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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  テイラー・オブ・パナマ 《ネタバレ》 左遷、それはサラリーマンがもっとも恐れるもののひとつです。本作の主人公は、上司の奥さんを寝取ったことで組織から睨まれ、地方支局へ左遷された凄腕(と思われる)スパイ。そのキャラ設定と言い、ピアース・ブロスナンの演技と言い、まんまジェームズ・ボンドなのですが、現実は『007』のようにはいかないというひねくれた展開が笑わせます。また、左遷先で思わぬ事実に遭遇して主人公が孤軍奮闘し、最後には組織や上司を見返すという展開がこの手の物語の定石ですが、現実はそれほど容易なものではありません。左遷先にはネタらしいネタなどそうそう転がっていなくて(だからこその左遷先)、本人に頑張ろうとする意欲があっても、結局はくすぶったまま謹慎期間をやり過ごすしかないのです。それが普通のサラリーマン。しかし本作の主人公はタダモノではなく、ネタがないなら自分で作ってしまえという切り返しに出ます。 もう一人の主人公は、虚言癖のある仕立て屋。ウソをつく時には一瞬、良心が咎めるものの、「つまらない現実を話すより、面白い作り話の方が相手は喜ぶ」と自分を納得させてウソにウソを重ねていきます。利己的な目的でのウソではない分、良心の呵責は少ないようです。実際、たいていの聞き手はこの男の話はウソであることを了解した上で会話を楽しんでおり、実害は少なかったと言えるのですが、ネタを求めるスパイに目を付けられ、ありもしない国際危機がでっち上げられたことから、ウソが現実を侵食しはじめます。仕立て屋も途中から「これはヤバイ」ということに気付くものの、借金を肩代わりしてもらったことの負い目もあって降りられない状況となっており、何の策も打てないまま事態はどんどん悪化。悪魔的なスパイに取り憑かれて右往左往する男の姿が滑稽であり、ジェフリー・ラッシュの小市民演技が光っています。 当事者全員が作り話だと認識し、現地を知っている者であれば誰も真に受けないようなウソが軍事侵攻にまでエスカレートしていく展開にはある種のカタルシスがありますが、一方で恐ろしさもあります。実際、初動段階で現地へ行って聞き取り調査をすればすぐにおかしいことが分かる程度のウソや事実誤認が国際問題にまで発展した事例はわが国周辺でも少なからず発生しており、フィクションだと言って笑ってもいられないところがあります。[DVD(吹替)] 7点(2015-08-06 16:04:37)《改行有》

2.  デイブは宇宙船 地球を滅ぼすことを目的にやってきたエイリアンが、華やかな文明や心優しい人々に触れる中で意識を変えていくという、もう何度観たかわからない程の定番ストーリー。最初から最後まで王道を貫き、まったく予想を裏切らない脚本は陳腐にも程があるし、細部へのこだわりがゼロなのでSF映画としての見所もありません。異文化間でのコミュニケーション・ギャップを笑いにしようとしているのですが、ニル星人が地球人と大差のないメンタリティを持っているため、こちらでもあまり盛り上がりません。挨拶等の形式面で戸惑う以外は、さほど大きな問題もなく話が進んでしまうのですから。。。 以上、脚本・演出面ではメタメタの映画なのですが、唯一、エディ・マーフィのパフォーマンスには目を見張るものがありました。80年代に大成功した反動から、ここ10年はすっかり落ち目と見られているエディですが、この人は本当に巧い人だということが本作を見ればよくわかります。得意のマシンガントークは封印し、表情や動きだけで笑いをとらねばならないという難役ながら、これを完璧にやりきっているのです。世界中探しても、これだけ出来るのはエディくらいではないでしょうか。主人公をエディが演じたおかげで、この映画は救われました。彼の高いパフォーマンスだけで、映画が充分に成立しているのです。監督や脚本家が独自の創意工夫をしなかったことすら、結果的には吉と出ています。エディもいい歳ですが、まだまだ若手のコメディアンには負けないパワーと技術を持っているようです。欲を言えば、下條アトムの吹き替えで見たかったなぁ。[DVD(吹替)] 7点(2013-01-29 01:01:59)《改行有》

