近の合コンがどんな雰囲気かは知らないので適当な事を言ってますけども。髪型もバッチリ決まっていて、鋼鉄のごとくガチガチに髪を固めているかのように見えますが、頭を掻きむしると一応ボサボサにはなるんだなあ、と。 そんな彼にも一応は暗い過去、とまでは言わなくとも、体と心にかかえた古傷があるらしい。そんなとってつけたような弱みなんか、どうでもいいでしょ、と言いたくもなるのですが、これはこれで重要な物語のポイント。有刺鉄線に対する嫌悪感。 そんでもって、彼を取り巻く2つの勢力がそこにはあるのだけど、この両者、どっちもどっち、という感じ。管理経済をとる有刺鉄線派か、それとも自由経済を標榜しつつ傍若無人に牧草を食い荒らす反・有刺鉄線派か。主人公にしてみれば、前者の有刺鉄線は嫌いだし、後者の連中はさらにイケ好かないし、と言う訳で、勧善懲悪路線ではない、微妙な力学の上に物語が成り立っているのがユニークなところ。ラストは元祖(?)有刺鉄線デスマッチへ。 この作品、画面に「遠景」がダイナミックに取り込まれていて、広大な牧草地帯、牛の群れ、といった光景がまた、大きな見どころになっています。[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-05-03 10:24:20)《改行有》

5.  ポリスアカデミー かつてTBS系列で放送されていた月曜ロードショー、曜日が移動して20~22時という気色の悪い時間帯になった途端、このポリスアカデミーシリーズばかりを狂ったように放送していた、という印象があって。実際には他の映画もたくさん放送していた(だから多分、金曜ロードSHOWにおけるジブリ作品ほどではなかったと思う)のですが。ほぼ惰性で放送されてるような状態で、我々にも「見ない」という選択肢はあったはず、にも関わらず惰性で見続けて、正直、どれが何作目か、よくわからん。でもシャロン・ストーンが4作目というのは何故か覚えてる。 そのシリーズの記念すべきか記念せざるべきか、とにかくその第1作。いくら作品ごとの区別がつかないと言っても、さすがに1作目は、随分久しぶりに見たけど、そうそう、これだよね、と。しかも残念ながら、意外にオモシロい(笑)。 まあ、ショートギャグ集みたいな作品ですからね。それなりに楽しめちゃいます。 80年代らしい、と言えばこのシリーズほど80年代らしい作品も無いのでは。というのが、当時10代だった私の印象。[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-09-25 17:16:59)《改行有》

6.  ポセイドン・アドベンチャー2 《ネタバレ》 第1作の直後から物語は始まります。ポセイドン号に積まれていたお宝目当てに、ノコノコ船内に入っていくマヌケな連中のオハナシ。 彼らをを見ていると、ポセアドで強引にもう一発儲けてやろうという、この映画の製作陣の姿(って言うか、要するにアーウィン・アレン)が重なってきます。 ここまでやるんなら、ジーン・ハックマン復活もアリだろうと思うのですが、そこはそれ、こういうカスネタには、やはりマイケル・ケインが似合います。そういや、なんでマイケル・ケインかと思ったら、『スウォーム』に続いてのアーウィン・アレン作品出演、ってのもあるんですね。 という、「サイテーな続編」という称号があるのならトップレベルに位置するであろう、このポセアド2ですが、最初の方(最後も)で登場する、逆さまになって浮かぶポセイドン号の船底、これはなかなか壮観です。ただ、明らかに傾いた状態で浮かんでいるのに、船内シーンでは綺麗に180度ひっくり返って、全く傾いた気配がないのは、これいかに。 しかしそこはマイケル・ケイン、こんな映画でも頑張ります。泳いでずぶ濡れになれば、まさに水も滴るイイ男。『アシャンティ』でも『アイランド』でも泳いでたよね。いやホント、この役は彼以外には考えられません。 そして、「絶対このヒト、いい人のワケがない」 というオーラを出しまくってるテリー・サバラス。この全く意外性を求めていないキャスティングが、潔いです。と、褒めるべきところなのか、どうなのか。 船内に潜り込んだはいいけれど、容易には脱出出来なくなり(何の危機感も感じられないけど)、その彼らの前に三々五々、に生存者が現れて、もう誰が誰やら、どうでもよくなってくる。じゃあ一丁、銃撃戦で盛り上げましょう、と張り切るテリー・サバラス一味、いよいよ事態はカオスに突入し、収拾がつきません。 とりあえず、珍味である、とだけは言っておきましょう。 しかし、このラストを受けてなお、ポセアド3を作ろうという度胸は、さすがに、持ち合わせてなかったんですかねえ。残念。[インターネット(字幕)] 6点(2021-05-15 20:25:05)《改行有》

