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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  クィーン 《ネタバレ》 革新派やフェミニストからの強力な支持もあって存命中は持ち上げられもしていましたが、死後15年経った現在から振り返ると、やはりダイアナ妃は魔女だったと思います。英国王室のあり方について国民レベルで賛否が割れることはあっても、少なくとも王室に嫁いだ人間には、その家族が大切にしてきた価値観を共有し、守っていくことが求められます。しかし、彼女はそうしなかった。自分に好意的なマスコミへ王室のスキャンダルを流したり、自ら王室批判を繰り返したり、挙句の果てには二人の息子がいるにも関わらず自由恋愛に明け暮れたりと、名誉と格式を重んじる英国王室が反論できないことにつけ込んで、彼女は好き放題をやっていたのです。。。 「我が家の籍を離れた人間なのだから、葬儀はご実家でやっていただきます」、常識的な感覚から言えば、ダイアナの死に対してエリザベス女王のとった対応は妥当なものでした。しかし、死亡事故にパパラッチが関与していたことへの負い目もあってかマスコミは一斉にダイアナを持ち上げはじめ、国葬をしろと騒ぎ出します。伝統を否定した人間に対して英国王室が最大級の敬意を表するなど前代未聞のことですが、異様な熱狂の中で正論はどんどん掻き消されていきます。まずは、自身の人気取りを優先したいチャールズ皇太子が落ち、次に、マスコミの異常なバッシングに怯えた王室ご意見番が落ちます。ブレアは善人ではあるものの、長く革新政党にいたため伝統というものへの理解は不足しています。「英国王室は400年の歴史を背負っており、現在の国民がどう思うかということとは別次元で生きている」という当たり前のことが理解されない。そんな状況の中でエリザベス女王は孤立無援へと追い込まれ、最終的にはマスコミとダイアナの力に負けてしまうのです。。。 以上、題材はかなりハードなのですが、あくまでこれをある家庭のドラマとして描いた脚本が秀逸。世間知らずの夫とバカ息子に挟まれ、対応を一手に引き受けねばならなくなったエリザベスの苦悩が非常に分かりやすく描かれています。ただし注意せねばならないのは、本作で描かれるドラマはあくまで脚本家の憶測に過ぎないということです。史実をベースに、その当事者達がどう考えていたのかを推測してドラマを組み立てるこの手法は、倫理的にはギリギリの技術だとも言えます。[DVD(吹替)] 8点(2013-06-26 01:11:39)《改行有》

2.  クローバーフィールド/HAKAISHA JJエイブラムスはコラージュの天才。本作では悪名高きエメリッヒゴジラを作り直しているのですが、そこにスピルバーグの演出手法を採り入れ、テレビドラマでやっていそうな青春ドラマをトッピング。自由の女神の生首が転がるビジュアルは「ニューヨーク1997」からの拝借なのですが、抜群のシチュエーションでこれを投入することで本作を象徴する場面へと昇華させています。。。 脚本は隙がないほどに作りこまれています。軍人さんの忠告を無視して火事場に入る迷惑男の物語なのですが(現実の被災地では一番厄介なタイプ)、主人公の心理的背景を簡潔ながらもしっかりと伝えているおかげで、身勝手な主人公への嫌悪感を覚えることはありません。カメラマン役については”空気を読めないバカ男”というキャラ設定がなされており、友人が目の前で兄弟を失おうが、さっきまで行動を共にしていた女性が血を吐いて死のうがカメラを回し続ける彼の不可解な行動についても一定のフォローがなされています。事態に対処する軍隊の行動は現実的であり、”NYが怪獣に蹂躙されたら?”という設定が論理的に煮詰められていると思います。ここまでやってくれれば文句なしです。。。 本作の問題点といえば、とにかく画面で酔うということ。私は手持ちカメラの映像に慣れているつもりなのですが、それでも凝視するのが苦しい場面がいくつかありました。人によっては鑑賞不可能に近い状態となっており、もし続編を作るのであれば、この点は改善すべきだと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2012-06-20 01:14:51)《改行有》

