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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 【注意!猛烈にネタバレしています】 ルディ・コランダーを名乗る人物は北米に4人おり、そのうちの一人がアウシュビッツの元看守なので一人ずつ訪ねてターゲットを探し出すという『ターミネーター』みたいなお話に、奥さんが死んだことすら覚えていられない主人公という『メメント』みたいな設定がくっついた映画なのですが、本物のボケ老人にしか見えないクリストファー・プラマーの熱演もあって、この復讐行脚がなかなかの緊張感でした。 ただし、襲い掛かってくる元ナチの息子とその犬を急所直撃の見事なガンさばきで撃退した辺りから大オチの察しがついてしまい、そこから先は答え合わせのような見方しかできなくなってしまった点は残念でした。 また、これはおかしな見方なのかもしれませんが、アウシュビッツの元看守とは言え、国家からの指示で動いたことで個人が罰せられる。しかも事件から70年も経った後に自宅を訪問され、娘や孫の前で処刑されるということが、果たして正義と言えるのかという点には違和感を覚えました。その善悪を説いた作品でないことは承知なのですが、それにしても一方的すぎる正義だなぁと。[インターネット(吹替)] 6点(2018-05-24 18:43:26)《改行有》

2.  10 クローバーフィールド・レーン 《ネタバレ》 IMAXにて鑑賞。 とにかくジョン・グッドマンのキ○ガイ演技が凄過ぎて、彼の出ている場面では画面からまったく目が離せませんでした。モラルに対して非常にうるさく、しかし彼のモラルには常人の考えるモラルとは一線を画した部分があるため、何をきっかけに火が点くのか読めないという緊張感。また、キレたらキレたで尋常ではない剣幕で怒り、なだめる声にも一切耳を貸さないという頑固親父ぶり。これだけ見事なキ○ガイ演技は『ミザリー』のキャシー・ベイツ以来であり、彼の存在が密室劇を否応なしに盛り上げてくれます。 密室劇でありながらイベントがしっかりと詰め込まれており、「よくぞこれだけネタを考えたものだ」と感心させられました。また、監督は初の長編ながら素晴らしい手腕で作品をまとめており、視覚的に単調になりがちな題材をとりながらも、観客を退屈させない作りとなっています。 よくよく考えれば『フォーガットン』みたいなトンデモ話なのですが、実はまったく無関係な『クローバーフィールド/HAKAISHA』の名前を借りることで観客に対して「これはパニックSFですよ」という先入観を与え、抵抗なくオチを飲み込ませるための下地を作っています。題材をどうデコレーションして見せるかという点で才能を発揮するJJエイブラムスのプロデュース力が、本作の基礎部分を支えています。こちらもお見事でした。 ガッカリしたのは、シャマランの『サイン』と同じく侵略者が異常に弱かったこと。あれだけ煽られていた殺人ガスは、緑色の霧の直接噴射さえ避けられれば問題なしというヘッポコぶりだし、火炎瓶ひとつで墜落させられるUFOにも参りました。『インデペンデンスデイ』と言い『宇宙戦争』と言い、内部を攻撃されると大爆発を起こすというUFOの安っぽい構造は何とかならんものでしょうか。[映画館(字幕)] 7点(2016-06-19 02:08:50)(良:4票) 《改行有》

