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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1
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1.  フラッド 《ネタバレ》 宣伝に偽り有りの典型でしたよ。邦題のフラッド(大洪水)でもなければ、原題のハード・レインでもなく、追う者と追われる者のチェイサー・サスペンスやん。しかも、皆々様そろって、追っているのは金・金・金。骨子はそれでもいいし、中々緊迫感もあったと思うけど、大自然の脅威の中で人がどう動くのかを期待してた分だけ、やっぱり裏切られたって感じだなぁ。初めから、「ダム決壊まで、リミット0。狙うは300万ドル。奪えるのか、阻止できるのか」っていう触れ込みの方が楽しめたような気がする。なまじ自然災害パニックだと思って見たのが、敗因だった。クライム・ムービーよね、これ。そう思って見てれば、まあ、そこそこ面白かったのにな。それに、大雨で河川が氾濫しただけだって家は流されちゃうことを実感していれば、ダムが決壊して、あんな鉄砲水が来たら、銃撃戦だの人助けなんて、そんな呑気なことしてらんないよ。はっきり言って、全て水に流して終わりよ。折角の緊迫感も、ラストで白々しくなってしまったよ。でも、やっぱり、モーガンさんは、いい人なんだねぇ。出だしで、悪役モーガンを見られると思ったのに。これも、ガッカリの理由かも。4点(2004-08-11 00:49:39)

2.  真実の瞬間(1991) いい加減という言葉が好きだ。チャランポランという意味ではなく、良い加減という意味である。これは多分、古墳文化の頃から、政治にしろ宗教にしろ、精神の2重構造に対応出来てきたことなんだろう。大皇がいるのに、豪族が政治をする。神道があるのに、仏教を取り入れる。あちらを立てて、こちらも立てる。要するに、上澄みを掬うのが上手い民族で、日本が、アジアよりヨーロッパにより魅力を感じたのは、精神の2重構造(二枚舌ともいう)が似ていたからなんだろう。そして、その2重構造について行けなくなって新大陸に逃げ出したのが、アメリカを作った人々なんだろうなと、本作を見ていて思った。駄目となったら、徹底して弾圧するこの気質は、この時代だけではない。こういう映画を製作出来るところがアメリカの良心というのだろうが、現在も、某国の虐待コンテストで同じ言い訳を聞いた。この国の保守的で狂信的な魔女狩り気質は、過去のものではないのだろう。ただし、上澄みを掬って、あまりにアメリカナイズした日本人も、そろそろ、良い加減という言葉を思い出した方がいいのかもしれない。面白い作品とは言えないけど、意義のある作品だった。役者は、テーマがテーマなだけに、デ・ニーロは勿論、登場人物全ての役者からオーラを感じたな。8点(2004-06-21 22:27:00)

3.  ナインスゲート 《ネタバレ》 ギフトもそうだったけど、どうも、あちらの方々の製作するオカルト・サスペンスって、怖くないんだよなァ。多分、それは、神秘なものより、人間の欲や罪の方に重きが行くからなんだとは思うけど。SFやアクションでは、「んなバカな」が罷り通るのに、オカルトの分野では人間超えないのが面白いよね。謎の女(堕天使でも性別は無いんだろうから、多分、LCF御本人かと思うが)と、燃える城の前でいきなりことに及んじゃうあたり、人間超えてないし。謎解きにしても、コルソが挿絵の違いに気付いた段階で、3冊全てが偽物であり本物であるってことが分かっちゃうし、謎の女は、話半ばで空中浮遊するし。そんなに見え見えでいいのかと思いつつも、どうやって落とす気なのかなァと思って見ていたらば、あれですかい。とはいえ、あの先を、やられても困るだろうな。天使か悪魔(多分、後者だろうけど)が出てくるしかないものね。コルソ=デップは、確かにいい味を出しているし、デップを下手だとは言わないけど、ただ、デップはこういう役だと、どうしても場面場面が淡々と流れていってしまう気がするんだな。この人の秀作は「ギルバート・グレイプ」だと思うのだけど、でも、やっぱり、「シザー・ハンズ」や「妹の恋人」「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような、多少演技がデフォルメしてる方が生きるのかなァ。この映画、女優陣の演技の方が、凄かったよね。それに振り回されるコルソ。だから、まあ、そういう役なんだな。6点(2004-06-21 21:34:47)

