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プロフィール |
コメント数 |
982 |
性別 |
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自己紹介 |
ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。 「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。 映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。 目指せ1000本! |
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1. ノー・マンズ・ランド(2001)
《ネタバレ》 戦闘シーンがほとんどない、極めて限定的な舞台なのに、却って濃密になり、愚かな戦争への皮肉が効いてくる。
ユーゴスラビア崩壊から民族独立運動が始まり、泥沼の内戦に陥るも膠着状態のままモヤモヤに終わったあの感じ。
ボスニアもセルビアもマスコミも国連も、それぞれの思惑が働き、
巨大組織の特性で身動きが取れないまま、後味悪く去っていく。
除去できない地雷を背に動けない兵士を残して。
そしてカメラも彼を見捨てるブラックさが何とも。
今の世界情勢だからこそ、より強烈に響く。
無力な個人が集合しても組織とはかけ離れた大衆でしかない。
そんな大衆を扇動するモンスター組織が暴走すると性質が悪い。[DVD(字幕)] 8点(2017-02-28 23:38:37)(良:2票) 《改行有》
2. さあ帰ろう、ペダルをこいで
《ネタバレ》 交通事故で両親と記憶を失ったブルガリア系ドイツ人の青年とブルガリアから飛んできた型破りな祖父がタンデム自転車で祖国へ帰るロードムービーを縦軸に、社会主義時代のブルガリアからの亡命を図った一家の回想を横軸として交差していく。バッグギャモンとタンデム自転車が重要なキーワードになっており、原作付きだから当然とは言え、脚本が素晴らしい。無理なく伏線が回収され、ミニカーと自動車事故がオーバーラップして記憶を取り戻す演出には感嘆。叙情性溢れる音楽も素晴らしく、二人と軌跡を追った気分になれる。亡命が皮肉にも家族の断絶を引き起こし、新天地でも暗い過去を送っていた青年が、祖父と始めたバックギャモンをきっかけに過去と決別し、新しい人生を始めるラストに「世の中捨てたものじゃない」と思わせる力があった。英題は『世界は広い、救いはどこにでもある』。とても良い掘り出し物でした。[DVD(字幕)] 8点(2015-03-20 22:02:42)
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