3.  天空の蜂 ・登場人物は胸の内をベラベラと口頭で説明し、感情が高ぶると目ん玉ひん剥いて絶叫。 ・社会問題への言及が始まると一方的な演説大会となり、それまでのドラマやアクションの流れがピタっと停止。 ・タイムリミットサスペンスを標榜しながらも湿っぽい人情劇が優先され、活劇としての勢いゼロ。 以上、日本映画の悪いところがこれでもかというほど詰まった作品であり、見ているのが辛くなるほどでした。アクションと人間ドラマと社会派サスペンスという3本柱が調和するどころかお互いが食い合う状況となっており、何をメインディッシュとして考えて製作されたのかがよく分かりません。特に、ヘリ墜落まで1時間を切って以降のチンタラ加減は絶望的なほどであり、「この状況で身の上話をするか?」と呆れてしまいました。原作は未読なのですが、本で読む分には違和感がなかったけど、映像化してみるとおかしなことになりましたという典型的な事例ではないでしょうか。 作品の根幹にある主張は興味深く感じました。反原発でも原発推進でもない、原発の恩恵とリスクの両面を描いている点が好印象であり、福島第一原発事故の記憶も生々しいこの時期において、このような切り口の大作を作り上げた監督と映画会社の姿勢には敬意を覚えます。ただし、原発に係る多面的な考察をドラマやエンターテイメントの領域にまで落とし込むことには失敗しており、その結果、テロリスト達が一体何に憤っているのか感覚的に掴みづらいという状況になっています。 また、江口洋介演じる主人公のドラマとしてもイマイチ。序盤を見る限りでは、家庭に対する責任から逃げ続けてきた男の成長物語のようなのですが、中盤以降は彼の家族が表舞台から姿を消すため、主人公の行動原理がよく分からなくなってきます。彼が家庭の大切さに目覚めたのであれば、大変な目に遭った息子に付き添って病院に行ってあげるべきでしょう。なぜ、彼は息子を奥さんに任せっきりにしてでも現場に残って戦い続けることを選択したのか、その辺りの動機付けが弱いのです。[ブルーレイ(邦画)] 3点(2016-03-04 15:56:26)(良:1票) 《改行有》

4.  ディアトロフ・インシデント 《ネタバレ》 B級映画としては上位クラスの仕上がりではあるが、大作と比較すると何だか物足りない内容。本作の評価は、レニー・ハーリンに何を期待するのかという軸により変わってくると思いますが、ここ10年のハーリン作品を見てきた私としては、本作には好意的な評価をしたくなりました。 ハーリンの手腕は序盤から冴え渡っています。若者たちが意気揚々と登山への抱負を語る導入部が終わると、続く場面では「アメリカ人の大学生が遭難しました」というニュース映像の挿入により悲劇的な結末へと一気にジャンプし、最中に何が起こったのかという観客の関心を大いに引き付けます。こういう掴み、私は好きです。本編に入ると、しばらくはアメリカ人学生が悪ふざけをしながらタラタラと登山する場面が続きますが、悲劇的な結末が観客にインプットされている分、「でも、この人たち死ぬんだよね」という寂しさが襲ってきます。さらに、その合間には不気味な兆候がいくつも挿入され、それが観客の脳内で結末部分とシェイクされて、余計に恐怖が増幅されるといううまい仕組みとなっています。また、雪山の美しさや過酷さの描写、雪崩のシーンのド迫力など、手間と金をかけるべき部分を的確に判断しており、少ないリソースをうまくやりくりして、それなりの大作感を出している点でも感心しました。 いよいよ明かされる恐怖の正体には意外性があって、そのアイデアは気に入りました。また、荒唐無稽になりかねないオチに対しては多くの伏線が張られており(被害者は9人ではなく11人とした老婆の主張や、時空の歪みの発生を示唆したいくつかの小さな事故等)、観客に「んなアホな」と思わせない作りとなっています。B級ながら、丁寧に作られた良作だったと思います。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-09-08 16:06:14)《改行有》

5.  デス・レース2<OV> OVだし役者やスタッフの格も下がっているものの、前作と同等のものを作ってきた監督の頑張りには感心しました。なかなか丁寧に作られた良作です。ただし、前作における武装トラックのような、バカバカしくもオリジナリティに溢れた仕掛けを作り損ねている点は残念でした。ひとつでもいいから前作を上回るものを作ってくればなお良かったのですが、そういったものがないので、本作独自の印象は薄くなっています。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-04-21 01:29:04)

