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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 73
性別 男性
ホームページ http://6018.teacup.com/337/bbs
年齢 53歳
自己紹介 心の機微が感じられる作品が好きです。
絵に携わる仕事をしていますが、映画を映像面から語ることが苦手です。
映画の社会的道徳は常に考えますが、基本的にエンターテイメントを冒涜するようなツッコミはしないのが観客のモラルだと思っています。
全体のバランスよりも、ただのワンシーンにノックアウトされたい。

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評価順12

1.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 この映画が見せてくれるのは、世界はいつだって内側にあるものだということ。人々が共有している外側の世界には、いまや壊れた世界とそれを取り繕っている人々しかない。家庭崩壊や性倒錯やドラッグなどは、いまさら深刻に語ってみても驚きなんかない、もはや当たり前のことだ、と軽く笑いとばしてしまう。 娘の友達に恋をして、彼女の気を引くためにエクササイズを始めてしまうケビン・スペイシー。アホなオヤジと笑うのもいいけど、物事は全てこの通り。なにかの目的をモチベーションにして、夢中に励む。世界は結局そうやって回っているんだから。主人公の中の世界では、そのこと自体がすでに幸せなんだ。外の世界にある彼女という存在自体とは関係なく幸せになれる。だからいざ彼女と一線を越えようとしたとき「初めてなの」という告白で、内世界と外世界のギャップを再確認し、すっかり醒めてしまう。 その後の彼女との会話は素敵なシーン。彼女との関係はすっかり娘の友達に接する父親のそれになっている。さっきまでニャンニャンしようと目を血走らせていたケビンが、ここでは思い出したように娘の心配をしちゃったりする。それは外世界で父親でいるための処世術であり、その実、父親としての本音でもある。内外の世界が一瞬だけ重なるその瞬間が美しいです。ここで死んでしまうところがまた、彼にとってこれ以上ない幸せなのかもしれません。彼の内世界では、温かい家庭が彼を包み込んでいただろうから。 主人公と対比した影として描かれる隣人、元海兵大佐役のクリス・クーパーの人生もまた観客にとって身に覚えがあると思う。棺桶まで持っていく秘密を抱えて、保身のために嘘を塗り重ねて生きている。主人公のことも、大佐のことも、あまりに私(達)に似すぎていてコメディだけど、同時にとてもシニカルだ。 しかし、登場キャラクターに付随するファクターを、自分の手札に変換して考えられない人にとっては、まったく共感を得ることが出来ない映画なのかも。 10点(2003-11-28 19:52:35)(良:6票) 《改行有》

2.  ラブ・アクチュアリー 《ネタバレ》 たまにはこんな映画があって欲しい。まさしくそんな映画。 英国首相がヒュー・グラント!?初っ端のこの配役が笑わせてくれて、いい具合に 肩の力を抜き取ってくれる。登場人物が多いので顔は覚えられないかもしれないけど、 物語は頭に入ってくるので混乱せずに見れる。みんな誰かを愛していて、 ちょっとした困難を抱えていて、だからこそ頑張っている。なんか頑張っちゃうのって いいよね、そんな気分にさせてくれる作品。アメリカに行けばモテる!と 根拠のない期待を持って旅立つイギリス青年の話は「真夜中のカーボーイ」を 連想させた。バーカウンターでアメリカ女性3人に言い寄られるシーンは あまりにも出来すぎていて美人局と思ってしまうが、青年はまんまと彼女を作って 帰国する。このエピソードが映画の最終的なカラーを決定していると思う。 時には信じて突っ走れ、その先には幸せがあるんだよ、この映画は8割くらい本気で 背中を押してくれる。ラストに集められた抱擁シーンは「ニューシネマパラダイス」 を思い起こさせて、幸せな気分に拍車をかける。1回しかない人生、ブレーキばかり 踏んでいたって面白くない、ちょっとくらい能天気にいってみよう! でも友人や家族は大切にしてください、そんなメッセージもしっかり忘れずに含めて くれているあたりが、この作品の優しいところですね。9点(2004-06-23 06:24:19)(良:5票) 《改行有》