3.  デス・レース(2008) 《ネタバレ》 なぜか一部で神格化する動きもありますが、オリジナルの『デス・レース2000年』は紛れもない駄作です。ポール・W・S・アンダーソンが素晴らしいのは、往年の名作のリメイクで勝ち目のない戦いを挑むのではなく、知名度ある駄作のリメイクを思いついたということ。どうやってもオリジナルより良くなるしかないのですから、企画を思いついた時点で勝ったようなものです。案の定、この企画にはハリウッドの目利きトム・クルーズが飛びつき、2001年頃にはトム主演で『デス・レース3000年』として企画が進んでいました。しかし、現場をコントロールしたがるトムに監督が手を焼いたのか、『デス・レース2000年』のリメイクに出演することはリスキーであるとトム側が判断したのか、いつの間にか『3000年』の企画は消え去っていたのでした。。。 ジェイソン・ステイサムを新たな主演に迎えて仕切り直した本作を観ると、この企画からトムが降りたのは正解だったように思います。本作は世界観の脆弱性という大きな弱点を抱えているのですが、B級番長ステイサムの偉大なB級オーラが観客の疑問をすべて掻き消してしまい、とてもピュアな気持ちで映画を鑑賞することが出来るのです。トム・クルーズでは、こんな特殊な芸当は不可能でした。内容は力押し一辺倒でツッコミどころも大量にあるのですが、ともかく勢いあるB級アクションとしては満足できる仕上がりとなっています。中盤で登場する武装トレーラーのバカバカしさなどは一見の価値ありで、マシンガンや火炎放射器が車体の至るところに取り付けられ、ケツには戦車をくっつけられているという小学生の落書き並みのデザインには頭が下がる思いがしました。主人公とライバルが共闘してこれを迎え撃つという週刊少年ジャンプな展開もバチっと決まっており、王道のB級ぶりが心地よくて仕方ありませんでした。これに巨乳美女というオマケも付くのですから、男子必見の映画だと思います。[DVD(吹替)] 7点(2012-09-29 23:51:00)(笑:1票) 《改行有》

4.  D-TOX 同時期に製作されたレニー・ハーリンの『マインドハンター(公開は2005年だが、撮影されたのは2002年)』と似通った内容にして、『マインドハンター』を優に超える駄作ぶり。90分程度に絞られた上映時間にも関わらず観ているのが苦痛となる仕上がりであり、サスペンスアクションとしては最下層の完成度だと思います。。。 とにかくスタローンがミスキャスト。婚約者を惨殺されたFBI捜査官という役回りなのですが、撮影当時55歳のスタさんが目を輝かせながら婚約指輪を選ぶ場面や、彼女役のディナ・メイヤー(スタさんよりも22歳年下)とイチャイチャする場面の違和感は相当なものでした。これって30代の俳優が演じるべき役ですよね。婚約者を失って悲しみに暮れる場面ではスタさんの演技力不足がはっきりと表れており、憐みよりも笑いを誘ってしまっています。そもそもの問題として、これまで「うぉーっ!!」と叫びながら数百人の敵をなぎ倒してきたスタさんが、たった一人のシリアルキラーに翻弄される役を演じても説得力がないわけです。集客力の低下によって大規模アクションに出演できなくなり、代わって中・小規模のサスペンスアクションに活動の場を移さざるをえなくなった当時のスタさんの苦境が垣間見えています。。。 また、脚本・演出もかなり杜撰です。犯人がスタさんを逆恨みする背景の描写が致命的に不足しているし、その能力の高さやイカレっぷりもイマイチ伝わってきません。その結果、この程度の犯人に翻弄される警察側の無能ぶりばかりが際立つという事態に陥っています。警察側には個性派俳優を配置しているものの、描き分けができていないために「誰が」「何をやっているのか」の把握が極めて困難という有様。クリス・クリストファーソン、トム・ベレンジャー、ロバート・パトリック、スティーブン・ラング、一週間煮込んだ豚骨スープのような俳優をズラっと並べながらこの体たらくは、さすがに問題だと思います。[DVD(吹替)] 2点(2012-09-05 23:28:02)《改行有》

