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プロフィール
コメント数 3872
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  未来は今 観終わって「これだーっ」って大喜びした映画です。これは、ほんとに、オモシロイ。他のコーエン作品と微妙に異なるバカバカしさがあるのは盟友サム・ライミが脚本に参加してるからでしょうか?10点(2003-06-22 13:54:02)

2.  セルラー これは面白い、面白すぎの一本。ですがそれもそのはず、原案がラリー・コーエン。このヒト、こういう面白い事を思いつくんだから、悪魔の赤ちゃんなんか3本も撮ってないで、こういうのこそ、自分で監督すればいいのに。と思うのですが、多分、このヒトには監督も脚本も任せない方がいい、ってことなんでしょう。自分で撮ったらおそらく、怪作の部類に入ってしまう・・・。 平和な家庭に、いきなり悪党どもが闖入し、家にいた母親が誘拐されてしまう。監禁された部屋には壊された電話機。この母親、理科教師ということで(こういう風にいちいち設定を活かそうとするのが楽しくもまたイヤらしいところですが)、電話機を何とか復旧しようと試行錯誤、その結果、どこかの誰かさんの電話に回線を繋ぐことに成功するのですが、その繋がった先というのがよりにもよって、とんでもなく軽薄な若造のケータイ電話。 すでにこの設定で映画を作ろうという事に無理があり、とりあえず面倒くさがりながらも警察に駆け込んで一件落着、というところなのですが案の定、うまい具合に都合よく、というかうまい具合に都合悪く、警察署で揉め事が発生したり、不自然に電波が弱くなったり、「逆・ご都合主義」でグイグイ物語が進んでいきます。なにせ、ケータイの持ち主が軽薄なテキトー男、こういう人には物語にブレーキをかけることなど、不可能です。無理があっても、こういう人が率先して物語を転がしていき、スピード感を高めていきます。 そりゃ、もう少し脚本の穴を繕うことだってできなくは無いんでしょうが、重要なのは、この勢い。クリス・エヴァンス演じる軽薄兄さんの暴走に、脚本家も監督も、そして我々も、覚悟をもってついていくしかありません。欲も無ければ私怨もない、ただただ、巻き込まれた運の悪さに、こんな人を巻き込んでしまった運の悪さ。ひたすら、映画は突っ走っていきます。 そこにブレーキが掛けられるのはただ一人、警察官のウィリアム・H・メイシー。いや、こんな頼りない人に、この暴走映画を止めるなんて、無理でしょう。その彼が、この物語にどう関わるか、どう食い込むか。 あのイヤミこの上ない弁護士。このイヤミっぷりは実にお見事ですが、そのイヤミを以てしてもブレーキをかけるどころか、物語はさらにさらに加速して。 終盤まで危機また危機の連続、サービスし過ぎで、かえってここだけフツーの映画っぽくなっちゃった面もありますが、そこまで言うのは贅沢かな。いや、面白かったです。[インターネット(字幕)] 9点(2024-05-06 15:03:06)《改行有》

3.  馬を放つ 《ネタバレ》 主人公のオジサン。結構、普通のヒトなんですよね。ツケで茶を飲んで、ついでに店の女性と浮気寸前、なんとか踏みとどまったりして。ちょっとした事件もある、普通の日常。 一方でオジサンは、他人が飼ってる馬をこっそり逃がしてしまう、という妙なクセがある。もちろんこれは犯罪。しかし、その背景には、馬とともにノビノビと暮らしてきた、遊牧民としての民族性みたいなものが、オジサンの心の一角を占めている、というのがあって。 民族の誇り。それは別に、意味も無く自分たちを持ち上げて自慢することなんかじゃない(そこは勘違いしちゃいけない点)。先祖から受け継いだものに対する、責任感、とでも言えばよいか。 しかし、誰もが同じ責任感を共有している訳じゃなく、時代は変わり、価値観も変わり、揺らぎが生じる。オジサンはいささか、ラジカルに過ぎたのかもしれない。けれど、それをただ排除すればいいのか? オジサンの正体は、実はこの映画の監督さんで(笑)、やはり、祖国の美しい景色を、飾ることなく在るがまま、しかし真摯に映画へと焼き付けています。主人公が映写技師だったというエピソードもまた、映画愛の表れのようでもあり、フィルムに収められた「古き良き時代」(イヤでもここには「良き」が付いてしまう)に対する郷愁の表れのようでもあり。 ラストは一種の悲劇、ではありますが、イマイチ頼りない主人公の息子が、主人公の何かを受け取ったのかもしれない、ということを微かに感じさせて、映画を締めくくります。[インターネット(字幕)] 9点(2022-03-13 12:30:35)《改行有》

