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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  あなたは私の婿になる 《ネタバレ》  これ、好きですね。  「偽りの恋が、いつしか真実の愛へと変わっていく」という既視感満載なラブコメ物なのですが、適度なサプライズがあり、ちゃんと新鮮な魅力を味わえるんです。  その最たる例が「心臓発作で倒れる祖母」であり(これは彼女を死なせて盛り上げる展開か)と、観ていてまんまと騙されちゃいました。  それが「家族を仲直りさせる為の演技でした」と判明する訳だけど、全く嫌味が無いし「悲劇を回避出来た」「お陰で皆が仲良くなれた」という形の嘘なんだから、不快感が無いんですよね。  「観客を騙す映画」って沢山あるけれど、ここまで気持ち良い騙され方をした例は、ちょっと他に思いつかないくらい。  アンドリューの元カレが復縁を迫るのかと思いきや「このままマーガレットと別れても良いの?」と言い出す場面も、凄く良かったですね。  本当に脇役が良い人達ばかりだから、彼らに支えられる形で主人公二人が結ばれる流れが、観ていて心地良い。  そんな「サプライズ」が巧みな一方、序盤でヒロインのマーガレットが「泳げない」と言う伏線があったら、ちゃんと後に溺れそうになる場面を用意したりとか、観客の予想や期待を裏切らない構成になっているのも、お見事でした。  あとは、男性目線で観ると「美人な女上司の弱みを握り、言いなりにする」という邪な願望を満たす内容になっているし、女性目線で観ると「実家が金持ちの彼と結ばれる玉の輿展開」になっているしで、その辺の「男女どちらが観ても楽しめる」というバランスの良さも、絶妙でしたね。  孤独だったマーガレットが「家族の温もり」に触れ、アンドリューの家族を騙す事に耐えられなくなり、結婚式での告白に至る流れも丁寧に描かれており、説得力がありました。  そんな本作の不満点を述べるとしたら……  冒頭にて登場する「毎朝ラテを用意してくれる店員」が可愛くて、メインキャラかと思ったら違ってたのが残念とか、男性ストリッパーの場面は観ていてキツかったとか、精々そのくらいかな?  サンドラ・ブロック主演のラブコメ映画は色々ありますが、自分としては本作が一番好きですね。  エンドロールの質問にて「婚約者は誰?」と問われ、嬉しそうに「アンドリュー」と答える姿も可愛らしいし、彼女の魅力が存分に味わえる一本でした。[DVD(吹替)] 7点(2021-02-11 16:50:27)(良:2票) 《改行有》

2.  アメリカン・パイ in ハレンチ教科書<OV> 《ネタバレ》  中盤までは、とにかく退屈。  「自慰を家族に見られる」「恥ずかしい動画が拡散しちゃう」っていう過去作のネタをなぞりつつ、淡々と物語が進んでいく感じで、全然ノリ切れなかったんですよね。  初代に出てきた「性書」が再登場した際には(おっ……)と思いましたが、それも読める部分が殆ど無くて役立たずっていうんだから、観ているこっちもガッカリ。  唯一魅力的なキャラである「主人公の母」は出番少なめだし、山場となる「下着の万引き」「お婆さん娼婦の死」に関しても、あんまり笑えなかったです。  そんな訳で、これはシリーズでも最低の作品ではないかって失望すら浮かんできちゃったんですが……  そこで颯爽と、ジムの父親が登場!  前作の「ハレンチ課外授業」での失態を帳消しにするくらい、一気に映画を面白くしてくれたんだから、もう嬉しくって仕方無かったですね。  ボロボロになった「性書」を復元していく様はスピーディーな演出で楽しかったし、結婚生活が35年続いた秘訣について「妻を愛し、妻を尊重してきたからだ」と演説するジム父の姿も良かったです。  本作においては「若者達を優しく見守り、アドバイスを与えてくれる」というジム父の魅力がしっかり描かれており、その点でも自分泣かせというか(ちゃんと、このシリーズの魅力を分かってる人達が作ってくれたんだな……)って、感激させられるものがありましたね。  そんなジム父が退場した後の、スキー旅行のパートも面白くって、序盤~中盤にかけてのグダグダっぷりは何だったのと不思議に思えちゃうくらい。  それまで全然魅力を感じなかったヒロインのハイジについても「スキー場の女性は綺麗に見える」の法則で、スキーウェア姿が実にキュートだったし、それまで「嫌な奴」だったスコット・スティフラーには天罰が下り、反省して「憎めない奴」に変わっていくしで、それまでの欠点の数々が、悉くプラスに転じているんですよね。  「魅力を感じないヒロイン」「不愉快なだけで愛嬌皆無のスティフラー」が、一本の映画の中で、こうも変わるものかと感心しちゃいました。  それと、前作で失われた「青春映画の切なさ」が復活している点も、忘れちゃいけない魅力。  空中で止まったゴンドラにて言葉を交わし、結ばれる男女の姿なんて、実にロマンティックでしたからね。  最後に「性書」の貸し出しカードにサインして、元の場所に戻すのも「童貞からの卒業」「青春の終わり」を感じさせて、良い場面だったと思います。  冒頭にて述べた通り「中盤までが退屈」っていう明確な欠点がある為、総合的に評価するなら6点くらいになっちゃうんですけど……  後半で一気に挽回してくれた為、鑑賞後の印象は良かったですね。  やはりアメリカン・パイシリーズって良いよなぁと、しみじみ思わせてくれた、そんな一品でした。[DVD(吹替)] 6点(2020-05-16 08:51:38)《改行有》

