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プロフィール
コメント数 3881
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  緋牡丹博徒 高倉健が男のヤセ我慢なら、藤純子は女のヤセ我慢。自分の人生を犠牲にしても父の仇を追う女と、それを知りつつ弟分をかばわねばならぬ男とが繰り広げる葛藤が、もうたまらんのです。二人の演技もその葛藤へとひたすら収斂していく。 だからこそ盛り上がる、クライマックスの殴り込み。ダイナマイトでも何でも持ってこい。 というワケで。 いや、素晴らしいです、ハイ。 何が? 清川虹子の溢れんばかりの貫録が。[CS・衛星(邦画)] 10点(2019-02-23 07:57:08)《改行有》

2.  ビリケン 最近の通天閣では、別料金払ったら展望台の上のテラスみたいなところに上がらせてくれるんですが(前に行ったときはお土産にレトルトカレーくれた) 、なんとこの映画では、そのさらに上、テッペン中のテッペンのトンデモないところに人が立ってます。それを空撮でぐるりと周りから撮影して。いやはやホントにトンデモないシーンに、度胆を抜かれます。 最近でこそ注目の観光スポットに返り咲いている通天閣ですが、この頃はよほど閑古鳥が鳴いててロケし放題だったのか(?)、なかなか臨場感、コテコテ感が溢れる作品になってます。 大阪のユルユルでダメダメなところが、通天閣のグダグダなところと重なり、さらには、大阪人のセコさがそのまんま神様であるはずのビリケンさんのセコさにも投影されていて。もうこの時点でこの映画、何が起きてもおかしくない(笑)。物語の中心はオリンピック誘致に向けた地上げ騒動、だけど、そこにはさらに、笑いを呼ぶエピソードがたっぷり盛り込まれていて、個人的には大満足の作品です。ラストは雑踏に消えていく、何と庶民的な神様であることか。なぜか感動してしまいます。 それにしても、登場する光景はすべて新世界の近くなんですかね?ちょっと意表をつく光景も登場しますが。[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-23 20:46:03)《改行有》

3.  緋牡丹博徒 一宿一飯 前作の熊虎親分と何がどう違うと言われても困るけれど、でも、相当ヘンテコになってます。しかしこれこそが鈴木則文監督の思い描いた熊虎親分そのもの、なんですかね。ここから先は、脇役には収まり切らないので、主演作『シルクハットの大親分』で、どうぞ(これがカッコいいんだ。アホだけど)。 今回、藤純子演じる主人公を支えるのが鶴田浩二。彼らの前に立ち塞がる敵の凄腕が、菅原文太。こうやってみると、このヒト、悪役の方が似合ってそうな。鶴田浩二vs菅原文太、シビれますな。 白木マリと西村晃のサブストーリーも印象的だし、クライマックスにおける製糸工場での死闘も目を引きます。 充実してます。[インターネット(邦画)] 8点(2021-09-28 19:41:30)《改行有》

4.  ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭 このシリーズからはすでに何人かの出演者が去っているとは言え、ついに主役の清水宏次朗までが逃亡! そもそもこのシリーズは超いい加減で、作品変われば、同じ役を別の人が演じたりするばかりではなく、同じ人が別の役を演じてたりもするので(どうせ不良ばかりで誰が誰やら見分けもつかないので、何の違和感も感じさせない、というシステム?)、ヒロシ役も、誰かヒマそうで命知らずの役者を見つけてきて変更してもよかったんじゃないの、と個人的には思うけど、あくまで個人の感想です。 と言うわけで、物語の中心には仲村トオルが一人。ただしその周りには不良オールスターズがわんさか登場し、ひたすら抗争に次ぐ抗争。主役が売れた2作目以降、やや迫力を欠きつつあったこのシリーズに、活力が戻って、まさに原点回帰。 ポリスストーリーでジャッキーが繰り広げた百貨店での死闘、あれを臆面もなくパクってるんですけど、要するに、日頃の鍛錬もテクニックもなく、根性だけで同じことをやらせようという、これぞビーバップ魂。だもんで、似ても似つかぬカオスになっちゃってます。いやはや痛快。一種の奇跡。 まだ死人が出てないのも、奇跡と言えば奇跡。え、出てないよね?[インターネット(邦画)] 8点(2021-08-21 11:41:51)《改行有》