3.  グッドナイト&グッドラック オスカー主要部門への大量ノミネート、ベルリン映画祭主演男優賞&脚本賞受賞も納得の仕上がりでした。クルーニーとグラント・ヘスロフ(トゥルーライズ等に出てた人)による脚本が非常に秀逸で、事実ベースの淡々とした物語でありながら、エンターテイメントとして十分楽しめる作品となっています。この手の作品にありがちな過剰な煽りや一方的な主張がなく、ジャーナリズムの良心というテーマ同様、本作の制作陣の姿勢も非常に良心的なものだと言えます、事実に基づいた話を取り上げる場合、必ずしも映画が望むタイミングで山場やオチが来てくれないという大きな制約があり、これに直面した多くの作品は事実とはズレのある展開・解釈を加えることで製作者が意図する物語にしようとしますが(インサイダー、ビューティフル・マインド、シンドラーのリスト等々)、本作は脚色を極力排除し、事実を追うことを最優先にしています。また、劇中声を荒げるのは記録映像におけるマッカーシー議員のみであり、論理的なセリフの淡々とした積み重ねのみでスリリングで物語が構築されています。このように映画を盛り上げるための技術を相当放棄しながらも面白い作品にしているのですから、驚異的な仕上がりと言えます。この手の作品は冗長になりがちですが、コンパクトにまとめたのが勝因でしょうか。話をあちこちに飛ばさず局内で起こることのみに集中し、登場人物や発生するイベントを無闇に水増しするようなことをしていません。仕事とプライベートの間での悩みといったお決まりもなし、ジャーナリストとして為すべきことを為すプロの姿のみが描かれます。こうした地に足のついた描写は、ニュースキャスターを父に持つクルーニーならではの強みでしょうか。[DVD(吹替)] 8点(2009-06-05 22:49:34)

4.  クライモリ(2003) 「悪魔のいけにえ」ミーツ「プレデター」の本作、なかなかの力作ではないでしょうか。同じような話(てか、まったく同じ話)の「テキサスチェーンソー」よりもこっちのが怖かったです。躊躇のない残酷描写、80分というタイトな上映時間、変な欲を出さずお客さんを絞り込んで作ってるのが好印象でした。この手のホラー映画にありがちな「徐々に殺されていく」という進行ではなく、余分な人物はテキパキと殺していくというスタイルが話にスピード感を与えており、またマウンテンマンの残虐性を引きたてていてよかったです。「ヒーローとヒロインが残ればいいのさ」という割り切ったその姿勢、また「窮鼠猫を噛む」な後半の展開、まさにプレデター方式ですね。しかし残念だったのはマウンテンマンの造詣。身体に対して頭が異様に小さく、いかにも「スタントマンにかぶせてます」みたいな造詣はあんまりでした。こういう鬼畜映画の場合でもやりすぎってのはあるようで、あそこまで人間離れさせる必要はなかったように思います。ジェイソン、ブギーマン、レザーフェイスなどの、あの素顔が分からないという被りものの怖さでやってくれれば、恐怖も倍増だったでしょう。顔が見えてしまうと、どうしても恐怖の底も見えてしまいますからね。しかしまぁ、「脱出」「悪魔のいけにえ」「ブレーキダウン」「Uターン」「激突」など、アメリカのド田舎ではとんでもない危険に遭わされるというのは常識なのでしょうか?[DVD(吹替)] 8点(2005-05-29 20:22:30)(良:1票)

5.  クン・パオ!燃えよ鉄拳 最高ですよ、これ。て、評価低いですね。おもしろくなかったです?教科書の挿絵に落書きした吹き出しとまったく同レベルの笑いで、中学生が作ったとしか思えない出来でした。そんなことでも努力すれば形になるんですよ。という素敵な希望を持たせてくれる、部活にも勉強にも不完全燃焼な青少年必見の映画なのです。ネタの半分がホモネタというしつこさもGOODです。ただ、吹き替えで見ないとサッパリ笑えないので、もしこれから見ようという方はご用心を。8点(2004-06-11 00:14:21)

