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コメント数 791
性別
自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》  追い詰めきれない。 「君は、ぼくにとって最悪の結末を用意してくれたみたいだよ」そう言うと不服そうに彼は、 「そうでもないさ、こんなことじゃ誰も死なない。君だってそうだろ?事実、死ななかった」  死ななかったならそれでいいのか?そうじゃないだろ。ふざけんな。そう言いかけたが、僕は彼を殴り倒すことにした。そして近づいた瞬間に、視界は黒くなって、花の色のような輝きが僕の視界に現れると、ぼくはもううごけない。  なぜ、協力者がいると言う当たり前の発想に至らなかったのだろう。浮遊感を感じながらぼくはその中を泳ぎ切って、眠った。  と言うレベルの間抜けさが、ボンドに襲いかかる。2時間目一杯にだ。だけど、現代のボンドは昔と違う。間抜けな敵が助けてくれるかの如くヘマをするわけじゃない。相変わらず銃弾がボンドに命中するわけでもなく、捕まったり毒を盛られたりするのも通常操業だけれど、なんとなく自力で切り抜けてしまうあたりが新しい。  そう。ボンドはすっかり工作員として有能だ。米軍に一報入れれば10分で解決しそうな事案に男女でのこのこ現れて、秘密基地にまで乗り込んでしまうあたり、盤石のらしさではあるのだけれど、なんだろうかこの説得力は。だけど、ボンドに必要なのはこう言うことなんだったろうか。  どうしようもなく間抜けで無能でいい男なボンドの、スクリーンに映らない凄い部分を勝手に想像して、スクリーンに映らない凄いスパイを作り上げるという作業の素材なはずなのに、今のボンドは映画本編でそれをやってしまう。ずいぶんとお節介だ。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-09-20 22:05:17)《改行有》

2.  007/消されたライセンス 《ネタバレ》  残り、三発。弾倉を目視で確認してため息をつく。追いかけている側が、追われている人数以下の弾丸しか持っていない。明らかにストッピングパワーの足りない弾丸が3つ。不意に何をしに来たんだ、僕は。と自問自答する。  ふんだんに用意してきたんだろう。彼らは僕に好き放題威嚇の銃声を浴びせるわけだけど、応射が無い事に疑問を持ち始めたようだ。疑わずそのまま逃げていれば良いのに、いよいよまずい。煙草でも吸ってしまおうか、諦めが頭をよぎる。その内彼らのうちの1人がなにやら確信めいた足音を立てて僕の方へ歩いてくるのが分かった。  僕の手のひらサイズのこの拳銃とは比較にならない大きさの彼のベレッタは、まがまがしく光を吸い込んで。僕に近づいてくる。  ような、そんな展開が顔を見せ始める最初の世代の007な訳だが、やっぱり007はシリアスになりすぎると一体なぜ007でそれを?と言わざるを得ない。そこはそれ、007なんで。ライセンスの失効とか意味あったのか?とか、フィリックスを退場させる意味はあったのかとか、顔が写ってるときと、迫力のスタントでは動きのクオリティが違いすぎるとかそう言うことは気にしないのが作法だ。  僕は、僕がインストールされた肉体を失ったんだ。殺人を赦された僕の肉体はその許可の認証を取り下げられた。事実上、この肉体にインストールされた僕という魂は、一体誰の物なんだろう。陛下の物? それとも、僕の物? 政府の物? いま、それはもうどうでも良いことであるかのように、僕は、僕の憎しみを込めて赦されない殺人を繰り返すんだ。そして、それももうじき終わる。  みたいな、トレーラーの巧妙な脚本はどこにも見当たらず、いつも通りにいつもの人が間抜けな秘密兵器を持ってくるし、いつも通り迷いなくそれで死んじゃうの?な死に様で人がバタバタ死んでいく。  もしかして、作ってる人達は。恐ろしいことだが……この映画が007であることを時々忘れてはいないだろうか?その結果どうしようもなく007になっちゃっているところがこの映画が秀逸なできばえたるゆえんだ。(007として) [DVD(吹替)] 6点(2015-04-12 04:01:35)《改行有》