5.  緋牡丹博徒 鉄火場列伝 これまた、人物配置が実にお見事で、印象的な登場人物たちを巧みに絡み合わせて、そりゃもう面白くならない訳がない、というもの。 緋牡丹お竜を取り巻くは、カタギになって藍の小作人たちの権利を守る労働組合委員長(?)になった待田京介。少女を連れた渡世人・鶴田浩二。敵役もそれぞれにワルさの度合いが異なりそれぞれに魅力的だけど、何と言ってもアヤシイのが、ピストル片手に上から下まで真っ白のスーツ姿の丹波哲郎。もうちょっと足が長くてスマートだったらもっとサマになってたんですけどね。こういった個性的で魅力的な登場人物たちが惜しげもなく投入され、物語の中に的確にハメこまれて、これじゃもう、熊虎親分の出番は無いでしょ、と言いたくなるくらいなのですが、そうはいくかと熊虎親分もとってつけたような大活躍を見せてくれます。 ここまでくると、もし登場人物を誰かひとり削らないといけないとしたら、緋牡丹お竜を削るしかないんじゃないか、と。 いや、もちろん彼女にも見せ場は準備されていて、カタギの立場を貫こうとする待田京介との関係とか、賭場シーンで見得を切って見せるところとか、いろいろあるんですけどね。しかしクライマックスの立ち回りにおける彼女の活躍もやや抑え気味。祭りの終わった阿波の地から、静かに姿を消していく。そんな印象です。[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-07-23 20:41:02)《改行有》

6.  ヒミズ ここに登場する「悪」はちょっと戯画化されすぎてる印象があるし、「子供の死を願いそれを口にする親」ってのも、直球過ぎる気はします。しかし、あの、泥にまみれのたうち回る主人公の姿、絵具にまみれ自分を何とか消そうとする主人公の姿、これらのイメージは、到底他人とは思えない生々しさをもって、我々に強く迫ってきます。 本作を震災に絡めたこと、それを「あざとい」というには、あまりに園子温監督は危ない橋を渡っており、批判の矢面に立つ覚悟が感じられます。「もうちょっと被災者に気をつかった設定やセリフってもんがあるでしょう」という批判は、当然あるだろうけれど、本作はあえてそこまで踏み込んで、デフォルメされたグロテスクな世界(明日、自分の身の上に何が起こるかわからない、という意味では、我々の現実の世界も、なかなかにグロテスクなものなのかも知れない)における、ギリギリの再生と希望を描こうとする。泥だらけで傷だらけの自我の上に。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-19 12:44:28)(良:1票) 《改行有》

7.  彼岸花 「心理描写に優れた映画」ってやつだったらきっと、主人公のオヤジは娘の結婚に表向き反対しつつも、ああでもないこうでもない、どうしよう、と苦悩の表情を、映画を観る我々の前にこれでもかと見せつけるんでしょうけれども、この映画はそうじゃない。佐分利信は映画の冒頭で堂々と、恋愛結婚はスバラシイ、と述べてみせ、その直後には堂々と娘の恋愛結婚に反対して見せる。頑固で理不尽であればあるほど、面白い。そんで、彼の娘を含めた3人の若い女性が入れ代わり立ち代わりチクチクやって、彼の妻も控えめながらチクチクやって、トドメを刺すように中村伸郎がすました顔でチクリとやる。ホントは佐分利信の内面を、各登場人物が代弁しているのかも知れないけれど、それを一人の男がウジウジ悩む姿ではなく、軽妙な人物関係に投影して描いて見せる。これぞコメディ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-21 22:38:19)

8.  ひかりごけ 原作読んだのも随分昔で、今、手元に本が無いもんで映画との比較も出来ないのだけど(それはつまり、私にとっては原作はあまり強い印象を残すものではなかった、ということでもあるのだけど)、映画がちょっと舞台劇を思わせるのは、原作が(上演を前提としないながらも)戯曲形式をとっていることと関係があるのでしょうか。 雪に閉ざされた洞窟での、飢餓、そして食人行為。舞台となる撮影セットは大変よく出来ている、とは思うのですが、それでも妙に明るかったりしてちょっとスタジオっぽさが出てしまうのは、残念な気もします。ただそれも、物語が佳境に入ってくると、あまり気にならなくなってきますが。 生き延びるために仲間を喰うことは罪なのか、と言う問題は、突き詰めると人間の原罪に辿り着く。それが罪だとしても、誰がそれを責めうるのか。 ってのが、後光のような緑色の光で示されて、実際にこれを映像で見せてしまうのは何となく理屈っぽく説教臭い感じもするけれど、荘厳な宗教劇を見ている気分にもなってきます。 それを支える音楽が、大御所、松村禎三。素朴な響きのテーマ曲が胸を打ちますが、一方、クライマックス等で流れる密度の高いオーケストラの厳しい音楽は、ん?これはもしかして、自作の交響曲第1番の流用ですかね。[インターネット(邦画)] 7点(2021-07-31 21:26:43)《改行有》