3.  アメリカン・パイ in ハレンチ課外授業<OV> 《ネタバレ》  「彼女をイケメンに取られた」という一言だけで、前作ヒロインとの絆を無かった事にされる導入部にガッカリ。  主人公エリックの父親も、相変わらず嫌な奴のままフェードアウトしちゃうし……せっかく「エリックが主人公の物語」を二作続けてやった形なのに、それを全然活かせてないのが勿体無いですよね。  「ヒロインと復縁する」とか「父親が改心する」とか「カリフォルニアに行ったライアンと再会し、友情は不滅だと語る」とか、続編だからこそ出来るオイシイ展開を全部放り投げた感じ。  それでも、大好きなジムの父さえいてくれたら問題無いだろうと思っていたんですが……  遂にその神話も崩れたというか、本作に関してはジムの父にすら魅力を感じられず仕舞いで、参っちゃいましたね。  何時ものように優しいアドバイスをしてくれるのかと思いきや「(私なら)オタクどもを叩き潰してやる」なんて物騒な事を言い出すもんだから、これにはもうホント、がっかりです。  この辺、めんどくさいファン特有の反応になっちゃうんですが(ジムの父は、そういうキャラじゃないだろう)って、つい思っちゃいました。  一応、敵役のエドガーに優しい声をかける場面もあったんだけど、それも結局は「ありがた迷惑」で終わっちゃうし……こんな扱いなら、出演してない方が良かったかもと思えたくらいです。  「地獄の黙示録」や「ディア・ハンター」のパロディにもノリ切れなかったし、射精をスローモーションで表現するとか、ゲロのぶっかけ合いとか、悪趣味な描写が散見される点もキツい。  話の大筋も「敵対していた友愛会に勝利し、ハッピーエンド」ってだけなので、意外性も何も無くて、エンドロールが流れた際には(えっ、これで終わり?)と戸惑ったくらいでしたね。  前作までは保持されていた「青春映画としての切なさ」が無くなってるのも寂しいし……正直、本作を褒めるのは難しいです。  それでも、あえて良かった点を探すとしたら「大学の寮生活ならではの楽しさ」は伝わってきたとか、その辺が挙げられるかな?  美女のステイシーが股間でビールの栓を抜くのも面白かったし、ブラ外し対決の件も、結構好きです。  あと、本作はジム父の台詞通り「オタク男子」が敵役となっており、これは新鮮に感じましたね。  かつては迫害される立場だったのに「将来金持ちになるのはオタクだから」という理由で、エリートのオタク男子がモテるようになっている。  劇中の台詞通り「時代が変わった」訳だけど、オタク男子が迫害される時代を描いた「ナーズの復讐」(1984年)を踏まえて考えると、かなり感慨深いです。  この手の映画で敵役(=恵まれた上流階級)になれるくらい、オタク男子に対する認識も変わったという訳ですからね。  似たような例としては「21ジャンプストリート」(2012年)などもありますが、本作の方が五年も先に発表されていますし、そう考えると価値が高い一本なのかも。  そんなアレコレも含め、基本的には「楽しい映画」「ハッピーエンドの映画」として作ってありますし……  「アメリカン・パイシリーズならではの魅力」を求めたりせず、これ単品として鑑賞する分には、そこそこイケる品なんじゃないかな、と思います。[DVD(吹替)] 5点(2020-05-16 08:49:50)《改行有》

4.  アメリカン・パイ in ハレンチ・マラソン大会<OV> 《ネタバレ》  主人公が自慰を家族に見られる場面から始まるのは「原点回帰」って感じがして良かったんですが……  そのショックで祖母が死んじゃう形なので、全然笑えないし、ノリ切れなかったんですよね。  思えば、その躓きが最後まで尾を引いて、本作を残念な印象にしてしまった気がします。  その他にも「目に見えて画面が安っぽい」とか「主人公エリックの父が嫌な奴のまま終わるので、スッキリしない」とか、色々と欠点が多いんです。  前作「バンド合宿」の分を取り戻そうとするかのようにパーティー描写が濃厚なのも、個人的には嬉しかったけど……ちょっと下品過ぎて、ウンザリしちゃう人もいるかも。  とはいえ、自分としてはやはりアメリカン・パイシリーズが好きなもので、評価も甘くなっちゃうんですよね。  「主人公とヒロインが、最初から恋人同士である」って設定にして、過去作との違いも打ち出しているし、大学生達が全裸で校内をマラソンするという「ネイキッド・マイル」って発想も面白いしで、どうも嫌いになれない。  そして何といっても、ジムの父親が出演しているのが嬉しくって……「お前はジムの父さえ出ていれば満足なんだろ」って、自分にツッコミを入れたくなったくらい。  