6.  ディヴァイド 《ネタバレ》 余計な説明は一切なしでいきなり核戦争という景気の良い導入部が終わると、以後の舞台は狭苦しい地下室のみ。閉鎖空間での心理サスペンスに主眼が置かれた作品なのですが、全体の構図はよく考えられています。舞台はマンハッタンの高級マンションであり、その住民達はバリバリのホワイトカラー。対して、(きっかけは意に反していたとはいえ)彼らをかくまってやるのは、そのマンションの地下室に住みこんで働いている貧しい用務員さん。常日頃、身の回りの世話をしているにも関わらず住人達からはロクに挨拶もされず、名前も顔も覚えられていない用務員さんが、金持ちやエリート達の生命を握るという捻じれた階級闘争の構図となっているのです。そして、物語はどんどんおぞましい方向へと転がっていくのですが、「他人に対してもっとも惨い仕打ちをしたのは誰だったのか?」という点についても、本作特有の結論が準備されています。これはかなり優れた企画だと思います。。。 問題なのは、脚本力や演出力が上記の企画意図に追い付いていないということ。まず、時系列の整理がヘタくそで、ほんの数カットで何十日も話が飛ぶこともあれば、逆に、いろんな展開が詰め込まれてさぞや時間が経過したのだろうと思いきや、じつは数日の話でしたということもありました。閉鎖空間に長時間閉じ込められた人間のストレスがテーマとなっている作品だけに、劇中の時間経過は作品の重要なファクターであるはず。にも関わらず、それを観客に伝え損ねていることは問題だと思います。また、設定のディティールにもあまりこだわりがなく、大人8人が何カ月も生存するために必要な水と食料、長期間の自家発電を行うための燃料とは膨大な量になるはずなのですが、あの地下室にそれだけの備蓄ができるようには到底思えません。さらには、相当な量となるであろう排泄物、おまけに生存者達は何カ月も入浴できず地下室の衛生状態は最悪になることは容易に考えられるのですが、そういった想定しうる設定が掘り下げられていないので、映画全体から説得力が失われています。あと、序盤に登場した謎の集団は一体何者だったんですか?彼らに連れ去られた少女はどうなったんですか?謎の集団から奪ったはずのライフルやテーザー銃が中盤以降、劇中から姿を消すのはなぜですか?設定を投げっぱなしにした製作側の姿勢には感心しません。[DVD(吹替)] 6点(2013-01-14 02:52:00)(良:2票) 《改行有》

7.  テイク・シェルター 近い将来起こるであろう大災害が見えてしまった男の物語。基本的には精神障害を持つ男と、それに振り回される家族や友人の姿を描いたドラマなのですが、この男のビジョンはあながち間違っていないのかもしれないというSF的な含みを持たせた演出が絶妙。視点を変えれば、『デッドゾーン』のような悲劇として鑑賞することも可能です。主人公が教会に通っていない件で咎められる場面を挿入することによって、映画から宗教色を排除するという細かい配慮も気が利いており、カンヌをはじめとして世界中で多くの賞を受けていることにも納得の仕上がりです。。。 以上、作品としての完成度の高さは認めるのですが、あまりに淡々とした内容であるため、観ていて楽しい映画ではありませんでした。ひとつひとつの場面が必要以上に長いし、一方でドラマティックな場面での盛り上げが不足しています。撮影や演技の質が高いために、新人監督はすべての場面をじっくり見せたいという誘惑にかられたのでしょうが、もっと観客の生理に配慮した内容とすべきでした。[DVD(吹替)] 6点(2013-01-08 16:11:55)《改行有》