9.  ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌 2作目にして早くもほぼ、ストーリーらしきものが無くなって、クダラないエピソードの羅列。ライバル校との抗争が激化する中、トオルとヒロシが屈辱のボンタン狩りにあってようやく、物語が焦点を結び始めます。 いや、物語の焦点って言ったって、要するにクライマックスの大乱闘のお膳立てができた、という程度のことですが。 この乱闘シーンでは、ちょっと『ポリスストーリー/~』の影響があるのかな、という場面もあるのですが、とにかく、そろそろ撮影中に死人が出そうだなあ、と思わせるものがあって、こんなアホな映画にここまで体を張って命を賭けてる、ってことが、なんだか嬉しくなってしまう、そういう中毒性のある作品であります。誰もが無条件で中毒になる訳ではないので、そこはご安心を。[インターネット(邦画)] 7点(2021-05-09 22:54:46)《改行有》

10.  ビー・バップ・ハイスクール(1985) かつて、この映画の監督さんが、「ジャッキー・チェンのように体を張ったアクション」こそがホンモノのアクションであり、そういうのを目指したんだ、みたいなことを言っていて、当時の私はかなり反発を感じたもんですが。まずアクションと言えばカーチェイスとクラッシュだろう、と。それに、こんな映画とジャッキー映画を一緒にするな、と。 でもその後の私の人生で種々雑多な映画を見てきた、その過程とは結局、このビー・バップ・ハイスクールという作品が、真似しようにも簡単には真似できぬ稀有の作品であることを確認する過程であった、と言っても過言ではない、とまで言うとこれはもう明らかに過言なんですけど(←そればっか)、でも確かにこれは稀にみるハチャメチャ痛快作である、ってコトには確信を持ってます。持つようになってしまってます。 こういうツッパリ、ってのも今ではすっかり絶滅危惧種となって、ウチの子供に訊いても「今までにこんな髪型を見たのは仮面ライダーフォーゼぐらい」とのこと。そりゃまあ、ナンボか誇張はありますけれども、そんな未確認生物を見るような目で見なくっても、かつてはこんなヒトたちが、そこそこ生息していたワケで。 で、そんなヒトたちが、ほとんど「人間の体はどこまで頑丈か」「どこまでの無茶に耐えられるか」を競うように、映画の中で無茶しまくってる。一体、何でしょうね、どうしてこんなワケのわからない「頼もしさ」を彼らに感じてしまうのでしょうか。 クライマックスの一大合戦が、アホらしくてダサくって、闇雲にカッチョいい。いや、ホント、貴重な作品です。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-01-04 17:25:43)(良:1票) 《改行有》

11.  病院坂の首縊りの家 冒頭からヨコミゾ先生が登場(一緒に出てるのは、本物の奥様なのか?)、たどたどしいながらもセリフの多い役をこなし、いやもしかして、最終的にこのヒトが犯人だったりして、とちょっと警戒、まではしないけど(ところでここは、本物のご自宅なのか?) 事件の背景とか動機とかに関して言うと、あおい輝彦の存在が(顔も)ワケわからんような気がしつつ、それでも作品自体は、ほどほどに錯綜し、ほどほどにわかりやすく、意外にうまくまとまっているように思われます。勿論、ミステリとしては、原作自体が面白すぎる上にギミックにも事欠かない『犬神家の一族』と比べると、地味な印象は拭えませんが、趣きある古い日本家屋の中で、時に動きのあるシーンを織り込んだりして、映画としての魅力は決して負けていないのではないか、と。 というより、凝った映像を作ろうにもやりつくした感があって、犬神家で見たようなシーン(町を歩く二人を上から捉えたカメラとか)の蒸し返しが、ちょっとパロディみたいな可笑しさにも繋がっていたりして。 舞台となっている古い町並みも風情がありますが、肝心の「病院坂」だけが妙に都会。この坂をロケで使いたいのなら、そもそも田舎を舞台にしなきゃいいのに・・・と思わんでもないけど、やっぱり古い町並みは、このシリーズによく似合う。だから、我慢しよう。 桜田ズン子は重要な役どころでなかなかの熱演。だけどそれにもまして、草刈正雄のこの自由奔放過ぎる演技は、一体何なんだろう、と。ホントいい度胸してると思います。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-09-22 20:33:43)《改行有》