4.  メトロポリス(1926) なーにが「ヨシワラ」だよ(それとも「ヨシヴァラ」とでも読むのか?)とは思っちゃうんですけどね。 しかしまあ古典的名作、ですから。 という以前に、凄いんです、モーレツなんです。エゲツない。 全編、物語というよりも、舞踏。 超現実的な舞台で、超現実的なパントマイムが、整然と繰り広げられる。 その整然とした秩序が、後半、混沌の世界と化していく、その様は、まさに壮大なる崩壊。 例えば交響曲なんかの世界で、「闘争から勝利へ」とか「混沌から浄化へ」なんて言ってきたわけだけど、そういう世界観では表現できなかったものが、ここにある。そういう世界観が茶番となってしまう、如何ともしがたい時代がやってきた、ということでもあるんだろうけど。 革命児ベートーヴェンにも出来なかった世界。マーラーは薄々ヤバいと思ってたんだろうけど、でもここまではやらなかった。 いうなれば、崩壊こそが浄化。いやはや。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-06-10 00:13:28)《改行有》

5.  明りを灯す人 舞台は中央アジア・キルギス共和国の、とある村。主人公は、その村で電気工事をやってる、いかにも朴訥としたオジサンですが、このヒトがこの映画の監督さんなんだそうで。こういう見事な作品を作るヒトが、こういう顔をしてるってのが、意表を突きますね。電気を引き明りを灯す、といのはいわば文明の第一歩。村の“はいてく”担当であるところのこのオジサン、電気の扱いにこそ慣れていても、別にインテリでも何でもない。自分に息子ができないことを悩んで、友人にトンデモない依頼をしたり、妙な事を信じて感電死しかけたり。その一方でオジサンは、風力発電なんぞにも取り組んで、彼なりの夢や希望を持っていたりもする。で、そんなオジサンの日常がそのまま続けばよいのだけど、村の外にはオジサンの知らない世界が広がっていて、その世界は、オジサンが村に文明をもたらすのよりもずっとずっと速いスピードで動いている。そしてその世知辛い外部の世界と接したら最後、元には戻れない……まるであの「遠くを見たかった」という子供が、木から降りられなくなったように。そして待ち受ける暗い運命、それは中盤のヤギを奪い合う競技で予告されていたり、冒頭シーンが思わぬ形で後のシーンに繋がったり、「風車」が象徴的に取り入れられていたりと、作品が巧みな構成を持ちながらも、一方ではノンビリした美しい光景が広がっていて、技巧に走った印象を与えることなく自然な映画の流れを感じさせる。見事な作品だと思います。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-04-27 13:43:07)