そんなジムの父が、大学時代には「歴代最高のハジケ野郎」「ネイキッド・マイルの創始者」であったと明かされる辺りなんかも、色々と妄想をかき立てるものがあって、良かったと思います。  「走って揺れる巨乳を、スローモーションで映す場面」には正直興奮しちゃいましたし、そんなエロティック要素だけでなく、青春映画としての要素も、ちゃんと盛り込んであるんですよね。  親戚のドワイトが「家名に恥じぬ生き方をするのは大変だ」と本音を漏らす辺りは、思わずしんみりしちゃったし、それがラストシーンにて「スティフラー」と呼ばれ「エリックで良い」と応える主人公の姿にも、きちんと繋がっている。  家名に囚われたりせず、前向きに、自由に生きる事を決意した主人公って感じがして、爽やかで良かったです。  美女のブランディ相手に、童貞喪失出来そうになったのに「好きな子がいる」と誘いを断ってみせる場面も(良くぞ言った!)って気持ちになれましたし、良い場面だったんじゃないかと。  「低予算である」「欠点も多い」という事は重々承知だし、誉め言葉に負けないくらい、悪口も浮かんできそうな作りではあるんですが……  「映画としてチャーミングな部分」も、ちゃんと備え持っている。  そんな、憎めない一品だったと思います。 [DVD(吹替)] 6点(2020-05-16 08:48:08)《改行有》

5.  アメリカン・パイ in バンド合宿<OV> 《ネタバレ》  アメリカン・パイシリーズの四作目にして、主人公達も世代交代を果たした、仕切り直しの一作目。  8でジム達が復帰するまでの4~7に関しては、外伝色の強い内容だし、予算面でも見劣りする感じなのですが……  意外や意外、この4に関しては、前三作に決して見劣りしない出来栄えなのです。  1や2では子供だった「スティフラーの弟」ことマットが成長し、立派に主人公を務めているというのも、シリーズのファンとしては嬉しかったですね。  まるで親戚のおじさんのような目線で(大きくなったなぁ……)と感じ、微笑ましい気持ちになっちゃいました。  元々アメリカン・パイシリーズの魅力って、そういう微笑ましさというか「主人公の若者達に対する、優しい眼差し」にあると思うんですよね。  その象徴がジムの父親であり、たとえ世代交代しようと彼だけはレギュラーとして出演させ続ける事にしたのは、もう大正解だったんじゃないかと。  実の息子相手でなくても、悩み多き若者には優しく接し「ピントがズレているけど有益」という独特なアドバイスをしてくれる姿が、本当に良かったです。  その一方で、兄のスティフラーに関しては「みんな彼を嫌ってた」という発言が飛び出し、ちょっと可哀想になるんですが……  実際、彼が「良い奴」になったのは3以降の話だから、高校時代はジム達から嫌われてたってのも、間違いではないんですよね。  上述のジム父といい、学校のカウンセラーになってるシャーマンといい、過去キャラの扱いに関しては、概ね良かったんじゃないかと思います。  それと、本作は主演のダッド・ヒルゲンブリンクも、良い味を出していましたね。  主人公のマットって「如何にも頭の軽い体育会系」に思わせておいて「実は真面目な好青年であり、兄の真似をして悪ぶってるだけ」と途中で明かされるという、非常に難しい役どころなのですが、見事に演じ切っている。  これに関しては、彼個人の演技力だけじゃなく、演出というか、監督の構成も良かった気がしますね。  最初の内こそ(なんか……ショーン・ウィリアム・スコットに比べると、無理して「スティフラー」を演じている感じだなぁ)と違和感を抱かせていたのに、実はそれが伏線であり「本当に、無理して演じていただけ」と分かる形になっているんだから、もう脱帽です。  そういった仕掛けが施されている為、主人公のキャラクター性にも説得力があったし、彼が改心して「良い奴」になる展開も、自然と応援する気持ちになれたんですよね。  もしかしたら、作り手にそんな意図は無く、偶々そういう形になっただけなのかも知れませんが……  もしそうだとしたら、かなり幸運な偶然だったんじゃないかと。  バンド合宿にて同室になった眼鏡少年と、少しずつ仲良くなっていく様も微笑ましかったし、ヒロインのエリスとの関係性も良かったですね。  エリスに関しては、これまでのシリーズには無かった「幼馴染」型のヒロインであり、新鮮な魅力を放っていたと思います。  そんなエリスと一緒に寝そべって、雲を眺める場面。  少しずつバンド仲間と打ち解けていた中で、つい強がって「体育会系のスティフラー」を演じてしまう場面。  エッチな盗撮映像なんかより、仲間達と過ごした時間の方が、ずっと大切だったと気が付く場面。  どれも忘れ難い味があり、本作を良質な青春映画に仕上げていたと思います。  最後は、しっかり演奏シーンで盛り上げて、ヒロインと結ばれるキスで終わるのも、文句無し。  この後、シリーズは更なる世代交代を重ねつつ続いていく訳ですが……  (マットやエリス達の物語も、もっと見たかったな)と思えるような、そんな一品でありました。[DVD(吹替)] 7点(2020-05-16 08:46:11)《改行有》