12.  昼顔(2017) 《ネタバレ》 一枚のチラシが、二度と会う事を許されぬ二人を、再び結びつける。でもそのチラシを、上戸彩がなかなか見ようとしないのよね。だもんで脚本家はテーブルの上のチラシを扇風機の風で飛ばして、彼女に注目させようとするのだけど、一向に目を向けようとせず、もうニブイったらありゃしない。業を煮やして今度はチラシの上にカナブンを落として見せ、ようやくニブイ上戸彩でも気づくことになる。これだけ念には念を入れて再会させられたふたりが、そりゃもはや離れられるワケもなく。 大学の先生のくせに、川遊びばかりせずにもうちょっと研究らしい研究をしなさいよ、と言いたくもなるけれど、要するにこの二人の間柄って、子供同士の延長みたいなところがあるのね。だから、大人からの視線を浴びせられると、ツラくなる。そっと川辺で密会し、ままごとのような共同生活をし、やがてあっけなく永遠の別れを迎える。子供の小遣いで買ったような指輪だけが人知れず川辺に残されて、たまたまそれを見つけた子供たちの手にわたって物語はオシマイ。なんちゅうはかない永遠性であることよ。 斎藤工演じる北野先生、なんの活躍も見せないままアッサリと事故死(同乗の伊藤歩が強すぎるんじゃなくって、斎藤工が弱すぎるんです)、上戸彩は(そして観ている我々も)遺体との面会すら許されぬ、という、物語の中の「死」の特権すら剥奪する残酷さ。まーホント、気が滅入ります。[地上波(邦画)] 7点(2019-01-29 22:33:07)《改行有》

13.  秘剣破り 東映の松方弘樹が、末期の大映へレンタルされてた頃の作品。主役の二人が、その松方弘樹と、ガメラでお馴染み本郷功次郎。数年前なら、市川雷蔵と勝新がこの二人を演じているところだろうに、まさに大映末期、何だか、弱体化したプロレス団体が、他団体の有望選手を呼んできて、若手とタイトルマッチをやってもらっているみたいな。って、いや別に特定のプロレス団体のことを言っているワケではありませんが(笑)。 それよりも、「数年前なら雷蔵と勝新」も何も、まさにズバリそのもの、何しろ本作、タイトルは違えど、物語は「薄桜記」です。脚本も同じ伊藤大輔。よって、物語の面白さはコレ、間違いなし。ややオドロオドロした感じがするのは、監督が池広一夫のせいだからなのか、大映の末期的症状なのか。それとも70年代目前という時代のせいなのか。暗い内容の割に、音楽は妙に垢抜けしていたりして。 いや何にせよ、どうもこの映画、雷蔵と勝新の霊に憑りつかれてる。って言っても雷蔵もまだギリギリ生きてた頃かとは思うけど、池広監督も雷蔵と勝新で撮りたかったんだろうかね。まずこの中山(堀部)安兵衛の役、そしてそれを演じる本郷功次郎が、いかにも勝新を思い起こさせてしまう。59年の『薄桜記』とは雰囲気が異なり、別の映画だと思って観ているにも関わらず、やっぱり「この役は、勝新だ」という思いに引きずられちゃう。一方の丹下典膳役の松方弘樹は、これはさすがに近衛十四郎には似てても雷蔵には似ていませんが(笑)、ニヒルな役作りは、もしや狂四郎のイメージなのか。 これをリメイク作と呼ぶなら、ある程度、前の作品から趣向を変えてきた以上は、トコトンやって欲しかったとも思いますが、そんな元気があれば大映ももう少しは持ちこたえたのかな、とも。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-05-14 19:01:02)《改行有》