8.  デンジャラス・ラン ジェイソン・ボーン・シリーズを思わせる音楽、おまけにボーン・シリーズの撮影監督までを召喚して製作されたスパイアクションですが、残念ながらその仕上がりはジェイソン・ボーンの二番煎じがせいぜいというレベルでした。ボーン・シリーズのおいしいところを摘もうとはしているものの、ポール・グリーングラスの神がかったアクション演出と、トニー・ギルロイの緻密な脚色を真似ることは想像以上に困難だった様子です。。。 ボーン・シリーズの魅力のひとつとして、おかしなヘマをやる人間が敵・味方のどちらにも登場しなかったという点が挙げられます。圧倒的な組織力と緻密な戦略で襲いかかってくるCIAに対し、超人的な身体能力と勘の良さでこれに立ち向かうジェイソン・ボーンという図式が燃えさせたわけですが、一方で本作の登場人物達は、皆どこか間抜け。気付くべきことに気付かなかったり、勢いで行動してボロを出したり、感情を抑えるべき場面でプライベートを気に掛けたりと、殺しのプロとは思えない脇の甘さがあるのです。そして、このことが映画の温度を引き下げる大きな原因となっています。。。 さらには、序盤で提示される基本設定を、本筋においてうまく活かせていないという問題もあります。例えば、デンゼル演じるトビン・フロストには、敵を寝返らせることを得意とするという設定がありました。この設定が置かれている以上、主人公マットは「自分はトビンに騙され、うまく丸め込まれているのではないか?」という疑念を持つべきだったし、その疑念が映画全体のサスペンスを盛り上げる一大要因となるべきでした。しかし、完成した映画においてはこの設定がほとんど切り捨てられ、最初から最後までまっすぐに話が進んでしまいます。せっかく面白い設定が準備されていたのに、これでは実に勿体無い。ドラマもうまく流れておらず、ラストの熱い会話も、観客にはうまく伝わってきません。。 ボーン・シリーズだけではなく、『007』や『ミッション:インポッシブル』といった老舗シリーズも優秀な新作を送り出しており、アクション映画界でも最大の激戦区と言える当ジャンル。そんな厳しい世界において、この程度の出来で勝負を挑むのは無謀でした。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-12-19 00:46:52)(良:2票) 《改行有》

9.  テルマエ・ロマエ テンポよくネタを繰り出す前半部分では、テレビ局製作ならではの強みが出ていました。良い意味で軽いのです。ひとつの場面をこねくり回すようなことはせず、ネタが終わればさっさと場面転換してしまうという引き際の鮮やかさが気持ち良いし、下ネタや考えオチは排除して誰にでも分かる簡単な笑いのみに特化した姿勢も潔いと感じました。竹内力の使い方なんて最高で、あの濃い顔はどう見てもローマ側の人間なのにあえて日本側に配置して、しかもその違和感に誰もツッコミを入れないという扱いは笑いのツボをよく心得ています。彼の顔を見る度に笑ってしまいました。この辺りの肩の力の抜き方・笑いのセンスの良さは、長年に渡って大衆娯楽に徹してきたテレビ局ならではの長所だと思います。一方で、わざわざチネチッタで撮影したというローマ帝国のオープンセットは重量級の完成度。これを捉える撮影ともども、期待以上に素晴らしい出来でした。テレビ局製作映画は何かと低く見られがちですが、最近では劇場用映画に必要な重厚さというものを身に着けつつあるようです。。。 しかし、後半部分で映画は失速してしまいます。シリアスな目標の下に登場人物達が一致団結するのですが、このパートには笑いもなければ感動も知的興奮もなく、まったく見どころがないのです。前半の程よいダメ女ぶりが楽しかった上戸彩も普通の小奇麗なヒロインに成り下がってしまうし、歴史改変ものとしての面白さを掘り下げようともしません。西洋と東洋の文明比較もありがちなレベルで深みがないし、おまけに合戦場面のチープさは見ていられない程でした。監督は前半部分で燃え尽きてしまったようで、後半はただ撮っているだけという有様。これでは高い評価はできません。[DVD(邦画)] 5点(2012-11-10 19:52:01)(良:3票) 《改行有》

