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61.  ファインディング・ドリー 夏休みということで子どもと鑑賞。ストーリーはほぼ言うことなし。相変わらずのピクサー印で、ドタバタを楽しく見せつつも、一つ一つのアクションにちゃんと意味がある。とくに、ニモとマーリンが「ドリーならどうするか」を考えるところが素敵。たとえ記憶障害を抱えていてついつい「うっとおしい」と思ってしまう相手であっても、相手の目線で物事をみることが、自分との「ちがい」を知り、相手に「共感」して「理解」することへの第一歩だという素敵なメッセージだったと思います。でも押しつけがましくなく、新登場のキャラクターも個性豊かで魅力的。ハラハラしたり、笑ったり、驚いたりしながら、気がついたらピクサーらしい世界観にどっぷり浸かり、ちょっと優しい気持ちで映画館から出ることができました。欲をいえば、中盤から後半はアクションの連続で、位置関係がよくわからなくなったりしても立ち止まって考えるする余裕がなく、ヤマの盛り上がりにつながるようなメリハリがもう少しあってもよかったかな、と思うくらい。[映画館(字幕)] 8点(2016-07-25 17:02:36)(良:1票)

62.  孤高のメス 《ネタバレ》 成島監督、『八日目の蝉』でも押しつけがましくない、いい演出をしてたけど、そのルーツみたいなものが見えてくる1本でした。スーパードクターが主人公の映画ですが、本領は「善良なふつうの人」の描き方。院長先生、手術チームのみなさん、市長とその家族、そしてドナーとその家族。とにかく、主人公2人の周りが暖かく、そういう世界の描き方では邦画ではトップなんじゃないかなと思う。一方で課題は「悪役」。かの映画でもそうでしたが、「悪役」がほんとに魅力がない。生瀬さんだからもってるようなもので、あとの2人の医師はどうしようもない俗物ぶり。タバコぷか~としながら週刊誌記者と会うシーンなんか、いつの時代の映画か、と目を疑いました。とはいえ、主人公2人もすばらしく、牧歌的な社会派という不思議なジャンルを切り開きそうな監督の今後に期待です。[DVD(邦画)] 6点(2012-08-30 16:19:07)(良:1票)

63.  ワールド・トレード・センター 《ネタバレ》 TVでさんざん見た飛行機がつっこみ、ビルが崩壊する映像。あるいは、ワイドショーでさえも取り上げられたイスラムとアメリカをめぐる国際政治事情。オリバー・ストーンが描く9.11は、俯瞰的な映像を極力廃し、国際政治については一切触れない。その代わりに、あの日ビルの中にいた人の視点から見た崩壊と、その無事を祈る家族の姿を描く。僕には、これがTVやらなにやらであの事件について「わかったつもり」になっている私たちへの挑発に思えた。そして、最後の元海兵隊員の「報復が始まる」という一言。アフガンやイラクでWTC以上に悲惨な状況を作り出したのは、あの日現場にかけつけ命をかけて同胞を助けた敬虔なクリスチャンの青年のような人々なのだ。描いてないようで、細かい部分でちゃんと「政治」も描いてる。反骨の映像作家オリバー・ストーンの健在ぶりを感じました。そういう監督の姿勢には共感するものの、生き埋めになった後の二人の隊員の会話も平板で、全体の構成も冗長な印象を拭えなかったのが残念。とくに救出作業が始まってからのシーンは、もっと別の演出方法があったのではないかと思いました。[DVD(字幕)] 6点(2009-11-17 13:05:51)(良:1票)