3.  シベリア超特急 第二次世界大戦勃発の前夜、イルクーツクからマンチューリへ向けて疾走する 高速鉄道があった。その列車の一室に鎮座する男、アドルフ・ヒトラーとの会談を 終え静かに目を伏せる、山下奉文陸軍大将その人だ。 乗り合わせた乗客は国際色豊かで、列車内は小さな世界情勢と化す。 そして引き起こされる連続殺人。列車という名の密室。 巧妙に張り巡らされた伏線は和太鼓の響きと共鳴し、真実の糸を手繰り寄せる。 事件が暗闇に閉ざされたその時、山下の神秘的な推理が冴え渡り、道を切り開く。 「9号室だ!9号室!」 訪れるクライマックスは常識を飛び越え、予測不可能な展開が観客の思考を停止させる。 息をのむ演出、演技とは思えない人物造形、戦争への痛烈なメッセージ・・・ 名画の条件を兼ね備え、マイク水野が放つ究極の社会派サスペンスミステリー・・・ 晴郎の胸いっぱいの愛、映画への叶わぬ片思いに、あなたも触れてみませんか。 【追記】晴郎を「晴雄」と書いていたので修正しようとしたら、頂いた笑票を誤って消してしまった・・・。これも晴郎の呪いだな。そうに違いない。[ビデオ(字幕)] 0点(2004-06-07 16:34:16)(笑:4票) 《改行有》

4.  十二人の怒れる男(1957) 個人の意見は往々にして、集団の中に埋没してしまう。集団の中でひとり異を唱えることは信念が必要で、誤魔化しの効かない責任が伴う。ヘンリー・フォンダもトイレの中の密談で責任を問われる。12人の陪審員全員の責任であるはずの評決が、ここではフォンダひとりの肩にのせられてしまう。こんな場面が社会にはそこかしこに転がっている。セミナーという商品にまでなったくらいだ。個人の中に降りていけば必ず、その人だけの意見がある。しかし時間に追われる私達にはそれが億劫だ。そんなことよりも蒸し暑いこの部屋から早く出たいし、今夜のナイターを見逃したくない。だから右へ倣えで責任を集団の中へ捨ててしまう。 また、自分でも説明ができない感情の原泉にまで人を踏み入れさせたくもない。まして自分の意見がステロタイプな社会的刷り込みによる偏見に支配されていることなんか認められようか。アイデンティティの崩壊である。 この映画が面白いのは、事件を読み解く過程で男たちの持つ価値観も読み解かれていくところにある。人は完全な客観には成り得ないことを踏まえた上で、努めて事実を探ろうとすることの大切さを観客に訴えかける。事件の焦点をわかりやすく区切り、ひとつひとつQ&Aで決着を見せていったのも万人向けでよかった。 9点(2003-12-01 13:27:55)(良:3票) 《改行有》

5.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 私がこの映画を通して見ていたのは人種差別問題ではなく、 弟が抱く兄への憧憬でした。 いつだって自分の前を歩く兄の背中を、弟は追いかける。 兄は自分の知らない世界を見ている。兄の視線の高さまで、少しでも近づきたい。 そこに善悪の判断はないかもしれない。 いや、むしろ反社会的であるほど、憧れは強くなる。 カメラはダニーの目となり、デレクの肉体を讃えるように映し出す。 憧れは時に盲目だ。疑いたくはないのに、心が追いついてこないという体験を したことがある人は多いだろう。だから私はデレクの改心を素直に受けとめる ことが出来た。 ダニーについても同様で、いくら追いかけても追いつけなかった兄が、 自分の視線まで降りてきて、刑務所での出来事を包み隠さず打ち明けて くれたことは、かけがえなく大切な出来事であっただろうと思う。 人種問題に疎い日本人の私には、こういう見方しかすることができなかったが、 それでも十分に胸に迫ってきた作品でした。 この映画を観たあと、辻仁成の「旅人の木」という小説を思い出した。8点(2004-05-19 11:21:05)(笑:1票) (良:2票) 《改行有》