4.  イグジステンズ これ、ねぇ。実は、「マトリックスの哲学」って本の中で、とあるフェミニストの女性が、『「マトリックス」より遥かに秀逸』とか言ってたから、つい見てしまったのよね。でも、正直なとこ、「よくも、こんなもの見せてくれたな!!」って感じだった。言いたいことは分かる。リアルとバーチャルの混乱というか、混同というか。ゲーム世代の若者の陥る狂乱というか。それは分かるけど、いかんせん、生理的に気持ちが悪過ぎる。まるで子宮を思わせるゲーム機も、だったら背中じゃなく、いっそ素直に臍に突っ込めば?って感じで、ムカつく。ジュードの魅力も持ち味も、ドロッとしたグロテスクな画面に沈んでいく一方で、ラストの見せ場も、単にヒステリックなだけに終わってて、気の毒としか思えなかった。でも、吐き気を覚えるような生理的な気色の悪さは、強烈だった。あそこまで徹底すれば、確かに脳裏に焼き付く。4点(2004-02-23 23:50:08)

5.  8人の女たち ミステリーとしては、可も不可もないかなぁ。展開的に「亭主は生きてるんじゃないかなぁ」と思ったし、主犯も途中で種明かししちゃってるしね。ただ、どういうネタばらしなのかは分からなかったけど。ストーリーとしては、女の本性というか願望というか、はたまた、そういう女に幻滅した男の弾劾というか、男にうんざりした女の逆セクハラというか、心理的ドロドロ系は嫌っていう人には、ちょっとなぁってとこですか。いきなり歌が入ってビックリしたけど、この歌と踊りが本作の緩衝地帯。これがなかったら、ドロドロした科白の洪水に溺れている。でも、この作品は、舞台向きだと思う。舞台の方が面白いんじゃないかな。6点(2003-09-25 23:13:30)

6.  リトル・ブッダ ベルトルッチ監督のアジア観や宗教観はともかく、見終わったあとの感想は、「これって、欧米の人が見て、分かるんかな?」だった。理解とかいうんじゃなくて、感覚として共感なり共鳴なりとか、出来るんかな? まあ、アメリカで受けなかった理由は、分かったけど。でも、日本の風土に育っていても、さて、どうか。輪廻転生や、色即是空、空即是色の意味、中道の在り方、海に還り、空に還り、大地へと還る理とか。勿論、分かったような気になるだけで、本質なんか分からないけど、これって、今風に言えば、マトリックスの世界だよなぁ。マトリックスも、器と魂の中道を求める話だし。ネオも、救世主というよりは、求道者という感じだし。そういう風に見れば、本作も分かり易いかもしれない。たど、映画的には、もっと、こう、人生の岐路に立った父親の方の魂の救いみたいな感じを強調すれば、もう少しは一般受けしたかもしれないな。それにしても、キアヌの、モナリザの微笑は、御見事。モナリザの微笑は、見る人によって、慈愛に満ち、癒しにも見えるけど、逆に、人によっては、軽蔑され、見下されているようにも見えるんだそうだけど、つまりアルカイック・スマイルなんだよね。ガリガリに痩せて、ボーボーの髭面、ボロボロの衣装でも、川に入った時の解き放たれた表情といい、本作のキアヌは、本当に美しいです。物語としては、6点なんだけど、キアヌのアルカイック・スマイルにプラス2点。8点(2003-08-15 23:33:25)