7.  暴走特急 列車映画に、ハズレなし。ただし例外多数。どっちやねん。 列車が舞台と聞くと、なんだかワクワクするんですけどね。しかも「暴走」ってんだから。もっとも本作、ちっとも暴走してませんけれども。ユルユルと走り続ける列車を、テロリストが乗っ取る。そして乗客を人質にとる。ホントはターゲットの人物だけを誘拐して暗証コードを聞き出せば用は足りそうな気もするのだけど、そこは沈黙シリーズ、わざわざ列車ごと乗っ取って、乗客にたまたま混じっていた暴走コックに、わざわざヒドイ目に合わされる。セガールアクションの開幕です。 列車を用いたアクションのいいところは、屋根に乗ったり側面にしがみ付いたり、通常とは違う「列車の乗り方」が楽しめるところ。本作でもそういうシーンが描かれはするのですが、しかしこれがどうも緊張感が無く、単にセガールが列車の屋根をトコトコと自由に行き来するばかり。どうも、列車という1次元的な舞台の中でダイ・ハードもどきをやろう、という企画自体に無理が感じられます。 緊張感が無いと言えば、そもそも敵の首領が、狂気も感じさせなければ冷酷さも感じさせず、まるで悪役感がありません。ノリはほとんどコメディです。さらには、人工衛星を用いた大量殺戮が、わずかなミニチュア爆破シーンに過ぎなかったり、モニタ上で消滅する「記号」に過ぎなかったり。ワル者のワルいところをしっかり描かんで、どうすんだ、と。いや、一応はテログループに約1名のみ、強そうで冷酷そうなヒトがいましたけれども。 暗証コードを聞き出す場面などでも、むやみに人を巻き込まずむやみに人を傷つけない、テログループの面々の心優しさが出ておりましたが、敵がセガール演じるケイシー・ライバックだと知ってビビりまくるあたりは、チト情けない。そのくらいセガールがスゴイということですかね。しかし、それまでにすでにさんざんヤラレてるのに、クライマックス直前でさらにビビるなんて、悪役にあるまじき態度。虚勢でもいいので、盛り上げて欲しいですな。 セガールが強すぎるもんで、格闘技を伝授されたらしい彼の姪はさほど活躍することもなく、チョロチョロと動き回る助手的な存在のポーターに至っては、ほぼ存在感ゼロ。一番の見せ場のはずの、列車外でテロリストの一人と対峙する場面では、信じられないポカをやってみせる上に(この場面、いったいどういう脚本なんだ?)、顔に木の陰が落ちていてマトモに撮影すらしてもらってません。 とか何とか、このテの映画に文句を言い続けるのも、およそ筋違いな気もだんだんしてきて、頑張ってホメるところを探せば、不可能ではない気もまたしてきたので、頑張ってホメてみます。 中盤、迫りくる敵をミラーごしに描写する場面、これはなかなかイイですね。その後、セガールが照明弾を発見するも、それをすぐに使用しないで後々まで取っておくのもイイです。007映画も、Qが渡したほぼ用途不明のナゾの秘密道具を、いつどこでボンドが使うのか(もしかして使い切れないのではないか)、ってのが楽しみなワケで。 あと、列車が走る雄大な峡谷の景色もイイなあ、と。ただ、多くのシーンで空がどんより曇っているのが残念で、この景色はやっぱり青空を背景に見たかったなあ、と思っちゃうのは、考えが古いんですかねえ(一部、青空もあって、そういうテキトーな不統一感がまた、このテの映画「らしさ」でもあるのですが)。[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-05-04 10:28:23)《改行有》