6.  ドッグヴィル 《ネタバレ》 最高に気持ちのよい映画だった!面白い! 虐げられ、犯され、裏切られ、最後に大反逆の町人皆殺し! 私は歓喜しました。なんて単純明快な復讐劇でしょうか。 「ソドムの市」でファシストたちを撃ち殺せなかったフラストレーション を、この映画はサクッと解消してくれました。 白線で構成されたセットは、演劇を意識したものかと最初は思ったけれど、 途中から古いコンピューターゲームを連想。ドラクエのように、壁の向こうに 誰がいるのか丸わかり。しかし役者たちはその見えない壁を意識しながら 自分を演じる。まさにそれは我々の姿だ。なんという発想! 奇跡のように美しい二コール・キッドマンの首に鎖を繋ぎ、犬のように扱う背徳。 抵抗できない彼女に男は肉欲を露わにし、女は嫉妬を歪ませる。嗚呼、なんて醜い。 改心する機会は幾らでもあった、奥底では間違いにも気付いていた、 それでも変わらない、変えようとしない人間なんて、犬以下だ。 人を許すことは時に、自らの救済に繋がる。人を許すことで、自らは優位に立つ。 自分は別の、良いものになれたような錯覚に酔える。 しかし衝動は消えることはない。外に向かわないものは、しっかり内に蓄積される。 投げられた球は投げ返せ。やられたらやりかえせ。そうして人間は当たり前の 距離感を手にしていくんだ。その行動が善か悪かなんて問いはやめておこう。 私はたとえ悪であっても、やる時はやるぜ。その時は装ったりなんかしない。 純粋に牙を剥くだけだ。そう、ラストシーンの二コールのように。10点(2004-07-23 07:21:06)(良:3票) 《改行有》

7.  父、帰る 《ネタバレ》 いい映画ですね。派手じゃないけど、とてもドラマティックでした。 みなさんが書かれているように、この作品は観る人によって解釈が変わってもいい映画なんだと思います。むしろ、その解釈の違いが面白いのではないでしょうか。若い人がこれを観て「いるよなこういうオヤジ、マジむかつく~、死んで当然じゃね?」と思うのもアリ。「12年の刑期を終えて出てきた男が息子と旅するフリして、昔埋めた宝を掘りにきた」って思うのもアリかな。「突然自分の人生に孤独を感じた男が、家族との絆を取り戻そうとした」のかもしれないし、「紛争地域から一時的に帰国した軍人が、息子たちに軍隊教育をしようとして嫌われた」のかもしれないし、キリスト教の神話やロシアの歴史をひっかけてるのかもしれない。 ちなみに私はこう観ました。おそらく12年服役していた父親。何故今更帰ってきたんだ!という問いには答えられない。ただ失った時間を取り戻すかのように、息子たちと旅に出る。父親にとっても12年の空白は大きく、息子たちへの愛情表現を遠慮している。父親は息子たちに生活の知恵と人間関係の知恵(縦社会)を教えようとするが、その命令口調が息子たちには高圧的に感じられる。母性で育った息子たちは父性に戸惑う。降って沸いたような父親を尊敬などできるわけがない。そして悲劇は起きる。次男はただ泣き、長男には父性の芽生えが起こる・・・。子供の頃って、優しさ以外の愛情には理解が及ばなくて、大人になってから振り返って、ああ今ならわかる、って思えるのが親の気持ちだったりする。この歳になって、この映画の父親の表情や言葉を追っていくと、とても切ない気持ちになります。(悪いけど私の死んだ父に比べたら、この映画の父の言動は真っ当だし優しいです)次男がこの後どんな風に育っていくのか気掛かりですが、自分を助けるために命を落としてしまった父親の記憶は、苦しいけれど有害なものではないんじゃないかと私は思うのです。箱の中身が何だったのかは結局わからないのだけど、父親が大切なものを取り戻しに来たのだという事だけは確実に私の胸に残りました。[DVD(字幕)] 10点(2005-05-15 15:41:34)(良:2票) 《改行有》