3.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》  僕の最初の患者は、僕よりも少し年下の彼女だった。少し暑いくらいの部屋の空気に混ざる、朝の静けさは彼女の心にどう映っただろう。僕はそう言うことを考えられないまま、機械的な質問ばかりを投げかけた。本当は分かっていた。僕は彼女の事を、彼女たちと僕たちの持っている関係以上に考えてはいけないなんて言う事は、とうに。 「先生、明日帰りたい」  悪い笑顔でそう言う冗談を言う彼女に、僕は頑張って寝ていなさい、と言葉を掛けるけどそれ以上のことは出来ない筈だった。 「散歩、いこうか」  ナースの足音が遠ざかるのが聞こえて、え?と二人共が言う。言うつもりのなかった言葉がするりと口から零れていた。疲れていたのだと思う。けれど、僕の心の中に毎日少しずつ詰まっていく重いものがだんだんと大きくなっていった。  忍び足で、堂々と連れ出した彼女はいった。 「外ってやっぱり寒いんだね、先生」  悪い笑顔で車椅子を押される彼女は、僕の気持ちを知っているのかもしれない。  彼女がいなくなる日、熱病にうなされた僕はそこにいる事が出来無かった。  彼女が僕と過ごした部屋で、僕の心の重りは二度と外れなくなった。僕に力があれば。目を閉じて呟いた。  後ろから肩を叩く同僚が僕を励ます。彼女は無事に退院したから大丈夫。あとは僕に任せてよ、と。  余り違わないはずの僕らの、致命的スペックの差が、さらに大きい差を生む。僕よりもずっと上手く隠密行動をして見せたのだ。空いた時間にいくら呪ってみても、僕の呪いを跳ね返す頼りがいのある性能の彼には全くもって通じないのだった。  今日のジェームズは凜々しくて、知的で、機敏で。だけど何回死んでもおかしくないくらい、ヘマをする。  いつものジェームズも何回死んでもおかしくないくらいなんだけど、間抜けなんだ。見た目もいつもの彼らの方が精悍でとても業務に耐えられる感じがしないくらい端麗で見栄えする。でも、今日のジェームズの方がずっと仕事が出来そうだ。  たぶん、僕らが愛して止まないジェームズとは何か根本的に出来が違うんだろうな。  あれだけ大雑把で、毒を盛られて捕まって。通常操業のはずなのに、どうしようもなくジェームズなのに、意欲旺盛で頼もしいもんだから従来のジェームズをこよなく愛する僕たちは、新しいジェームズには敵意むき出しなのである。  そして、面白いだけになんか腹が立つ。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-03-21 00:20:35)《改行有》

4.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》  猫は、いい。するすると人が行き交う中から、ちょっとした植え込みへ座る場所を変えて、寝転ぶ。時々はニャーとかなんとかないて、人を呼びつけたかと思うとやっぱりどうでも良くなってまたするする逃げる。  彼らは自由だ。ものすごく。毛皮を着ていても風に吹かれれば寒がるし、冷房の空気が流れ込むところを見つければ、それに人が気がつく頃には先に寝転んでいる。この失礼極まりない、だれにも媚びない彼らが一つニャーニャー泣き叫んで欲しがる物がある。  カリカリだ。フリスキーだ。キャラットもウマい。  欲望に忠実すぎて、餌の前では全くの囚人でありながら、ぐるぐるならす喉と出し過ぎなくらいの腹から見ても間違いないくらい満足しているのだろう。  ジョージ六世は、割と自由だ。囚人のようでいて、自分を伸ばし可能性を広げるチャンスを生かす自由を選ぶことが出来た。時々ローグのしつけからするする逃げ出してしまう彼だが、ローグのやり方だってまずい時もある。  でも、彼らの関係は時折、猫と人の様に対等以上で、なびかない猫を見た人間が手の打ちようの無さに落胆を隠せない時のようなことだってある。  それに、猫のように気高いジョージは、ただの人であるローグに容赦ない尊大な態度を取る。それでいいんですよ、とローグは説明するがジョージは高貴な生まれを巧妙に使いつつもそれに迷う。  だけど、お互いがまた存在を確かめ合うときっとお互いに、 「ありがとう」  って言うんだろう。ジョージがウンコファックと絶叫したあの時間の中に、くくりを超えた熱があった。うっすら光り始めた何かはその時消えてしまったけど、それでも彼らはズンズン前に進んでいった。[地上波(吹替)] 8点(2014-02-28 13:14:10)《改行有》