6.  アメリカン・パイ3:ウェディング大作戦 《ネタバレ》  ラブコメというのは基本、主人公とヒロインが結ばれて「めでたし、めでたし」で終わるものだから、そんなラブコメのその後、二人が結ばれた後の結婚式まで描いた本作は、とても貴重だと思います。  前二作を鑑賞済みの身としては、ジムとミッシェルに思い入れたっぷりなもので、そんな二人が結婚するというだけでも、感慨深いものがありましたね。  アメリカン・パイシリーズでは「前作まで付き合っていたカップルが、別れてしまっている」というパターンも珍しくないだけに、シリーズ中で一番好きなカップルの二人が結婚してくれた事が、もう小躍りしたくなるくらいに嬉しい。  結果的に「1で二人が出会い、初体験」「2でカップル成立」「3で結婚式」という流れになった訳で、ここまで丁寧に結ばれる過程が描かれたカップルって、映画史においても稀な例となるんじゃないでしょうか。    本作においてはシリーズ恒例の「パーティー描写」が「独身さよならパーティー」となっている訳だけど、ここの件も凄く面白い。  特に、ゲストのストリッパー達がメイドと婦警のコスプレをしていた辺り(米国だろうと日本だろうと、男の好みなんて大して変わらないんだな……)って思えて、興味深いものがありましたね。  そんな二人が花嫁の両親に見つかってしまい「本物のメイドさん」「本物の婦警さん」と言って誤魔化そうとする流れも秀逸であり、コント的な魅力があって楽しかったです。  出演者達に関しては、これまで脇役だったスティフラーが主役格となっているのが嬉しい一方、オズをはじめとした面々が多数欠席しているのが寂しいんですが……  まぁ、それに関してはカメラに写っていなかっただけで、本当は彼らも結婚式に招待され、二人を祝福していたんだと思いたいですね(「結婚式に行けなかった」と8で明言されているオズも、ビデオメッセージか何かは送ったはず)  ジムの父親も、相変わらず魅力たっぷりであり「困った時は何時も父が助けてくれた」というジムの言葉を聞いて、嬉しそうにする時の表情なんか、もう最高。  (本当に息子想いの、良い父親だよなぁ……)って思えて、微笑ましくて仕方無かったです。  「チョコ」の件は流石に引いちゃったとか、ダンス対決を見せられた際は(えっ、これってそういう映画だったの?)と戸惑ったとか、欠点と呼べそうな部分も色々あるんだけど……  シリーズに共通する「登場人物に対する、作り手の優しさ」「下品なギャグだけでなく、真面目な感動もあるバランス」が、しっかり踏襲されていたので、決定的な違和感にまでは至りませんでしたね。  「真面目な感動」に関しては、ジムが仲間達に感謝を述べる場面が顕著であり「トラブルが起きても何とかなったのは、何時も皆が助けてくれたからだ」「ありがとう」という言葉には、本当にグッと来ちゃいました。  実際に、前二作にて「何とかなった」のを見守ってきたからこその感動があり、シリーズ物の強みを存分に活かした台詞だったと思います。  二度ある事は三度あるとばかりに、最後はスティフラーのママが登場して〆るのも最高。  結果的には、この後に五本も続編が作られている訳ですが、作り手としても一旦はコレで完結という事を意識した内容だったんじゃないか……って気がしましたね。  そういう意味では「三部作」の最後を飾る品として、見事な出来栄えだったんじゃないかと。  「シリーズに興味はあるけど、流石に八本も観るのは大変」って人も、とりあえず3までは観て欲しいなと思える、そんな節目の一本でありました。[DVD(吹替)] 7点(2020-05-16 08:42:12)(良:1票) 《改行有》

7.  アメリカン・サマー・ストーリー 《ネタバレ》    初代では自慰の現場を両親に見られたのに対し、本作では女性と本番真っ最中な姿を見られてしまうっていう導入部が凄いですね。  こういう形で「前作よりパワーアップした事」を伝えてくれちゃう映画って、ちょっと他には思いつかないです。  そんな下ネタ部分だけではなく、青春映画としてもしっかりパワーアップしており「夏休みの楽しさ」を存分に感じられる内容になっているのが嬉しい。  前作で宙ぶらりんだったジムとミッシェルの関係に、きちっと決着が付いている点も良いですね。  「主人公の恋路を応援してくれる女友達」枠が好きな自分としては、実に好みな展開であり「憧れのマドンナ」枠のナディアではなく、ミッシェルと結ばれると分かった時には、思わずガッツポーズ取っちゃったくらい。  二人の関係性という意味では、前作からの繋げ方が強引だし、初見の際には(ミッシェルって、こんなに良い子だったの?)と戸惑う気持ちもあったりしたんですが……  何度目かの鑑賞となった今回は、そんな違和感も消え去り、素直に祝福する事が出来ました。  愛する彼女が出来たお陰で、すっかり真面目になったオズの変貌っぷりも面白かったし、前作にて「人生で一番楽しいのは、今だよ」と語っていたケビンが、高校時代の思い出に囚われる事から脱して、大人へと成長してみせる流れも良い。  アメリカン・パイシリーズって、基本的には能天気なコメディなんだけど、青春ドラマとしても良質なんだって事を、オズやケビンが証明してくれた気がしますね。  