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1. すずめの戸締まり
《ネタバレ》 見終わって「大満足!」とはならず、なーんかモヤモヤしてて、これは何だろう?と考えました。
面白かったんですよ。SNSで猫を追うやり方、旅先で会う人々との交流や、旅の途中で災害を閉じてゆく過程。ミミズのスペクタクルな映像。新海監督が少人数でやってた時と違って、音楽も映像も役者も、何もかもがお金がかかってて見事。
でも見終わって
「凄くよくできた映画を見て、大満足!」
とならない。何故だろう? と思って考えて気が付きました。
細かいところがよく分からんのです。いっぱい「?」なのです。広げた風呂敷が、締め閉じられてないんです。
大きな風呂敷はきちんと締められているので、見終わったときはハッピーエンドに素直に「良かった」って思う。
でも、小さな風呂敷は広げっぱなし。いくつもいくつも締め閉じられず広げっぱなしなんですよね。
・ダイジンの何もかもがわからない。なんであのニックネーム? あいつは何でスズメに執着するの? なんでカレシを呪った? 要石に戻ってやったのはどうして?
・黒いデカい猫(左大臣)は何もかも分からない。ダイジンとの関係も分からない。
・爺さん、「出来ない・無理」しか言わなかったけど、何のために出てきたの? 過去に猫と何かあったみたいだけど、思わせぶりなだけ。
・おばさんがヒステリックに本音ぶちまけるシーンは必要? あれちゃんと収拾ついてる? 何故叫ばせた?
・そもそも、すずめは子供の頃何故あっちに行けたの? すずめがミミズを見れたのは何故?
ほかにもたくさん。こんだけ風呂敷広げっぱなしで、ラスト「良かった」って観客に思わせるのも大したもんです。
でもね、でも。これじゃ監督に
「よく分からなかったら、小説買って読んでね」
って言われてるみたいでモヤモヤするんです。
「君の名は。」の時は、一応全部風呂敷は締められてました。お父さんのバックボーンなんか「そういう事なんだろうな」と想像出来る最小限の情報は全部映画に出てた。小説は映画の世界を深く味わうために買うものでした。
でもこの作品はそもそも、情報を出していない。映画を見た観客が、更に財布の紐を開かないとワケが分からないのって、あまり好きではありません。
もったいないですねー。ミミズの回を一回減らして、その分を上記の説明に振り当てて欲しかった。[映画館(邦画)] 6点(2022-12-14 20:32:34)(良:2票) 《改行有》
2. すばらしき世界
《ネタバレ》 10~20代の時に見たら、多分この映画の本質の半分も理解できなかったかなと思う。いや、30代もあやしい……。
映画館からの帰り道からずっと、あの人の人生を考えずにはいられなかった。
短気であまり頭の良くない、挫折を繰り返す男。でも優しいし一本気で、子供のような男。
あの人はきっと、あのままじゃ長生き出来ない人だったと思う。
あの時。弱いものを嬲っていた男たちを、心の思うがままに暴行して痛めつけていたら、彼の体はストレスをためることなく、いまだ生きていたかもしれない。でも、支援してくれた人々をまた悲しませ、落胆させ、失望させていた。
だから死に物狂いでその衝動に耐えた。結局、彼の体はそれに耐えられなかったけれど。
綺麗できっぷの良いイカす元妻から、娘と一緒に会おう、楽しみ! なんて言われて。
きっと神様は最後に御褒美をくれたんだと思う。
最後に、花の香りを嗅ぎながら、彼は思ったんじゃないかなぁ。
・優しい坊主、守れなくて悪かった、我慢せずやっちまいたかった
・でも、やっちまってたら、スカっとしたけど、あの人達を失望させた
・だから、これで良かったんだ、これで良かったんだ
すばらしき人生って言っていいのだと思う。
運のない人だったけれど、死んでから泣いてくれる人がいるだなんて、うらやましい。
個人的には、六角精児が演じたスーパーの人には一番頭が下がる。あの人は凄い。本当に凄い。
人生は人との繋がり、なんだなぁと、自己を顧みてつくづく反省した。
多分一生頭の片隅にこびりつく映画。[映画館(邦画)] 8点(2021-03-16 01:07:23)(良:3票) 《改行有》
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