8.  放射能X 登場する巨大な蟻は、要するにハリボテなんだけれど、だから動きもイマイチなんだけれど、銃で蜂の巣にされてガクッと絶命してみせたり、火炎放射で焼かれて炎に包まれながら悶えてみせたり、といった描写が、モンスターに魂を吹き込んでいます。 砂漠での騒動が、都市へと舞台を移動して広がりを見せていくのもワクワクさせるし、軍の描き方とか、戒厳令の発令とかには、第二次大戦後から冷戦に向けての、今とは違った時代の雰囲気を感じさせるものもあります。 ただ、ラストはちょっと物足りないですかね。これで危機は去った、というのを説明ゼリフで示しただけ、という形になっちゃってるので。[インターネット(字幕)] 7点(2021-03-06 21:45:27)《改行有》

9.  ボーダーライン(2015) 麻薬組織と捜査官との戦いを描いた作品、なんだろうけれど、主人公のエミリー・ブラントが終始、蚊帳の外に置かれたような立場であるのが、この作品の一風変わったところ。だもんで、ストーリーがあるような無いような。だけど、ひたすらヤバい、ということはヒシヒシと伝わってきます。そして、実は、思ってたよりもさらにヤバかった、という展開に。 作品にモヤモヤとしたつかみどころの無さみたいなものがある分、クライマックスはなかなかに衝撃的です。 ベニチオ・デル・トロの存在がやたら不気味で、まるで、深奥からこちらをのぞき込んでくるような表情。闇に引きこもうとするような、あるいは逆に光をはねつけるかのような。 終盤近く、部屋にいる彼の後ろのキッチンに灯りがともっていて、その分、手前にいる彼の表情には影が差しているのだけど、彼が主人公の方に近づいてくるとき、それはより明るい側へと歩み寄っているにも関わらず、彼の纏う闇はさらに色濃くなっていて、その表情もまたさらに闇に閉ざされる。 日常と闇の世界との境界、というものを象徴的に描いたような作品でした[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-23 21:30:54)《改行有》

10.  ボーダー(1982) 国境警備隊のオハナシ。なぜ国境を守らないといけないかというと、メキシコから麻薬を持ち込むけしからんヤツがいるから、というケースもあるにはあるんですけれども、生活のためにやむを得ず国境破りをする貧しい人々が、そこにいて。 一方のアメリカ側から見れば、ここは辺境の地。主人公の奥さんは、都落ちの勢いもあってか、ベッドだのプールだのとプチ贅沢を始めて、主人公をいらだたせる。庭でのパーティでは、主人公だけがバーベキューの準備をさせられて、これもイライラ。いやまあ、「贅沢の限り」というワケじゃあない、ちょっとした浪費なんですけれども、国境の向こうでは貧しい生活がある一方でこのプチ贅沢。砂埃にまみれた田舎町における、微妙な対比が、ちょっと切なくもあるのですが。 例によって例のごとく、この辺境の地では辺境ならではの腐敗があり、ますます、何のための国境警備なのか、という思いにとらわれてしまう中で、誘拐事件が発生し、主人公がついに立ち上がるクライマックス。 社会派っぽい内容なので、あまり荒唐無稽なアクションは楽しめませんが、それでも、舞台が舞台だからか、それともウォーレン・オーツが例のウォーレンオーツ顔で登場するせいか、少し西部劇の趣きも無くは無く、作品の魅力になっています。[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-11-17 12:59:32)《改行有》