7.  告発 エンド・クレジットが終わって、画面が真っ黒になるまで反芻出来るする作品なんてものは、数えるほどしかない。本作は、その数えるほどのひとつだった。まず、構成がいい。見始める前は、K・ベーコンが虐待する側の看守役で出ていた「スリーパーズ」みたいに、えんえん身も蓋もない虐待シーンが続いたら嫌だなぁと、半ば覚悟して見た作品は、無論、虐待は描いていたが、虐待の事実は明確に伝えながらも、「もう嫌、消したい」と思うほどの心理的圧迫に至るまでには避け、避けながらも、回想やフラッシュバックを巧みに使って虐待の事実を伝えている構成が、重くて痛い作品を、最後までまじろぎもせずに見せてくれた。心理描写も、見事。「穴蔵」の中で掛け算をして必死に正常を保とうとするヤング、3年ぶりに「穴蔵」から外に出て「初めての殺人」に至るまでのヤングに届く「音」のリアルな「騒音」は、騒音に慣れた都会人が周囲には人工的な音が何もない僻地に行った時に感じる「静けさの怖さ」以上のものだろう。孤島の中で、太陽の光はありますよ、水も食料も万全ですからと言われて、立った一人で置き去りにされたとして、人間はどのくらい耐えられるだろうか。自分の裁判の行方より、現実とは乖離した野球の話に熱中するヤングの、現実を考えたくない、この「楽園」で一時でも忘れたい心理。何より、「女を知らない」ヤングに、女を提供した時には、「ちょっと待ってよ」と思ったが、それがヤングの傷の深さに繋がるに至って、自分の浅はかさに恥じ入った。「あそこに戻るくらいなら死んだ方がマシだ!!」これこそが「告発」で、K・ベーコンの渾身の一作。そして、今の、ブッシュ政権のアメリカと、どうしてもリンクしてしまう。「あいつらは、どうしようもない」「力で分からせるしか更正出来ない」「我々は正しいんだ」。本作がオスカー候補にもならなかったのは、同国人の中で起こったことさえ汚点は見たくない、汚点はあくまで隠蔽したいという理由であれば、アメリカ人という国民の良識には、がっかりするしかないが、日本では、現在進行形で「名古屋刑務所」という実例がある以上、他国のことは非難できない。古今東西、「我々が正義だ」と主張する奴ほど、手に得ない人種はない。ヒトラーも、太平洋戦争当時の日本陸軍も、「我こそ正義」と、叫んだのだから。あとは、映像効果を狙ったんだと思うが、カメラ動き過ぎ。頻繁にパーンされて、ちょっと疲れた。9点(2003-05-07 01:41:18)(良:2票)

8.  耳に残るは君の歌声 何だったんだぁ! という映画だった。宣伝を鵜呑みにして、重厚な歴史物かなと思って観て、手痛いしっぺ返しを食らった感じ。映像に語らせよう趣旨は分かるけど、キャラクターは役者に頼り切りだし、ストーリーは歴史的事実におんぶに抱っこ。観客のイマジネーションまで殺ぎ取るような説明過多の詰め込み過ぎもどうかと思うが、いささか説明しなさ過ぎ。そら、科白の端々から分かりはするけどねぇ。しかも、歴史的背景の割りに、それがストーリーにあんまりリンクしているとは思えないくらい緊迫感もない。ロシア人から英国人、イタリア人にドイツ人。ユダヤ人にジプシー。アメリカ人までの設定出演なのに、だから何だったんだってくらい、描けてないし。100分枠で、この話は、無理でしょ。リッチも、この使われ方では気の毒。ジョニー・デップは、物憂い持ち味を存分に発揮してたけど、正直に言えば、なんでこの映画に出る気になったのか、よく分からない。ブランシェットは、凄いなぁ。この人は、どんな役でも、その役の顔になる女優さんだなぁ。狂言回しなんだけど、ブランシェットのおかげで、どうにかこうにか、ストーリーが動いてた感じだった。4点(2003-03-28 22:40:58)