5.  007/ダイ・アナザー・デイ 《ネタバレ》  愛である。007を愛するものは、こういったコラージュを特に好むのである。そして、アメリカの精密なスパイや、アクション。リアルなギミックを引き合いに出して007を取るに足らないとする輩にはエリザベス女王閣下の鉄槌が下るだろう。  これは007という、壮大な装置であって、この途切れないワクワク感を提供する唯一のメディアなのだ。  だからこそ言ってしまうのだが、これが007なのであっていつであっても過信してはいけない。予告編に足をすくわれるのは、デフォルトである。[DVD(字幕)] 7点(2013-08-17 01:37:56)《改行有》

6.  スーパーマン(1978) 《ネタバレ》  全身タイツの男が悪と戦う。今これをやるならば、大変な困難を伴うのは明白なのだが昔であったり、受け手に幼さを残す感受性があるならその難題は強力な武器になって物語は勢いをつけて走り始める。  クラークケントの人間性を美しく描写してのけたこの作品は、現代には得がたい産物となってヒーロー像の再定義をした。  とか何とか言って、ビュンビュン飛び回るスーパーマンとロイスレインのロマンスにあこがれて何度も何度も繰り返して見た。間違いなくおもしろい。[ビデオ(吹替)] 8点(2013-08-13 23:05:38)(良:1票) 《改行有》

7.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》  ドーン・オブ・ザ・デッドと異質の映画なんだけど同じくらい面白い。オリジナルのドーン・オブ・ザ・デッドとは共に表裏一体をなすんだけろうけど、どちらのリメイクもよく練られていて驚く。  このショーン・オブ・ザ・デッドの面白さはそれだけではなくて、笑いのツボの抑え方も非常に小気味が良く本質的に出来が良い。コメディタッチのゾンビものとしてバタリアンがすぐに思い浮かぶが、あちらはテレビで放映された際の吹き替えだけでどれだけ一つの話が面白くなってしまうのかと言う意味でいうと、オリジナルのトーンを著しく損なっていて本体の出来の良さとは全く違う意味合いを持っている。  バタリアン放映当時、「レミントンスティール」や「俺がハマーだ」といった吹き替えが一人歩きするほどに吹き替えの文化度は高く、今とは比較にならないくらいの楽しみがあった。それと比較すると、より現代である2004年の吹き替えはどうなのかというと、これがなかなか驚きなのだ。  吹き替えの黄金期だった80年代末から90年代初頭に掛けての時期にはない、(原盤という意味の)オリジナリティの移植という意味で正常に進歩しており、背景音のトラックとの自然さも段違いという意味で、色々な技術的な進歩をしみじみと感じられる傑作っぽさがこの映画の本当の価値ではないだろうかと、思ったり思わなかったり。  そういう余り日に当たらない技術という意味で傑作なのは間違いないんじゃ無いかと思うのだが、ゾンビを感じさせる編集や、大槻ケンヂのような既視感を感じる世界観も完璧な技術的な昇華を果たしていてどうにも侮れない。  要するに、ヤベーサベーマジオモシレえ。って思わずつぶやくってこと。[DVD(吹替)] 8点(2013-07-31 18:56:33)《改行有》

