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【製作国 : イタリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. シャンドライの恋 この映画、ストーリー自体はよくありがちでテンポも悪く、一見ダルい映画のようだが、この映画の面白い所は、シャンドライの揺れ動く心を音楽によって代弁したところにあると思った。初めはアフリカの音楽ばかり聴いていてキンスキーの音楽には理解を示さないのだが、次第にキンスキーに打ち解けていくにつれてキンスキーの音楽を好きになっていく…。キンスキーのピアノの音楽が激しく鳴り響く時はシャンドライも激しく悩んでいる時であり、シャンドライがアフリカの音楽を聴いている時は、キンスキーに魅かれつつある自分を諫めながら、アフリカにいる夫のことを思い出している時。例えばこういったシーンにあるように、シャンドライの微妙な心境をアフリカ音楽とクラシックのピアノ音楽といったある種対照的な二つの音楽を絡めることで表現する、というところに今までにない新しさを感じた。そして、ラストの終わり方も、「心を音楽で表現する」という非常に繊細で微妙なこの映画に見合った、非常に繊細な終わり方で、観終わった後になんとも言えない余韻を残す、とてもいい終わり方だった。9点(2004-08-08 18:17:44) 2. 太陽がいっぱい トムがフィリップを殺害するときに突如ヨットの全景が映ったり、死体検分の時に尼僧のアップが挿入されたり、トムがフィリップの全財産を引き落とすときにトムの顔のドアップになったりと、一瞬ハッとさせられるようなカットがたびたびあった。これらはみなトムの心理の暗示であろうが、他にも、トムが殺人を犯した後は必ず何かを貪り食べるシーンなど、トムの心理を実に巧みに表現していると思った。小説だったら心理面は簡単に表現できるが、映像となると難しい。それを、この監督は見事に表現していると思った。トムの心理を暗示する何かがたびたび映されるので、それを探しながら観るというのも面白いと思う。アラン・ドロンも実にハマリ役だった。9点(2004-07-01 20:32:37) 3. マレーナ ロケ地のきれいな風景と、まったりとした音楽が、観客に少年の淡い恋心を共感させるのにとても効果的だと思った。この映画は少年の恋や、女の嫉妬といった内面的なものがテーマなので、それに共感できる人とできない人とで作品の評価が別れるだろうと思う。特に、女の人と男の人では、観方が決定的に違うのではないだろうか?とにかく、モニカ・ベルッチがとてもきれいなので、彼女のファンなら必見でしょう。ちなみに、ディレクターズ・カットで付け足されたシーンは完全に蛇足で、むしろ作品の質を落とすと思った。映画として観るならオリジナル版。モニカ・ベルッチをもう少し鑑賞したいというならディレクターズ・カット版でしょう。8点(2004-06-30 19:24:47) 4. ライフ・イズ・ビューティフル 「ホロコーストをコメディにするなんて!」「時代考証がメチャクチャ!」こんな意見が多いようだが、それは野暮というものであろう。この映画はホロコースト自体を笑いものにしているわけでは決してないし、映画には常に正しい時代考証が求められるなら、歴史ものをあつかう映画は全て学術的なものになってしまう。この映画のテーマは、あくまで「どん底でも生きる望みを失わずにいること」なのではないだろうか。そして、それは充分伝わってきた。ただ、確かに前半部分はいくらか退屈で、もう少しコンパクトにまとめることもできたように思う。9点(2004-06-29 22:09:47)(良:2票) 5. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 とにかくロケ地と音楽が美しいです。海の中で奏でられるエリック・セラの切ない音楽に乗せられて、ジャックと同じように僕自身もすっかり海の中の世界に魅せられてしまいました。ただし、みなさんのおっしゃるように少し長すぎることは確かで、こういう映像や音楽の美しさを売りにしている映画はどうしても飽きやすいので、もう少しコンパクトにまとめるべきだと思いました。9点(2004-06-06 10:01:15)
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