64.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 新しい時代の『SW』をという志としては、高く評価したい1本。いろんな雑音や圧力があったであろうなかで、脚本も自身で手がけたライアン・ジョンソンの「俺のスターウォーズ」をやりきった感には素直にすごいと思う。「SWならこうあるべき」をことごとく潰していく話の展開も、レイの「平凡すぎる出生の秘密」も(これは絶対このままであってほしい)、欧米人が持つステレオタイプの逆を行く「ぽっちゃり系」ローズの設定も、ファンの神経をわざわざ逆なでしながらも、旧世代の退場とレイとカイロ・レンの新世代へと新しい物語を開くという2作目の困難なミッションをしっかり果たした点ではすばらしい。EP7でJJエイブラムスが(いつものように)無責任に広げた風呂敷を、閉じるどころかビリビリに破り去って捨ててしまうような手腕には素直に感心した。 ただ、この作品で評価できるのはこの点だけだ。SW8作目としては評価できても、SF映画としては致命的に面白くない。ダラダラして前に進まないミッション、銀河を舞台にした大戦争のはずが繰り返されるのはちまちまとしたスケールが小さく回りくどい戦い、どんでん返しを繰り返してどうでもよくなる脚本、ぬいぐるみ販売しか頭にない物語上無意味な新キャラクター(ケアテイカーに何かを期待した私が馬鹿だった)、少年漫画並みのフォースの後付け新設定・・・。大不評のEP1〜3ががんばって描いた「政治」の要素は今回出てくるかと思ったけど、その影は今回もなし。結局のところ、ライアン・ジョンソンは「壊し屋」としては困難なミッションを成し遂げたかもしれないが、その先にあるはずの「世界観の(再)創造」に全く期待が持てないのだ。EP7を見たとき、これから同じような話を繰り返していくのかなあと不安になった。本作は、その不安を打ち破ってくれたのは間違いない。でも、その先にあったのが「無」だった・・・というなんともホラーな気分に今は苛まれている。[映画館(字幕)] 5点(2018-01-03 13:24:07)(良:1票) 《改行有》

65.  アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 《ネタバレ》 ヒーロー多過ぎで、ごちゃごちゃしてそうで敬遠してきたMCUですが、やっぱり見てみるかということでほぼ順番に見てきました。そのなかで一番びっくりしたのは、この『インフィニティ・ウォー』かもしれない。続編があるのはわかっているので、どうせ中継ぎなんだろうなあとは思っていたし、だからラストの「衝撃」はそれほどでもなかったんですが(それはそれで楽しみを半減させてるとも言えるけど)、それより驚いたのは、ごちゃごちゃ出てくるヒーローたちの世界観をちゃんと保ったまま、ヒーロー大集合をやってのけた、という点。とくに新顔のドクター・ストレンジとか、GOTGの面々とか、ブラックパンサーをそれぞれの映画世界のまま持ってきちゃったのは、脚本も演出もすごいと素直に感心しました。とくに、GOTGについては、ピーターとガモーラ、あと色物要員としてロケット&グルートくらいしか出番はないかと思ったら、ドラックスやネビュラ、さらにマンティスにまでちゃんと見せ場があってびっくり。このすさまじいバランス感覚。ほかにも、オコエとブラック・ウィドーとスカーレット・ウィッチの「強い女」3人衆の戦いとか、ソーとロケットの掛け合いとか、トニーとストレンジのちょっと似たもの同士なやりとりとか、説明抜きで、掛け合いと戦いぶりだけで登場人物どうしの関係性が見事に描かれていて、さすがのマーベル・スタジオの脚本&演出センスに脱帽でした。『シビル・ウォー』では無理矢理感があったヒーロー大集合(あれはキャプテン・アメリカ世界に無理矢理ほかのヒーローを連れてきた、という感じだった)ですが、今作くらいやり切ってくれたら満足です。ただ、その割を食ったのは、もしかしたらオリジナル・メンバーたち、とくにキャップ(最初「誰?」状態)、ハルク(今回はギャグ担当か)、ブラック・ウィドー(ワカンダだと「強い女」枠も交通渋滞)だったかもしれないけど(あとお休みだったホークアイ)、彼らの見せ場は次作なんでしょう、きっと。全員に見せ場を用意して盛り上げ、かつ物語上不都合のないかたちで退場させて整理し、最終作のための舞台設定をする。中継ぎ映画としては最強・究極の映画。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2019-08-23 02:21:49)(良:1票)