ケビンを励まし、夕暮れの中、主人公四人組のシルエットが並んで歩く場面にも、本当にグッと来ちゃいました。   そんな主人公達だけでなく、振られたナディアに、憎まれ役のシャーマンなど、脇役陣にも優しい眼差しが注がれており、それぞれを幸せな結末に導いてくれるのも、本作の長所ですよね。  シリーズ通してのMVPと呼べそうな「ジムの父」も、存分に存在感を発揮しており「息子想いだが、どこかズレてる」感じが、面白くって仕方無かったです。  病院でのやり取りには笑わせてもらったし、その後、気まずい思いをしているジムに対し「お前は自慢の息子だ」と優しく伝える姿なんかも、凄く好き。  笑いと感動の緩急があって、二つの要素が、互いを引き立て合う効果があったと思います。  賑やかなパーティーが終わり、これで「めでたし、めでたし」かと思われたところで、スティフラーのママが颯爽と登場して〆てくれるのも、お約束な魅力があって良いですね。  (そう来なくっちゃ!)とテンション上がったまま、笑顔のままで、エンドロールを眺める事が出来ました。  学生時代を卒業し、大人になった後も、夏が来る度に観返したくなる。  クライマックスとなる告白シーンだけでなく、皆で別荘に向かう場面や、だらだらとトランプ遊びしたりする場面を、もう一度観たくなる。  理想の「夏休み映画」と呼べそうな、良い映画です。[DVD(吹替)] 8点(2020-05-16 08:34:52)(良:1票) 《改行有》

8.  アドベンチャーランドへようこそ 《ネタバレ》  遊園地を舞台にした映画なのですが、肝心の「アドベンチャーランド」の魅力が伝わって来なくて、その点が寂しかったですね。  こういう映画であれば「アドベンチャーランドに行ってみたい」「自分も主人公のようにココで働いてみたい」って思わせてくれる事を期待してしまうものなのに、そんな期待が見事に外れてしまった感じ。  景品を取られないようにする為、園内のゲームには色んな仕掛けが施してあるって説明していく件は面白かったんですが……  舞台が遊園地である必然性が感じられる場面なんて、精々そこくらい。  ただ単に「バイト先で出会った女の子と、紆余曲折を経て結ばれる主人公の話」ってだけなので、せっかくの舞台設定を活かし切れていないように思えて、勿体無かったです。 ・主人公は仕事が見付からず、嫌々ながら遊園地で働く事になる。 ・競馬ゲームの実況が下手で、それを経営者に叱られる場面がある。  という伏線があった以上、主人公が遊園地で働く喜びに目覚めていくとか、実況が上手くなって周りに認められるとか、そういう展開になるのかなと思ったのに、それも無し。  終いには主人公もヒロインもアドベンチャーランドから立ち去って、ニューヨークで恋の決着を付けて終わるというんだから、吃驚したし、同時に落胆もしちゃいましたね。  「主人公達はアドベンチャーランドから卒業して、大人になった」というメッセージなのかも知れませんが、それならエンドロールでアドベンチャーランドのCMを流して終わるのはチグハグだと思うし、どうもスッキリしない。  面白そうな舞台設定を用意したは良いけど、それを活かしきれなかったなぁ……っていう想いが強いです。  他にも「ヒロインのエルは不倫している」という秘密について、観客は序盤の段階で分かるようになっているのに、主人公は終盤になってから知る形なので、感情移入を阻害している事。  八十年代が舞台とはいえ、妻子のあるコンネルではなく、エルばかり非難を浴びる形なのは納得がいかない事。  主人公の勃起ネタを二回もやったのは、流石に狙い過ぎで白けちゃった事とか、色々と不満点が多い映画なんですよね。  主演は「ゾンビランド」のジェシー・アイゼンバーグ、監督は「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のグレッグ・モットーラという事で、期待値も高かっただけに、手放しで絶賛出来ない内容なのが、非常に残念。  とはいえ、青春映画としてはキチンとツボを押さえた作りになっているし、決して嫌いな作風じゃないというか……  むしろ「好きな映画」と言えそうなんですよね、これ。  仕事終わりに同僚と酒を飲みながら駄弁るとか、プールで可愛い女の子と戯れるとか、そういう青春時代ならではの魅力的な一時が、しっかり描かれている。  「神様は信じないけど、愛なら信じる」「愛には、どんな事も良い方向に変える力がある」という主人公の台詞を裏切るかのように、宗教の壁によって結ばれないカップルが出てくる辺りも、良かったですね。  こういう挫折感、やるせなさも青春の醍醐味だよな、と思えたりして、しみじみ沁みるものがありました。  初めてのキスシーンや、好きな子と一緒に花火を眺める場面など「ロマンティックな場面では、ちゃんとロマンティックな音楽が流れる」という作りなのも、嬉しかったです。  こうして列挙してみると「気になった点」や「不満点」の方が「良かった点」よりずっと多いはずなのに、それでも終わってみれば(なんだかんだで、この映画好きだな……)と思えちゃうんだから、全くもって不思議ですね。  劇中にて、主人公とヒロインが惹かれ合うキッカケは「互いの好きな音楽」だったんだけど、自分としても「BGMのチョイスや、使い方が良い」ってだけで、この映画を好きになってしまったのかも。  また何年か経った後、今度は懐かしさと共に観賞してみたくなるような、そんな青春映画らしい青春映画でありました。[DVD(吹替)] 6点(2019-04-19 12:54:36)(良:1票) 《改行有》