6.  黄色い星の子供たち 邦題を見てSF映画だと勘違いしたのは私は決して少数派ではないと思うのですが。第2次大戦、ドイツ占領下のフランスで行われた、ユダヤ人一斉検挙。ある少年の目を通して描くと同時に、ヒットラーの姿もまた並行して描かれるのは、実際にあった事件の再現ドキュメントとしての性格を映画に持たせますが、ここでのヒットラーは、映画が描く事件の異常性と単純に呼応させるような“狂気の人”としての描写ではなく、時に狂気を演じこそすれ、周囲の人間にとっては“普通の人”としても描かれています。これは、ひとつには、蛮行に加担したフランスを告発するべき本作が、ヒットラーという個人に責任をなすりつけて良しとするようなカリカチュア化した描写を行う訳にいかない、という表れでもあるのでしょう。しかしそれに止まらず、一方で主人公の少年、一方でヒットラー、という映画の中で決して交わることのない二人が描かれることで、両者の間に存在するどうしようもない「分断」が明らかとなります。いやそれだけではなく、フランスにいるユダヤ人と、フランス人たちとの間にも「分断」があり、それによってユダヤ人家族たちをバラバラにしてしまう、新たな「分断」が生まれる。映画は、あえて「フランス人が1万人のユダヤ人を救った」と告げて終わるけれど、映画自体は明らかに、それを素朴に肯定して描いたりはしていません。映画は、悲劇を、大きな「分断」を、怒りを込めて描いています。「再会」も描かれるけれど、家族がそろった元の幸せな生活が戻ってくる訳ではない。「分断」でいったん損なわれたものは、もはや決して取り戻すことはできない、という現実。1万人救ったと考えるべきなのか、1万人しか救えなったと考えるべきなのか。実際にあった事件を描くということで、史実を追うという点ではドキュメンタリ調の部分もありますが、それに縛られることなく、むしろ、情熱と怒りに満ちた描写が多く見られ、これはあるいは、監督が映画界の外から来た人(ジャーナリスト出身)ならではの、“なりふりかまわぬ気迫”の表れなのかも知れません。凄い映画でした。 ちなみに、競技場等のシーンで流れるのは、フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2楽章。これはちょっとセンス無いかな……。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-08-31 12:06:48)

7.  ターミネーター3 子供のころ(ってか今でもそうだけど)街でクレーン車の頑強で雄々しいボディを見かけたら、「クレーン車でカーチェイスしたらさぞかしスゴイだろう」と思ったもの(誰しも一度は思ったことあるでしょ!)、それをホントにやってくれた画期的な映画。しかしさらに「クレーン車にシュワをぶら下げたらもっと面白いだろう」というところまでは思いつかなんだ。天才ですね…。さてこの、シリーズ中で「どうしようもない」位置をしっかりと占めてしまっている異色作ですが。2作目のパロディですね、これは(さらに、野獣が美女に蹂躙されるこの愛すべき設定は、『スピーシーズ/種の起源』風味とも言えます)。ここに登場するジョン・コナーは、2作目の彼というよりも、2作目を観てその世界に浸り切り、すっかり妄想にとらわれてしまったオタク青年、といったところ。そこに妄想そのまんま、ホントにターミネーターがやってきちゃった、しかも敵は2作目より遥かに素敵な美人ちゃんだし、味方は2作目よりもっと融通の利かないポンコツ野郎。まるで主人公を相手にしていないかのようにロボットどもが暴走し、妄想の主が「現実の妄想」についていけなくなっていく。観終わっていつも感じるのは、「ああ、さすがにそろそろ現実の“現実”に戻らないとな」(笑)。この作品、「もう3作目にもなるので、色々遊んでみました」路線としては大成功だと思うのですが、どうでしょうか。[ビデオ(字幕)] 9点(2013-06-01 05:50:11)(良:1票)