9.  イノセント 当時、ヴィスコンティ・ブームの時、とにかくどっかのこじんまりとした映画館で観たんだな。ヴィスコンティの遺作であり、彼の遺作らしい作品ではあるんだけど、映画館を出た時、何だかとっても理不尽な不愉快さを感じた。今思えば、庶民の不愉快さだったと思う。「庶民が汗水たらして働いてるっていうのに、あんた達貴族はぁぁ!」って感じかな。でも、頽廃と没落の終焉にあった貴族階級のいやらしさに不愉快さまで感じさせた本作は、やはりヴィスコンティの遺作らしいのだろう。ジャンニーニの情けなさはムカツク程見事だったけど、赤ん坊を見下ろすジャンニーニの目は、狂気を孕んで、怖かった。そういえば、本作で初めて、「ボカシ」というのを見たんだった。けど、それが気にならないほど、ある意味、圧倒された映画だった。7点(2003-03-23 22:38:02)

10.  戦場のピアニスト 好き嫌いは、分かれる。特に、若い人には、嫌いという意見が多く出るかもしれない。主人公は、ナチスの迫害に果敢に立ち向かうわけでもないし、地下運動で地道な抵抗を続けるわけでもなく、収容所での過酷な労働に耐え忍ぶわけでもない。彼の才能を知る人々によって、窮地を脱し、自身の無力に涙し、飢えと虚無感に絶望しながら、ただひたすら、息を殺し、食料を漁り、逃げ惑い、隠れ住むだけである。ただ、それが、痛い。痛ましいまでに、人間の、生きることへの自我を曝け出していて、痛い。そして、彼の自我を支えていたのは、ピアノを弾くこと。廃墟になった病院の中、朦朧とした意識の中でも、あるはずのないピアノを弾いていた姿は、胸に迫る。そんな一方で、生きることへの自我を支えていたはずのピアノを前にしても、缶詰を離そうとしない姿、ドイツ将校の差し入れた食料を泣きながら食べる姿は、哀れなまでの極限を描いている。「神に感謝をすればいい」。その才能によって人々に助けられ、生き延びた彼に出来ることは、ピアノを弾くことだけ。本作を観ながら、やはり戦争は嫌だなぁと、思う。被害者になることよりも、自分や自分の家族の為に、もしかしたら自分こそが無意識に弱者を踏み躙る加害者になるかもしれない可能性が、嫌だ。好き嫌いは、分かれると思う。それでも、大掛かりな仕掛けもなく撮られた本作は、当時のポーランドを扱った映画としては渾身の一作であり、エイドリアン・ブロディの演技は、秀逸である。ただ、一人の視点から描いた作品だけに、もうひと押しという部分は、ある。9点(2003-02-18 22:27:55)

11.  ジャッカルの日 アリステア・マクリーン作品がそうであるように、フォーサイス作品も、原作を超える映画は難しいと感じさせた一作であるが、フォーサイス作品は、「オデッサ・ファイル」や「戦争の犬たち」でも、全般、原作に忠実に描かれている。と、いうのは置いといて、とにかくエドワード・フォックスが、いい。石坂浩二の次に、個人的に惚れた役者さんである。クールでスウィート、ナーバスでタフ。勿論、ハンサム君だ。そして、初めて、人種的習慣の違いというものを知った作品でもあって、ヨーロッパ人でも、色々あるんだなぁと、初めて知った作品だった。8点(2003-01-23 23:12:39)

12.  家族の肖像 バート・ランカスターはアクション俳優だったんだよ、ということを知ったのは随分と後のことで、私の第一印象のランカスターは本作で、人生の晩年を迎えた老教授を演じた渋い俳優さん、という印象の方が強い。ヴィスコンティという監督は、ホントに女優さんを綺麗に撮る人で、シルヴァーナ・マンガーノの美しさはマジで綺麗。ランカスターの渋さとマンガーノの押し出しの強さ、二人の熟した演技の前にあっては、さすがにヘルムート・バーガーも色が褪せて見えた。それでも、最後、バーガー=コンラッドが爆死しちゃうところは、結構胸にくるものがあった。ある人生の斜陽、夢の挫折というテーマはいかにもヴィスコンティらしいけれど、どちらかというと「ヴェニスに死す」と同様、割りと淡々と物語を運んでいくので、「地獄に堕ちた勇者ども」や「ルードヴィヒ~神々の黄昏」などとは、ちょっと印象が違うかもしれない。8点(2003-01-15 23:14:04)