5.  デビルマン 《ネタバレ》 酷い酷いとは聞いていましたが、今回体感した酷さは前評判を軽く上回っていました。シベ超がかわいく思えるほどの駄作ぶり。本作は日本映画の黒歴史として永久に語り継がれるはずです。まず、出演者の演技が素人以下。イメージが固定されたプロの役者は敢えて避け、観客に先入観なく受け入れられる若手を抜擢するというキャスティング方法もあるにはあるのですが、本作はロクな指導もなく素人を素人のままカメラ前に立たせているため、物凄いことになっています。誕生日プレゼントをもらう時も、サタンになってしまった時も、恋人の生首を発見した時もすべて同じ表情、同じ語気。おまけに一言一言セリフを思い出しながら喋っているため、句読点がくる度に一呼吸入れるというおかしな話し方になっています。そうして役者がまったく演技をしていないことに加えて、脚本までが支離滅裂なので話がサッパリ理解不能。例えば、序盤において了は明に対して自分がサタンであることを明かすのですが、中盤においてデーモン狩りを行う人類に了が復讐しようとすると、明は了に向かって「お前、サタンだったのか?」と頓珍漢なことを言い出します。さらにラスト、ついにサタンの姿になった了に向かって、明は「お前はサタンだったのか…騙したな!」と怒り出します。この映画は「メメント」でしょうか?演出もいい加減で、昼間かと思えば次のカットは夜になったり、雨かと思えば次のカットは晴れていたりと、10億もの金をかけてエド・ウッド並の仕事を披露。人間ならざる者同士の死闘を描くにはかなりの映像テクニックが必要となるはずなのですが、この監督は役者のアクションをただカメラで追うだけなので、物凄く恥ずかしい見せ場の連続となっています。俳優達はガンカタっぽい動き、スパイダーマンっぽい動きの後に決め顔をするのですが、カメラワークやカット割り、音楽等によるフォローがないため気の毒になるほどダサイです。気の毒といえば、半デーモン状態の明の特殊メイクもえらいことになっています。予算の都合かフルCGデビルマンの登場時間は少なく、代わって役者に簡単なメイクを施しただけの半デーモン状態が多く登場するのですが、このメイクが出来損ないの世紀魔Ⅱ状態。おまけに腕を前に構えるおかしな戦闘ポーズにも脱力で、センスのない監督にマンガ映画を任せると大変なことになることがよくわかりました。[DVD(邦画)] 0点(2012-02-12 19:12:16)(良:3票)

6.  ディファイアンス 《ネタバレ》 ハリウッドで定期的に製作されるホロコースト映画にはプロパガンダ臭がするため、私はそれらに対して懐疑的な姿勢を持っています。本作についても「どうせいつもの『私達は被害者です』映画だろう」と高を括って観ていたのですが、前半を見終わって、これはホロコースト映画ではないことに気付きました。ユダヤ人の被害者意識が殊更には強調されていないし、ナチスによる残虐行為もほとんど登場しません。それどころか、ユダヤ人の中にも仲間を苦しめる者がいたことや、捕虜となったドイツ兵にリンチを加える場面がきちんと描かれていて、ユダヤ人寄りの映画ではないことがはっきりとわかります。本作のテーマはホロコーストではなく、森で数年間立て篭もらざるをえなくなった人々の戦いという、恐ろしく単純なものだったのです。ダニエル・クレイグ演じるトゥビアの、リーダーとしての苦悩に対して特にスポットが当てられるのですが、リーダーシップに関する考察としては興味深い内容となっています。立て篭もったユダヤ人達は食うにも困る状態にあり、そんな中では「自分さえ良ければ」という風紀が横行しがちとなります。自分の生存すらままならぬ状況では、他人を思いやる余裕などないからです。だからこそ、集団を維持するための強力なリーダーシップと厳格な規律付けが求められるのですが、ここでトゥビアはひとつの大きな問題にぶち当たります。いよいよ状況が極まり、規律を無視する者が現れた時、リーダーとしてこれにどう対処すればよいのか?ある者は、「食糧は全員で平等に分配する」という規則を破り、貴重な食料を独り占めしようとしました。ある者は、「妊娠をしてはならない」という規則を破り、子供を作ってしまいました。トゥビアは、前者に対しては死を与えましたが、後者は無罪放免としました。しかし、規則違反という点では後者に対しても何らかの罰が与えられるべきではなかったのか?ここに集団維持や規則というものの難しさがあります。例外を認めると規律は崩壊してしまうし、かといって厳格すぎると形式が先行して規律が破綻してしまう。結局、トゥビアはこのジレンマを乗り越えることができず、クライマックスではリーダーとして機能不全に陥ってしまいます(運よく援軍に救われただけで、あのままでは全滅していました)。「こんなオチ、ありなの?」とも思ったのですが、なかなか興味深い着地点だとも思いました。[DVD(吹替)] 7点(2011-12-19 01:59:34)