8.  アンノウン(2011) いやー実に実に面白かった、興奮しました。謎に満ちた発端がイイですね。テンポよく挿入されるアクションがイイですね。待ち受けているのは思わぬ展開(そりゃま、似たアイデアの作品は過去にあったけど、この程度の類似を見咎めて楽しまないのでは、日頃からミステリ小説なんて読んでいられない(笑))。そして何より、このサスペンスの雰囲気がイイですね。ミステリってのは、単なる「こんなトリック思いつきました」という報告書じゃなくて、本分は、そのトリックをいかに「語る」か、にある訳で。本作は、まずはその「語り」に徹している、その丁寧さに非常に好感が持てます。一体何が起こっているのか。誰が敵で誰が味方なのか。単純にプロットやトリックという意味での物語ではなく、それらを含めた、サスペンスの流れとしての「物語」、それをいかに「語る」か、どのようなカットを積み上げていくか。例えば“主人公が電話帳のページを破る前に辺りを確かめる視線”、などというレベルから、省略せずに描写をひたすら紡いでいく。この映画には「適当に色々撮って、後で編集で何としよう」みたいな発想は無く(そんないい加減な映画があるのかどうか知らんけど)、どのようなシーンにも強い意思が感じられて、しかもそれが、意思のための意思じゃあない、あくまでサスペンスを盛り上げ、映画を面白く「語ろう」とする意思であるのが、実に嬉しいじゃないですか。強いて文句をつけるなら……このタイトルはもうちょっと考えてつけてもよいのでは(こんなタイトル、どんな映画にもついちゃうよね)。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2012-05-20 08:34:54)(良:2票)

9.  13/ザメッティ 集められた13人がグルリ輪になって、各々の前の人間に向け引き金を引くロシアン・ルーレット。観客は誰が勝ち残るか賭けに興じる。って、このゲーム、実際にやったとして、傍で見ててそんなにオモシロいですかね~。私にはわからん。しかし映画は面白い。この映画の凄さは、映像そのものというより、映像の積み重ねにありますね。ワンシーンごとに切り離して単独で見てしまえば、別に目を覆うような残酷さがある訳でもなく、なんということもない光景であったりするのですが、映画として、ショットの積み重ねとしてそのシーンが存在することにより、強烈な意味を放つことになります。例えば「主人公が車窓の外を眺めている」という平凡な光景。この光景が映画の始めに置かれた時と、ラストに置かれた時で、全く違う意味を持つ、ということ。[DVD(字幕)] 9点(2011-11-20 12:02:20)(良:1票)

10.  イングロリアス・バスターズ ダラダラした会話をここまで魅力的に描き切った作品ってのも、(過去のタランティーの作品すらも含めて)なかなか無いんじゃあ、なかろうか。すべてが印象的、すべてが面白い。これまで、マカロニウェスタン風であったり、日本ヤクザ映画風であったり、カンフー映画風であったり、アメリカの底辺を彩る三流映画風であったり、と、世界の映画を漫遊してきたタランティーノが、ついに往年のハリウッドすなわち映画のド真ん中にやってきた、どこかそんな香りのする映画。でもやっぱり残酷~。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-08-17 23:08:25)(良:1票)

11.  過去のない男 記憶を無くす、名前を無くす、過去を無くす。それは、自身の存在証明を無くすこと。なーんて言ってたりすると、つい、安部公房の『壁-S・カルマ氏の犯罪』とか『燃えつきた地図』を思い出しちゃうんですけども。しかしこちらは映画作品。過去を失い帰属を失い、ただ「現在」のみを生きる主人公の姿が、映画ならではの語法で描かれております。それは、彼を取り巻く冷徹な「視線」。いささか戯画化された登場人物たちの立ち居振舞いにおいて、表情というものが徹底的に抑えられ、その中で強い印象と緊張をもたらすのが、主人公へと注がれる、他者たちの冷たい視線の数々。その視線は主人公を通じて我々にもブスブス突き刺さってきて、ナントモ居心地のわるーい映画体験になっております。しかし、結末はいかにも「ものがたり」らしく、ユメのあるまとめ方、実に心憎い。拍手!![CS・衛星(字幕)] 9点(2007-04-12 23:15:20)