11.  僕のワンダフル・ライフ 《ネタバレ》 シッカンはその後どうなったのか、HACHIはその後どうなったのか、というオハナシですかね。 イヌの一生が描かれ、別のイヌに転生してまた描かれ、そんでもってラストには、すっかりダメ親父っぽくなってしまった元の飼い主の元へと回帰する。テンポのいい演出は、コミカルな味わいがあって、「死」を扱っていながらも物語を暗いものにはさせません。普通ならもう少し感動を煽るような場面、「このままもうちょっと浸りたい」と思わせるような場面でも、アッサリとケリをつけて、サバサバと物語を進めていき、立ち止まることはありません(なにせこのイヌ、死んでも死んでも決して物語は終わらないので)。 物語の最後に転生したイヌは、図体がやたらデカくって、ラストのあの見せ場であるジャンプシーンではもう一つジャンプ力が足りない(もっと華麗に跳んで欲しかった?)ような気がしないでもないのですが、それもご愛敬。 まあ、飼い主の方も歳をとって、遠からず、今後は「永遠の別れ」になるのでしょうけれど。[地上波(吹替)] 7点(2019-10-12 11:36:38)《改行有》

12.  北海ハイジャック 北海の石油プラットフォームに爆弾が仕掛けられ、武装グループが大金を要求。それに立ち向かうは、ロジャー・ムーア率いる精鋭部隊。とくればもう、ナンボでも見どころ盛り上げどころを入れられそうなもんですけれども。よくもまあ、ここまで地味に仕上げたもんです。 そもそも精鋭部隊には見えないオッサン集団、である上に、冒頭のチンタラ訓練シーン以外は、終盤まで出番がなく(終盤も大して活躍しない)、親分のロジャー・ムーアだけが、ひたすらエラそうにふんぞり返ってるだけ。その姿は、「推理もしない安楽椅子探偵」とでもいいますか。 しかし、ノーマン・ベイツが(じゃないけど)占領したエスター号の操舵室のシーンなんか、これこそスタジオで適当に撮影しても何とかなりそうなもんなんですけど、どうやら、本当に大揺れしてる船の上で撮影したみたいな臨場感。こういう部分は、いいですねえ。さらに嵐も加わってきたりなんかして。 最後まで地味一直線、かと思いきや、ラストで苦し紛れの危機一髪ハラハラシーンを準備しており、おいおい誰がいまさらこんな演出でハラハラするかよ、と言いたくなる気持ちもあるのですが、「ここでハラハラしないと、他にハラハラするところ、無いヨ」と言われている気がして(「酒井くにお・とおる」とか「テント」とかのネタですね、これは)、一応、ハラハラしておくのでした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-07-22 20:38:27)《改行有》

13.  暴動/バトル・プリズン タイトルから予想されるように、ムキムキでガラの悪いひとたちがたくさん出てくる映画なのですが。ただ、舞台となっているこの刑務所、どういうわけか女子刑務所が隣り合って(?)いるので、一本の作品で女囚モノも楽しめるという趣向。いや、すばらしい。 看守たちが皆、完全防護服(ジェイソンXみたいなヤツ?)を着ている、物々しい雰囲気の刑務所。そこに今日も新たに囚人たちが送られてくるのですが、その一人が本作の主人公。元警官で、しかも同僚の警官を殺した罪、ってことなんですが、作中に挿入される回想シーンの断片から、彼の過去と隠された目的が徐々に明らかになっていくという趣向。もちろんムキムキ。ただ、顔がいまいちシマらないというか、オッサンくさいというか。 先輩囚人のひとりに、いかにもウドの大木といった感じのおっさんがいて、これがドルフ・ラングレン。もちろん普段のウスノロぶりは仮の姿で、しかもなぜか主人公を陰に日向にサポートし・・・って、これじゃあ何だか、低ギャラ版『大脱出』みたいですなあ。でもコチラの作品は、ちょっと美人の女囚のおねえさんがいて、ちょっと華があります。 で、まあ、見どころはというと、ひたすら格闘・乱闘で、狭い監獄内で暴れまくるだけに、映像に、迫力はたしかにありますけれども、正直ゴチャゴチャして雑な印象。演出に工夫が無いのを出演者が体を張って補ってる、ってな感じでしょうか。 刑務所の外には、主人公を支える女性記者がいて、正直、物語の上では大して役に立ってないような気もしてくるんですが、この女性記者すらも最後は敵に襲われて、格闘してみせる。まさに格闘こそが本作のサービス、何でもいいからとりあえず格闘で作品を埋め尽くそうというこの姿勢には、呆れつつも少し感心してしまいます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-01-21 20:58:41)《改行有》