7.  デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ トニー・ギルロイの脚本作品は大好きだし、「フィクサー」では監督としての才能も評価したのですが、本作はイマイチでした。プロの男達の泥臭いドラマをやらせると傑作を作ってくる人ですが、オシャレな男女の軽いドラマをやる才能はないようです。。。とは言っても、本作は決して適当な作りではありません。コメディという新境地に挑むに当たって、自身がもっとも得意とするエージェントものを題材とすることで保険をかけてきた判断は正解であり、エージェントものとしての質は悪くありません。二転三転する物語はよく練られているし、オチも綺麗に落ちています。「驚愕のドンデン返し!」を謳った映画は他にも多くありますが、本作のように観客をうまくミスリードしながら綺麗に落とす映画は貴重ですらあります。脚本家としてやるべき仕事はきちんと出来ているのです。しかしコメディには人を笑わせるセンスが必要であり、この人にはそれが致命的に欠けていました。面白くしようとしていることはわかるものの、ポール・ジャマッティが出ている場面しか笑えるところがないというのは問題です。また、時系列の往復を繰り返したために物語が複雑になりすぎてしまい、コメディ映画に求められる温度感とズレたこともマイナスでした。「フィクサー」のような重厚なサスペンスならともかく、本作のような軽いコメディにおいて観客に過度の集中力を要求する構成はやりすぎでしょう。また、「プルーフ・オブ・ライフ」の頃から女性を描くことを不得意としていたギルロイですが、本作においてもその弱点は克服されていません。女性経験豊富なクライブ・オーウェンを何年間も夢中にさせるほどジュリア・ロバーツが魅力的に描かれていないし、ここでの説得力が欠けたために、騙し騙されのコンゲームとしての面白さが半減しました。プロの監督に任せれば光る可能性もあった脚本だけに、この出来は残念です。[DVD(吹替)] 5点(2010-07-26 20:06:48)

8.  デアデビル 《ネタバレ》 「X-MEN」「スパイダーマン」の予想を超える大ヒットを受けて急ごしらえで作られた作品だけあって(公開日が決まった時、製作開始のアナウンスからあまりに間を開けず完成したため「もう出来たの?」と驚いた記憶があります)、実に浅い作りとなっています。レーダーセンスの映像表現は美しいもののそれ以外に特に誉めるべきものがなく、数あるアメコミ実写化作品の中でも最低クラスの完成度と言えるでしょう。父親を殺されたマードック少年の怒り、善を名乗りながら人を殺すことの葛藤、素顔では愛し合いながら仮面をかぶると敵同士となるエレクトラとの関係などアメコミにありがちな要素てんこ盛りなのですが、そのどれもが中途半端で消化不良を起こしています。短い上映時間の中で原作にあった多くの要素を詰め込んでしまったため、すべてのイベントが軽く、印象に残らないものとなっているのです。エレクトラの扱いなどは特にひどいもので、父親の仇がデアデビルだと誤解しひと波乱起きるかと思いきや、デアデビルの正体が恋人マードックだと知った途端に誤解が解けてしまうというお手軽さ。新聞記者も何のためにいるのか不明であり、彼の登場シーンは丸ごと割愛してもよかったように思います。ハリウッドの川合俊一ことベン・アフレックもアメコミの主人公には合っていません。体が大きく動きが鈍重であるため、夜の街を飛び回る身の軽さが感じられないのです。キングピンとの最後の戦いに至っては、大きな人ともっと大きな人のただのどつきあい、アメコミヒーローの戦いではありませんでした。キングピンと決着をつけず、ブルズアイも生かしておき、エレクトラの生存も匂わせるという、ヒットしたら続編作るよ!という制作陣の腰の引けた姿勢もグダグダで、さすがにこんないい加減なものは評価できません。[DVD(吹替)] 3点(2009-09-12 00:10:49)(良:1票)