66.  ココ・アヴァン・シャネル 《ネタバレ》 たしか朝ご飯食べながら見ていた『めざましテレビ』で、当時の主流だったコルセットを嫌い、黒い色やボーダー柄を女性ファッションに大胆に取り入れたのがココ・シャネルだったとかいう話が取り上げられていました。映画のなかでは、後年のシャネル・ファッションの原点を描くエピソードがちりばめられているものの、そうした予備知識なしではほとんどわからない程度です。このような知識は、この映画が想定する観客層のあいだでは「常識」なのかもしれませんが、休日に奥さんの付き添いで見ることになった私のような人間にとってはシャネル以前のココという女性の平凡な悲恋物語にしか思えませんでした。物語自体は悪い出来ではないですが、ココ・シャネルという「カリスマ」の半生としては物足りない。最後に突然デザイナーとして成功したココ・シャネルの姿を見せられても、イマイチ盛り上がりません。 ちなみに奥さん(格別シャネル・ファンというわけではない)も「別にシャネルじゃなくてもいいやん」という感想でした。[映画館(字幕)] 5点(2009-10-20 06:17:56)(良:1票)

67.  TIME/タイム 《ネタバレ》 序盤だけは、アンドリュー・ニコルの箱庭的世界観を堪能できて秀逸。「時=金」の設定に最初こそ戸惑うけど、母の死や金持ちの街へ出て行くまでのエピソードを通して、その「世界のしくみ」そのものを体感しながら理解できる。ただ後半、世界の秩序への反逆がムチャクチャな上にグダグダでB級作品へ急降下。その世界秩序のルールを内側から崩していくような「革命」を見たかったのですが、実際には銀行強盗とネズミ小僧という古今東西のありきたりの「反体制」モノを踏襲したのみでした。もちろん、この描写そのものが、「世界の富を独占する1%に対する99%の反乱」を自称する2011年のウォール街占拠デモへの共感と批判、みたいな読みも可能だとは思いますが・・・。あと邦題も残念。「in time」の「時間内に間に合う」という意味が、この映画ではとてつもなく重いのに、意味のない英語とカタカナの併記はB級っぽさをいっそう加速させます。[映画館(字幕)] 5点(2012-03-11 06:51:43)(良:1票)

68.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 ウォルトと家族、モン族の隣人とギャングとのトラブルなどは、アメリカ映画ではおなじみの設定ですし、「チンピラ」として描かれるギャングたちも、(顔が「アジア人」になっただけで)ギャング映画の定番といえます。彼らが登場するシーンに必ずヒップホップが流れているのには思わず苦笑してしまいました。しかし、最近のイーストウッド映画にはない「ユーモア」が、なによりもこの映画を特別なものにしている。どんなに差別的な表現を伴っていても、ウォルトの言葉にはすばらしいユーモアがあります。関係ない話かもしれませんが、僕の周りにも「毒舌家」がいて、僕はその人からかなり酷いことを言われたこともあり、正直その人をどうしても好きにはなれませんでした。でも、なぜか、その人の周りには、数は多くはないけれども心を許せる友人が集まっていて、そういう関係を自分はどこか「不公平」に感じていました。そんな僕には、ラストの葬儀のシーンのウォルトの息子がタオを見る表情が痛く突き刺さりました。そういう人間関係の微妙な襞を見事に描いたからこそ、ありきたりの設定ながらも暖かいユーモアと重厚な深みに包まれた傑作になったのでしょう。[DVD(字幕)] 8点(2009-11-14 14:42:18)(良:1票)

69.  CURE キュア 間宮とのかみ合わない会話と、それゆえに心に入り込まれてしまう恐怖は、なかなか見事に描かれていた。後半の怒濤の、説明を排した展開というのは、たとえば、それを間宮の(そして高部の)「本質的な異常性」や「不幸な境遇」みたいな、ありきたりでわかりやすい「動機」でもって説明すること自体が無意味だという主張なのかもしれない。なのに、その結果おきた殺人の数々は、「気にくわないから殺す」「殺してみたかったから殺す」みたいな、ものすごく利己的で単純極まる理由だったのが皮肉。ただ、個人的には、説明できないものを、なんとか映像と言葉の力でもって表現しようと努力するのが映画作家だと思うので(観客に解釈を委ねるのは、その意味では怠慢)、それを放棄したようにみえる本作の後半の展開は残念だった。5点(2005-02-28 10:54:30)(良:1票)