8.  ラスト サムライ そもそも侍魂とはつまり愛国心である。 そんなもの現代日本人の中にどれくらい残っているのか? 観客も、制作者たちも、侍魂を「命を懸けて自分の意志を貫く」くらいのシンプルな構造で 捉えているのだろう。だから勝元たちの戦う理由がわからない、という根本の空洞が生まれる。 「国の行く末を案じて命を懸ける」という感覚は、完全な個人主義に染まってしまった 今の日本では理解できないものだろうし、理解しろというのが無理な話である。 敗戦国の日本は戦勝国の米英によって、愛国心を抜き取られる教育を受けてきたのだから。 では日本の観客が「侍魂に共感した」と勘違いしたものの正体はなにか? それは渡辺謙や真田広之の魂ではないか。彼らの奮闘に感動し、彼らの死そのものを悲しんだのではないか。 散っていく男の美学。日本人をカッコよく描いてくれてありがとう、という感謝の涙。 私はこの映画をその視点で観たし、その意味ではよい映画だったと思う。 しかし米国人に侍魂を教わるほど腐ってはいない、と胸を張って言える日本人で私はありたい。 日本人のアイデンティティーを口にするだけで煙たがられる現代日本において、 こんなレビューを書いている私は、ただの異端なんだろうな。6点(2004-06-04 22:16:33)(良:2票) 《改行有》

9.  恋愛小説家 《ネタバレ》 ニコルソン演じる小説家メルビンは売れっ子で、いつも甘ったるい恋愛小説を書いている。 彼は女がどんな言葉で喜ぶのかよくわかっているし、それを生業にしているはずなのだが、 異常な潔癖症のせいだろうか、飾った台詞を口にすることができない。 言葉で相手を喜ばせるのは、なにより簡単なこと。使いこなせば代価なしに報酬を得ることも できてしまう。舌先三寸とはよく言ったものだ。メルビンにとってそれはビジネスの枠内に限られた ことであり、私生活の中には一切持ち込みたくない類のものなのだ。 そんなメルビンにキャロルは「お世辞のひとつも言ってみせて」とせまった。苦悩するメルビンが 吐き出した言葉は、キャロルを褒める言葉ではなかった。メルビンの言葉は ともすれば聞き流されてしまうほど何気ないけれど、それはその場だけで消えてしまう幻ではなく、 彼の行動を伴うリアルな言葉だった。 「時間をかけて見ていると、その人の人間性がみえてくるんだ」隣人でゲイの画家サイモンが モデルにかけた言葉だけど、この映画が私に伝えたのは、そういうことでした。 背中にファスナーが付いてるんじゃないかと思える小犬の演技は、主演の二人を凌駕しました。 8点(2004-01-26 20:43:26)(良:2票) 《改行有》

10.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 1~3部まで観た総評として書きます。ファンタジーの古典である指輪物語の看板を背負うために豪華な装丁になっていますが、やはり映画としては長すぎで、見せ場が散漫です。同監督の作品「ブレインデッド」はひたすらチェーンソーで人肉を切りまくっていましたが、この「ロードオブザリング」も単調さは同じ。ひたすら派手なCGで押し捲っているだけで下品です。フロドとサムの友情も第1部からずっと同じ調子で見せられてるので飽きてくる。アラゴルン、レゴラス、ギムリの活躍もしかり。全シーンがクライマックスじゃ疲れるんですよ。所詮はファンアイテムで、名作と呼ぶのはとてもじゃないけど無理。唯一褒めたいのは、スタッフの情熱だけは溢れるほどに伝わってくる点。第1部を面白いと思えなかったなら、あとの2編は観なくてもよい。9時間費やして鑑賞しても、何かが胸に残るような映画ではない。 ン億円かけて作った「指輪物語」の動く挿絵。5点(2004-10-21 07:24:23)(良:1票)