8.  007/ロシアより愛をこめて 「これ、拾ったんだけど」  と、一万円札を拾ったかのようにうれしそうな含み笑いと、見せびらかす右手に握られてる拳銃が笑いを加速する。いや、笑わせようとはしてないんだけどと展開するストーリーに苦笑いするのはいつもの様式であるが、順不同で007観ていた少年は何とも熟成感の無いジェームズの腰の据わっていなさに当惑したものだ。  っていうか、これふざけてるでしょ?だからふざけてるんでしょ?いやいや、悪いジョークなんですよね?。三回訊ねても、いいえこれは本気です。という勢いで、大まじめなショーンコネリー型の007である。  明らかに名前だけが一人歩きしており、中身にびっくりする人も多いことと思う。だけど、これがいつものボンドの原型になる方向を決めたという意味で全く間違っていない。安心して007を堪能して欲しい。[ビデオ(字幕)] 6点(2013-07-27 21:39:45)《改行有》

9.  女王陛下の007  ワタシが敬愛して止まないジェームズ・ボンドは、どうしようも無くジェームズであり、ボンドである。猫手のように腰の全く入ってないフォームで殴った相手は一発で伸びてしまい、二時間で四〇回は死んでもおかしくないほどに間抜けで有り、出てくる女は完全に彼のものだ。要するに、芯まで007である。  ところが、半世紀以上前。帝国は崩壊を始め、北アイルランド問題が巻き起こり女王陛下の最大の危機であった六〇年代の終わり頃出現した、ほんの一瞬だけシリアスだったジェームズは私がこよなく愛する彼らとは少しだけ、違う。  このいつもと違うジェームズを見たとき、当時まだ一般的な映画を小さなレンタルビデオ屋が所狭しと並べていた時代に、初めて棚からどの007を観ようかと思案中VHSの分厚いケースを取り出した瞬間、脳髄が痺れた。  余りに冴えないジェームズに、卒倒しそうである。まるで優秀なスパイのようなイギリス人然としすぎる容姿と、副題が無い007。これは外伝か関連商品か何かなのか?戸惑う私であるが、冗談のようにストッピングパワーのなさげな拳銃を他のボンド同様に構えている。  いったん棚に戻してジブリコーナーをさんざん眺めた後、あれは冗談だろうと言う決着を頭の中で合議して、007シリーズ、と書かれた札の前に戻った。相変わらずコレイクラデスカ?と覚え立ての現地語で土産物の値段を訊ねているかのような腰の入っていないホールディングのボンドに混じって、大まじめなヤツが一人だけいる。  なるほど、そうか。そういうことか。これはジェームズボンドという、役職で、その時代その時代で違ったテクノロジーの、あるいは背格好で任務にふさわしいボンドという部品が、各々の人物に訓練されインプットされるんだな。うん、そうだ。タイプロジャーはアホで、タイプコネリーは大根、タイプブロスナンはシーシェパードなど色々な被験体がいるに違いない。恐るべしMI6、そしてエリザベス女王陛下、大変恐ろしい国王である。  そうやって納得した上で借りた女王陛下の007はその実、傑作であり類い希なスパイアクションであったのだけれども、このボンドは好きになれなかった。余りにマナーが良すぎたのである。大根属性のコネリー型では絶対に出来ないレイゼンビー型の任務には、007を愛して止まない私たちにはどうしようも無い敗北感がつきまとう。 [ビデオ(字幕)] 8点(2013-07-27 20:48:08)《改行有》