70.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト やたら長いし、ジャックとウィルとエリザベスを妙な三角関係にしたせいで、映画の爽快感そのものも失われてしまった。この映画に求められているのは『マトリクス』の謎解きでも、『指輪物語』の壮大な世界観でもなく、ディズニーアトラクション的な爽快感だと思うんだけどなあ。正直、ジャック・スパロウの謎とか、たいして印象に残ってもいない前作のキャラクターの再登場とかどうでもいい・・・。ただ2時間、冒険を楽しませて最後はスッキリさせてもらえればよかったのに。[DVD(字幕)] 4点(2007-01-08 07:29:29)(良:1票)

71.  ライオン・キング(2019) 《ネタバレ》 娘がアニメ版を歌も台詞全部覚えるくらい見てて大好きなので、現地での公開直後に家族で鑑賞。人間が登場せず、おそらくCGで精密に描かれた動物たちが主役のこの映画が「実写」なのか?という疑問は大いにあるのですが、それはさておき、IMAXの映像と音響で見れば、冒頭のプライドロックのシーンからおなじみのタイトルまでの流れは、やっぱり鳥肌ものでした。ただ、IMAX効果も実写効果の感動も長続きはせず、徐々にクエスチョン・マークのほうが大きくなっていく・・・。疑問その1は、あまりにアニメ版に忠実な絵と物語・・・。もともとストーリーは父の死からの定番の成長物語なので、あまりいじる必要がなかったし、いじるリスクのほうが大きかっただろう。けれども、25年ぶりのリメイクなのに、ほとんど何の「再解釈」もなく、ただ同じ話を見せられるのは思ったよりも辛かった。疑問その2は、アニメ版にあったダイナミックな絵の魅力は実写によってむしろ減じているということ。とくに、「I just can't wait to be a king」の歌のシーン。アニメ版では奇想天外な絵が繰り広げられるのですが、実写では残念ながらその豊かなイマジネーションがまったく活かされていない。アニメ版の絵をそのまま再現することは不可能だからこそ、ここは実写班の腕の見せ所だったと思うのですが、残念ながら数少ない実写独自の描写がうまくいっているようには見えない。疑問その3は豪華すぎる声優陣の使い方。ドナルド・グローバー(チャイルディッシュ・ガンビーノ)とビヨンセという今もっとも影響力がある黒人シンガー2人を主役キャストに配しながら、その魅力がまったく活きていない。キウェテル・イジョフォーもジェレミー・アイアンズの真似の部分のほうが目立つ。キャスティングが発表されたときは、『ブラック・パンサー』級の新世代のブラック・ムービーとして生まれ変わるのか!?と期待MAXだっただけに、あまりにおとなしい声優陣と、ちょっと気を遣った風に挿入されるビヨンセの新曲・・・。結局、敗因はアニメ版に対する制作陣の敬意が大きすぎたこと、だったのだと思う。この手の映画だったら普段は盛り上がる映画館も、今回は終わっても反応がほとんどなかったので、そう感じたのは私だけではないんだろう。[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2019-07-24 00:09:11)(良:1票)

72.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 長時間フライトで眠れなくなったときに、機内映画でよく東野圭吾作品をチョイスするのですが、今回もそういう事情で鑑賞。橋の名前が鍵になる序盤は引き込まれた。字幕での経過説明はうざかったけど、主人公の家族も絡む複雑な話をテンポよく見せるのに成功していた。ただ、開始1時間くらいで、もう松嶋菜々子が怪しいというか、ほぼ犯人確定していくので、残り時間どうするんだろうと思ったら、そこから延々と逃避行ドラマでした。この部分、小日向さんと若手の女優さんがすばらしい演技で盛り上げるのですが、音楽がうるさすぎるのと、話の中身自体は東野作品によくある「身代わりもの」の話だったので新鮮味も少なく、ちょっと残念。東野さんって、文章だとベタな人情話を乾いたタッチで描くところがうまいと思うのだけれど、映画はいつもその逆を行ってしまう・・・。もうちょっと違う演出家で見てみたいなあと思ってしましました。[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 05:46:00)(良:1票)