11.  リリイ・シュシュのすべて 私も少なからず、この映画を観終わってから腹を立てたものですが、 その苛立ちがそのまま映画への不満ではありませんでした。 この映画のリアリティを語れるほど、私は現代の中学生の実態を知らないし、 強烈なイジメにも遭遇したことはありません。 織り込まれた暴力やレイプなどのエピソードはステレオタイプな印象を否めないし、 一時期流行したTVドラマの焼き直しのようにも感じられます。 けれどどこか、身に覚えのある痛みが呼び起こされる。 思い出の全てに音楽が貼り付いている、若い時代を振り返るように。 私たちは繰り返しの中で生きて、麻痺していることに無頓着でいられる。 ニュースで聞きかじった事件にすら麻痺し、映画の中で暴力やレイプを 目の当たりにしようとも「ステレオタイプだ」と切って棄てられるくらい。 目新しさのないイジメの中には、そんなメッセージが込められているように感じます。 スクリーンにタイピングされるメッセージは、顔のない私たちの言葉。 誰もが無責任に、言葉を投げて去っていく。この映画への感想だってそう。 そこには観客に向けて突きつけられた悪意があって、映画を不可侵にしたい 監督のエゴがちらつく。しかしそれさえも計算なのかもしれないと思わせるほど、 ラストの田園風景の空は高く、美しい色だった。8点(2004-05-20 06:32:41)(良:1票) 《改行有》

12.  容疑者(2002) 昔のロングビーチと現在のそれとの対比が、失われてしまった家族の時間に思いをよぎらせる。実話を元に描かれた本作は、過去の鎖に絡めとられて前に進むことができないでいる父と子の物語だ。父にも息子であった時代があり、息子もいずれ父になる。名優デニーロ演じる父親は力強くも脆く見事だ。そして息子を演じたジェームズ・フランコは、往年のジェームス・ディーンを彷彿とさせる危険な繊細さをみせつけてくれる。私自身は父親と理解しあえぬまま死別したため、この映画のラストは得たくても得られない。父親がこんな風に自分にぶつかって来てくれたならどんなに嬉しいだろう。作品の完成度は二の次にして、私は溢れた涙をそのまま点数にしたいと思います。9点(2003-12-03 16:25:53)(良:1票)

13.  ハッシュ! 《ネタバレ》 同性愛のカップルは、ふたりの間に子供を儲けることができない。それは自分の家族を育むことができないということ。 自らが同性愛者であると自覚した時から徐々に、自分の未来にはそうした暗雲が垂れ込めていることに思い至るのだろう。 理解されにくい同性愛という属性を必要に応じて隠しながら、自分の人生を生きる。それが孤独な人生であることは 私にも想像できる。ゲイのカップルに近づく藤倉朝子という女性の生い立ちは、映画の中ではほとんど明かされない。 ただ彼女の言葉や振る舞いから、彼女が満足な家庭で育たなかったことは推し量ることができる。彼女が自分の過去に ついて一言だけ「小さい頃に一回でもいいから誰かに死ぬほど抱きしめられてたら、こんなふうにはなってなかったと思うんだよね」と言った。愛されて生まれてこなかった子供は、一生自分の中に欠落感を持って生きなければならない。そんな生き辛さを抱えた3人が、自分たちの力で支え合って新しい絆を生み出そうとする。求めているのは特別なことじゃなく、ただの小さな幸せ。しかしこの3人にはその小さな幸せがこれまで、とても遠くに感じられていたのだ。 理解を望むわけじゃなく、ただ自分たちの幸せを探したいだけ。甘いかもしれないけど、そんな気持ちに私も共感しました。8点(2004-01-08 07:47:46)(良:1票) 《改行有》