10.  希望の国 《ネタバレ》 「まあ大丈夫だろう」 「騒ぎすぎ」 「格好付けるなよ」 「知ったかぶっちゃって」 「これくらい」 「気持ち悪い」 「面倒くさい」  こう言った雑音が、その日所々から聞こえた。 「落ち着こうよ」 「気をつけないと」 「大変なことになったらどうするんだ」 「何かおかしいほどじゃない?」 「どうなっちゃうんだよ」  それでも一様に、誰もが心の中で何度も、何度も繰り返して、口の中で唱えるようにつぶやいた。 「大きいぞ」  我々が住む東京は、今から考えれば絶望的な地震が襲って何もかもが崩れてしまった、と言うことは無かった。それは東北でも同じようなことだったかもしれない。だけど、その「思ったより揺れていない」と言う事実は人を急速に蝕んだ。油断が、である。  あの日、仕事を途中で切り上げて国道一号前のレストランでだらだらと、帰るか帰らないか、止まってしまおうか明日休んでしまおうか等とまだ明るい窓の外を眺めながらひたすらおしゃべりに興じた。  しかし、異様な光景がずっと止まらずに繰り返しそこにある事に段々と気付く。  人の列がいつまで経っても途切れない。一人が気付くと、そこに居る何人もが「あ」と声を上げる。一斉に帰宅した我々も、窓の外の人の列もどうという予定も無く出てきてしまったのだった。  このまま歩いては帰れないと言う人を残して、比較的近所に自宅のある私は群れの中に紛れて見慣れた交差点まで一緒に歩くことにした。  水田に流れ込む津波や燃える街などのリアルタイム映像が止むこと無くテレビで流れ続ける。次の日には原発が爆発してしまった。もう生きていけないんじゃ無いだろうか。とすら誰もが思った。だけど、生きてる。もう二三台原発が爆発しても私たちはきっと生きてる。だから、今はまだ諦める時じゃ無い。  地震や原発がある人がその人であると形作る決定的な物を壊してしまって、その人はその人じゃ居られなくなってしまった。死んだら何もならない、そんな気持ちを伝えてしまうと自分が残酷な人間になってしまう。でも、もう完全な手詰まりをそこに見とがめてしまったら、やはり人は自分の命を絶つ。  母親は生き残って、狂ったような生き恥を晒して、護っていたのは何だろう。少々のセシウムから子は護れても、狂ってしまったお母さんからその子を護れない。  色々な物が、そう言えばボロボロになってしまった。[DVD(邦画)] 7点(2013-05-28 02:30:31)《改行有》

11.  スーパーマンIII/電子の要塞 《ネタバレ》  僕は、いつも悩んでいた。僕が全く場違いで居づらいと。何となく経験者入部をして、その同級生との差が溝を生む。  ある時、うだうだと気持ちが乗りきれないまま、無心になれずにバンテージを巻いている僕に、同級生がやらないかと挑発してきた。金的攻撃は無しで、関節技有り。肘有りのルールでタップか回りが危ないと判断した時止める。要は喧嘩だ。  それが始まると、あっという間に僕は馬乗りされてる劣勢に見える。それはその時代はまだ浸透していなかったガードポジションだった。  瞬間、すっかり僕は背中をマットにぺたりと背中を付けて、のしかかる彼が殴りかかってくるのを待っている。一〇オンスだからって殴られれば虹が見える。だけど、僕の両足は彼の股の上にのっかっておりその意味が分かっていなかった。思いっきり殴りかかってきた右腕をグローブに滑らせて躱すと打った右腕の肩胛骨のあたりのスウェットを握り半回転させる。右腕を放り出してしまった彼はいつの間にか一人で四つん這いになっている。僕は、この瞬間怒声を上げて、綺麗なフォームで腹を蹴り上げた。  この件で、ルールの範囲で喧嘩をしようというような事は無くなってしまった。本気で勝ち負けにこだわる仲間に、極力怪我をしないやり方で逃げる僕がなんだか許せないと言うことになってしまったらしい。  技術的に差の大きい上級生にこの後、ボコボコにされるのだが、一発殴られる度に、強くなろうと思ったのか?本当は一緒に居たいと思える人間を探すんじゃ無かったのか?本当にここで良いのか?色々考えているうちに、顔も足もお腹も、痛くて立っていられなくなっていた。  単に異星から来たというだけで、地球で超人になれるカル・エルだが、彼は悩む。故郷の物理のもとでは彼は彼が演じているクラークほどにも働くことができない。地球人にとっての弱点でしかない。  彼はしかし、この脆弱性を乗り越えてスーパーマン足りうる活躍をして成長し、決意を固めていく。  僕は結局、強くあるためには払わなければいけない様々な代償がある事に気付いて、それを払いきれない。と、思ってしまった。  それで部活を抜けてそのあと、結局解放されない気持ちが二度と消えなくなってしまった。夕方から次の日までの何かをしなければいけないはずの時間が辛かった。  が、実は現在のスーパーマンはもっとめんどくさい奴と言う事が判明。[地上波(吹替)] 6点(2013-05-25 05:17:07)《改行有》