9.  RV 《ネタバレ》  「ロビン・ウィリアムスの映画で一番好きなのは?」と問われたら、本作の名前を挙げます。  感動して泣いちゃうとか、ギャグに大笑いしちゃうとか、そういう訳じゃないんだけど、とにかく「面白い」というより「好き」な作品なんですよね。  良質な家族映画であり、旅行映画であり、何度も観返したくなるような魅力がある。  何故こんなに好きなんだろうと理由を分析してみると「RVの魅力を、きちんと描いている事」が大きい気がしますね。  飛び出すリビング機能とか、キッチンもシャワーもトイレも付いているとか、小さなTVで映画も観られるし、後部にあるベッドで休む事も出来るとか、そういった性能面について、自然な流れで紹介してみせている。  凄ぉ~くベタな感想だけど「こんなRVで旅行してみたいなぁ」って思わせる力があるんです。  勿論、コメディのお約束で劇中の旅はトラブル続きであり、ともすれば悲惨で笑えない空気にもなりそうなんですが、そこをギリギリで踏み止まっているのは、主演俳優の力が大きいのでしょうね。  ロビン・ウィリアムスの、あの笑顔と、飄々とした演技のお蔭で「何があっても、最後はハッピーエンドを迎えてくれる」と、安心して観賞する事が出来る。  この「安心させる」って、観客を泣かせたり、笑わせたりするよりも、ずっと難しい事でしょうし、そう考えると、やっぱり凄い俳優さんなのだなと、改めて実感します。 「反抗期を迎えていた娘が、幼い頃と同じように心を開いてくれる」 「キャッチボールを通して、息子とも仲良くなる」  といった具合に「家族の再生」が優しい空気の中で描かれているのも、凄く心地良い。  序盤は下品なネタが多かったり、中盤以降はカーアクションもあったりと「笑い」の部分は派手で尖っていただけに、そういった真面目な部分は奇を衒ったりせず、落ち付いて、穏やかに描いているのが、良いバランスだったように思えますね。  序盤の車中では、各々違う歌を好き勝手に唄っていた家族が、終盤には同じ歌を合唱してみせる演出も、非常に分かり易くて良かったです。  準主役級のゴーリキー家族も魅力的だったし、ネルソン・ビーダーマン四世ことウィル・アーネットが悪役を楽し気に演じてくれているのも嬉しい。  「やぁ、ローラ。妻はいないよ」とか「バーベキューセットを買ったからね」とか、台詞による小ネタの数々も好み。  家族に隠れつつ企画書を書き上げた時の達成感に、悪魔の峠を越えて間一髪で間に合った瞬間の安堵感なども、忘れ難いものがありました。  仕事人間だった主人公が、土壇場で良心を優先させて退職を選び、その後にちゃっかり新しい勤め先を見つけたりと、あまりにも予定調和過ぎて、都合が良過ぎるオチが付くのも、この映画らしいですね。  天丼の「勝手に動くRV」ネタを挟みつつ、最後は家族皆で笑って、楽しく唄って終わり。  ハッピーエンドが似合う、良い映画です。[DVD(吹替)] 8点(2017-10-25 01:31:52)(良:1票) 《改行有》

10.  アナコンダ2 《ネタバレ》  前作とは異なり「如何にも胡散臭いが頼りになりそうな男」が、一貫して味方側だったのが嬉しいですね。  ワニをナイフ一本で倒すシーンなんかもう、恰好良くて惚れ惚れしちゃうくらい。  終わってみれば、そんな彼=ビルこそが主役であり、当初主役格かと思われたジャックが悪役に転じるという構成なのですが、その辺りの「転換」描写も巧みでした。  始まってから大体四十分くらいでビルは「金よりも人の命が大事」ジャックは「人の命よりも研究(と、それによって齎される金)が大事」という考えだと分かる為、観客も自然と善悪が判別出来るという形。  そんな「主役交代」の仕掛けを用意する一方で、作中全体を通してのヒロインとしてサムも用意している為、視点が散漫に感じられる事も無く、素直に楽しめたように思えます。  序盤では「川下り映画」としての魅力を堪能出来たし、巨大な滝に落ちて船が壊れ、徒歩となった後も「吸血ヒル」「毒蜘蛛」など、様々な障害を用意して、飽きさせない作りになっている辺りも良い。  本命の「アナコンダ」は要所要所で襲い掛かる程度に留め、最終的には人類にとって最も恐ろしい動物である「人間」との戦いになる構成も、王道な魅力があったかと。  その他「JAWS/ジョーズ」や「サバイバー」をパロった場面ではニヤリとさせられるし、ビルのペットの子猿は可愛いしで、全体的に愛嬌がある作りなんですよね。  アナコンダの恐怖だとか、人間同士の争いで剥き出しになる醜さだとか、そういった面は薄味なんだけど、それゆえ気軽に、肩の力を抜いて楽しめる。  繁殖期の為、沢山の大蛇が集まっているという設定なのに、実際は単体の蛇に襲われるシーンばかりな点など、物足りなさを感じる部分もありますが「まぁ、面白いし良いか」と納得出来る範囲内でした。  最後は爆発オチで倒すというお約束も守ってくれたし、四人という結構な人数が生き残る事が出来て、妙に明るいノリで終わる辺りも好みでしたね。  総合的な面白さという意味では前作と甲乙付け難いですが、どちらが好きかと問われたら、本作の方を挙げちゃいそうです。[DVD(吹替)] 7点(2017-08-22 10:06:54)(良:1票) 《改行有》