14.  人斬り 司馬遼太郎の「人斬り以蔵」に基づくとは言っても、あくまで「参考文献」としてクレジットされており、確かに基となっている短編小説に対して、エピソードが大きく膨らまされております。岡田以蔵と田中新兵衛との関係など、なかなか巧みな描かれ方でして、この田中新兵衛を三島由紀夫が演じているというのが、見てて多少疲れるところではあるのですが(改めて、プロの役者って凄いんだなあ、と思っちゃう)、演技のぎこちなさが、ちょっとした不気味さにもつながっていて、同じ「人斬り著名人」でありながら、以蔵を演じる勝新の人間臭さと好対照になっております。さらに、切腹を演じた本人が後に実生活でも切腹しちゃったってのが、何だか因縁めいてもいるのですが。 その人間臭い以蔵も、冒頭の吉田東洋殺害場面では相当に変態的。土砂降りの雨音が執拗に続く中、これまた執拗に人が殺されていく場面が描かれて、それを見ながら以蔵の顔は恍惚としていく。アブナイアブナイ。 という訳で、刀を振り回すシーン、人を斬るシーン、ノリノリでイッちゃってて、迫力あります。一方、粗暴なれどあくまで人間臭い以蔵に対し、幕末という時代の方がさらにイッちゃってて、結局はその運命に振り回される。坂本竜馬が石原裕次郎で、いかにも都会人っぽいのがどうなのよ、という気もする一方で、この狂ったような時代における一服の清涼剤のような存在にもなってたりします。 走る勝新、斬る勝新、彼の躍動感が、作品の魅力です。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-04-17 10:30:13)《改行有》

15.  緋牡丹博徒 花札勝負 100分に満たない短さの中に、人物とエピソードをこれでもかと盛り沢山に配置していく、確かにその演出の手際の良さってのはありますね。実際、えらくオモシロいんです、が・・・ちょっと盛り込み過ぎて、ほとんどハミ出ちゃってますね(本作単独では意味をなさないような助っ人がイロイロと登場)。そういうバカバカしさと、高倉健あたりから漂ってくるシリアスさとが、どうも噛み合わないところもあり、クライマックスの殴り込みがもうひとつカタルシスに繋がらない感じも。[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-09 16:37:44)

16.  ひばり捕物帖 折鶴駕篭 美空ひばりが例によって一人二役、いや正しくは「一人二役」役というべきかな、男装姿と女装姿を披露。とくればもう、唄に踊りに剣劇に、娯楽満載のお祭り映画を想像する訳ですが、そしてまたおそらくは元々、そういう企画だったんじゃないかと思われる訳ですが、、、そうは問屋が卸さない。何しろ、工藤栄一監督。美空ひばり映画なのに、唄や踊りは控えめで、後の集団抗争時代劇の萌芽がそこかしこ。クーデターを計画する由比正雪とその一味は、テロリスト集団のように描かれ、冒頭から様々な怪事件が連続して発生、これじゃなかなか落ち着いて唄ったり踊ったりしてる場合じゃない。そして、クライマックスではもう、集団抗争劇の“萌芽”どころか、まさにそのもの。我らが十四郎サマが大暴走、ひばり映画にあるまじき、悲壮感あふれる一大死闘を繰り広げちゃいます。TPOをわきまえず、ここまでやるか、十四郎サマ。と言う訳で、ひばりファンには「ちょっと、これ、違うんじゃないの~」と言われるかも知れませんが、全国の隠れ十四郎ファン(隠れる必要があるのか?)にとっては、まことにタマラない作品となっております。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-10-22 22:25:29)

17.  びっくり武士道 コント55号というと、基本的には欽ちゃんが二郎さんを追い詰めて、「ボケに対するツッコミ」というよりも、ツッコミがボケを呼んでまたそれがツッコミを生む、みたいな無限ループのイメージ。 しかしこの作品では二郎さんがコワモテのメチャクチャ強い武芸者、それに対し欽ちゃんはフニャフニャの弱腰のお侍さん。これがまた実に、役柄にピッタリだったりするのです。 二郎さんの異常なまでの強さ、向かい来る相手を空高く投げまくるあたりのアホらしい誇張(これはもはやカンフーハッスルの先駆的作品、と言ってよいのではなかろうか)。こういったあたりはしっかりギャグ映画になってるし、欽ちゃんの怯えた表情も見どころ、ではありますが、基本的にはシリアスなものを含んだオハナシで、ちょっと噛み合わない印象も。 音楽は冨田勲。シンセサイザーらしき音色も聞こえてきます。[インターネット(邦画)] 6点(2022-06-19 10:30:54)《改行有》