6.  空気人形 ヌードが頻繁に登場する内容ではあるがエロが立ちすぎると失敗してしまうという困難な企画でしたが、本作はギリギリのバランス感覚でうまく成立しています。監督の卓越した演出はもちろんのこと、空気人形役にペ・ドゥナを起用できたことが大きな幸運でした。彼女は、美人ではあるが幸の薄さが漂い、スレンダーで綺麗な体なのにエロさは感じさせません。童顔の彼女が服を脱ぐ時に観客が感じるのはエロスではなく痛々しさであり、このことが空気人形の物悲しさに繋がっています。知恵の浅い監督であれば芸達者なAV女優でも使ったところでしょうが、そんなことをすればこの企画は終わっていました。性的魅力のない女優を使わねばならないということを見抜いていた是枝監督の慧眼に拍手なのです。。。 そんな感じで基礎的な部分はしっかりしており、本作は良作の部類に入ると思います。辛い日々を我慢しながら一生懸命に生きている人々のカットなど胸が苦しくなる場面も多くあり、観てよかったと思える映画でした。ただし、不十分な点もあります。この世界の人々にとって空気人形とはどんな存在なのかという点が曖昧であり、そのことが時に感情移入を妨げる原因となっていました。レンタルビデオ屋の店長は主人公を人間だと思っているのに対して、板尾さん演じる持ち主にとっては動かないラブドールのままだったりと、世界観が一定していないのです。ファンタジー部分については「これは寓話だから」と適当に誤魔化されている点が多かったのですが、この点を丁寧に作り込んでおけば奇跡の傑作になった可能性もあるだけに、このツメの甘さが悔やまれます。[DVD(邦画)] 7点(2012-10-07 01:52:17)《改行有》

7.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 ガンコじいさんがお隣さんと親しくなるという物語をこれだけ面白く撮れる監督が世界中に何人いるでしょうか?個人的には「チェンジリング」や「ミリオンダラー・ベイビー」の方が好みなのですが、それらは脚本の秀逸さや題材の特異さに支えられていた面もありました。一方本作は極めてシンプルであり、脚本レベルで特に目立った要素はなく、だからこそ演出力がモロに問われる作品だったのですが、これを面白く撮ってしまうというのは驚異的な手腕ではないかと思います。また、監督イーストウッドは、俳優イーストウッドを過大評価しておらず、自分自身の使い方を極めて正確に理解できているように思います。ジョン・トラボルタやブルース・ウィリス同様、この人は何をやってもイーストウッドであり、基本的にひとつの人格しか演じることができません。彼はそれをよく分かっているようで、自分に合わない役柄では監督に専念し、自分で演じるべき作品にのみ出演するという判断が的確になされています。西部劇で培った俳優イーストウッドのイメージを活用した「許されざる者」という傑作がありましたが、本作ではセルフイメージをさらに有効活用。あの流れで、しかも演じているのはイーストウッド。どう考えても仇討に行くものと思いますが、そうではなかったというオチにはやられました。彼ほどの人物ともなれば正直な意見を言ってくれる取り巻きはそう多くなく、自分で自分を評価することは難しいポジションにいるはず。さらに、成功した俳優は時に自分に出来ること・出来ないことを見失って、よく分からない作品に挑戦することもありますが、イーストウッドについてはそのような判断ミスを犯しません。これは驚異的な人格ではないかと思います。まさに映画の神様。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2009-12-21 17:08:47)(良:3票)

8.  グリーン・デスティニー 登場人物や舞台設定の紹介が一通り終わると、「待ってました!」とばかりに登場するワイヤーアクション。前年に公開された「マトリックス」などは比較にもならない程の本家の素晴らしい技には度肝を抜かれます。演じる俳優及びスタントマンの身体能力の高さ、ワイヤーを扱うスタッフの熟練ぶり、カメラワークの的確さ、どれをとっても超一流です。アン・リー監督のフィルモグラフィーを振り返ると、英国貴族の恋愛物語に、郊外の家庭が崩壊するドラマに、南北戦争ものに、アメコミに、エロティックサスペンスにと、東洋のキューブリックと言えるほど幅広いものです。この恐るべき守備範囲の広さは、未知の題材を徹底的に研究して自分のものとする監督の勤勉さ、主題を丁寧に扱う生真面目さがあってこそのものだと思うのですが、本作についてもその資質は大きく貢献しています。監督にとってカンフーを扱うのは初めての経験でありながら、本作の最初の格闘シーンは香港映画が積み上げてきた実績が見事に吐き出された名場面となっているのです。公開当時本作は極めて高く評価されましたが、最初の格闘シーンを見れば、この映画には何か賞をやらねばと思わされてしまいます。それほどの名場面なのです。一方でこの監督は娯楽には不向きな傾向があり、残念ながら本作も娯楽アクションとしてもう一歩踏み込み切れていない部分があります。クレジット上はチョウ・ユンファがトップではあるものの、本作はチャン・ツィイー演じるイェンの成長物語であることは間違いありません。だとすると主人公イェンの心情を観客は理解する必要があるのですが、彼女が現状から逃げ出したいと思う物語の発端部分が描かれていないため、わがままなお嬢様が好き放題暴れているだけにしか見えません(幸い、チャン・ツィイーの魅力によってイェンは救われましたが)。このため、観客は感情的な部分で物語とシンクロすることができなくなっています。またカンフー映画のラスボスは強敵であるべきなのですが、本作の敵はリー・ムーバイどころかイェンにすら実力で負けてしまっているという設定。残念ながら、これでは盛り上がりません。本作の悪役はチョウ・ユンファ、ミシェル・ヨーというカリスマ俳優を二人も相手にせねばならないのですから、相応の設定を練り上げるべきでした。[DVD(吹替)] 6点(2010-08-21 00:22:27)(良:3票)