14.  ライフ・オブ・デビッド・ゲイル よくできた映画でした。最後のオチは読めてしまったものの、そこまで引っ張っていく ストーリーテリングや、スぺイシーの演技には見応えがありました。 しかしやはり腑に落ちない。デビッドたち死刑廃止論者の行為が愚かに思えてならない。 法を変えたいなら法の道へ進めばいい。運動に身を投じ、半ば自爆テロのような方法で 世論を動かそうとするのは無責任ではないのか。「冤罪の悲劇」を「死刑の是非」にすり替えてしまってはいないだろうか。 この映画と併せて「テッド・バンディ」あたりを観てみると、中和されていいかもしれません。 死刑にしても物足りない犯罪者も実在する。7点(2004-05-20 17:48:32)(笑:1票) 《改行有》

15.  ミスティック・リバー 川の流れがそうであるように、時間の流れもまた不可逆なもの。 起きてしまった出来事は、もう2度とやり直すことは出来ない。 人生はその連続だ。間違いのない人生を送る者などいないだろう。 だから私は、「ミスティック・リバー」の登場人物たちの人生に共感する。 彼らは、そうせざるを得なかった。私はそれをただ受け止めた。 善悪で裁くことは、敢えてしない。 取り返しのつかない過去は、誰の中にもある。できることなら私も、その 淀んだ暗闇を川の底深くに沈めてしまいたいと願う。 それは弱さだろう。目を逸らさずに真直ぐ見つめたい。8点(2004-07-21 18:59:50)(良:1票) 《改行有》

16.  16歳の合衆国 《ネタバレ》 DVDに収録されているインタビューで、ジュリー役のミシェル・ウィリアムズがこんなことを言っていたと思う。 「主要人物の誰が欠けても成立しない、奇跡の脚本」 どこがどう奇跡なんだぁ?と思いつつ、2回目の視聴をする私。そして気がついた。 たしかにスゴイことしてるかも。こりゃ~かなり練りこまれた脚本だ。 気になってネットで「16歳の合衆国」の批評を読み漁る。 あれれ?誰もこの脚本の凄さに気づいていない? ガールフレンドの弟を殺した主人公。何故?なぜ?みんなが理由を欲しがる。 しかしリーランドは言う「理由なんてない」。 現代の若者は不可解だ、と大人たちは眉をひそめる。 これは大きな社会問題だ!と騒いで、事件についていろんな分析を当て込もうとする。 「理由がみつかれば、きつく縛って庭に埋めることもできる」 リーランドは事件についてノートに書き綴る。「この中に理由があるかもしれない」と。 私たちは「リーランドの合衆国」を読んで、理由を考える。 こうなんじゃないか、ああなんじゃないか・・・ しかしリーランドは肝心なことは何も書いていない。 私たちに「さがしてみて」と投げただけだ。 動機はあやふやだし、犯行時の記憶もない。なのに「僕がやった」ということだけは、はっきり主張する。 例えばこれが”火曜サスペンス劇場”や”はぐれ刑事純情派”だったら、「こいつ、誰かを庇ってるな?」とバレバレだ。 この本来ならバレバレであるはずの筋書きも、色眼鏡をかけたまま見ると気がつかないのである。 色眼鏡の正体は、「現代の若者は不可解だ」という偏見・先入観である。[DVD(字幕)] 9点(2005-05-19 01:25:18)(良:1票) 《改行有》

17.  恋愛寫眞 Collage of our Life 劇中で使われる写真群は、綺麗なんですがありがちな印象でオリオンプレスあたりから持ってきたような感じがしてしまいます。フィルムを替えたりジャンプカットを使ったり、映像的にはなかなか楽しめる映画だと思います。主演のふたりも映像に映える。けれどクライマックスの銃撃シーンがこの映画の雰囲気をぶち壊してしまった。小池栄子演じる役どころの動機はわかるものの、手段が突飛すぎた。それを精神異常で安易に乗り越えようとしたため、観客の目には手抜きにうつる。非常に惜しい。6点(2003-12-01 14:55:27)(良:1票)