12.  ザ・コア 《ネタバレ》  どこから突っ込んで良いのか分からないほどの穴が満載されていて、覚悟を決める必要がある。時間が無さ過ぎて、展開が早すぎて、突っ込みきれないからだ。  地球のコアが止まった、出撃だ、掘るぜ掘るぜーってどっかで見たような気がしないでも無いのだが、もうちょっとさ、何とかしようよ。  これも別の監督が撮ったら良かったのにな。僕らの閣下が撮ってくれればもうちょっと何とかなった等と思ってしまう。[地上波(字幕)] 5点(2013-04-30 04:26:31)《改行有》

13.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 プロジェクトチーフは私にこう言った。 「最新の機材だの、ソフトだの技術だのはとりあえずはどうでも良い。どうやってやっつけるかは好みの武器の使い方を一つ身につけてから考えろ」  あの日、処理しても処理しても尽きないトラブルに巻き込まれながら、横目に隣のチーフを覗う。先のプロジェクトリーダーから引き渡された機械のアセンブリを解析しながらいつもの冷静な横顔を崩さないまま、両腕の動きははとめどない。  目を私自身が扱う部品に戻そうとしたとき、彼の額の汗がこの後のベトナム戦争のような泥沼を暗示していた。この不良品の開発を引き渡された瞬間、彼はこのプロジェクトチームが組織内で既に廃棄されたものと理解したに違いない。そして、自分自身が廃棄場にやってきてしまった事に気付いて慄然したことも想像に難くない。  しかし、彼は冷静に言う。一つ一つを雑に扱った事で起こったトラブルのリカバーは最初から丁寧にやるよりもずっとやっかいだ、と。そして合わないつじつまを一つ一つ回収し、解きほぐしていく。  いつもであれば美女とセックスして、自分以上にトロい敵を間抜けな新兵器で撃退していく。今回の事件もそうなるはずだった。しかし、アメリカ映画の流行において行かれてはまずい。本部が壊滅し、主要な武器も取り上げられてテロリストに蹂躙されなければならない。007にとってこれほど難しい状況を用意されてしまってはもう色々、お手上げだ。  二時間の間に何回死んでもおかしくないジェームスが自力で何とかするしか無い。そうなれば現代技術とデバイスにどう考えてもついて行けない彼が取ったのは、自分のグラウンドに相手を引きずり込む作戦であった。  女を抱いている余裕も無い。武器も、知識も、見透かされていた。こんな状況で彼は結局敵が足をすくわれるような幸運で生き残った。私もチーフも、講じたあらゆる手段が初期設計の時点で否定される運命にあったにもかかわらず、偶然のタイミングで基準が下がったという外的要因で踏みとどまる事が出来たのである。これも一つの強みに頼る術があったからこそ、転がり込んできた幸運であった。  最後には間抜けなブービートラップと、間抜けな心理戦。いつもの007がそこに居たのである。  とは言え、大事な暗号はきちんとパスワードジェネレータで作れよ。駅名を入れてしまう彼はどうしようも無くいつものボンドである。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2013-04-30 03:00:41)《改行有》