10.  ディア・ブラザー 《ネタバレ》 無実の罪で投獄された兄を18年かけて取り戻した妹の実話なのですが、この兄弟の生い立ちから無罪を勝ち取るまでの約40年を、わずか107分の上映時間に収めてしまった驚異の構成には目を見張りました。かといって駆け足感があるわけでもなく、重要な場面は丁寧に描かれていることがこれまた驚きです。観客に提示する時系列を徹底的に計算し、ムダな場面を1秒たりとも作らないことで、この奇跡の構成を成し遂げています。監督は9年かけて本作を製作したと語っていますが、長期の取材で得た膨大な素材を適切に取捨選択し、事件にとっては重要であっても映画にとっては不要な要素(兄妹の母親、兄の前妻、妹の旦那etc…)をバッサリと切り捨てた決断力も大いに評価できます。。。 主人公を演じるヒラリー・スワンクは、オスカー女優ならではの抜群の貫録と安定感を披露。おまけに彼女自身もホワイトトラッシュの出身というだけあって、役柄に大変な説得力が与えられています。他方、兄役のサム・ロックウェルはやや意外なキャスティングだったのですが、コミカルなイメージのあるロックウェルのおかげで映画全体が適度に柔らかくなり、お涙頂戴のベタベタなドラマになることが避けられています。もしエドワード・ノートン辺りが演じていれば、嫌味な実録ドラマになっていたかもしれません。。。 本作は兄弟愛のドラマとして非常に充実しているのですが、同様に社会派ドラマとしても見応えがあります。主人公は、兄の無実を示す証拠を早い段階で見つけ出すものの、司法機関にそれを認めさせる過程で大変な困難にぶち当たります。自分の在任中に問題を起こされたくない地方検事が可能な限りの時間稼ぎをしてくるのですが、同様のことは日本でもしばしば発生しています。DNA鑑定の誤りが遠の昔に判明していたにも関わらず、司法がこれを認めるまでに何年もの時間を費やした足利事件や東電OL殺人事件、もはや日本国内で有罪を信じている者は皆無という状況にありながら、40年以上に渡って無実の男性を収監し続けている袴田事件のような事例がそれです。一人の人間の人生を台無しにし、その家族や友人の社会的名声までを著しく傷つける冤罪という問題に対して、司法機関の無責任ぶりは目に余ります。[DVD(吹替)] 8点(2012-10-27 11:21:58)《改行有》

11.  デビル(2010) 《ネタバレ》 本作は、シャマランが書き溜めてきたアイデアを若手クリエイターが映像化する「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第一弾。これまでシャマランは自分のオリジナル脚本を他人に委ねることがなかっただけに、本作の出来がどうなるのかは気になっていたのですが、幸いなことにこの試みは成功しています。。。 内容は「お天道様は見ていますよ」といういつものシャマラン映画なのですが、若手クリエイターの力によって、これまでとは一味も二味も違う作品に仕上がっています。従来シャマランが不得意としてきた悪人の描写が充実し、サスペンスホラーとしての奥行きがしっかり出来ているのです。シャマランは悪人よりも善人の描写に力を入れる監督なのですが、一方、本作の監督を担当したジョン・エリック・ドゥードルは善人にほとんど関心を示していません(ラストでは善人に救いがもたらされるのですが、その救いをほとんど描かずにさっさと映画を切り上げてしまうという有様)。それに代わって「正常に見えていた人間が、実は悪人だった」という点の描写に力を入れたため、サスペンス映画としてちゃんと面白くなっています。。。 本作の構成は独特で、オカルトと犯罪ミステリーという相反するはずの二つの要素が食い合うことなくうまく共存しています。犯人は悪魔であることがはっきりしているのに(そもそも、タイトルが『デビル』だし)、その前提でもなお犯人探しのミステリーを成立させてしまった脚本力・演出力には脱帽なのです。抜群の発想力・構成力を持っているものの、監督としての引き出しの少ないシャマランと、勢いのある演出はできるものの、ともすれば緻密さに欠ける若手クリエイターが、お互いの短所を補完しあうことで作品を完璧なものとしたようです。本作は興行的にも成功した様子なので、「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第2弾にも期待です。[DVD(吹替)] 7点(2012-09-02 02:31:25)《改行有》