12.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 シュピルマンというピアニスト、知らなかった(というか日本では無名「だった」)のですが、この映画をきっかけに、ドキュメンタリー番組が放送され、CDもリリースされて有名になりました。その彼の驚くべき体験が、むしろ淡々と描かれています。エイドリアン・ブロディ演じる主人公シュピルマン、箸より重いものは生まれてこの方持った事がないというタイプ、少し惚けたような飄々とした感じですが、その彼も否応なく戦争の波に飲まれていきます。ナチスの残虐行為、激しい戦闘シーンも、彼の目を通しているかのように敢えてロングショットで描かれているのが、不気味なまでのリアリティがあります。隠れ家を転々とする彼が、久しぶりにピアノと対面するシーン、非常にあっさり描かれていますがそれでも感動的です。実際に音を立てて演奏する事はできない。しかしその音楽は彼の中で確かに鳴り響いている。後半、ワルシャワ蜂起以降の描写は圧巻です。絶望的な逃避行。ついにドイツ将校に見つかってしまった時のシュピルマンの姿は、髪もヒゲもボサボサの、そりゃまあヒドイ状態(と本人もTV番組のインタビューで言ってましたが)。自分の職業をピアニスト「だった」(「です」を「だった」と言い直してましたね)と答えた彼に対し、ドイツ将校は、何か弾いてくれと言う。何年かぶりにピアノ演奏に取り掛かるシュピルマンのボロ姿、これも決して大袈裟には描かれていないのに、何と神々しく見えたことか! 戦火の中で右往左往するだけだった彼の中には、確かに「芸術」という不変の魂が息づいていた。そう、どんな状態に陥っても、人間の精神は不滅。その精神とは、ある人にとってそれは民族の精神でもあろう。シュピルマンにとってはそれはたまたま音楽、特にポーランド人の魂とも言えるショパンの音楽だったわけである。あのシーンはそういう不屈の魂を象徴したシーンと言えるでしょう。(ところで余談ですが、当代髄一のチェリスト、ミッシャ・マイスキーも、チェロを全く弾く事の出来ない不幸な収容所生活を経験した後、今や屈指のチェリストとして活躍している。演奏家にとっては、練習のみならず、体験もまた、音楽の糧となりうるのです。)9点(2004-01-11 01:38:09)(良:1票)

13.  彼方へ ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品ですが、製作にも脚本にも名を連ねてません。だもんで本作でのヘルツォークの立場はどのようなものか判りませんが、やはり人間と自然の対立みたいなものがテーマになってるようです。ストーリーの方はまったくのメロドラマ、ではあるのですが、やっぱり登攀シーンのモノ凄さが強烈な印象を残します。「普通のシーンに暴風の音を足してるだけやんけ」という気もしますが、持ち前の強引な撮影は健在、ラストシーンは神々しささえ感じられ、ひとつの奇跡を観たような心持ちです。9点(2003-10-11 21:22:42)

14.  コン・ティキ シュリーマンと、このヘイエルダールとが、「アヤしい考古学者」の二大巨頭だと思ってるのですが、どうでしょうか(え、ゴッドハンド氏も加えるべき?いや、あれはもう、アヤしくすらも無いので・・・)。 思い込みの激しさは、言い方を変えれば、男のロマン。女性の方がオトナなので、こうやって愛想を尽かされちゃうのですが、ロマンなんて、その先にしか、無いんです。 ヘイエルダールの説は、今では概ね、否定されてますよね。補陀洛渡海じゃあるまいし。 しかしこのヤンチャさが、映画では魅力的に映る。無責任で申し訳ないけど、オッサンたちが少年に見えてきて、いいんだなあ。 サメの群れの場面ではハラハラさせられますが、その後のシーンがまた良くって。主人公の顔だけにフォーカスされたショットから伝わる、孤独。その後、仲間の顔のクローズアップで、空気が一気に和らぐ。 海の神秘。海面下に何かが蠢くたびに、ヒヤリとして、ドキリとして。 結局、この冒険は意味のあるだったのか、どうなのか。いや、冒険は冒険自体に意味がある、それでいいじゃないですか。無責任で申し訳ないけど。[インターネット(字幕)] 8点(2022-03-12 17:50:57)《改行有》