11.  アンジェラ(2005) 《ネタバレ》  純然たる「男にとって都合の良い映画」であり、観ている間ずっと居心地の悪さを感じてしまいましたね。  「お前だって本当は、こういう体験してみたいだろう?」「こんな彼女が欲しいだろう?」と作り手に囁き掛けられているかのようで、天使というよりも悪魔的な印象を受けてしまいます。  だって、この映画の主人公ってば、作中で全く努力しているようにも成長しているようにも思えないんです。  ただ「日頃から嫌いだった奴に不満をぶちまけた」「素敵な彼女が出来たので、彼女に好きだと言った」程度の事で、それだけでさも「勇気を出して、よくやった!」と、難事を成し遂げたかのように作中で肯定されているのだから、違和感が大きかったですね。  特に前者に関しては深刻で、天使の助けを借りているだけなのに、偉そうに上から目線で借金相手と話す主人公を見せられるのだから、たまらない。  そんなダメ男っぷりに母性本能をくすぐられる女性もいるのかも知れませんが、同じ男としては「情けないやっちゃなぁ」と、呆れる思いが強かったです。  作中で常に右手をポケットに隠しているのも「引っ込み思案な気持ちの寓意?」「最後の最後で右手を出してアンジェラを止めるなり、抱き締めるなりする為の伏線?」と思っていたら、単に役者さんの右手が不自由だからそうしていただけというのも、正直ガッカリ。  身体的障害も特徴の一つなのは間違いない訳だし、それならそれで、もっと「ポケットに右手を隠している」という役者さんの特徴を、作中でも活かして欲しかったところですね。  この「最初から最後まで主人公はポケットに手を隠したまま」という現象が「結局、主人公は何も変わっていないし何も成長していない」という印象にも繋がってしまった気がします。  こういう「男に都合の良い映画」は決して嫌いではないのですが、なんというか上手く騙してくれないと「都合良過ぎるだろ!」ってツッコんじゃうのですよね。  甘やかして癒してくれる女性は好きだけど、度が過ぎると「いや、赤ん坊じゃないんだから」と反発してしまうというか……  この辺りは、匙加減が難しいところだと思います。  天使の像とヒロインとを重ね合わせるショットなど、リュック・ベッソン監督のオシャレな映像センスは感じられましたし 「他人に愛されないと、自分を愛するのは難しい」  という台詞などは、魅力的だったと思います。  難しく考えたりせず、モノクロの甘ったるい世界観に身を委ねさえすれば、きっと心地良い思いが出来たのでしょうけれど……  自分としては、どうも馴染めなかった一品でした。[DVD(吹替)] 3点(2017-02-07 22:55:15)《改行有》

12.  アローン・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》  この手の「モンスターと戦うアクション映画」って好きです。  そして主演がクリスチャン・スレーターとくれば、否応なくテンションは高まるのですが……  冒頭のナレーションで「長いよ!」とツッコみ、その後「モノローグで自己紹介やったのに、何で台詞でも自己紹介するの?」とツッコみ、以降はもう何かを諦めた境地で、ただただ画面を眺めるだけでしたね。  物凄く退屈だとか、観ていて不愉快になったとか、そういう訳じゃないんだけど……  とにかく盛り上がりに欠けており、気が付けばエンディングを迎えてしまったという形。  自分は主演の俳優さんが好きなので、彼が主人公というだけでもある程度は楽しめたんですが、もし魅力を感じない人が主演だったらと考えると、空恐ろしくなりますね。  一応(おっ)と思わされる場面もあって、拳銃から発射された弾丸を追いかけるスローモーション演出なんかは悪くないし、無人と化した都市の風景も「現実では中々体験出来ない、映画ならではの味わい」があって、良かったです。  ラストシーンに関しても「あぁ、サム・ライミの『死霊のはらわた』をオマージュしているんだなぁ……」と分かって、微笑ましい。  ウーヴェ・ボル監督の作品って、観賞済みの中では「ザ・テロリスト」(2009年)と「ウォールストリート・ダウン」( 2013年)が例外的に面白く、それ以外は全滅だったりするんですが……  それでも何か愛嬌があって、憎めないから不思議ですね。  聞くところによれば、映画を酷評した評論家と、ボル監督とがボクシングで戦うドキュメンタリーもあるそうなので、機会があれば観賞してみたいものです。[DVD(吹替)] 4点(2017-01-29 11:39:02)《改行有》