12.  電人ザボーガー 《ネタバレ》 私が産まれる以前の作品なので、オリジナルは未見です。ウルトラマンでも仮面ライダーでもないほぼ忘れ去られていたヒーローを復活させるという企画に関心を持ったので鑑賞しました。。。 ザボーガー登場からテーマ曲までの演出は完璧。バカバカしくもカッコいいヒーローものの醍醐味をわずか数分で再現しており、鳥肌が立つほど興奮させられました。しかし、そこからはグダグダ。終始くだらないギャグでお茶を濁していて、ただの一度も映画が引き締まることがないのです。映画中盤においては、それまでΣ団を倒すことこそが正義だと信じてきた大門に迷いが生じ、そのために愛するミスボーグとザボーガーの両方を失うという劇的な展開を迎えるのですが、その場面すら真剣に描かれていないという有様。失意からもぬけの殻となっていた中年大門が、わが子との出会いによって再びガッツを取り戻すという後半部分に至っては完全にコントとなっており、この映画は演出のやり方を根本的に間違えています。。。 この映画、必要な駒は揃っています。70年代風の雑なデザインを引き継ぎながらも、適度な修正を加えてピカピカな姿で蘇ったザボーガーは充分にカッコいいし、CGと実写を組み合わせた変形シーンは驚くほどスムーズです。若き日の大門を演じた古原靖久はコメディもアクションもできて、おまけにダサイ決め台詞も様になっているという奇跡の逸材だったし、山崎真実と佐津川愛美は女優としてかなり恥ずかしい役柄ながらこれを全力で演じていて好感が持てます。大量のイベントを捻じ込みながらも終始スムーズにまとめられた脚本の質も高く、スタッフ・キャストは素晴らしい仕事を披露しています。だからこそ、根本的に方向性を間違えた演出が残念で仕方ないのです。。。 そんなことを考えながら映画を観ていたのですが、エンドクレジットで流されるオリジナル版の映像を観てビックリしました。オリジナルは本作以上にバカバカしいのです。70年代の子供向け番組なので大した作品ではないだろうとは思っていたのですが、ラストで目撃した光景はそんな予想をも遥かに下回るトンデモないものでした。リアルタイムで観ていた世代は、子供心にも「これは変だ」と感じていたはず。ならば本作のわざと外した演出もあながち間違っているとは言えず、これはオリジナルを観ていないと映画の評価はできないなと思いました。よって無難に6点。[DVD(邦画)] 6点(2012-08-16 10:19:42)(良:3票) 《改行有》

13.  デビルズ・ダブル -ある影武者の物語- 《ネタバレ》 イラク戦争後に暴露されたフセイン一族の悪行三昧は戦勝国によるネガティブ・キャンペーンである可能性を否定できないし、おまけにこの原作を書いたのは亡命中のラティフ本人なので内容の客観性にも疑義があり、実話という触れ込みの本作についても話半分のつもりで鑑賞したのですが、それでも映画としては面白く仕上がっています。後述の通り脚本にはアラがあるのですが、安定した演出によってドラマとしてもサスペンスとしてもアクションとしてもそれなりにまとめられているのです。本作の演出を担当したのはリー・タマホリ。『007/ダイ・アナザー・デイ』を大ヒットさせたものの、続く『トリプルX/ネクストレベル』と『NEXT』が連続して失敗し、おまけに女装姿で売春(買春ではない)しているところを囮捜査官に逮捕されるという前代未聞のスキャンダルによってハリウッドから干された人物なのですが、ヨーロッパ資本を得ての5年ぶりの監督復帰作にして、相変わらず水準以上の腕前を披露しています。主演のドミニク・クーパーの演技も素晴らしく、観客が一目で判別できる程の高いレベルでウダイとラティフを演じ分けています。なぜ彼が、いかなる演技賞をも受賞できなかったのかと不思議になる程です。。。 問題があるのは脚本で、無難にまとめられてはいるものの、焦点を当てるべき対象を間違えたために意図した物語にはなりえていません。脚本家が夢中になったのはウダイによる悪行の数々なのですが、この物語の主人公はウダイではなくラティフです。掘り下げるべきはラティフの苦悩だったはずなのに、これが意外と適当に流されています。例えば、家族に危害が及ぶからと影武者役を渋々引き受けていたラティフが、家族を見捨ててでも国外へ逃げようと決意した心変わりの背景の描き込みが不足しているのですが、このために後半の展開に感情移入できないという事態が発生しています。一度は国外へ逃亡したラティフが復讐のためにイラクへ戻るという展開にしても、ラティフの心情の描き込みが不足しているために作り手が意図した程のカタルシスを観客に与えるに至っていません。[DVD(字幕)] 6点(2012-08-12 03:52:22)《改行有》