15.  帰ってきたヒトラー 《ネタバレ》 まず、映画としてこんな手があったのか、という驚き。現代にヒトラーが蘇る、という基本ストーリーがある一方で、どうやらそのヒトラーに扮した俳優を、その格好のまま街中を闊歩させて、一般ピープルの反応をドキュメンタリー風にカメラに収めている模様。 「模様」というのは、彼らの顔がボカされてたりして、いかにもソレっぽいシーンがあるかと思えば(いわゆる「警察24時」風)、別の場面ではカメラが切り替えされたりして、アレ、これは演出なのか、と思ったり。 その境界がよく判らないまま、ついには、現実なのか非現実のCGなのか、すらも境界が脅かされるようになって。 最初はこれはコメディ映画なんだろう、と思って見ていたけれど、そもそも、映画が特定のジャンルに最初から最後まで収まるなんて保証はどこにもないわけで。 結局、今まで信じていたものは、本当に信じられるものなのか、という疑い、その疑いすらも「本当にその程度の次元に対する疑いで充分だと言えるのか」、と疑わしくなってくる。 ああ、ここにも、「メタ」へと我々をおびき寄せる罠が。 しかし我々には、この罠を避けて通ることは許されないのです。[インターネット(字幕)] 8点(2021-05-22 18:06:25)《改行有》

16.  ザ・バンク -堕ちた巨像- 《ネタバレ》 主人公が戦う相手であるところの悪の組織が「銀行」、ってのが、なかなか不思議な設定でピンと来ない部分もあるのですが、実在した銀行をモデルにしてるもんだから(これをちょっとモジっただけの劇中の銀行名からも明らか)、仕方ないっちゃあ仕方ない。というより、そういう社会派っぽい複雑な背景を匂わせることで、複雑な事件の解明よりも、「何が起きるかわからない」という雰囲気作りに軸足が置かれており、これがサスペンスとアクションにうまく繋げられています。国際犯罪らしく、舞台が世界各地を転々とするのも見どころ。 冒頭の車内でのミラーを介したやりとりによる不穏な空気、事件の証人の突然の死。これまた突然ナオミ・ワッツに襲いかかる犯人のクルマ。中盤の暗殺シーンなど、狙撃の描写自体の緊迫感だけにとどまらず、事件を二段構えの構造で描くことで、事件の謎の深さ、悪の根深さ、みたいなものも感じさせます。 そして何と言ってもあの、美術館における壮絶極まりない銃撃戦。それまでの静かな緊張感との対比、まさに空気が一変、いや、激変。その修羅場の中でも、映像アートが淡々と流れていて、対比を際立たせます。 正直、社会派作品に対する期待をもって本作を観てしまうと、あまりしっかり整理されておらずに肩透かしの印象を持つことになるかも知れないですが、むしろ、社会派の枠組みだけを利用して、巨悪の持つ不気味さを描いている点、「上手い」と言ってよいのではないでしょうか。 エレベータ内のシーンでは、カメラが主人公たちを正面から捉えたその奥には鏡があって、背中から鏡に映った彼らの前には(そこにあるはずの)カメラではなく、「エレベータの閉まったドア」が確かに存在している。こういうのも、なかなか心憎いです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-21 17:48:52)《改行有》