9.  クロエ(2009) 《ネタバレ》 2004年のフランス映画『恍惚』のリメイクですが、オリジナルは未見。本数は多いものの傑作の少ないエロサスペンスというジャンルなので大した期待もなく鑑賞しはじめたのですが、そこはアトム・エゴヤン。繊細な描写や美しい撮影によって、類似作とは違った深みや高級感を出すことに成功しています。主演を務めるジュリアン・ムーアの演技も上々であり、些細な出来事に一喜一憂する彼女の姿には思わず見入ってしまう説得力がありました。さらには、50歳を過ぎても脱ぎ惜しみなし。24歳のアマンダ・セイフライド以上に濡れ場を頑張っている女優魂にも感服しました。出番は少ないながら(私生活での奥様の死と本作の撮影が重なったため、脚本を変更して出演場面を大幅に減らしたのだとか)、リーアム・ニーソンも相変わらずの存在感を示しており、監督・俳優によるレベルの高いパフォーマンスを楽しむことができました。。。 ただし、楽しめたのも前半まで。後半に入り物語が核心部分に到達すると、映画は一気に陳腐になってしまいます。勢いで関係を結んだ相手がキ○ガイだったという、エロサスペンスとしてはありがちな話に落ち着いてしまうのです。特殊な設定を設けた割に落とし所はここなのかと、少々拍子抜けしてしまいました。さらには、クロエがキャサリンに執着した背景の描写も甘いためにドラマも燃え上がらず、非常に中途半端な終わり方をしてしまいます。もう少しで良作になりえた作品だっただけに、詰めの甘さが悔やまれます。[DVD(吹替)] 5点(2013-04-24 00:45:25)(良:1票) 《改行有》

10.  グッド・シェパード エリック・ロス脚本作品はとにかく長い。フォレスト・ガンプ、インサイダー、コールド・マウンテン、ミュンヘン、ベンジャミン・バトン、代表作はどれも2時間半前後の長尺です。例に漏れず本作も長いのですが、ベテラン監督が手掛けていた前述の作品群に対して、本作の監督を務めたのはロバート・デ・ニーロ。役者としては超ベテランでも監督としては新人同然であったため、案の定、脚本を追い掛けることに終始して冗長な仕上がりとなっています。上映時間は2時間47分なのですが体感時間はそれよりも長く、「そろそろクライマックスかな」と思って時計を見ると、まだ2時間も経過していなかったという笑えない状態となっています。興味深い題材を扱いながら、その面白みを観客に伝え損ねているのです。ソ連のライバルスパイなどは良い味を出していたんですけど、そういう美味しい部分に限って軽くスルーしてるし。そこに追い打ちをかけるのがマット・デイモンのワンパターン演技。デイモンは全編に渡って出ずっぱりで、しかも彼の役どころは思いを胸に秘めて多くを語らない性格(はじめての恋人は聾唖者という分かりやすいキャラ設定)。つまり、デイモンは微妙な表情のみで演技をしなければならないわけですが、彼の演技の引き出しはそれほど多くはなくて、終始難しい顔をしているだけという状態でした。何も語らず、同じ表情で固まっているだけのデイモンを2時間47分も眺めているのは正直つらかったです。同世代の俳優であれば、芸達者なエドワード・ノートンにでも演じさせた方が良かったように思います(鉄仮面を被り、一度も素顔を晒さずとも存在感をアピールした「キングダム・オブ・ヘブン」をご覧ください)。[DVD(吹替)] 4点(2012-01-02 20:23:10)(良:1票)