14.  テイカーズ 固い絆で結ばれた金持ち強盗団vs仕事一筋の鬼刑事という典型的な「ヒート」症候群の一作ですなのですが、マイケル・マンのようなディティールに対するこだわりはほとんど感じられません。ひたすらに見てくれのゴージャスさ、カッコよさを追求した画面はトニー・スコットを思わせ、さらにはキャラクター造形も雑なので男臭さも皆無に等しい状態です。ドラマパートはジェイソン・ステイサムが出るような作品群と大差のないレベルで、ロクな見せ場もない前半部分にはかなり退屈させられました。。。 しかし、物語が折り返し地点に差し掛かり、目玉である銀行輸送車襲撃がはじまると、映画は凄まじい勢いで疾走をはじめます。二転三転する怒涛の展開に、スピード感ある見せ場の連打。製作費3,200万ドルという中規模予算のアクション映画としては、恐ろしいぐらいにサービスしてくれます。これにはお腹いっぱいになりました。決して出来の良い作品ではありませんが、大きな期待をしなければ十分に楽しませてくれるアクション映画です。。。 なお、本作のDVDジャケットには「全米No.1大ヒット!」とデカデカと書かれていますが、本作が全米1位を獲れたことには理由があります。アメリカでカリスマ的な人気を誇るヒップホップアーティストT.I.とクリス・ブラウンが強盗役で出演しており、さらにポール・ウォーカーとヘイデン・クリステンセンという2人のイケメン俳優が彼らをサポート。若い人が好むキャスティングをしたことがヒットの要因であり、決して作品の質が評価されたわけではないという点にはご注意ください。[DVD(吹替)] 7点(2012-05-13 17:15:52)(良:1票) 《改行有》

15.  デビルクエスト 《ネタバレ》 借金返済のためここんとこ映画に出まくっているニコラス・ケイジですが、本作ではついに時代劇に進出。十字軍騎士役をケイジが演じるというキャスティングはさすがに厳しいだろうと思っていたのですが、意外なことによくハマっています。多くの人が忘れていますがこの人はオスカー俳優、トラウマを抱えた歴戦の勇者を見事に演じているのです。剣術も様になっていて、なかなか器用なところを見せてくれます。その相棒を演じるロン・パールマンは、ケイジがハマらなかった場合の保険としてキャスティングされたかのようなポジションですが(彼がいなくても物語は成立する)、ケイジとの相性はなかなか良くて二人の掛け合いは映画を面白くしています。監督のドミニク・セナも時代劇初挑戦ながら安定した演出を披露。老朽化した吊り橋を渡る場面ではハラハラさせられたし、作品のキーパーソンである女性の描き方はなかなか秀逸なものでした。「女性は魔女裁判の被害者なのか?それとも本物の魔女なのか?」というミステリーが前半部分のキーとなるのですが、この点、セナは適度に観客を混乱させる演出を施していて、なかなか引きのある物語としているのです。問題は、後半になると映画がボロボロになることで、脚本の弱さや予算の少なさといった本作の抱える弱点が一気に露呈してしまいます。女性の正体は月並みなものだったし(前半部分の引きがうまかっただけに、余計ガッカリさせられました)、ついに正体を現した悪魔のVFXは10年前のクォリティで、安っぽさが全開となっています。最終決戦の舞台が狭い書庫なので視覚的な面白みにも欠け、人類存亡を賭けた戦いであるというスケール感も表現できていません。ここでハッタリをかませなかったことが、MTV出身のドミニク・セナの限界とも言えますが。[DVD(吹替)] 6点(2012-01-14 14:53:09)(良:1票)

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