14.  ジェイン・オースティン/秘められた恋 《ネタバレ》  絵的な雰囲気は重厚でなかなか惹き込ます手腕に長けた話だった。しかし、なんであれで惚れちゃうんだろう。んーよく分からないけどま、いいか。  最後くっつかなかったけど、なんか永遠の愛みたいな終わり方で盤石のオチで安心した。[地上波(吹替)] 7点(2013-04-24 20:51:20)《改行有》

15.  がんばれ、リアム 《ネタバレ》  耐える事しか出来無い相手を、執拗に虐げる。振り上げた暴力が、間違ったところに落ちていく。それで非は受け入れられ無い。どれだけ他人を痛めつけても、それによって自分の価値が変わる事は無い。低い人間で有るという事実がそこに有るだけだ。  この父親を見ていると、本物のクズとはこう言うものかと、感心しながらみてしまう。彼は豊かなら貧しい人を虐げて、豊かでも貧しくも無ければ毒ばかり吐き、貧しければこの様な事をする。どこかで観た事が有るようなタイプだ。  社会だとか、貧しさだとか、信仰だとか民族であるとか。そんなことが重罪の許可証になるわけが無い。この様に重大な犯罪をやってのける気質を持った人間の後押しをする事はあるが、誰も同情も許す事もしない。  完全にいかれた人間の生き様をみて背中がシャンとなるのだった。良い映画だ。[DVD(字幕)] 8点(2013-01-30 07:28:15)《改行有》

16.  プラトーン  この映画の描くベトナム戦争は、誰にとっても無価値な嘘だ。社会主義と世界征服のために嘘を展開した本人らも忘れてしまっているが、戦争に参加すらしていない日本人が半世紀近く経った今も肩代わりしている。滑稽ではないか。  軍事作戦的には話にならないほど弱い相手と長く戦わなければならなくなったアメリカにとってのベトナム戦争は、社会主義の拡大路線を推進していたソ中の平和主義偽装されたマスコミキャンペーンで間違った平和主義でまみれ、泥沼化した。  韓国軍の嗜虐性によって玩具のように虐殺されたベトナム人ではなく、米軍が非人道的に蹂躙する北ベトナムに哀れみを感じるように“作り上げられた反戦動画”や“情緒に溢れる反戦演説”は、結果として効果的に信心深い嘘の平和主義者を国内で生んだ。 「この国の従軍者を、ベトナム戦争で殺しつくし、帰還兵は社会的に殺そう」  正気とは思えない思想が国内に蔓延する事になった。現在残る平和運動の写真の多くを見て分かるとおり、今よりもずっと堅かったアメリカ社会にあって普通の社会人では無い人ばかりがデモ行進を行っている。この様な謎の市民団体の数の多さに政府はおののいたに違いない。  結果として、当然こう言った種類の市民が多数を占める事は無かったのだが、政策や軍事作戦は混乱を極める事になる。  米国民が完全に正気に戻るきっかけはパリ協定後の北ベトナムの協定無視だった。それまで米軍は東側の思惑で空爆を停止させられていたが、その思惑を無視できる基盤を確認すると、すぐさま北爆の再開に移りこの後瞬く間に西側諸国の圧倒的勝利で休戦を迎える。元々、北ベトナムはあまりに脆弱で戦争と呼べる代物になっていない。  しかし米南ベトナムによる完璧な勝利の後、南側を占領したのは完全に戦力を失いつつもソ中の支援により軍備を整えた、平和主義者が完全に正義と信じていたソ中北ベトナムだった。  この映画は、酸鼻極まる戦いの現場を描いていたが、事実とはやや異なる。終戦後10年以上経ってからソビエトや中国のプロパガンダに利用される運命が待っていた事が残念だ。  秩序を護るために戦って死んでいった人達や、主義に利用され死んだベトナムの人たちの名誉を踏みにじるような、米国の敗戦やアメリカの陰謀や侵略、北ベトナムの正義といった嘘を本気で信じている人が一人でも減る事を願ってやまない。[地上波(吹替)] 8点(2013-01-26 19:03:01)《改行有》