11.  クローン フィリップ・K・ディック原作の映画化としては4本目の作品となりますが、本作はジェリー・ブラッカイマーお抱えの脚本家スコット・ローゼンバーグが脚色し、それを「逃亡者」のデビッド・トゥーヒーが手直ししたノンストップアクションとして製作されています。「マイノリティ・リポート」に先駆けノンストップアクションという切り口でディック作品を料理したことは新鮮であり、作品の方向性は自体は悪くありません。ただし、完成した映画の出来は残念なものに。ジェリー・ブラッカイマーの映画や007シリーズを見れば分かるのですが、優秀なスタッフさえ揃えれば、監督が誰であってもそれなりのアクション映画は撮れてしまいます。逆に言えば、スタッフを整えることが出来なければ良いアクションを撮ることは出来ません。この点、本作を製作したミラマックス社はアクション映画の経験に乏しく、良いアクションを撮るための現場作りができなかったようです。そのため、アクション映画としてはいまひとつな出来に。この脚本であればもっと面白いものが撮れたはずです。一方、SFとして見ても本作はいまひとつ。SFはいかに予算やテクノロジーを動員しても監督にセンスがなければ良いものは撮れない、逆に言えば低予算であってもセンス次第で良いものを作ることが可能なジャンルなのですが(例:同じくディック原作の「スクリーマーズ」)、この監督はSFを撮る才能に恵まれていませんでした。本作以前のディック作品にはあった陰鬱な空気がまったく表現できていないし、冒頭で提示される壮大な世界観は作品から浮いてしまっていて、本編にまるで絡んできません。本作は本格的にCGを用いて映画を撮れるようになってから最初に製作されたディック作品であり、映像表現の可能性という点では先輩3作よりも恵まれた条件下で製作されているのですが、にも関わらずSFとしては最低の作品に。SF映画においては監督の手腕がいかに重要であるかが図らずも証明されています。俳優のハマリ具合もいまいちで、なぜこの役にゲイリー・シニーズなのかが不思議で仕方ありません。この頃のシニーズは「ミッション・トゥ・マーズ」という駄作にも主演しており、ニコラス刑事のような大作に出演する演技派を目指していたようなのですが、この無残な作品選びではその目的を達成できなかったことも納得です。[DVD(字幕)] 4点(2010-07-27 21:09:59)

12.  クライム&ダイヤモンド 《ネタバレ》 残念ながら面白く感じませんでした。全体的なプロットは良いのですが、細部があまりに雑なのでアラばかりが気になります。そもそも主人公フィンチは詐欺師なのですから、彼の語る物語には真実と嘘が巧妙に混じり合っていて、その嘘を解き明かしていく過程で全体像が見えてくるというのがこの手の映画の基本でしょ。例えばダイヤモンドに係るエピソードはラスト近くにまで伏せられていて、最後の最後で主人公の目的はダイヤモンドを奪うことだったという話にすればよかったのですが、そういう捻りがこの映画にはありません。詐欺師がバカ正直に事実を話してどうすんだって感じです。また、タイトルにもなっているクレディス・タウト氏に係る謎についても同様です。刑務所を脱獄した主人公フィンチは逃亡用の新たな身分を得るためクレディス・タウトという死者の名を騙るのですが、このクレディス・タウトとはマフィアの逆鱗に触れて暗殺された人物でした。タウト氏は生前から正体不明の人物であったことが劇中で語られるため、彼の正体が映画の重要なピースのひとつになると考えるところですが、驚いたことにタウト氏に係る伏線は完全に放棄されて映画は終わってしまいます。この雑さはさすがにアウトでしょ。その他にも本作にはご都合主義が横行していて、中でもダイヤモンドを掘り起こしたい主人公が自ら刑務所に収監されるエピソードの粗さには唖然としました。主人公:俺を刑務所に収監してくれ→警察:自分を刑務所に入れろっておかしくないか?ま、いいか。主人公:俺が刑務所内の庭を掘ることを認めてくれ→警察:刑務所の庭に何か埋まってるのか?ま、いいか。結果、何の苦労もなくダイヤモンドを掘り起こしてしまう主人公。犯罪ミステリーでこんな頭の悪いやりとりをしちゃいけないでしょ。詐欺師である主人公が口八丁手八丁で警察に無理な要求を飲ませるというプロセスを入れていればストーリーの説得力が増すし、主人公のキャラクター付けにもなったはずなのですが、シナリオはそうした工夫を完全に怠っています。監督・脚本を担当したクリス・バー・ヴェルなる人物は本作以降ハリウッドから姿を消していますが、有名俳優を何人も配置したこの企画をこの程度の仕上がりに終わらせたのでは、干されたのも仕方ないと思います。[DVD(吹替)] 3点(2011-10-28 09:51:06)(良:1票)

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