13.  赤毛のアン/アンの結婚〈TVM〉 《ネタバレ》  シリーズ三作目は、まさかまさかの「戦争モノ」で吃驚。  前二作の監督さんが制作と脚本を担当しているので、もしかしたら、元々こういうジャンルの品を作りたかったのかも知れませんね。  直接アンが人を殺めたりするシーンは無いし、戦争行為に参加していても目的は「行方不明となった夫のギルバートを探す事」「医薬品の購入代金にする為の宝石を運ぶ事」「乳児を無事な場所に送り届ける事」などに限られている辺りは、作り手の配慮が窺えます。  ただ、前作に続いてアンと男二人との三角関係が描かれており、これには思わず「またかよ!」とツッコんでしまいましたね。  不倫という要素もプラスされて、ますますメロドラマ的な色彩が濃くなっており、自分としては非常に残念。  終盤の夫との再会シーンなどは、それなりに感動的に仕上がっているし、戦地を慰問に訪れた女優二人組とのやり取りは中々楽しかったりもしただけに、勿体無く感じられました。  マリラおばさんが既に死去した設定なのは、時間経過を考えれば納得なのですが、死に際の台詞が作中で語られるでもなく、幻影となってアンに話しかけてくれる訳でもなく、回想シーンで過去作の映像が流れるくらいの扱いだった辺りも、寂しい限り。  そんな本作でさえも「上述の乳児を養子として引き取って、夫婦一緒に故郷に帰る」という、明るいハッピーエンドで〆てくれた事は、嬉しかったですね。  戦争という暗い影さえも、アンを決定的に不幸にする事は出来ず、少女期から培われてきた「周りを幸せにする力」に打ち払われてしまったのだな……と思えば、何とも痛快な映画でありました。[DVD(吹替)] 5点(2016-09-02 10:34:26)《改行有》

14.  あるいは裏切りという名の犬 《ネタバレ》  ダニエル・オートゥイユといえば「メルシィ!人生」などのコメディ映画の印象が強かっただけに、今作には衝撃を受けました。  とてもシリアスであり、それ以上にシンプルな力強さを備えた刑事ドラマ兼犯罪ドラマであったと思います。  邦題は格好良いけれど、そこまで「裏切り」に重点が置かれた映画とも思えなかったので、観賞後には少し違和感を覚えましたね。  けれど自分のように、このタイトルのお蔭で興味を持つ方も多いでしょうし、プラマイゼロ、あるいはプラスの方が上、といった感じでしょうか。  主人公レオの存在感も素晴らしかったのですが、個人的に圧倒される思いがしたのは、悪役であるクランの方。  このキャラクターは、一概に「悪役」とは言い切れないくらいの深みがあるんですよね。  元々は主人公の親友だったのに敵対してしまう事になるとか、主人公の妻も交えた三角関係だとか、よくよく考えてみれば王道で、ありがちな設定ばかりなのだけど、観ている間は凄く新鮮な気持ちを味わえました。  理由を分析してみるに、恐らくは演じている役者さんの「うわぁ、こいつぁ如何にも悪そうだ!」という風貌と立ち振る舞いに、単純な「嫌な奴」であると思い込んでいたところで、少しずつ「善人」の名残を見せてくれるというギャップに、すっかり参ってしまったのでしょうね。  特に唸らされたのが、囚人となった主人公が娘を抱きしめられるように、そっと手錠を外してみせる場面。  そこには確かに善意や友情を感じられる一方で、同時に主人公の怒りを和らげるのが目的の罪滅ぼし、醜い誤魔化しといった負の感情も伝わってきて、非常に味わい深いものとなっています。  この映画で、最も印象に残るシークエンスでしたね。  こういった物語では、単なる背景設定だけで終わってしまう事も珍しくない「今は争っている二人だが、元々は親友でありパートナーであった」という要素を、実に上手く活用していたと思います。  そして出所した主人公が裏切り者に制裁を加えるべく動き出す終盤で、映画は最高の盛り上がりを見せる……と言いたいところなのですが、あまりにも展開が早過ぎて、あっさりと決着を付けた印象があり、少々残念でした。  確認してみたら、映画が始まって「主人公の逮捕」に至るまでが約一時間。  そこから二十分ほどで「主人公の出所」。  そして残り二十分で結末まで辿り着く訳だから、どうしても後半が駆け足に感じられます。  もう少し、主人公が刑務所に入る前と後のバランスを考慮して、多少上映時間が伸びるのを覚悟の上で前後の尺を同じくらいにしても良かったんじゃないかな、と思う次第。  ラストシーンに関しては「これって主人公も死ぬんじゃない?」と予想していた中で、娘と共に和やかなハッピーエンドを迎えてくれて、嬉しかったですね。  あぁ、そうか、だから主人公に復讐の引鉄をひかせなかったのか……と、しみじみ納得させられました。  亡き妻の仇に対して、自ら手を下す姿だって、そりゃあ絵になるかも知れませんが、残された娘の事を思えば、やはり主人公の決断は正しかったのでしょう。   静かなエンディング曲も相まって、ノワール映画とは思えぬほどに、優しい余韻を与えてくれる映画でした。[DVD(吹替)] 7点(2016-04-25 21:34:13)《改行有》

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