73.  ズートピア 《ネタバレ》 最近のディズニーの「社会派」ぶりにちょっと驚いてます。警察、差別と偏見、犯罪者と見なされること、犯罪者になること、これはいまのアメリカ社会に置き換えて考えれば、やっぱり警察と黒人の問題でしょう。そして、これは、2016年のアメリカで、この偏見や差別を煽ることによって支持を集めている政治家の問題でもある。そんなテーマに正面から挑みながらも、子どももちゃんと楽しめる(そして、そのメッセージもちゃんと伝わる)作品に仕上げた制作陣は本当に素晴らしいと思います。この映画の最も「社会派」なところは、主人公をこのような偏見や差別のサイクルから自由で超越した存在として描かなかったこと。もっとも偏見から遠いところにいる(と思われていた)ジュディが、その善良さゆえに、警察という立場から自ら偏見を持ち込むような発言をしてしまい、社会に分断を招いてしまうシーンは、大人の自分でも冷や汗が出るような恐ろしさでした。そして、そこからジュディが立ち直る過程こそ、この映画の本当のメッセージであり、テーマであったのだと思います。ただ、ここも最近のディズニーに共通するところですが、物語が複雑でガチャガチャしてしまい、落ち着きがないところ。出てくるキャラクターがそれぞれ魅力的ではあるのだけれど、個人的には種類が多すぎで、それぞれの見せ場が短い。もう少し展開やキャラを絞ってシンプルな成長物語としたうえで、この映画の重くて真摯なテーマを絡ませることは、たぶんできたと思う。あと音楽と映像(とくにズートピアの多彩なエリア)は、もちろん2016年の平均以上レベルだけど、でも、もっと出来たんじゃないかなとも思いました。とかグチグチ言っても、一緒に観た娘たちがケラケラ笑って楽しんで、帰りに「もう1回みたい!」と言ったことがすべて。小さな娘のなかに、現代という時代に向けた本作の大切なメッセージが、じわ〜っと伝わっていることを願っています。[映画館(字幕)] 8点(2016-04-29 22:26:56)(良:1票)

74.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 予想どおりというか、残念な出来。日本をめぐる描写を抜きにしてもつまらない(むしろ、ハラキリ、ニンジャ、ラブホのヘンテコな日本に突っ込むしか楽しみがない)。キャラが不必要に多くてごちゃごちゃしてるうえに、唯一まともにアクションができていた真田広之は無駄遣いとしかいいようのない使い方(その後、アメリカ・ドラマやハリウッドでも活躍しているようで、この作品への出演が躓きにならなくてよかった)。ミュータントが蛇女以外出てこないわけだから、X-MENシリーズならではの楽しさもない。あと、監督は日本語の演技のチェックができないんだったら、役者に日本語をしゃべらせないように。マリコ役の女優さんのひどい日本語の台詞まわしは、相手をしていた真田広之が気の毒になった。あの「ファースト・ジェネレーション」の次がこれだったのが、本当に残念。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 3点(2014-08-29 12:52:54)(良:1票)

75.  マイレージ、マイライフ 《ネタバレ》 主人公のマイルを貯めるのが楽しみな気持ち、なんとなくわかる。いつも混雑して長蛇の列ができるカウンターやセキュリティ・チェックを、さっとスマートにカードをかざすだけでスムーズに通り過ぎる。スタッフが自分の名前を呼んでくれる。いや、冷静に考えれば「何でこんな事に」と思うようなことだが、自分の仕事や生活の「スタイル」の結果として積み上がるマイルという数字を眺めるのは、きっと快感なんだろうなと思う。そういう彼を揺さぶる2人の女性がいい。正論をぶつける部下と、同じ価値観を共有する(と思ってた)大人の女性。そこから浮き彫りになっていく、主人公の生活の「空虚」。そういう主人公の仕事がリストラ通告というのもいい。実際には、仕事で直面する人間や社会のもっともドロドロした部分と、空の上の世界とそこから眺める各都市の風景の対比。「空の上(Up in the Air)」の「空虚」に気づいてしまった主人公の今後は明確には示されないが、たぶん同じような生活を送りながら、彼のなかでは何かが決定的に変わっている、そんな生き方を彼は模索していくんだろうと思わせる。大きな展開や感動的なエピソードがなくても十分に楽しめる佳作。この映画の監督が映画公開時はまだ32歳で、しかもあのアイヴァン・ライトマンの息子だったというのに驚き・・・。さらに、この映画の「大人の女性」ヴェラ・ファーミガが、自分と同い年だったというのに、さらに驚愕・・。若い(と言っておきたい)スタッフが作り上げた大人の映画。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2013-09-16 22:59:38)(良:1票)