18.  ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲 これ以上出演を続けるとバカが伝染ると気付いたらしい中山美穂が逃亡。だけど態勢に影響は無さそうで。 相変わらずバカ、というか、もうストーリーも脈絡も、何も無くって。前半は、「なんちゃって番長」みたいなヤツが登場し、仲村トオルと清水宏次朗の二人にからかわれ続ける。それが、ふと気づいたら、彼は退場し、別の強敵との抗争劇にすり替わってる。 と言うこと自体には何の不満も無いけれど(もともと、マトモさという観点では期待してないし)。 ただ、この第3作に至って、これまではとにかく泥臭くダサい乱闘が売りだったものが、ちょっと「カッコいい」アクションを狙ってる感があり、そのスマートな格闘に、かえって平凡な印象を受けてしまいます。クライマックスの工場での闘いなど、スケールは明らかにパワーアップしてるんですけどね、ただ、全般的にこういった格闘路線で行くのだったら、ジャッキー・チェンに遠く及ばないよなあ、と、つい比較してしまう。このシリーズ独自のバイタリティ路線でもって突っ走っていた方が、魅力的、だと思うんですけどね。[インターネット(邦画)] 6点(2021-05-10 23:21:34)《改行有》

19.  火の鳥(1978) 子供の頃、テレビでやってたのを夢中で見たという記憶はあるのですが、細部は忘れてしまって、だけどどういう訳か一部のシーンは気味が悪いほど鮮明に脳裏に焼き付いてて。見てから経った年月と、その映像の記憶の鮮明さとが余りに釣り合わず、何か他の作品の記憶が混在してるんじゃないかと、自分でも疑わしくなるのですが、後に原作の黎明編を読んでみると、確かにそこには記憶に似たシーンが存在していて。 で、今回、この映画版を40年ぶり(?)くらいに、見てみると。 おお、鉄の矢が岩を砕くシーンも、あの残酷な目潰しのシーンも、穴の底に生えたわずかな草をむさぼるシーンも、記憶通りそこにあるじゃないか! と言いたいところですが、正直、それぞれ少しずつ、実際よりも立派なシーンへと脳内変換されてたようです。ハイ。素顔のウズメがこんな由美かおる顔だとも思ってなかったし。 たぶん、子供の頃の私には、今と違ったものが見えてたんだと思う。 しかし今みると、ムダに説明じみたセリフの多さが気になってしまいますね。脚本は谷川俊太郎さん。きっとイイ人なんだろう、とか思っちゃうのは元々の氏のイメージにもよるのですが、ちょっと原作に配慮し過ぎかな、と。こういうのは、「手塚治虫がナンボのもんじゃい」というぐらいの人がやった方がいいと思う。 ただ一人、市川崑監督だけが、手塚治虫と横溝正史との区別がついていないようですが。 何にせよ、この原作のイメージを残しつつ実写化する、という困難を、アニメとの合成という大胆な手段で乗り越え、さらにはコミックだからこそ許される誇張やギャグまで、そのノリを取り込んじゃおうという、無謀な挑戦。 一方では、奇跡と言ってよいほど原作イメージ通りの、草刈・仲代両名の存在もあって。 失敗作といえばそうだろうけど、それだけで終わらせては、ちょっと勿体ないですね。[インターネット(邦画)] 6点(2021-03-28 11:48:12)(良:1票) 《改行有》

20.  必殺仕掛人 主演が田宮二郎ということも手伝ってか、最初のタイトルくらいまでは何となく(かつての)大映時代劇のような雰囲気を感じさせるのですが、本編に入るとボロが出るというか(笑)、やっぱり雰囲気がちょっと違うかな、と。それなりの雰囲気は出してますが、裏稼業の暗さ、という点では今一つ、あっさりし過ぎかも。自らの運命について含みを持たせて終わるラストなども、悪くないっちゃあ悪くないのですが、逆に「どうせ気のせいでしょ」「気にさえしなけりゃ何でもOK」みたいな安直さも感じられたりして。そういうお気楽さが、魅力でもあるのでしょうが。 それにしてもモロボシダン、しっかりせえ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-09-18 05:10:46)《改行有》

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