18.  アレックス 《ネタバレ》 表面的には暴力行為の不毛さを印象付ける作品ですが、別の意味もみえる。 映画中、最もショッキングなのは冒頭の復讐シーン。そこからエピソードを遡るメメント方式で見せていく。レイプシーンは生々しいが、狂気は感じない。モニカ・ベルッチの姿は男を欲情させるのに説得力がありすぎる。救急車で運ばれるアレックスの血に染まった顔は、レイプに対する怒りを煽るが、長回しで地下道へと歩いていくアレックスの背中には、レイプへの邪な好奇心を刺激される。 観客はレイプをたっぷり鑑賞した後、ようやくアレックスという女性の個に触れる。レイプされている彼女は匿名の女体だった。 物語の中で、アレックスの精神と肉体を剥離することこそが、メメント方式流用の理由なのでは、と推理してみた。 観客の多くはモニカ・ベルッチのレイプシーンに期待して本作を鑑賞するわけで、自分の中で野生と理性が葛藤するサディスティックな見方ができれば、楽しめる作品なのかもしれない。 もう少し遊びの要素が入っていれば、私ものれたかもしれない。4点(2003-11-29 05:37:25)(良:1票) 《改行有》

19.  チョコレート(2001) 《ネタバレ》 11年も刑務所に通い続けたレティシアは、夜の生活はどうしてたんでしょう。子供を失い、親の責任から解放されて、2人は思春期の若者のようなセックスをする。「もう一度女にして」と叫ぶレティシア。相当いろいろ溜まっていたんでしょうね。 息子に厳しく当たり過ぎたハンク。自分も父親にそうやって育てられてきたんでしょう。息子が自殺で血に逆らったのを見て、ハンクの心に波紋が広がる。本当は自分だって、父親に抑えつけられて生きるのはイヤだった。レティシアに入れ込むようになったのも、父親への反発の表れだ。女を(しかも黒人)愛せる自分がいることを知りたかった。ハンクは生き方を修正したかった。 鳥かごに入ってきた黒人女性の手は、レティシアがハンクの殻を壊すイメージだと思います。けれどセックスし終えたふたりを柵越しに映したりしていて、そこに自由がないことを暗示させます。住む場所すら失ったレティシアには選択の自由などなかった。ハンクの家の墓(息子と、たぶん妻、母だろう)に花すら供えられていなかったのが、私にはサイコスリラーのように感じられましたが、誰もそんなふうには思わないんでしょうか・・・7点(2003-11-28 19:33:02)(良:1票) 《改行有》

20.  ブラックホーク・ダウン あえて穿った見方をするならば、これは見事な反戦映画だといえるのではないだろうか。沢山の人がソマリア民兵の描写に激怒し、米軍兵の友情に唾を吐きかけているのだから。そういう私はこの映画を米国賛美だとは感じていない。むしろ米国の無謀な作戦により無意味な死傷者を出した事実を直視する映画である。これを観て「アメリカは正しかった」と思う人はまずいないだろう。全編を埋め尽くすうんざりするほどの戦闘描写はそれだけの説得力を持っている。こんな地獄のような戦場に行かなければならない兵士たちの気持ちはどういうものなんだろう。私には想像すら難しい。自分の命可愛さでは動くことすらできないだろう。気持ちを同じくする仲間の命が脅かされているとしたら、助けに行きたいと純粋に思うものなのかもしれない。しかしその再三に渡る米兵救出劇の中で、ソマリア民兵の被害が雪だるま式に拡大していったのも事実。米軍の采配ミスで泥沼化した戦場を虚しくも忠実に描いた歴史的映画。8点(2003-12-01 21:54:12)(良:1票)


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