76.  フェイブルマンズ 《ネタバレ》 スピルバーグの映画って「怖い」ですよね。異世界とか怪物とかの「それ」ではなく、人間が怖いといったらありきたりですが、人と人のあいだにある「絶望的な溝」みたいなものが垣間見えてしまう「怖さ」っていうのかな。自分が「これは理解できないかもしれない」っていうものが目の前にあって、でもそれとなぜか対峙しなきゃいけなくって、でもやっぱりわからなくて・・みたいな瞬間。 巨匠の自伝的作品とはいえ「思ってたのと違うらしい」と聞いていたので、あまり期待せずに見てみたら、その「怖さ」の深源を見てしまったような、そんな作品でした。冒頭の『史上最大のショウ』でサム少年が夢中になったのは機関車の大事故のシーン。大人目線ではいかがなものか、というものではあるのですが、子どもがそこに吸い込まれる感じ、すごくよくわかる。ところがカメラを手にした頃から、サムはフィルムに「得体のしれないもの」が残ってしまう恐ろしさと対面する。父親の友人ベニーに向ける母親の視線なんて、思春期の少年が一番見ちゃいけないやつだし、母親だっておそらくあのフィルムを見るまでは自覚すらしてなかったかもしれない。でもフィルムに残っちゃったものはしょうがない。そこから始まる家族物語の顛末の辛いことったらない。母親はだんだんおかしくなり、猿にベニーと名付けるあたりで、決定的な「溝」が見えてしまう。一方で、イヤ〜なイジメっ子高校生もカメラを通せばなぜか「キラキラ」男子になってしまうことの不思議。カメラを向ければ、被写体の本心だけでなく、自分の奥底にある欲望にまで向き合うことになる・・・。 本作を見ると、映画賛歌どころか、スピルバーグの映画ってもしかして映画への「復讐」だったのか、とさえ思えてくる。偏執狂的ともいえる「恐怖」への執着、ヒューマンな映画にふと挿入される人間を突き放したような表現、そして、他者を理解することに対する諦めにも似た冷静さ、そして不謹慎なものがもたらす高揚感・・・。今までのスピルバーグ映画にあった二面性というか多面性の由来を見た感じ。「復讐」でもあるけれど「ラブレター」でもある。「思ってたのと違った」けど、こんな違いなら大歓迎。こんなん、スピルバーグにしか作れない「恐ろしい」映画でした。[インターネット(字幕)] 9点(2023-12-25 17:50:07)(良:1票) 《改行有》