9.  テキサス・チェーンソー ビギニング 「ビギニング」と言っても、レザーフェイスの生い立ちについては「セブン」風のタイトルバックで断片的な情報が与えられるのと、精肉工場からチェーンソーを持って帰るエピソードぐらいで、これぐらいなら誰でも想像がつきますよねという範囲のもののみです。要するに、そのルックスからいじめに遭って性根が歪んだウォーズマンみたいなやつだということです。今回レザーフェイスの出番は少なく、代わって前作でも輝いていたホイト保安官が映画を席巻します。キューブリックも惚れたリー・アーメイ先生の容赦のない罵倒、不条理を不条理とも思わない揺るぎのなさ、巨乳のお姉ちゃんがいれば躊躇せず乳を揉むストレートな人柄が炸裂。その暴れっぷりは「フルメタル・ジャケット」を完全に超えており、レクター博士やダースベイダーが物分かりの良い穏健派に思えるほどの壮絶な悪者ぶりを披露します。前作はレザーフェイスとの追っかけがメインでアクション映画のようになっており、ショックシーンの連続ではあるもののビジュアルへの偏重が恐怖の底にもなっていました。しかし本作は気の狂った人間から無茶を言われまくる不条理さが大幅に強化されたことで恐怖が底なしとなり、さらにパワーアップしたゴア描写との併せ技により、ホラー映画としては史上最高レベルに達しています。残酷慣れした私の友人も「これは怖かったなぁ」と大絶賛でした。不条理さが支配する独特の空気を作り上げ、また観客の先読みをリードして話を進めるなど、脚本はかなり練り込まれています。特にすごかったのが、一家の母さんとデブのおばちゃんが、足元に女の子が転がってるのに気にも留めず世間話をしているところ。このとんでもない世界観、被害者たちの絶望感は他にありません。そこからの逆転のカタルシスもきっちりと描いており、体に力が入りっぱなしの90分でした。[DVD(吹替)] 8点(2009-06-19 19:03:56)(良:1票)

10.  ディパーテッド 《ネタバレ》 豪華メンバーで製作されたものの仕上がりはオリジナルと同じという、なんとも評価に困るリメイク版です。とはいえパクリの一言で片付けられないのは、プロットのおいしいところだけをいただいた別モノにはせず、シーンひとつひとつに至るまで丁寧にオリジナルをなぞっていること。往年の名作ならともかく、いちアジア映画をハリウッドの大御所がここまで忠実にリメイクというのは前例がありません。ヘタな改変をしてはならないという敬意すら感じられます。例えば、ジャック・ニコルソン扮する親分は地のヤクザにしか見えず、覆面捜査官を送り込むほどの重要人物には感じられないという欠点があります。話に説得力を持たせるにはより大きな犯罪組織にすべきでしたが、あえてオリジナルと同じスケールにしているように思います。携帯や封筒といったアイテムや仕掛けの使い方もオリジナルと同様ですが、ハリウッドの力があればより凝ったサスペンスにもできたはず。しかしそれをあえてやっていないのです。以上話の大枠は一切いじらず、ドラマの通りがよくなるように人間関係のみが変更されています。最大の変更点は主人公達の年齢で、オリジナルでは潜入から相当な年月が経っている設定でしたが、リメイクでは潜入開始から数年間の様子が描かれます。この変更の影響は大きく、大義名分があるとはいえ犯罪に手を染め、自分は警官としての本質を失いつつあるのではと悩むオリジナルの主人公に対し、リメイクでは素性がいつ暴かれるかというビリーのストレスが主に描かれます。この部分のテコ入れのため、ディグナムというキャラクターが追加されています。ビリーを危険な戦場へと突き放すためには温厚なクィーナンのみでは不足であり、ディグナムのような厳しく融通の利かない人間が必要だったのです。こうした変更によりビリーの生死がかかったドラマであることがより強調され、後半では自分はほぼ死人(=ディパーテッド)のようなものであることを悟りながらコリンと対峙するビリーの悲壮感がよく描かれていました。コリンはオリジナルから一転して悪役に徹しています。ビリーの物語を描くためには、コステロとはまた違ったタイプの純粋悪である方がよいので、その上での変更だったと思います。これにより、ラストの廃ビルでの顛末が、形式的にはオリジナルとまったく同じであるものの、意味合いが正反対になっているのは興味深いところでした。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2009-06-02 18:25:03)