17.  ワイルド・スピード 《ネタバレ》 このシリーズも第1作からはかけ離れた世界観に突入していて、思えば遠くへきたもんだ、と、ため息のひとつも出るのですが、久しぶりに第1作に戻って復習しておこうかと。 で、今更気づいたんですが、てっきりこのシリーズのタイトルは「Fast & Furious」だと思いこんでいたところ、第1作の冒頭を見ると、FastにもFuriousにも、それぞれ「The」が付いているではないですか。今まで、「Fast≒Furious」みたいなニュアンスのように捉えていたけど、実は「Fast⇔Furious」と捉えるべきだったのか? とか言っても、そのことと映画の内容との関連は、サッパリわからんので(汗)、何でもいいんですけどね。 この第1作目、クルマ愛が全編に漲りまくっていて、正直、クルマに疎い私にはついていけない世界なんですが、映画を楽しめるか否かとは関係なし。曲芸のようなカーアクションの羅列に走っている最近のシリーズ作(もちろん嫌いでは無い)とは違って、ガチンコ感のあるカーアクションが楽しめます。 何より、第1作ということもあって、ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルとの出会いが描かれており、このシリーズにはめずらしく、ちゃんとストーリーがある(笑)。潜入捜査モノでありながら、そこにまつわるドキドキ感があまり感じられないのは惜しいところですが、それはあくまで、物語がふたりの関係性に焦点をあてているから。もちろん、「潜入捜査&カーアクション」という路線は、『フェラーリの鷹』を思い出させてそれだけでもうれしくなってくるのですが、ああいうムダなクラッシュを連発する映画とは路線を変えたことが、長く続くシリーズとなった秘訣でしょうか(いや、『フェラーリの鷹』は殿堂入り、別格の作品ですけどね)。 踏切を飛び越えるシーン、続いてヴィン・ディーゼルのクルマが宙を舞うシーンは、第1作にして、シリーズ中屈指のシーンだと思います。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-15 14:23:04)《改行有》

18.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 邦題にヘンな副題がついているので、きっとデュマの小説とは関係ないんだろう、とか思ってるとさにあらず、ダルタニアンと三銃士との出会いから律儀に描いてたりして、意外にちゃんと「三銃士してる」なあ、と。ただ、もちろん、あの迷走気味の原作よりは、だいぶスッキリしてますが。 それにしてもコレ、面白い。活劇ってのはこうやって撮るんだよ、と自信満々に撮ってて、実際これだけワクワクさせてくれるんだから、もはやなんだか腹が立ってくる(笑)。実写アクションとCGとの使い分けが、実にお見事で、ありとあらゆる場所を舞台に、奇想天外なオハナシを奇想天外に楽しませてくれます。 続編を匂わせるラストは、勇み足でしたかね。[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-25 21:20:59)《改行有》

19.  エスター 何から何まで先回りされて逃げ場のない感じが、しっかりとヤな気分にさせてくれる、なかなかにコワい映画。散りばめられた伏線がちゃんと恐怖感へと繋がっていくのがミソで、例えば「歯医者に行きたがらない」のは何故なのか、クライマックスでそれを、サラリと、しかし映像によってきちんと見せつけることで、「なるほど」感と恐怖感とが同時にやってくる。 異なる光が当てられれば、絵の異なる面が見えてくる。エスターの表情の変化もまたしかり。いやホント、実に実にヤな感じで、恐怖映画らしい愉しさを堪能させてくれます。[DVD(字幕)] 8点(2017-08-12 08:16:02)(良:1票) 《改行有》

20.  イーグル・アイ カーチェイスがゴチャゴチャしててわかりにくかったり(迫力はスゴイけど)、この荒唐無稽な物語に少しでも説得力を持たせようとしたらしい後半、ちょっともたついた野暮な感じもするのですが、そういったことを差し引いてもなお、楽しくてたまらない、活きのいいサスペンス・アクション。かつてドリームワークスが『ピースメーカー』を引っさげて我々の前に登場した時のワクワク感を、思い出させます。 それに、荒唐無稽と言ったって、こういうオハナシ、あと何十年かするうちに、結構、「あり得る話」になってるかも。ま、色々といわゆる「ツッコミどころ」ってのもあるでしょうが、こういう大胆さと厚かましさが、いいじゃないですか。巻き込まれ型サスペンス、主人公をイジメるためなら、大抵のコトは許されるってもんです。謎また謎、そしてアクション。空港での追跡劇なんか、まさに出色のオモシロさ。 背景には、「何が正義か、何がテロか、なんて、所詮は相対的なものに過ぎない」という皮肉があって。でもそれでもって社会批判をしてやろうとかいう大それたことは考えず、そういう皮肉もあくまで事件の「謎」なりサスペンスなりに貢献するためにこそ存在している、というこの娯楽志向が、うれしいではないですか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-01-04 20:17:21)(良:2票) 《改行有》

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