77.  クレイジー・リッチ! 《ネタバレ》 サンフランシスコ都心の映画館に公開3週目の週末に見に行きました。予想外の大ヒットで各所で話題になっていたこともあり、座席は予約でほぼ満席。在米中国人向けなのか、中国語字幕付きの上映館もあったようでした。アジア系住民が多い土地柄でしたが、観客の6〜7割は非アジア系の方々でした。映画はいたってありがちな古典的な「彼氏の家族に会いに行く」モノの範疇を出るものではないし、バチェラー・パーティあたりのセレブ文化描写はあまりにベタでクドいなあと思いつつも、終わってみれば、心からこの映画を楽しんでいました。たぶん理由は3つ。1つは、シンガポールの大富豪の派手な金持ちぶりが話題ではあるのですが、物語の中心は、主人公レイチェルが自分自身のルーツを発見する典型的な移民家族物語になっていて、そこがぶれておらず、映画としての芯がしっかりしていたこと。2つは、映画の軸がはっきりしているがゆえに、オークワフィナやケン・チョンのコメディ部分を物語のもう一つの華として心から笑えて楽しめる作りになってること。そして、3つめは、何よりも満員の観客の反応が素晴らしかったこと。人種や民族関係なく、みんなゲラゲラ笑い、ときには突っ込みも入れ、口笛を鳴らし、ラストの飛行機の機内のシーンでは、みんなで「オオーーーー」と声をあげて驚き、そして終幕後は大拍手。何度かアメリカの映画館で映画を見てますが、そのなかでも最良の体験でした。そして、何よりもそうやってみんなが喝采した映画が、いわゆるハリウッド映画スターは誰も出てこない(ミッシェル・ヨーぐらい)、俳優も主要なスタッフもアジアにルーツも持つ人々で作り上げた映画であるということが、その感動を何倍にもしてくれた。はっきり言えば、映画としての出来は6点くらいだと思うが、何よりもすばらしい観客によって忘れられない経験になりました。あと、難を言えば、なぜ邦題で「Asians」が消えてしまったのか・・・。語呂が難しいのは理解できるけれど、これはCrazyやらRichなだけではなく、何よりもアジアにルーツを持つ人々の映画なのに。その映画を、人種や民族関係なくみんなが楽しんだことが重要なのに。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2018-09-27 22:54:20)(良:1票)

78.  ファーゴ 《ネタバレ》 些末な動機で始まった犯罪があれよあれよという間に大惨劇に。これは仕事がうまくいってないときに見てはいけないヤツだったかもしれない(笑)。状況の悪化は底なしなのだ。ウィリアム・H・メイシーが演じきってみせるつまらない男の「器」の小ささ、プロっぽいのにいつも最悪の方向に向かってしまう悪人2人組+同僚、そんな狂った歯車を一人で飄々と解いてみせるフランシス・マクドーマンド、みんな素晴らしい。コーエン兄弟の作風は好みが分かれるとは思うが、90分という時間に悲劇と喜劇を圧縮して見せたという点ではやっぱり最高傑作だと思う。ラストにマクドーマンドがどうやって「あいつ」をパトカーに乗せたのか、ってことだけは謎だったのだけれど、案外マクドーマンドのあのペースには悪人たちもかなわないということなのかもしれない。あと、今年見た『ブレードランナー2049』を思わせるロジャー・ディーキンスの雪の遠景や、同じくド田舎を舞台にした『スリー・ビルボード』でマクドーマンドが見せた本作とは全く違ったアプローチなど、20年後の現代映画につながるあれこれを再発見できるのも楽しい。[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-05-18 17:20:27)(良:1票)

79.  破線のマリス ラストは驚いたけど・・・驚かせばいいってもんではないでしょう。盗撮も、撮影者と撮影対象が逆のパターンだったら納得はできますが・・いくらなんでもあれは無理でしょ。サスペンス仕立てなのに、結局犯人がわからないのもバツ。独善的な黒木瞳には感情移入できないし、陣内さんの演技はちょい芝居がかりすぎ。で、メディア批判も犯人捜しも置き去りにして、結局何を描きたいのか、よくわかんない映画になっちゃった。3点(2004-03-20 22:59:48)(良:1票)

80.  アメイジング・スパイダーマン2 《ネタバレ》 前作よりはアクションも映像もグレードアップ。スパイダーマンの飛翔シーンや戦闘シーンも凝っていて、なかなか楽しめる。あと、新生スパイダーマンの青春映画路線にも慣れてきたのか、恋愛ドラマ部分も(よくあるラブコメだけど)、これはこういうものとして受け入れられた。残念なのは、敵の登場のタイミングや戦闘シーンのバランスがちぐはぐしてるところ。3つ巴になるわけでもなく、順番に出てきてくれるのも何か苦笑。あとラストの最大のサプライズは素直に驚いた。それまでが基本的に軽快路線だったので、突然の悲劇にけっこううろたえた。で、その気持ちの持っていき方がわからないうちに、主人公のほうが立ち直って終幕。なんか観客が置いてきぼりの展開でした。[DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2014-08-12 22:40:51)(良:1票)


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