14.  ホビット/決戦のゆくえ いよいよ一大決戦が描かれる、という趣向なんでしょうけれど、さっぱり盛り上がらず。 「あ、何だろう」とか「何が起こるんだろう」というタメも緊張感もなく、モンスターどもがサッサと姿を現してはサッサと斃されていく、その繰り返し。 そもそも、ここまでの2作で、さほど大風呂敷を広げていた訳でもないので、物語が収束する快感も乏しいし。 映画ではなく、ただただ「CG」を見せられている感じです。 ところで、第2作の最後を途中で打ち切って、ドラゴンとの戦いを第3作のアタマに持ってきたことについては、賢明といえば賢明なんでしょう。このあっけない最期を第2作のラストにもってきたのでは、確かに収まりが悪いかも。第3作の前フリとしては、よろしいかと。[CS・衛星(吹替)] 3点(2017-01-22 09:40:42)《改行有》

15.  ホビット/竜に奪われた王国 三部作の真ん中の第二作なんてどうせ、中途半端なところで終わるんだろう、と思っていると、やっぱりその通り。 一応、正味2時間半もあるんだから、少しは物語が進むかと思ったら、これはさにあらず、ちいとも物語が進んだ気がしない。「竜が出た」って事実さえ分かれば、別にこの第二作は無くっても構わないんじゃないの、という気もしてくる。 だけど、表面的な見栄えという事に関しては、よくぞここまでやるなあ、と。CG使えばここまでできます、っての(だけ)を連発し、2時間半持たせてしまう、これはこれで一つの芸なのかな、とも思います。 とりあえず、急流すべり好きの方には、ご満足いただけるでしょう。[CS・衛星(吹替)] 6点(2017-01-12 22:45:18)《改行有》

16.  ボーン・アルティメイタム カッコいい映画、ではあるんでしょう。駅の雑踏の中で携帯電話をつかったコンタクトや、街中で突然展開されるカーチェイス。ただ、正直、ストーリーはもうネタ切れじゃないですか、これは。世界各地を舞台にイロイロやってるけど、オハナシはあまり先へ先へとは繋がっていかず、どうも何を描きたいのかよくわからない。主人公のアクションもそりゃカッコいいけど、建物や自動車のガラスをこうも何度も突き破ってみせられると、他にやることないのかよ、と。 で、どうもこの映画は、ただの追いかけっこ映画であって、これといってストーリーと言えるものがないんじゃないか、と思えてくる。そう思えてきつつも、「自分が誰なのか」というこのシリーズの結末を、最後にはちゃんとつけてくれるんだろう、と思っていたら。 なーんか、とってつけたような結末なのでした、とほほ。[CS・衛星(吹替)] 5点(2016-11-19 16:03:11)(良:1票) 《改行有》