11.  ディセント 《ネタバレ》 最近は聞かなくなった表現ですが、昔のニュースでは雪山で遭難などが起こると「○○大学のパーティーが行方不明になりました」と言っていました。それを聞いて「そんなとこでパーティーなんかするからだよ」と思ってた子供の頃の私。この映画を見ると、その頃の気持ちが甦りました。金と時間にそこそこ余裕があって気力・体力も自信のある女性方が、入っちゃいけない洞窟に入ってえらい目に遭うというお話。「そりゃ入ったあんたらが悪いよ」と、若者のやんちゃを戒める町内会の年寄りのような冷めた目で見てしまいました。この映画、演出・演技・視覚効果はどれもなかなかのレベルです。飛び上りそうなショックシーンがいくつもあるし、最初は自信まんまんのみなさんが「あ、ヤバイかも」「これは本格的にマズイ」「あ~~~助けて~~~!」と追い込まれていく心理的圧迫感も表現できていたし、洞窟も本物にしか見えません。地底人だって本当にそういう生き物がいるかのようなデザイン、質感だったし、天井にぶら下がる場面などではいかにも「吊ってます」とは見えない絶妙なサジ加減で身体能力が表現されていました。以上なかなかよく出来ているのですが、どうしても「入ったあんたらが悪い」に邪魔されて乗り切れなかったのが残念です。一方、職業探検家がスポンサーからの指示を受けて洞窟に入り、地底人に襲われる「地獄の変異」は好感を持って見られたことを思うと、やはり登場人物に憐れを感じられなかったのは大きいようです。こちらではむしろ地底人のことをいろいろ心配してしまいました。長年誰からも気付かれずひっそり生きてきたのに、突然の侵入者が大騒ぎして仲間が大勢殺されてしまう地底人のみなさん。女性地底人も登場しますが、地底人にも性別があって若いうちは恋愛とかしてるんでしょうね。あのルックスでもモテるモテないの差があったりして。なのに、それをブチ壊してしまうパーティー達。目が見えるやつとの勝負なんて卑怯じゃねぇか!という地底人のみなさんの焦りと憤りが画面から伝わってきました。ラストはパーティーによる大殺戮。そして誕生日会の場面で映画は終わります。以上、パーティーにはじまりパーティーに終わる映画でした。[DVD(字幕)] 6点(2009-01-11 21:28:16)(笑:1票) (良:1票)

12.  デス・プルーフ in グラインドハウス 期待して見に行ったのですが、あまりに面白くなくてガッガリでした。そもそも「グラインドハウス」は上映形式が先立った企画のはず。上映時間が短く内容も薄いB級映画だが、2本同時に見られて、おまけにいかがわしい予告編もあって妙な満足感がある。いわば新橋のそば屋の「カツ丼&そばセット」のようなものです。ひとつひとつのメニューは誉められたものではないが、ふたつを同時に味わえるからそれはそれでいいじゃないかという。そんなチープなボリューム感を復活させることが趣旨の企画であり、それぞれの作品も同時上映を前提に意図的に安っぽく適当に作られているだけに、一本ずつに切り離されてしまうと相当ツライ。しかも本来内容のない映画を一本の上映作品として成立させるため、オリジナルにはなかったシーンを追加して上映時間を水増ししてしまったのがさらに裏目に出ているように感じました。ダラダラと続く会話が退屈で仕方なく、内容からするとこの映画は90分程度が限界だったと思います。商売に合わせて作品を勝手に編集することで有名なワインスタイン兄弟ですが、ここでも兄弟の儲け主義が作品の価値を失わせてしまっていて本当に残念です。本編開始前に流れた「プラネットテラー」の予告が相当面白く期待が膨らんだのですが、「デスプルーフ」がこの状態では「プラネットテラー」も推して計るべしだなという感じです。「プラネット・テラー」はあえて劇場に行かず、DVD発売の際に「デス・プルーフ」との同時上映にして「ひとりグラインドハウス」を楽しみたいと思います。[映画館(字幕)] 4点(2007-09-08 18:14:41)(良:1票)