17.  ハイジ(2005) 《ネタバレ》 「頭は悪くないようじゃ」  藁をまき散らしながらフフフウフフフグフゲヘと高笑いを続ける少女をそっと見つめて、老人はつぶやいた。  それが、ハイジだ。この頭がどうかしてしまったとしか思えない女の子がハイジであり、私の中のアルムの原体験である。そして加減を知らないあの口調に週一でイライラするのだ。低燃費車の宣伝にでてくる彼女と、食品劇場のアホ少女は実際、等価である。  一方思う様陰惨で、いやな性格のペーターが作中白眉である。鉛筆をガジガジかじりながら、 「俺は勉強なんかしねえから」  と嘯く彼の堂々たる様は水晶体で逆さまに写し取られて、脳内で電波を発し始めた。「羊飼いに文字は必要ない」と吐き出す彼の姿はまるで、「人殺しに家庭はいらねえ」と呟く暗殺者だ。  正直、風景や建築様式や美術の美しさなんて目じゃない。古くて新しいハイジは二一世紀に生まれ変わっていたのである。  そういうどうかしちゃったの?なハイジとは違う、原作小説のエッセンスをより投影したであろう二〇〇五年版ハイジは盤石の純粋少女であった。  TokyoMXのカッティングも相まって少し早足で進みすぎるきらいもあったが、十分に感動作だ。  旧12チャン,TVK、MXの映画チョイスはヤバい。ものすごい手腕である。開始三十分(CM込みである)でババアが連れ戻しにきたときは、まだ早すぎて腐ってるぞと思わないでもなかったが、各局要チェックだ。[地上波(吹替)] 7点(2013-01-21 01:57:24)《改行有》

18.  スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 《ネタバレ》 好みが合わ無いとかなりキツイ。[地上波(吹替)] 4点(2013-01-07 00:23:48)

19.  縞模様のパジャマの少年 《ネタバレ》  侵略戦争の中身は、人の物が欲しいという見境の無さだろうか。自分ならもっと上手く使ってみせるから今すぐ欲しい。だから奪った。ちょっとそれは可視化しすぎだろと言われそうだが、そう言う側面の大きさが質量の多くを占める。  そう言う汚らしさが、大人の社会で取引や職業を介して行われる所まで浄化されて初めて繋がりが新しい様々な物を産出する美しさが産まれるはずなのだが、この時代にはそれが具体的な認識をされていなかった。  そして、その時代はあとほんの四半世紀ほど経つと100年前の戦争になってしまう。恐らくこの時代では、この話が描いた友情が生んだ悲劇への怒りはきっと戦争では無く、処刑作業をしっかりと確認しなかった作業者へ向かっただろう。  現代でははっきりと、侵略戦争への憎悪と狂った思想への警戒心がこの映画のテーマに同調する。描かれていないが、この後父親はいったいなにに対して怒り、なにをするかを想像させる事で更に戦争への嫌悪感を増大させる事に成功している。  で、ちょっと考えて欲しいのは、実効支配や軍で国家を恫喝し場合によっては非軍属の他国民を殺害することも止むを得ないという主張を続け、それに疑問を抱かないでいる塊。排他と自尊と自己顕示の、ナチスやモンゴル帝国の様な狂気を感じる。  欧米圏ではこの映画のように非常に洗練された映画が作られているのに。残念でならない。[DVD(吹替)] 8点(2012-12-06 16:07:41)《改行有》

20.  007/ダイヤモンドは永遠に 《ネタバレ》  いや、まいった。いくらボンドでもボンド過ぎるとドン引きなのである。ちょっと待て。馬鹿社長とドラ息子って位の馴れ合いは見ていられない。ハンターハンターでも読みながら鑑賞するのが丁度良い位の出来である。  といって、ワタシはこの温さが嫌いなわけでは無い。と言うかむしろ好き。[地上波(吹替)] 6点(2012-12-01 18:24:29)《改行有》

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