13.  うたかたの戀(1936) 終焉のオーストリア帝国の皇太子ルドルフと令嬢マリーとの悲恋を描いた一作で、初めて観たのは、まだ学生の頃で、その頃は、なんでか知らないが、TV向け御正月映画の定番だったと思う。その頃は、悲恋の御話をロマンティックに観ていただけだったけど、今、改めて観ると、新しい発見にビックリ。本作序盤で、皇太子ルドルフが父皇帝フランツ・ヨーゼフと会話するシーンでは、室内の壁に皇后エリザベートの、後世にも伝わっている肖像画が、しっかり掛かっていた。シシィが自慢の髪を胸前で交差させている肖像だが、今まで、全く気付かなかったのは、それまではエリザベートのことには関心なく観てた証拠。だから、今となっては、もう少し当時の社会情勢に踏み込んで描いても? と思うのだが、そうなると1時間30分枠では、辛い。舞台を思えばカラーで観たいなぁ。ダニエル・ダリューが、物言いたげな瞳と唇が印象的で、何より綺麗である。7点(2002-12-26 02:21:13)(良:1票)

14.  スパイ・ゲーム(2001) スパイ今昔物語も、当世スパイ事情も、時々の世界情勢や当時のアメリカの大国の事情やらをも含めて、とっても私好みではある。その時には、暗黙の了解というか、国家のための必要悪であったことも、情勢が変われば、「許可があったのか」と聞く身勝手さは、多分、どこの国家も同じなんだろうが、本作は公開時期が不運だった。国を挙げて大儀を寄せ集めて挙国一致を目指そうという御偉方には、歓迎されない作品だろう。ロバート・レッドフォード主演ということは分かってはいるが、ブラッド・ピット・ファンとしては、ムカついていいのか喜ぶべきなのか、迷う一作でもある。とにかくピットが地味なのだ。ハリソン・フォードと共演した、かの「デビル」と張り合うくらい、地味である。いや、スパイなんだから派手でも困るのだが、何もここまで地味にしなくてもと、思うくらい地味なのだ。反面、そのおかげで、ピットの抑制の効いた演技を堪能することも出来たわけで、ベルリンのロデオ作戦は、ほぼピットの独壇場だった。また、「デビル」の時とは違って、脚本も配役のバランスも取れているから、筋立ても安定していて、溜飲の下がる結末に収まっている。アクション劇ではなく、心理劇である。8点(2002-11-30 03:01:40)

15.  ルートヴィヒ(1972) ヴィスコンティ映画に嵌まっていた頃、上演されていた岩波ホールにまで観に行った唯一の作品であり、今後もそんなことはないだろう。本作に限らず、ヴィスコンティ映画は、ある意味面白いが、楽しめる映画ではない。だが、ルキノ・ヴィスコンティ本人がイタリア貴族の末裔であるのを反映してか、旧体制が滅んでいく残照を描いて右に出るものはいない。本作は、その集大成とも言える作品であり、史実であるだけに壮大である。ルードヴィヒの狂気と頽廃を追いながらも、全編をセピアで縁取り、決して品格を損なうことがない。ヴィスコンティにはお気に入りの役者というものがいるが、ミス・キャストというものがない。ルードヴィヒのヘルームート・バーガーは無論嵌まり役だったが、当時、絶世の美女と謳われたエリザベート=シシィを演じたロミー・シュナイダーの気品ある美貌は、シシィ役を見事に表現して見せた。ただ、気軽に観られる映画ではない。観る前に、「よし、観るぞ」という覚悟はいるだろう。完全版では、4時間だ。美術監督の苦労が偲ばれる、小物に至るまでの調度やセット、気合いの入ったコスチューム・プレイは、圧巻である。8点(2002-11-11 01:04:01)

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