13.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 【予備知識一切なしで見るべき映画なので、未見の方がレビューを読まれる際にはご注意を】ブラッカイマー&トニー・スコット&デンゼル・ワシントンとくれば「いつもの無難なアクション大作だろ」と思いきや、史上空前のとんでもない仕掛けがぶち込まれた異様な映画となっていました。タイムスリップを題材としたSF映画は数あれど、アクション映画のメインアイテムとして大真面目にタイムマシンを登場させる大胆不敵さには驚きました。誰も思いつかなかったこの一発芸は、実に巧みな脚本と卓越した演出センスによって、映画として十分成立するレベルにまで到達しています。多くのヒット作の脚本を手がけてきたテリー・ロッシオは、このすさまじい題材がどうすれば観客に受け入れられるかを見事に計算してきます。いきなり「これはタイムマシンです」と言うのではなく、デンゼル・ワシントンが謎のマシンの正体を暴くという展開を入れることで説得力をぐっと増しているのです。また、トニー・スコットのハイテク描写の巧みさにも舌を巻きます。「好きな場所に入り込んで過去を覗き見ることができるが、膨大な情報処理には4日を要するため常に4日前の映像しか見ることができず、しかも一度に見られるのは一つのアングルだけで巻き戻しはできない」という煩雑な基本設定を観客に受け入れさせるというウルトラCに挑み、言葉と視覚を交えることで見事それに成功しているのです。装置がタイムマシンであることが暴かれる一連の描写も、脚本レベルの驚きのみに留まらず映像的な面白みも十分。右目で現在を、左目で過去を見ながらのカーチェイスという荒唐無稽な見せ場では、知的な面白さと映像的な興奮でテンション上がりっぱなし。ここまで煩雑な設定を映像で饒舌に語れる監督は他にいないでしょう。確かに細かいアラはいくつか目に入ります。タイムパラドックスの処理に矛盾があったり(爆発した救急車や血のタオルのくだりは時系列上明らかに矛盾が…)、犯人の扱いがやたら適当だったり(目的が最後まで不明、人物像も適当、爆弾魔なのになんでマシンガン持ってんだ…)、ヒロインがデンゼルを受け入れる過程の葛藤が単純だったり。こうした細部の甘さにより傑作となる詰めを外しているような気もしますが、このとんでもないアイデアを実行し、成功させたこと自体を評価しようではありませんか。[映画館(字幕)] 8点(2007-04-03 12:49:42)(良:1票)