17.  ボビー・フィッシャーを探して ボビー・フィッシャーを探してもそりゃおらんワケだ、まさか日本に行ってたなんて、ね。 ってのはさておき、チェスという頭脳戦を、映画にどう描くのか。どうしても、こんな風に、むやみに速い駒の動きと駒の音、って事になってしまうのでしょうか。こういうの見てると、どうしてもそんなにアタマ使ってないように見えちゃうんですけどね。 子供を主人公にして、その子供にあまり目立った演技をさせない、これは、成功しているように思えます。 できれば、その目立たない表情の中に、チェス盤に向かう視線をもっとしっかりと(その力を信じて)描いてくれれば、あんなチャカチャカしたチェスの動きでは描ききれない、そのゲームの持つ深み(って言っても私はサッパリ馴染みがないので、どのくらい深いのか想像もつかないけど)を、我々にもっと感じさせてくれたのでは、という気もします。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-10-24 15:04:58)《改行有》

18.  ホビット/思いがけない冒険 洞窟でビルボと話しながらこっそり石を手にするゴラム、ああこの後どうなるんだろうか、ってのがサスペンスであって、オモシロい映画というものにおいては、こういった場面の積み重ねが我々をワクワクさせると思うんですけれども・・・・・・本作、上述のシーン以外にあとどのくらい、こういうサスペンスを感じさせるシーンがありますかね?? どうも単調。敵の襲撃を受けるシーンなんかでも、味方の様子と敵の様子とを同じように描いて、戦況はわかるけどサスペンスが無い。敵がいつ襲ってくるんだろう、どこから襲ってくるんだろう、などのワクワク感の無さ。そもそも、切れ切れのエピソードを単調に積み重ねていく構成自体、難しいものがありますね。最初の方、旅の仲間が集まってくるあたりのエピソードをあんなに時間かけて描くのは、ある意味とても几帳面、ただし何のための几帳面さなのやら、そこがよくわからない。ただこうやって几帳面にエピソードを積み重ねて3時間近い尺を埋めて見せ、確かに退屈するほどではありませんが、やっぱり3時間弱は必要ないでしょう、と。[CS・衛星(吹替)] 6点(2015-04-26 08:35:04)(良:1票)

19.  ボルト 一人合点の独白を繰り返すボルト、何だかバズライトイヤーを思い出させるし、はたまたテルマエロマエの阿部寛にも通ずるものがありますが。イヌにしてはちと「しゃべり過ぎ」かな、という気もいたします、ストレートなセリフはも少し抑えてもよかったかと(一方で、一見ドンチンカンなライノのセリフは、いい味出してます)。それでもこの作品がイイのは、井の中の蛙だったボルトが「外の世界を知る」という形をとっているようでいて、実は外ではなく「中」を知る話だったということ、ウソの世界の中にあったホントの「ペニーの愛」を見出し、自分の中にあったホントの「勇気」を見出すオハナシだった、ということですね。まあそれにしても、ペニーに愛されなかった“新・ボルト”くんの雑魚キャラぶりは、誠にお気の毒でしたが。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2015-03-11 22:44:21)(良:1票)

20.  ポンペイ 身分の違う男女の恋、二人の仲を権力をカサに着て邪魔しようとするヤな男、さらにそこに降りかかる大災厄。ああ、どうしても結局は『タイタニック』みたいになっちゃうのね、と言いたくなる本作ですが、これがまた、なかなか珍作なのでした。そりゃまあ一応は、火山の噴火が映画の中心には置かれており、そのスペクタクルが一番の見どころとなるようにはなっていますけれども、それが何だか形だけ、とでもいいますか。火山の噴火までは、主人公である剣闘士の戦いで盛り上げてやろう、というサービスかと思いきや、映画の関心が最初から最後までそこにあって、イザ、せっかく火山が爆発しても、何だかうっちゃられている感じ、いわば背景の打ち上げ花火。完全に意匠に過ぎないスペクタクルをよそに、主人公たちは平気な顔をしてノビノビと人間同士の戦いを繰り広げている。そして時々、思い出したように火山が映し出されて「ああ、まだ一応噴火してたのか」と。なんだこのアプローチは、と、ある意味、新鮮でした。それにしてもキーファー・サザーランド、バカ殿みたいな役が似合いますね。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-03-08 08:29:03)

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