14.  ティアーズ・オブ・ザ・サン アントワン・フークアという人物は良い監督なんだか悪い監督なんだかよくわからない人です。この人はマイケル・ベイやサイモン・ウェストらと同じプロパガンダ・フィルムズの出身で映像は確かにMTV風なんですが、ベイのような軽さやバカっぽさがなく、意外とどっしりとした映画を作ってみせます。そういった意味では本作に適任と言える人物で、火薬大量消費のアクションパートと重苦しいドラマパートの色合いを違和感なくまとめられたのは彼の手腕あってこそだと言えますが、一方でストーリーテリングに無頓着なところが見られます。困難な作戦に挑む特殊部隊の物語なのに、人数もさほど多くない隊員ひとりひとりの名前すらよく確認できないという見せ方はさすがにないと思います。せっかく個性的なメンバーが揃っているのに、彼らが誰だかよくわからないまま死んでいくというのは実にもったいない。また難民の描き方も中途半端で、最初から最後まで彼らはお荷物でしかないのでは感情移入できません。特殊部隊にはない土地勘を活かして協力関係が築かれるという話にすれば、彼らの存在感や見せ場のバリエーションも増えたはずです。そしてなんといっても最悪なのがケンドリックス医師の扱いで、せっかく助けに来てくれた特殊部隊に文句しか言わないバカ女にしか見えません。ウォーターズ大尉の行動にはケチをつける一方で、敵に追われてるのに休憩させてくれなどと危機意識ゼロのことを言い出したりで、本当にイライラしました。確かに、彼女の連れている難民は子供や病人が多数いて、彼女は自分のためではなく彼らを気遣って無理を言ってるのですが、そういった面が伝わる描写がまったくないのでバカ女にしか見えないのです。そんな感じでツメの部分で失敗しているのがもったいない限り。基本的にはそれほど悪い映画だとは思いませんでしたから。また、多くの方が指摘されているようにアメリカ万歳的な部分もありましたが、あれは製作側が意図したものではなくアメリカ人の地が出たものだと思います。私が一番不自然に感じたのは越境に成功した難民が「自由だ!」と叫ぶところで、自由を絶対の価値観とするアメリカ人ならではの発想だなと。また、大統領の息子が「私の父は民主主義の普及に努めていまして」なんて語るシーンもやはりアメリカ的。アメリカ人は自由や民主主義が世界的な価値観だと信じ込んでるんだなというのがよくわかります。[DVD(吹替)] 6点(2006-11-23 19:12:30)

15.  デイ・アフター・トゥモロー ID4の巨大UFOと言い、これの凍結自由の女神と言い、エメリッヒさんの映画はいいポスターになりますね。彼の映画には常に印象的なシーンがあるんですけど、実際に見てしまうとガッカリなのは映像を動ではなく静で捉えているためでしょうか。彼はダイナミックなシーンを考えることはできても、どうにも動きに欠けるんですね。「車が流されていく」だとか「水に追いかけられる」だとか、映像が常に言葉で説明できるところに留まってるんです。演出次第ではもっとハラハラドキドキな映画にできたと思うんですけど。とは言っても、前半のディザスター特盛り祭にはやっぱり満足できましたけど。思いつく限りのことをやらかしてくれましたね。ないのは大地震と隕石くらいじゃないですか。その分、見せ場らしい見せ場のない後半がいっそうキビしかったのも確かですけど。これで後半、「氷河期移民を受け入れないラテンアメリカ政府に対し、アメリカが核で先制攻撃」なんてことになってくれればもっとステキだったんですよ。7点(2004-10-07 00:22:16)

16.  Deep Love アユの物語 劇場版 頭の悪い映画。こういうのを恥ずかしげもなく作れる人間ってのはステキだと思います。1点(2004-09-04 02:01:06)

17.  テキサス・チェーンソー これはオリジナルと比較できないでしょ。オリジナルは素人同然の連中が作った掘り出し物、いわばたまたま食べてうまかったラーメン屋の味、リメイク版はこなれた一流スタッフが作った、いわばマクドナルドの味ですから。映画とは期待値と満足度のバランスで決まるので、これはもう全然評価の仕方が違うわけですよ。で、今回の出来ですけど、映画としてのクォリティーが上がったのはうれしいです。大作としてリメイクする以上は、質を向上させることが第一目的ですから。ただし、怖かったかと言われれば、そうでもないわけです。何人かの方が指摘されている通り、スプラッター映画って実は怖くないんですよ。血が飛び散ることは怖さではなく、むしろ不快感につながってるんです。私が思うに、怖さとは秩序と混乱のバランスなんです。人は秩序ある環境に依存します。その秩序が狂っていく怖さがホラーの重要な要素だと思うんですね。しかしこの映画の舞台にはまったく秩序がないので、何が起こるのかわからない状態でのスプラッターは、もう完全にアクション化していました。たとえばリー・アーメイ保安官が親切な人で、主人公達はすっかり頼りきってたのに、その後彼が帰る先がチェーンソー一家の家だとわかったら?これがホラーなんです。描写では圧倒的に控えめな和製ホラーが怖いのも、そこに日常が徹底して描かれているので、見ている側の想像力が飛躍することを抑制しているからです。そして「これはイヤだなぁ」と実感として抱かせるおかげで怖いんです。6点(2004-07-29 10:17:40)(良:3票)

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